9月12日


シドニー五輪女子柔道48キロ級
田村亮子練習取材
(シドニー)

 日本選手団にとって競技初日の金メダルへの期待がかかる田村亮子(トヨタ)がこの日午前、現地の日本人学校で練習を行った。この日は初めて、地元福岡から恩師でもある園田義男氏が駆けつけ、田村に直々に稽古をつけた。五輪前、慣れ親しんだ福岡で練習を積みたいと地元に帰っていただけに、恩師との稽古には気合が入っていた。

「ここまで来たか」

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 誰もが見た日本を出発する田村の笑顔は、この日の練習では一切見ることができなかった。長年取材をしている記者たちも「近寄り難い」と言った。練習が行われたシドニーの北は朝から風が強く、空気が乾燥しているためか、田村はウエアの首を高く上げて喉を保護するように注意深い配慮を見せていた。
 この日は後輩からの寄せ書きがされた色紙が届けられたが、それについて「うれしいですね。これでまた力になります」と話したが、いつもは質問が終わるまで続く立ち話も、この日はわずかに4分ほどの短いもの。記者たちのほうも無論配慮しているが、日に日に口数が少なくなる田村の姿がむしろ力強く見えた。近寄り難い、その雰囲気は試合当日、近寄れないものに変る。
 そうでなければ勝てない。
 最大のライバル、キューバのサボンとは、もし対戦するとこれで13度目になる。サボンを含むキューバチームも13日の練習から非公開とする、と話している。口数が減る分だけ、闘争心が増す。

「こちらも戦いが……」

 2008年の夏季五輪招致を巡って、先日のIOC(国際オリンピック委員会)で、5つの正式立候補都市に残った大阪(ほかは北京、パリ、トロント、イスタンブール)が、IOC総会での招致活動をスタートさせている。
 オリンピックスキャンダルの後、IOC委員の候補地訪問が禁止され、招致活動そのものが大きな変革を遂げている時期で、さらに調査委員会による初めての投票方式をとるだけにどういった形で「招致活動」を展開するかはどこも手探りの状態である。IOC総会が行なわれている市内の高級ホテルでも、以前とはまったく違い、各都市のスペースは小さく、それを会議場の入り口に並べるだけの「活動」。しかし、どこにスペースを置くかでもめて抽選に。また、どこも少しでも前に出そうとするなど、規則通り行っている大阪がどこか気の毒なほどだった。
 13日には、IOC副会長選挙が行なわれる。日本の猪谷委員もこれに立候補しており、当選すれば大阪の招致には間違いなくプラスとなる。非常に大きな意味を持つ選挙となる。

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