9月24日

※無断転載を一切禁じます


シドニー五輪
陸上・女子マラソン、高橋尚子が金メダル

 金メダル獲得が期待されていた女子マラソンは、気温23度、湿度85%の気象条件の中スタートした。高橋尚子(積水化学)、市橋有里(住友VISA)、山口衛里(天満屋)の3人は先頭集団の中で走り、折り返し17キロで高橋がスパート。市橋はこれについていったが、山口はついていけず、集団は縦長に展開した。18キロ過ぎからは強敵、リディア・シモン(ルーマニア)との一騎打ちとなった高橋は34キロ過ぎ、シモンを置き去りにして、最後のスパート。そのままゴールに戻り、日本女子マラソン史上初めての金メダルを獲得した。記録は2時間23分14秒(五輪レコード)。なお、山口は7位、市橋は15位でレースを終えた。

女子マラソン 結果
順位 選 手 所属 記録
1 高橋尚子 JPN 2:23:14
2 リディア・シモン ROM 2:23:22
3 ジョイス・チェプチュンバ KEN 2:24:45
4 エスタ・ワンジロ KEN 2:26:17
5 マディナ・ビクタジロワ RUS 2:26:33
6 エルフェネシュ・アレム ETH 2:26:54
7 山口衛里 JPN 2:27:03
8 ハム・ボンシル PRK 2:27:07

15 市橋有里 JPN 2:30:34
<所属略称> JPN=日本、ROM=ルーマニア、KEN=ケニア、RUS=ロシア、ETH=エチオピア、PRK=北朝鮮

高橋尚子の話「フィニッシュラインをまたいだときは、不思議なほど実感がなかった。今も、“あぁ、終わったしまったんだな”という寂しいような、だけど“あぁ、やっと終わったんだ”というホッとしたような気持ちでもある。17キロで行ったのは、自分の体調と相談しながら、もし行けるようであれば行きなさい、と監督に言われていたので、後のことは考えないで思い切って行った。本当に苦しかったけれども呼吸は大丈夫だった。でも足はもう一歩も前に出ないくらいでした。勝ったと思ったのは最後の30メートルになったときです。2時間21分で走ろうと思ってきた。ここにきて本当に集中できたと思うし、きょうは応援が本当に多くて、それに励まされた。私は坂が好きなので、33〜35キロの坂でスパートしようと思っていました」

市橋有里の話「後半のアップダウンを甘く見ているところがありました。前半、体が軽かったので、動くままに(高橋について)行ってしまいました。アンザックブリッジ仁入ってからは足が動かなくなったし、下るときにおなかが痛くなった。高橋さんとは力の差がありました」

山口衛里の話「5キロの地点で、給水のときにロルーペ(ケニア)が前に入ってきて、その後ろの選手がつまずいて自分のところに来た。手を後ろについてしまうような形で転びました。影響はないです。リズムが崩れただけ。順位は全然関係なかった。後半にアップダウンがあるから必ず誰か落ちてくると思って気持ちを立て直しました。集団の中でも、出たり入ったりして場所が決まらず、ちょっと消耗したところある。こうやって大きな大会に出るのは初めてで、自分がその中で走れたことは本当に大きな励みになるし、自信になりました。スタートラインまでは本当に気持ちよく臨めたと思う。あきらめないレースをしたかった」

山口の指導をする武富監督の話「よく粘った。練習は十分できていた。昨日はリラックスしていたけれども、やはり少しテンションが高かったのが心配だった。体調は良かったので特別な指示はしていない。行きたいところでやりなさい、とだけ言った。監督として一番つらかったのは4〜6月、マラソン練習を本格的に始めたときだった」

優勝した高橋尚子の5キロごとの通過タイムとラップ
  5km 10km 15km 20km (中間) 25km 30km 35km 40km 記録
通過
タイム
0:17:00 0:34:21 0:51:20 1:08:10 1:11:45 1:24:48 1:41:39 1:58:26 2:15:19 2:23:14
ラップ 17:00 17:21 16:59 16:50 --- 16:38 16:51 16:47 16:53 7:55

●本日の選手コメント、コラム等はsportsnavi.comの
「Masujima Stadium出張版」に随時掲載予定です。

◆シドニー五輪特別企画◆
杉山茂樹の

BEFORE LATEST NEXT