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IOC(国際オリンピック委員会)大阪視察の記者会見
評価委員会総勢16人の来日は、各都市がIOCに対してすでに提出した「立候補ファイル」に基づいて実地調査を行うことが目的で、16人の委員が各専門分野に分かれて、レポートと現実的な側面と双方から分析を行うもの。委員会では予定を大幅に上回る視察が行われ、既存の施設ではマウンテンバイクの会場以外、すべてを見学した。先に北京を訪問しており、この後、トロント、イスタンブール、パリと回る。 今回のレポートは、7月13日に五輪開催都市が決定するIOC総会(モスクワ)への唯一の客観的な材料となるものでもあり、5月にはまとめられる方向だが、レポートには評価点などは一切つけられないという。 IOCが贈収賄などで権威や責任といったものを自ら傷つけたスキャンダルから、新たな選抜方式による評価委員会を設け、「ノーギフト(贈り物厳禁)、ノービジット(開催候補地訪問の禁止)」とルールを徹底して定めた最初の夏季五輪選定だけに、候補地、評価委員会とも暗中模索といった現状の中、会見でも当り障りのない「公式コメント」が目立っていた。 評価委員会のあとには、磯村市長をはじめ大阪招致委員会が会見。市長は自らが主張している「こころオリンピック」のスローガンが委員にも認知されたことを喜び、「かなり忙しい日程だったが、三笠宮殿下、森総理が来てくださって、国をあげての招致への姿勢は感じてもらえたと思う。ほっとした」と話していた。 IOC評価委員会・フェアブリユッゲン委員長(国際自転車連盟会長)の話(抜粋)「開催地決定のための新しい方式が導入されてから最初のこうした実地(夏季で)視察となった。これは私たちにとって大きな意味を持った任務であり、18のテーマについて非常に有意義なディスカッションをすることができた。 磯村・大阪市長の話(抜粋)「もっとも印象に残ったのは、非常に気持ちのよいワーキングセッション(質問と説明を行う会議)だったという点で、みなさんすでに出してあるファイルを十分に読み込んできてくださったために、こちらの説明は余分ではないか、と思うこともあった。このため、かなり詳細までのやりとりができたと思うし、見事な真剣勝負だった。語学の問題から多少のすれ違いがあったところもあるが、それでも文書でお答えするところはそういう手続きにするなり、問題はなかったはずだ。
「マイナスはなかった、さて」 評価委員会の性格上、どれもこれもが当たり障りのない、面白味にかけたコメントである点は致し方ない。中でも唯一、重要だと思われたのは、「評価委員会のレポートは(これまでと同じに)技術的なものに終始し点数などランクもつけない」とした点と、「北京で視察した会場には、その競技の特性と技術的側面から言って開催が不可能なものが3か所存在した。しかしそれは、会場を変更しなさい、というものではなくて、ここではできないと指摘をしただけ。換えても、換えなくても、それは北京の判断だ」とした2点である。 新しい選抜方式でIOCの規律を内部的に厳しくしたものの、逆に、評価委員会のメンバー16人のみが開催候補地を団体で一度しか訪れることができないのに、投票権を持った100人を超える委員たちが実際に訪れて見てもいないところを一体どう「評価」するというのか。厳しさのベクトルを間違ったために首を締めている。
北京では、評価委員会が下水処理場やダムなどを視察したことが伝えられているが、多くの五輪開催施設をまだ持っておらず、国際大会を経験していない北京がどこに「視線」を持っていけばいいのかを苦心したものでもあろう。 大阪にも夢島のアクセスなど問題はあるが、これは多かれ少なかれどこの候補地も同じで、大阪は少なくても北京のように「ここでは開催できない」と指摘されるような会場を見せるようなマイナスはなかったと、あえて評価してもいい。 次は、7月13日のIOC総会をどう戦うかである。公に残るイベントはこれだけである。評価委員会が点をつけないなら、あとは、13日に行われる総会のプレゼンテーションに向けてどんな隠し球を準備し、そこへどんな根回しをするかである。
■短信:伊東浩司選手の会見より |