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■ MT油温計(フロントデフギヤ油温計)の設置 ■

デジタル表示式のMT油温計を設置しました。
油温計本体は0℃〜999℃まで表示可能です。

 
●1999-02-03 : 新製、 ●1999-07-02 : 更新、 ●2002-02-20:レイアウト変更&書式統一


【図1/取り付け参考例】 インパネに仮設置した状態。夜間もMT油温をデジタル直読!
「センサー+ユニット」の全景インパネに仮設置したところ夜間もデジタル表示で油温を直読!

1.まえがき
 

クルマ好きの皆さんは、「温度計」 の追加メーターと聞くと何を思い浮かべるでしょうか。「温度だから、油温計・・・。エンジン油温計かな?」 と答える方々が大半だと思います。他には 「吸気温度計や排気温度計」 と答えるチューニング派の方々もいらっしゃることでしょう。あるいは、路面の凍結状態の目安となる 「外気温度計」 と答えるスキーヤーの方々もいらっしゃるかも知れません。

しかし、今回、私が設置した温度計は 「MT油温計」 です。正確には 「フロントデフギヤ油温計」 ということになります。エンジン油温に関心を持たれる方々は多いのですが、トランスミッション油温 (それもMT油温) となると、興味を持たれる方は非常に少ないのではないでしょうか。そこで 「誰もやっていないことをやろう!」 との考えから、設置するに至ったわけです。これにより、走行中のギヤオイル(75W-90など)の昇温特性が分かります。将来的には使用するギヤオイルの銘柄ごとに、油温とギヤの入りやすさ・ギヤ鳴きなどの関係を探れたら良いな、と考えています。
 

2.工業用 油温センサー&ユニットを使用
 

下に示す画像が今回購入した温度計です。本来は設定温度 (上限と下限) に対する制御出力を備えた温度調節ユニットで、サンプリング周期は2秒、精度は ±0.5%、測定可能レンジは0℃〜999℃、という高性能測定機器です。これをMT油温計として使用するのです。メーカーはキーエンス(株)で、型番はTF1−15というものです。

【図2】 キーエンス(株)の油温センサー&ユニットをチョイス。分解能も充分!
油温計本体(キーエンス)
2台を並べたところ。フロントカバーが開閉する。背面はこうなっているディップスイッチで表示範囲を設定

図2で左から2番目の画像は、ユニット(TF1−15)を2台並べたところです。左側がパネルを開けて各種設定キーが見えるようにした状態、右側がパネルを閉じた状態です。通常はパネルを閉じて使用します。ユニットの大きさは、縦48mm×横48mm×奥行70mmですから意外に小型と言えるでしょう。背面にはディップスイッチがあり、ここで温度の測定範囲を設定します。0〜99℃、0〜399℃、0〜999℃、の3段階が選択可能です。今回はMT油温計として使用するので、0〜399℃に設定します。

ユニット背面には、センサーからの入力端子や電源( DC12V )を接続しますが、端子接続基盤はユニット本体(温度表示部)から分離できるのが特徴で、クルマに設置したあとに本体を取り外せば盗難防止対策になる点も隠れた利点です。図2の左から3番目の画像で、上が通常状態、下がユニット本体から端子接続基盤を分離した状態です。
 

3.温度センサーの正体は 熱電対のK線
 

下の図3は温度センサー( 熱電対のK線 )です。先ほどのユニット(TF1−15)とセットで使用します。今回はキーエンス(株)の TF−C13 を購入しました。K線(クロメル・アルメル)なので、実はユニットの測定限界値である999℃も充分測定範囲内です。したがって、センサー自体は設置場所に汎用性があり、もしも排気管に設置すれば 「排気温度センサー」 としても使用できることになるのです。

【図3】 こちらは温度センサーの「熱電対」。タイプはK線(クロメル・アルメル)。
熱電対(温度センサー)
温度感知部分(先端)配線の拡大図(+−の指向性あり)本体に接続したところ

温度センサーの先端部( 図3で左から2番目の画像 )の直径はΦ1.6mmと細いです。しかも、ある程度なら自由に折り曲げることも可能( 屈曲性を持つ )なので、エンジンルームに設置する際の自由度が高いわけですね。針金を想像していただければ、その 「自由に折り曲げる」 ことのできるイメージがわくと思います。図3の一番右側の画像は、温度センサーの配線(+端子と−端子)をユニット背面の配線基盤に接続したところです。ちなみに赤が+、青が−です。センサー以外には、ユニット駆動用に電源(DC12V)を接続するだけのお手軽さです(結線は4本のみ)。
  

4.温度センサーをレベルゲージに取り付け
 

さて、ここから先は実車での作業です。温度センサーは、細くて折り曲げ可能な利点を生かし、オイルレベルゲージに共締めしてMT内部へと挿入します。つまり、油温を拾うために市販のオイルブロックなどを必要としないのです。ちなみに、油量が適正範囲内にあれば、レベルゲージの先端は走行中でも油中に浸かっていますので、発熱源であるハイポイドギヤ近傍で正確なMT油温をセンシングできることになります。なお、MTのレベルゲージはエンジン右バンクの後ろにあります。BGレガシィのターボでは、インタークーラーの右下です(注:車両における左右は「右=運転席側、左=助手席側」)。

【図3】 センサーをレベルゲージに共締めして使用。オイルブロックは不要!!
MTオイルのレベルゲージはここです
ドリルでレベルゲージガイドを加工するカップに穴を開けて熱電対を通すこの部分にも貫通穴を通して固定する

ただ重ねて書きますが、注意点としては、単にセンサーをガイドに挿入するだけだと損傷や異音などのトラブルの元になるため、レベルゲージ本体と共締めして、動かないように改修を加えてからミッション内部へと挿入します。具体的には、MT用レベルゲージを引き抜きゲージの取手近く、カップの部分( 「ふた」 になるところ、図3の左から3番目の画像 )に ドリルで直径2mmほどの貫通穴をあけます。まずはこの貫通穴に温度センサーを通し、ゲージ長さに合わせてセンサー長さを決めます。要するに、レベルゲージ本体に温度センサーを併設するのです。ゲージには必要最小限の加工しか加えませんので、レベルゲージガイドにしっかりとささった状態のままで、オイル温度のセンシングが可能になるというわけです。

図3の一番右側の画像は、オイルレベルゲージ(中央部)の拡大図です。MT用オイルレベルゲージの中央部には、赤い樹脂製のガイドが溶着されていますので、このガイド部分にも直径約Φ2.0mmの貫通穴をあけて温度センサーの先端部を通します。こうすることで、センサーとゲージとの一体感を増し、走行中の 「ぶれ」 を防ぎます。
 

5.センサーのゲージへの固定はしっかりと
 

図5は、レベルゲージに沿ってセンサーを貫通させた状態です。温度センサーの先端が、レベルゲージの先端と一致するよう、長さを良くそろえてから針金やタイラップなどで固定するのがポイントです。もしもセンサーの先端がゲージからはみ出るようだと、デフギヤ (ドラピン&クラウン) に干渉する恐れがありますので要注意です。というより干渉します・・・。

【図5】 センサーの固定は、場所に応じて針金やタイラップを使い分けると良い。
センサーをガイドに沿わせた状態
素線をこのように這わせる(取っ手部分)ガイドとセンサーの先端部分を合わせるレベルゲージwith温度センサー(熱電対)

センサーの取手部分など、直接オイルがかからない部分は、このようにタイラップなどでセンサーの配線をレベルゲージに固定するのが良いでしょう。他方、レベルゲージの先端には油面高さを確認するための目盛りと、油量を確認するための「HIGH〜LOW」に相当する打ち抜き穴がすでにあります。そこで、この穴を利用して針金でセンサーを固定( 共締め )します。その際、ゲージ本来の機能(目盛り)を生かすよう、ゲージの目盛りが刻印されていない側にセンサーを固定する(じゃまにならないようにする)のがポイントです。ここまで出来たら、7割がたは完成したと言っても良いでしょう(残りの3割は、配線引き込み作業です)。
 

3.エンジンルーム内の配線は、たるませる
 

今度は配線を車内に引き込む作業です。もしかすると、これが一番きつい作業かも・・・? ブレーキブースターの左上、ブレーキフルードキャップの右下にあるトーボードのグロメットから配線を引き込みます。車内では、ちょうどクラッチペダル根本の上方につながります。図6のいちばん左の画像は、料理用菜ばしを利用して配線を引き込んでいる様子です。

ここで注意点がひとつあります。常にオイルレベルを確認できるよう、エンジンルーム内では レベルゲージ近傍でセンサー配線を、ワザとゆるやかに束ねるようにします。そうしないと配線がピンと張ってしまい、レベルゲージを引き抜こうとしても取り出せなくなってしまうのです。この点が通常の配線引き込み作業とは異なる点です。                                 

さて表示ユニットの設置場所ですが、今回は暫定的にインパネのメーターナセル内に設置することにしました。そこで、メータークラスターのカバーを取り外します。カバーは、上方に2ヶ所、左右の下方に2ヶ所、の合計4ヶ所の 「+ねじ」 をゆるめると簡単に外れますので、 このスキマを利用して(下方向→上方向へと)見えないように配線を通します。次は電源の供給です。油温計を駆動させるために、背面の基盤にDC12Vを与えるわけですが、結局今回はシガーライターソケットから電源を分岐させて供給させることにしました。油温計そのものの増設による消費電力のアップ分は高々90mAなので、容量的に問題が無いはずです (ちなみに私はタバコを吸わないので、灰皿関係の部品は不要でもあります)。今度は配線を車内に引き込む作業です。もしかすると、これが一番きつい作業かも・・・?

【図6】 トーボードのグロメットから配線を室内に引き込む。右端は設置例。
素線の引き込みはグロメットから配線はゆったりとまとめるインパネのフードを外して素線を這わせるインパネに仮設置した状態

すべての配線 ( といっても、センサー系と電源系の4本だけ ) を結線したあとは、作動チェックです。最終的には、インパネの視野をさえぎらないよう取り付け位置の微調整&再確認をすれば、一通りの作業が完成したことになります。現在はMT油温計(フロントデフギヤ油温計)だけなので、こんな感じになります。近いうちに、エンジン油温計も同様にして設置する予定なので、そのときは専用の追加メーターBOXを自作して他の場所に移設するつもりです (ブースト計、エンジン油圧計、エンジン油温計、MT油温計、の4連メーターを作りたい)。

デジタル式なので、夜間でも温度が瞬時に分かります。現在はスバル純正のギヤオイル75W-90を入れています。冬場は暖まりにくく、さめにくいのがよく分かるようになりました。しばらく経ってデータが増えた段階で、またレポートしたいと思います。
 

 
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