高橋尚子の話「フィニッシュラインをまたいだときは、不思議なほど実感がなかった。今も、“あぁ、終わったしまったんだな”という寂しいような、だけど“あぁ、やっと終わったんだ”というホッとしたような気持ちでもある。17キロで行ったのは、自分の体調と相談しながら、もし行けるようであれば行きなさい、と監督に言われていたので、後のことは考えないで思い切って行った。本当に苦しかったけれども呼吸は大丈夫だった。でも足はもう一歩も前に出ないくらいでした。勝ったと思ったのは最後の30メートルになったときです。2時間21分で走ろうと思ってきた。ここにきて本当に集中できたと思うし、きょうは応援が本当に多くて、それに励まされた。私は坂が好きなので、33〜35キロの坂でスパートしようと思っていました」
市橋有里の話「後半のアップダウンを甘く見ているところがありました。前半、体が軽かったので、動くままに(高橋について)行ってしまいました。アンザックブリッジ仁入ってからは足が動かなくなったし、下るときにおなかが痛くなった。高橋さんとは力の差がありました」
山口衛里の話「5キロの地点で、給水のときにロルーペ(ケニア)が前に入ってきて、その後ろの選手がつまずいて自分のところに来た。手を後ろについてしまうような形で転びました。影響はないです。リズムが崩れただけ。順位は全然関係なかった。後半にアップダウンがあるから必ず誰か落ちてくると思って気持ちを立て直しました。集団の中でも、出たり入ったりして場所が決まらず、ちょっと消耗したところある。こうやって大きな大会に出るのは初めてで、自分がその中で走れたことは本当に大きな励みになるし、自信になりました。スタートラインまでは本当に気持ちよく臨めたと思う。あきらめないレースをしたかった」
山口の指導をする武富監督の話「よく粘った。練習は十分できていた。昨日はリラックスしていたけれども、やはり少しテンションが高かったのが心配だった。体調は良かったので特別な指示はしていない。行きたいところでやりなさい、とだけ言った。監督として一番つらかったのは4〜6月、マラソン練習を本格的に始めたときだった」