■ (1).エンジンに関するQ&A集 ■ |
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ENGINE / MT / AT / CVT / ELC.(電気配線・制御)
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です。(1998/01/19 以来)
【エンジン編・タイトル一覧( 03/11/15 現在)】 | |
7 | 排気温度センサーは、どこに付けるのが良いでしょうか? |
6 | 点火プラグは、熱価が高い方が耐久性が悪いのですか? |
5 | エンジンがアイドルで安定しないんですが、原因と対処法は? |
4 | 液状ガスケットなどについて、何でもよいから情報を下さい。 |
3 | ブローバイガスについて教えて(直列と水平対向の構造やホースなど)! |
2 | オイルキャッチタンクを自作したいが、何か注意点は? |
1 | オイル交換後、始動前に「プラグを外してクランキング」した方がいい? |
(注):タイトルは、「下から上」の順で新しく追加されています。
8.排気温度センサーは、どこに付けるのが良いでしょうか? |
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(2000-10-06 追加) レガシィなどの水平対向エンジンに、後付けの排気温度センサーを設置する場合、一体どこに取り付けるのが良いでしょうか? 以下に、KAZの考察結果を記します。 計測目的によってセンサーの設置場所は変わりますが、せっかくワンオフで取り付けボスを溶接まですることになる(通常は、排気系にネジを切ってボスを立てて、それを溶接する)のでしたら、燃調のセッティングにも参考になるような場所が良いでしょう。とすると、やはりセンターパイプなどではなく、エキマニになります。しかもシリンダーヘッド(排気ポート)に近い部分に設置する必要があります。あまり下流(集合部以下)になると、温度が下がるなどして目安にしかならないからです(街乗りではそれで十分ですが・・・)。 で、一つしかないセンサーをどの気筒に持ってくるか? が問題になってきますが、答えは「4気筒のうちで最も排気温度が高くなる傾向をもつ気筒」になるでしょう。排気温度が高いポートは、それだけ燃焼室温度も高いことになりますから、異常燃焼やノッキングをモニターしやすくなると思います。 でも、すべての状況で、必ず「ある気筒の排気温度だけが高くなる」とは言い切れませんから、まずは定性的に、エンジン冷却水の流れ方、走行風の当たり方、熱を持つ補機(熱源)レイアウトなどを考慮すると、#3、#4気筒になるかな〜・・・。で、さらに考えていくと、ノックセンサーが#4気筒のふもとに付いているので、ノックセンサーと協調した気筒にしておくという意味合いも含めて、 「答:4番気筒が良いと思います(>全くの私見です)」。 余力があるならば、4気筒全部にボスだけ溶接しておいて、センサーを付け替えられるようにしておくと、気筒間の排気温度のバラツキがつかめると思います。ただし、その場合は3つのボスにフタをする盲栓も必要になります。 # ちなみに、4番気筒って助手席側に一番近い気筒です。 |
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7.点火プラグは、熱価が高い方が耐久性が悪いのですか? |
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プラグの耐久性の件ですが、ボクの個人的な考えでは、”番数を上げること自体”で耐久性が落ちることは、ほとんど無いように思っています(←私見です)。 サーキット走行など、エンジン高回転域でハイブースト状態では、燃焼室温度は非常に高温な状態にさらされるので、そういった意味では、蓄熱と放熱のバランスが ”高温寄りに” 設定されている高熱価プラグの方が、むしろ耐久性がある・・・と言えるかも知れません(同一条件での比較の場合は)。 普通は、熱価が低いプラグを使うユーザーは熱価が低くても済むような走り方が中心で、熱価が高いプラグを使うユーザーは高温にさらされるような走り方を多用することがあるので、単純に使用条件がキビシイという理由から、高熱価プラグの耐久性が劣ると認識されることがあるのではないでしょうか。 ところで市販の高熱価プラグでは、電極が細く、放電エネルギーが大きい(着火力が強い)とうたっているモノがありますが、こういったプラグは耐久性は低い傾向にあると思います(電極自身が摩滅するので)。よって、高熱価プラグの耐久性が低いのではなく、高熱価プラグの中でも、電極が細くそれ自身が摩滅しやすいものが、耐久性が低いと思っています。もちろん現在では、各プラグメーカーは、電極の材質(イリジウム系)や製造方法など色々な面での改良を検討したり加えているハズです。 プラグはサーキットを日常的に走り込むなどの特種な使い方をしない限り、標準の6番か一つ上の7番で問題無いでしょう。ECUがノーマルでしたら、なおさら番手を上げる必要性は薄いと思います。ただ、「上げてはダメ」という意味ではありません。上げてもそれはそれで別に良いのですが、ノーマルECUではその必要性は薄く、また始動性悪化などのリスクが伴う場合があり得るので、トータルで考えると、必要ないのでは・・・というのが現在の私の見解です。 |
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6.エンジンがアイドルで安定しないんですが、原因と対処法は? |
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アイドリング不安定について考えてみます。普通は、次の要因を疑います。 (1)吸入系 ---
空気をきちんと吸い込んでいるか (1)吸入系について (2)燃料系について (3)点火系について (4)電気系について (5)制御系について 以上、思いつくまま述べてみました。 まずは自分でできる点検として(4)と(1)を見て、次にディーラーで(5)を見てもらい、その結果によっては最後に(2)と(3)を決断するのがよろしいかと思います(←注:私見ですが、ご参考まで)。 |
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5.オイル交換、「上抜き」と「下抜き」、どっちが良い?? | |||||||||
以下の内容はレガシィ・インプレッサ・フォレスターについて有効です。 それ以外の車種については、概要では当てはまりますが細かな点では異なる部分がありますので、ご注意下さい。 オイル交換の「上抜き」と「下抜き」、一体どちらが良いのでしょうか? 結論から先に述べます。 ●DOHC系・・・上抜きは ほぼNG、下抜きが良い。 ●SOHC系・・・上抜き下抜き、どちらでも可能。 ただし上抜きの場合はオイルパンの底までしっかり差し込めるホース形状(太さ・長さ)であること。 では、その理由について順を追って説明します。 ●オイルパンの構造はどうなっているか? スバルの小型車用のオイルパンは、基本的にDOHC用とSOHC用の2種類があります。オイルパンの中には「バッフルプレート」と言って、車体が揺れてもオイルが前後左右に傾かないように、油面の荒れを抑えるための整流板が水平に取り付けられています。 このバッフルプレートは、DOHC用が上下に2段、SOHC用が上に1段、というように車種ごとに区分されてオイルパンに内蔵されています。(BC/BFレガシィの初期生産ロットには、SOHC用でも上下に2段内蔵されているものもあるかも知れませんが、ここでは除外します。その場合は、DOHC用の説明が当てはまると解釈して下さい。) ●DOHC車でオイルを「上抜き」する場合 さて、ここでDOHC車のオイルを「上抜き」する場合について考えてみます。実際にDOHC系のオイルパン(現物)を見て確認もしましたが、レベルゲージガイドからホースを挿入していくと、ノズル先端がオイルパンの底に達するより前に、バッフルプレート(2段設置されているうちの下側の方)にぶち当たっておしまいになります。つまり、DOHC用のオイルパンではバッフルプレートがジャマとなり、ノズル先端がオイルパンの底(最下部)まで届かないのです。最初から物理的に届かない構造のため、ムリがあると言えます。 ノズル先端がオイルパンの上下方向に対してほぼ中央位置までしか届かないので、これではいくら負圧で吸引しても、吸い出しきれない残量(=これはバッフルプレートよりも下側部分の容積に相当します)は約1.5〜2.0(L)程度となると考えられます。これは、油量全体の4割前後にも及びます。DOHC系の「上抜き」がNGである理由はまさにここにあり、吸いきれなかった劣化油が後から入れる新油とほとんど混ざってしまう(半分ちょっとしか交換できない)わけです。 ●DOHC車でオイルを「下抜き」する場合 ところが下抜き方式の場合、場所確保や作業時間などの手間こそかかるものの、ほぼ全量に近いオイルを抜くことができます。ただ、一般に下抜き方式の場合、ドレンプラグの位置がオイルパンで一番低い部分になかったりすると、そのドレンプラグの上下方向のオフセット量に相当するぶんだけは、オイルが抜けきらずに残ってしまう(約100〜300cc)ことがあります。しかしEJ系エンジンではドレンプラグ位置の上下オフセットが少なく、さらにバッフルプレートも内蔵されているため、下抜きの方が(上抜きよりも)多くのオイルを排出できるのは間違いないと考えます。 ●SOHC車でオイルを「上抜き」する場合 一方、SOHC系のオイルパン(DOHC系の角形に対して丸形になっています)の場合は、バッフルプレートが上側に1枚しか内蔵されていません。しかもその設置位置(水平方向の高さ)は、レベルゲージガイドとオイルパンとの接合部よりも高い位置にあります。したがって、ホースの先端をうまく挿入してやれば、障害物にぶち当たらずにオイルパンの底に到達できると思います。つまり、上抜きでも可能ということになります。 さらに、ノズルの先端が正に「ドンピシャリ」でオイルパンの最下部に合致した場合には、下抜きの場合よりも(若干ですが)多くの油量を抜くことが出来る可能性を秘めていることになります。 ●SOHC車でオイルを「下抜き」する場合 この場合は、基本的には上記のDOHC車でオイルを「下抜き」する場合と同様です。誰が作業しても確実にほぼ全量に近いオイルを抜くことができます。ただ、ドレンボルトの周辺に(ごくわずかですが)オイルが残りますが、これは全体の油量に較べると微々たるものであり、オイル交換をするという本来の目的に対しては効果をスポイルする程ではないと考えます。ディーラーが行うオイル交換も下抜きですからね。これで充分です。どうしても、そのわずかな「残量」が気になる方は、上抜きにチャレンジすると良いでしょう。 それでは最後に、下抜きと上抜きのそれぞれについて、長所と欠点を書いてみます。
どちらかというと、上抜き方式はユーザーの立場よりも、
ショップの作業効率向上(多くの客をさばける)や作業環境改善(汚れずにすむ)という立場からのものだ、と私は理解しています。 |
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4.液状ガスケットなどについて、何でもよいから情報を。 |
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私はエンジンを全分解する際、次の3種類の液状ガスケットを使っています。 オートバックスなどのカーショップでも入手可能だと思います。以下、それぞれについて簡単に述べてみます。 ●灰色ガスケット● スリーボンド1215のことです。耐熱性、耐寒性、耐水性、耐油性、耐電導性、耐ガソリン性に優れる、とあります。適用温度は-60℃〜250℃です。熱に強く、水やオイル、ガソリンにも反応しないシリコン系のガスケットですので、主な適用箇所は次のようになるかと思います。 (1). エンジンの場合 ----ブロックの合わせ面、ヘッドとカムキャリア間、ブロックとオイルポンプハウジング間など (2). ミッションの場合 ----メインケースとセンターデフケースやエクステンションケース間など ●赤褐色ガスケット● スリーボンド1207Cです。耐衝撃性、耐油性、耐薬品性、耐LLC性などに優れる、とあります。塗布後、5分〜10分ほどで表面硬化が始まります。主な適用箇所は、エンジンのオイルパンの合わせ面や、ATのオイルパンの合わせ面などになると思います。 ●信越シリコン● 一液型RTVゴムの KE45W です。白色です。塗布中は、MEKO(メチルエチルケトオキシム)が発生するので換気したほうが良いようです。こいつは、 熱にも振動にもオイルにも強く、硬化後は、少々の(というより大きな)クリアランスのある部品間のシールでも安定した性能を保ちます。主な適用箇所は、アクリル板とアルミ、板金とアルミ、アルミとアルミ、ガラスと樹脂など多数に適用可能だと思います。 以上、簡単に言うと、エンジンやミッションなどの大物部品間のシールには灰色ガスケット、オイルパンや油圧部品には赤褐色ガスケット、その他の部品や改造部品などのシールには信越シリコン、という感じです。赤褐色ガスケットや信越シリコンは、灰色ガスケットの代用としても効きますが、逆はちょっと苦しいでしょう。ちなみに、黒色ガスケット(スリーボンド1105)というのもありますが、こちらは使ったことがありませんので良く分かりません(スミマセン)。 あと、液状ガスケットではありませんが、ネジ部のシール(油圧プラグなど)には「バルカテープ」というシールテープを巻いてから締め付けます。部品と部品の接着には、「ハードロックK-510」(電気化学工業(株)、2液混合タイプの速効接着剤)がおすすめです。洗浄剤としては、スリーボンド2706(ノンフロン)という、スプレー缶タイプのものが、脱脂はもちろん電気接点の清掃にも使えるので、こちらもおすすめです。 |
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3.ブローバイガスについて教えて(直列と水平対向の構造やホースなど)! |
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以下、エンジンをE/G、ブローバイガスをB/Bと書きます。
ところが水平対向E/Gの場合は、シリンダーヘッドが横に寝ている分、「クランクケースとヘッドとの上下の高低差が小さい」のです。従って、クランクシャフトで攪拌されたオイルミストは、高低差を利用した自然分離が起こる前に、ロッカーカバー内の分離構造にまで達してしまう傾向になります。 |
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2.オイルキャッチタンクを自作したいが、何か注意点は? |
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まず、タンクの構造についてですが、 (1)オイルミストを含んだブローバイガスの取り入れ口 (エンジンから) (2)タンク内で分離されたオイルをエンジンに戻す出口 (エンジンへ) (3)オイルミストが分離されたブローバイガスを戻す出口(吸気系へ) の3つの出入り口から成ります。これらを図示すると、次の様になります。 __ (3)ブローバイガス→ =|タ |= ←(1)ブローバイガス ↑ (クリーン)の出口 |ン | (ダーティ)の入口 上 |ク |= ←(2)オイルの出口 方  ̄ ̄ (1)は、直4の場合はヘッドカバーのブローバイホースからとってきます。V型エンジンやスバルの水平対向エンジンの場合は、左右のヘッドからとか、クランクケースからとかのブローバイガスホースを統合してつなぐことになります。 (2)のオイル戻しは、オイルパン内に戻すのが良いのですが、通常はエンジン側を改造しないとそのようにする事が困難です。したがって市販品の中には、元々このオイル戻し口がついていないタンクもあります。そのような場合は、ユーザーがヒマを見つけて、定期的に自分でタンクを取り外し、たまったオイルをエンジン内に戻します。(オイルフィラーキャップから) (3)の、オイルミストを分離したあとのブローバイガスは、通常は吸気系に戻します。性能上は大気解放した方が良いのですが、法律上からはブローバイガスは吸気系に戻すことになっています。大気解放する場合、元々ホースがつながっていた吸気系のニップルをメクラ蓋で閉じてしまうと、機種によってはPCVバルブを殺したり、アイドルが不安定になったりするので、注意が必要です。心配ならば、大気解放せずに吸気系に戻された方が良いかと思います。 スバルの水平対向エンジンでは、3ヶ所のブローバイガスホースのうち、クランクケースからのホースを分岐させてキャッチタンクを付けたいところですが、ここはスペース的に分岐が苦しそうです。次にヘッドからのホースの分岐は、スペース的には可能なようです。その場合、左右ヘッドからの配管は途中で集合しているので、集合部よりも後ろ(吸入側)に付けるとタンクは1個で済みます。 ただし、そのままではE/Gから遠いので、より効率の良い分離能力を望まれる場合は、各バンクにそれぞれ1個ずつ、ロッカーカバーの直後に配置させます。しかも、後付けするホースは最短とする必要があります。(タンクにかかる負圧をかせぐため)。 その他の注意点としては、ホースの内径があまり細くならないようにします。あまり内径が細かったり、長さが長かったりするのは考え物です。冬場は、水蒸気が凍結してホースをふさいでしまう恐れもあります。また、タンクに対して、(2)のオイル出口はなるべく下方に、(3)のガス出口はなるべく上方に設置するようにします。自作は十分可能ですが、もし面倒ならバイク用のキャッチタンクがキタコかモリワキあたりから発売されています。 |
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1.オイル交換後、始動前に「プラグを外してクランキング」した方がいい? |
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厳密には、やらないよりはやった方が良いと思います。しかし、オイル交換程度のことでは、その儀式の意味合いは薄いと考えて良いでしょう。やらなくても特にダメージはないと思います。といいますのは、エンジン全分解などの場合とは異なり、オイルフィルターをはずした程度では、例えばブロックやヘッド、あるいは動弁系などのオイルギャラリーには残留オイルが少なからずあるためです。 油圧が上がって定常状態にならなくても、これらの残留オイルは一応は(エアと共にではありますが)断続的に各部に圧送されます。メタルが新品でドライスタートするならいざ知らず、油膜のあるウエットスタートである限りは、始動時にメタル摺動面の「当たり」や「引っかき」は、まず起こりません。 ちなみに、オイル交換時とは話が異なりますが、例えば寒冷地でのコールドスタート(-20℃とか)の場合は、オイル粘度が上がるので油圧の立ち上がりまで時間がかかります。このような場合には、油圧が安定するより前にエンジンがかかっていることになりますが、メタルへのダメージはほとんどありません。 というわけで、やらないよりはやった方が良いが、意味合いは薄い。個人的には、それよりもクランキングによるバッテリーへの負担の方が大きいように思います。(外部電源から12Vを引いている場合を除く。) |
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