爆走1784km!
−近畿支部桧枝岐侵攻作戦−

k-sugano

 


それは1999年初夏の頃であった。京都で開催された近畿支部のオフミの別れ際、京都駅で突然「桧枝岐に行こう!!」と盛り上がり、その場で桧枝岐の採集王ことヒメオオ馬鹿のあいあん氏の携帯に電話した。

 「もしもし、あいあんさん?k-suganoですけど」
 「どもども(^^) なんでっか?」
 「今度、近畿支部で桧枝岐に行くわ」
 「おお!案内しますんで是非きてくらはい」

って感じだったと思うんだけれど、桧枝岐侵攻作戦が計画されることになった。
翌日にはさっそく「桧枝岐侵攻作戦実施本部掲示板」が立ち上げられ、この場で詳細な計画が練られることとなる。

あいあん氏によれば、オオクワガタの灯火採集なら8月が良い。ヒメオオクワガタなら9月だがオオクワガタは減少する。
あいあん氏からは8月に実施するように勧められた。

その後、あいあん氏と同様採集狂のタカさんが出張で大阪に立ち寄ることになり、タカさんからも情報を得ることにした。

 「桧枝岐ってさぁ〜、ひとくちにいっても凄く広くて、トイレのある場所まで15分くらいかかかるんだよ」
 「ふむふむ」
 「オオクワ灯火採集の場所と、ヒメオオポイントは何キロかなぁ〜、30kmくらい離れているんじゃねえかぁ〜」
 「ぎょえー、そんなにひろいの〜」
 「9月かあ。まあ9月はヒメオオは多いよね。オオクワもそれなりには採れるだろう」
 「ほんなら、9月にしますわ、9月。8月はお盆で道が込んだりするし、都合悪いメンバーが多いんで」

このとき、作戦決行は9月10(金)〜11(土)と決定したのであった。



その後、近畿支部はその夏のテーマを

  1)灯火採集の実践
  2)ヒメオオみたいに木につくクワガタのルッキング採集

と決め、さっそく桧枝岐侵攻を念頭に置いた実践予行演習に励む事にした。

1)については、能勢高大寺山灯火作戦(大敗北)、滋賀霊園灯火採集(敗北)と連敗し、2)の練習として計画された「氷ノ山アカアシ捕獲作戦」時についでに実施された「氷ノ山バーベキュー大会兼灯火採集」でそれなりの成果を見た。

2)については、氷ノ山において「アカアシ満腹もういらないよ状態」になるなど、連戦連勝であった。
「アカアシ満腹もういらないよ状態」については「くわ馬鹿99年秋号:氷ノ山に御神木を見た!!!」に掲載されている。
なお、氷ノ山アカアシ採集においては涼の父氏が赫赫たる戦果をあげていたため、桧枝岐侵攻作戦においても期待すること大であったが、、、、、それは後ほど、、、



いよいよ侵攻作戦の決行日が近づいてくる。
「実施本部掲示板」にて襲撃メンバーを募ったところ、結局仕事の都合がついた7名、すなわち、
Kirk、大石、涼の父、tsuu3、まき、てらぼん、k-suganoが遠征することになった。

参考までに用意したものは

 ・車2台(アコードワゴンとボルボワゴン:燃費が良く荷物が載せられるため)
 ・シュラフ7組
 ・テント1張り(あいあん氏がもう一個用意すると言ってたため)
 ・長竿つきネット(各自氷ノ山で使っていたもの:5m以上は欲しい)
 ・ルアーケース
 ・懐中電灯
 ・お金    だいたいこんなもんである。

そうそう、CDやテープも忘れてはいけない。なにせ片道800kmほどあるのだ。



9月9日夜、名神高速道路の西の端、西宮ICを出発したコードネーム「Eagle1」は菩提寺ICで「Eagle2」と合流し、ここで大石、Kirkの京都・滋賀組を拾う。「Eagle1」には大石、Kirk、まき、k-sugano、「Eagle2」にはtsuu3、涼の父、てらぼんが分乗するのだが、ここで意外な事実が判明した!なんとまきさんは運転免許を持っていない!うぇーん、運転する時間が増えた(T_T)。

そんなこんなで馬鹿話をしながら桧枝岐侵攻部隊は東へ東へと進む。涼の父の用意したトランシーバーは非常に役立つのだが、時々
 「あ〜、こちらEagle2、Eagle2。Eagle1どーぞー」
 「はいはい。こちらEagle1。なんでっかー?どーぞー」
 「あ〜、呼んでみただけです。どーぞー」
 「(T-T)、、、、、」

ところで今回の遠征は近畿支部だけではないのである。群馬支部がその2,3日前に桧枝岐を攻撃する事を事前に察知していたため、先手を打たれぬように(ヒメオオ採りつくされないように)、まちかねに「あっちで会おう」と言っておいたのだ。(冗談です>まちかねどん(^^;;)
また、関東の各支部からも近畿支部が来るということで多くの参加があった。また遠くは宮城のBAJAも来てくれる事になった。前代未聞の大採集会である。

運転を交代しながら、あいあんに前もって言われたように6時頃には首都高に入るべくEagle1とEagle2は法定速度を大幅に超過しながら名神ー東名を走る。横浜近くで予定通りあいあんに電話した。

 「あー、あいあんさん?そろそろ横浜ですが」
 「はやいですねえ。じゃ、これから私も出ます」

首都高はtsuu3が詳しいのでそんなに苦労しなかったが、結構意地の悪い構造であったな(^^;;

東北道に入ってからあいあん&助手席と合流した。ここからはあいあんの先導で一路桧枝岐を目指す。
そろそろ携帯電話が使えなく直前で、まちかねから電話が入った。

 「あー、もっしもっし、まちかねでーす」
 「はーい、suganoでーす」
 「今、どこですかー」
 「そろそろ桧枝岐でーす」
 「うっそー!もうそんなとこー、やられたー、わたしたちの分も残しといてねー」
 「うっほほーい(笑)」

勝った(^^)v



途中、あいあんがシーズン中灯火セットを預けてある農家に立ち寄り、セット搭載後広沢林道に直行。
広沢林道は思った以上に道が悪く、ピッカピッカで車重のあるボルボは無理ということで、あいあん車とtsuu3車に分乗して林道の奥へと乗り入れる。やがてあいあん車が停止
 
 「このあたりからヒメオオポイントです」
 「あっ!いた!」(←助手席)

でっかいヒメオオ♀が柳にとまっている。タカさんからも聞かされていたが、あいあんより助手席の方が実は採集は上手いのではないかという噂は本当かもしれない。みんな、車を降りてルッキング採集を開始。やるぞー!
 
 「あっ、おったよ」

Kirkさんが早速発見した。
この後も、Kirkさんの採集達人であることは何度も確認する事になる。
 

 網を伸ばしているのがKirkさん

林道を見ながら進むが、あいあんがどんどん採集していくのには驚嘆した。流石に桧枝岐の採集王、ヒメオオ馬鹿である(^^;;
また、氷ノ山アカアシ採集で鍛えたはずの涼の父は老眼のため全然だめで、自称近畿のアイドルてらぼんが非常に眼が良く、次々と発見する。そのてらぼんもネットさばきはもうふたつみたいで、発見者:てらぼん、採集者:涼の父、k-suganoっていうパターンが多かった(^^;;
尚、このあと「近畿の目」という栄えある称号はてらぼんの頭上に輝くことになったが、だからといって髪の毛が増えるわけではない(^^;;

左:k-sugano 右:場所を指し示すてらぼん

途中二股に道が分かれた場所にきた。

 「えー、右の道にもいますが、熊がでることがあります」と、あいあん
 「でえへん、でえへん、いこいこ」

30mほど進んだとき

 「熊の警戒音だ!」
 「うへぇー!」

非情な近畿支部長は支部員をすておき、我先に駆け戻るのであった(^^;;

右の道はあきらめ、左の道を行く、ぽろぽろとヒメオオが採れる。アカアシも時々混じるがヒメオオの数がこの時期は多いようだ。また桧枝岐のアカアシクワガタは小さい。氷ノ山では46−48級の♂が多いがふたまわりは小さいような気がする。

かなり奥まで進んだ。林道に4駆が泊めてあり、中年の男性がひとり。釣り客かな?ん?車内に灯火セットがあるぞ!?
男性の方から声をかけてきた

 「むしとりですか。随分大勢ですね。どちらから?」
 「関西から来ました」(涼の父)
 「なにかのグループですか」(男性)
 「えーとBBSの、、」(涼の父)

ったく、「BBS」なんて、ふつうの人がわかるかよー

 「ひょっとして、まちかねBBSの?」(男性)

おいおい!なんでしってるの?このおっさん?

 「ええ、近畿支部です」(涼の父)
 「あっ、そうですか! 私、OBCむげんですぅ(^^)」(男性=OBCむげんさん)

うわーっ!世間は狭いぞ(@@)

そんなこんなでわやわやしていると、どっかで画像を見た事のあるSTEPWAGONが!
BAJA@宮城の登場である。
結構難しそうな顔を想像していたのだが、まったく逆だった(^^)



オオクワガタの灯火採集セットを張る必要もあるので林道を戻ることにした。

林道半ばで群馬支部&タカさんと出会った。
実はこの少し前、私は東京出張があり、東京オフミでまちかね、まえだ@料理長、うららの各氏とは会っているのだった

 「ぜーんぜんいないよー。やられたっ!(笑)」(まちかね)
 「へっへっへっ(笑)」(わたし)

近畿支部、群馬支部、そこかしこで挨拶したり笑ったりしている。(^^)

群馬支部、近畿支部、BAJA、OBCむげん、タカ&あいあん

この時点でのヒメオオ採集数 あいあん30 近畿支部30(それぞれ推定)



途中バーベキュー用の買出しをして灯火ポイントまで向かう。

そこでビックリ!!
あいあんセットもでっかいが、群馬支部の灯火セットは「セット」ではない!
これはもはや構造物といえば大げさだが「システム」である!

灯火セットはあいあんセット、BAJAセット、群馬システムと3台並べた。
どうみても群馬システムに飛んできそうだなあ

セッティングは若い者に任せて(えっへん)、年よりはさっそく宴会、宴会(^^;;
群馬支部、近畿支部和気あいあい宴会の準備

tsuu3(左)、まちかね(右)

群馬支部システム(写真は群馬での採集時)

あいあんセット 近畿支部の4倍はある。これでも群馬システムには及ばなかった
 

BAJAセット前の近畿支部&BAJA(右端)

近畿支部のワイン王、まきさん持参の8本のワインもあっという間に飲み干され、
肉も大量に消費され、採集か宴会か、どっちかわからんぞ状態の中

突如暗闇から前田料理長@群馬の声が響く!

 「オオクワー!!!!!」

ついに群馬システムにオオクワガタが飛来したのであった。

それ!とばかりに、各々懐中電灯を握り締め、周辺を探索する。

わたしはKirkさんと自動販売機巡りをした。
あらかじめポイントをあいあん&タカに教えてもらっていたのだが、どこでも採集者がいるのには驚いた。

やがて雨が降り始めた。群馬支部は夜半に撤収だ。
群馬支部の手際は抜群に良い。あっという間にシステムを解体して行く。

再開を約して群馬支部は去って行った。



朝5時に起きると言ってたよーな気もするのだが、起きたのは7時頃だったかな?

なんとはるばるA.CHIBAさんが千葉から来てた。夏の福井採集以来の再開である。

2日目は成田ファミリーをはじめ、まだヒメオオを採集していないグループが先に広沢林道に入ることにして、われわれは手前の国道際のヒメオオクワを狙うことにした。林道と違って整備された道で、車の往来も結構あるのだが、かなりヒメオオクワが採れる。例によって、tsuu3が道から谷に降りていったが、そのうち戻るだろうと思い、ルッキングしながらどんどん先へ進む。

近畿のオオクワの鬼、大石さんは密かに忍ばせたGERBERで立ち枯れを割ったりしている。

 「あっ!でましたよー」
 「ん?なになに?オオクワ?」
 「あっ!つぶしたぁー」
 「だから、なによー?」
 「たぶんアカアシ」
 「なーんだ」

本日、近畿支部の一部を車に乗せてくれてるBOZEさんがやってきた。

 「うーん、さっきから何度か往復してるんですが、tsuu3がいないんですよー」
 「えっ?」

いつものようにどっかに潜って行ったのだろうが気になる。熊に襲われたり、方角を間違えたりしたら大変だ。BOZEさん、てらぼんと一緒に探しに戻った。tsuu3がもぐりこんで行った筈の場所まで戻り、大声で呼ぶ

 「おーい!tsuuさーん!」

何度か呼ぶうちに谷底のほうからtsuu3の声が聞こえてきた。
結局、這い上がってきたのだけれどBOZEさんには多大な御迷惑をおかけしましたm(_ _)m

尚、このあわや遭難!という事件については「くわ馬鹿99秋号」収録の「奈落の底でルリゲット」に詳細がありますので、御一読ください。
 



ふたたび広沢林道である。

昨日と違って、道の様子やヒメオオのいるパターンもわかっているので、先発組がいるにもかかわらず、昨日よりは沢山採集できた。

林道の奥、昨日BAJAとであったあたりで先発組と合流した。
成田ファミリーのお嬢ちゃんの、虫かご代わりの中プラケにヒメオオがザクザク入ってる。
うーむ。この歳でヒメオオざくざくかあ、、、超ぜいたーく (^^;;

成田パパが柳の大木のかなり高い位置にヒメオオクワの大型を発見。みんなの声援のもとネットを伸ばす。そして無事GET!
良かった良かった。頼もしいパパである。


みんなで声援している様子。
左端タカ、2人挟んで双眼鏡が涼の父、BAJA、まき、A.CHIBA

昨日はこのあたりで引き返したのだが、今日はもうちょっと先に行って見ることにした。「テキサスポイント」だそうだ。そういえば、前の年、あいあんさんと一緒に採集に訪れたテキサスさんからヒメオオクワの52mmを頂いたが、ここで採れたものだそうだ。今は標本となって、大事にドイツ箱の中に鎮座している。

このポイントで、あいあんはこのシーズン最大の個体を採集した。よかったね(^^)

2日目のメンバー(Kirkさん除く)

さて、Kirkさんは2日目は広沢林道の入り口付近でコルリ採集をするからと単独行動だったのだが、それを聞いた2日目のメンバーの口の悪い事悪い事(^^;;

 「熊に襲われてるかも」
 「いーや、猿集団のボスになっとるんとちゃうか?いつもバナナもってるやろ?」

お安心下さい。無事でした。しかもしっかりヒメオオ、コルリ採集しておりました。
そしてキベリタテハも採集していてくれたのであります m(_ _)m



林道をおりて、2日目の灯火である。
本日は、あいあんセット、OBCむげんセット、BAJAセットということになったがオオクワガタは飛来しなかった。

流石に体も汚れて気持ち悪いので、灯火の合間に温泉に行くことにした。
トンネル(スノーなんとか)の途中を曲がったところにある温泉だがこれがまた素晴らしい。

ゆったりとお湯に浸かると疲労がとれていく。
ここでもまた面白い話題(○の○がビキニブリーフもっこりパンツで「どーだ!」という事件)があるが詳しくは触れない(笑)

風呂からもどって、さあ寝てから帰るかこのまま帰るか検討した結果、道の空いてる夜のうちに帰る事に決し、またまたあいあんの先導で桧枝岐を後にした。

あいあんとは西那須野ICで分かれた。
このあと、群馬方面に採集にいくとのことだ。流石に採集王である!



翌日の昼前に名神菩提寺ICへ到着。ここで大石、Kirkの両氏とはお別れだ。
パーキングエリアで虫を分配することになった。

なんと73頭のヒメオオを採集しておりました。


今回桧枝岐侵攻作戦に参加した近畿支部メンバー。
両サイドをグラサンかけた怖いお兄さんに囲まれる(^^;;;
後列左から てらぼん、tsuu3、Kirk、まき、大石 前列左から k-sugano、涼の父

かくして近畿支部桧枝岐侵攻作戦は大戦果をあげることができた。
自宅に戻った時、車のメータは1784km走破したことを告げていた。



今回の遠征は、あいあん&助手席、タカ、BOZE@神奈川支部、BAJA@宮城、まちかね&群馬支部、そのほか大勢の方々のご支援の賜物であります。特にあいあんさんには大変な迷惑をかけたことだと思います。

ありがとうございました。m(_ _)m
 
 

で、2000年はどうするって?そりゃあ行くにきまってるでしょ(^^)