『キャンピング自動車の構造要件/自技第258号 平成7.12.28』
特種用途自動車等の車体形状であるキャンピング自動車は、
次の各号に掲げる構造上の要件を満足するものとする。
1 車室(隔壁による外気と遮断された乗車空間をいい、車両の停止時に車体の一部
を拡大することによって車室を拡張することのできるものにあっては、車体を床面
とするものに限り該当部分を含むものとする。以下同じ。)内に居住することが
できるものであり、次の各号に掲げる要件を満足する就寝装備を有すること。
(1) 就寝設備の構造及び寸法 |
@
就寝部位の上面部は水平かつ平らである等、人が十分に就寝できる構造であること。
A
就寝部位は1人につき長さ1.8m、幅0.5m以上の連続した平面を有すること。
B
1人当たりの就寝部位ごとに、就寝部位の上面部から上方に0.5m以上の空間
を有すること。ただし、就寝部位の一方の短辺より就寝部位の長手方向に対し、
0.9mの範囲までにあっては就寝するために必要な空間があればよい。 |
(2) 就寝設備の固定 |
@
就寝設備は走行中の振動等により移動することがないよう車体に確実に固定されていること。
A
就寝装置を格納できる構造のものは、格納した状態で走行中の振動等により移動することが
ないよう確実に収納できること。 |
(3) 就寝設備の座席兼用 |
@
座席が就寝設備になることを前提に設計されている場合又は座席上にマットを載せる等に
より平面を作り就寝設備とする場合に限り、就寝設備と座席を兼用することができる。
ただし、運転者席(運転者席と並列にある座席を含む。以下同じ。)は、(3)Aの場合を除き
就寝設備と兼用することはできない。
A
運転者席と就寝設備を兼用する場合は、運転者席と兼用する就寝設備を就寝設備にした
状態で走行することのできない構造の自動車でなければならない。
B
(3)@の場合を除き座席が平らになることをもって就寝設備としてはならない。 |
(4) 就寝設備の定員 |
乗車定員の3分の1以上の人が就寝することができる就寝設備を有すること(端数は切り上げる
こととする。)。ただし、乗車定員2人又は3人の自動車にあっては2人以上の就寝設備を有すること。 |
(5) 子供用就寝設備 |
(1)、(2)、(3)及び(4)の規定により就寝設備が2人分以上備えられている場合は、(1)、(2)
及び(3)の規定は子供用就寝設備について準用し、子供用就寝設備2人分をもって、就寝設備
1人分とすることができる。この場合において、(1)Aの規定中の「1.8m」とあるのは「1.5m」
と、「0.5m」とあるのは「0.4m」と、(1)Bの規定中の「0.5m」とあるのは「0.4m」と、「0.9
m」とあるのは「0.8m」と読み替える。 |
2 車室内に次の各号に掲げる要件を満足する水道設備及び炊事設備
を有し、車室内において該当設備を利用できるものであること。
(1) 水道設備 |
水道設備とは、次の各号に掲げる要件を満足するものをいう。
@
10L以上の水を貯蔵できるタンク及び洗面台等(水をためることのできる設備をいう。
以下同じ。)を備え、洗面台等にタンクより水を供給できる構造機能を有していること。
A 10L以上の排水を貯蔵できるタンクを有していること。
B 容易に使用することのできる位置にあること。 |
(2) 炊事設備 |
炊事設備とは、次の各号に掲げる要件を満足するものをいう。
@ 調理台など調理に使用する場所で0.3m以上×0.2m以上の平面を有すること。
A
こんろ等により炊事を行うために必要な熱量を得ることができること。
B
火気等熱量を発生する付近は、発生した熱量により火災を生じない等十分な耐火
性を有し、窓、換気扇等により必要な換気が行えること。
C
LPガス等の燃料を使用し、LPガス容器等の常設の燃料タンクを備えるものに
あっては、燃料タンクの設置場所は室内と隔壁で仕切られ、かつ、車外との通気
が充分確保されていること。
D
Cの燃料タンクについては、衝突等により衝撃に受けた場合に、損傷を受ける
おそれの少ない場所に取り付けられていること。
E
こんろ等に燃料を供給するための燃料配管は振動等により損傷を生じないよう確実に
取り付けられ、損傷を受けるおそれのある部分は適当なおおいで保護されていること。
F 容易に使用することのできる位置にあること。 |
(3) 水道設備及び炊事設備の固定 |
水道設備及び炊事設備は、走行中の振動等により移動することがないよう車体にボルト等により
確実に固定されていること。ただし、水道設備及び炊事設備の設置場所が他の部位と明確に区別
できる等専用の設置個所を有するものについては、取り外すことができる構造のものでもよい。 |
3.運転者席を最大限利用した状態で運転者席の背あての後縁(背あての角度は
設計標準位置とする。)から前方にある範囲を除く車室の面積のうち、就寝設備、
水道設備及び炊飯設備並びにそれらの施設を使用するために必要な場所の占
める面積(座席及び物品積載設備の占める面積を除く。ただし、1(3)の規定に
より座席と就寝設備を兼用するものにあっては、該当就寝設備の占める面積の
半分を除くものとする。)の合計が2分の1以上あること。
(※上記は、平成18年10月1日から施行される新・構造要件ではありません。)
以上が条文です。これは平成8年4月1日からの発効ですが、それ以前に「キャンピング自動車」として車両番号の指定を受けたことのある自動車に対しては、従前の例によることができる、となっています。雑誌などで「以前よりもキャンピングカーの取得が難しくなった」と書かれることがありますが、それはこの通達の試行により、車両として満たすべき構造要件が従来のものよりも細かく規定されたことをさして言っているのです。この中で注意すべき点はやはり「就寝部位は1人につき長さ1.8m、幅0.5m以上の連続した平面を有すること。」「就寝部位の上面部から上方に0.5m以上の空間を有すること。」「乗車定員の3分の1以上の人が就寝することができる就寝設備を有すること」でしょうか。
レガシィの場合、大人2人分の就寝スペースを確保しなければなりません。実際に私(KAZ)がBGレガシィで荷室寸法を実測してみた限りでは、幅と長さ方向はギリギリ取れますが、高さ方向は超タイト(ギリギリ!)です。ベッドの板厚や設置方法に余裕が取れないため、BGレガシィで構造要件を満たすためには、詳細は省きますが少々トリッキーな技が必要かも知れません。
その他、コンロとかシンクとかを設置する必要がありますが、はっきり言ってコンロはカセットコンロ(ディスカウントストアで2000〜4000円くらい)でも足りますし、給水タンクは電動ポンプである必要も無く、タンクを横に立てて「自然落下式」の給水方式で使用しても充分OKです。トヨタハイエースなどの1BOXキャンパーでも、自然落下式を採ることは多いです。その他ネックとなるのは、やはりそれらの設備の固定(あるいは収納)方法でしょうか。ベッドの敷き板は分割(2〜4分割)して収納すればOKですが、さすがに給排10リッタータンク×2個を、面積要件を満たすように設置された調理台と共に固定させておくのは、荷室の実用上ちょっと苦しそうです。
結論としては、寸法上はレガシィでもキャンピングカー登録が出来ないということはなさそうです。実際に、そのような登録を請け負うショップもありますから。しかし、(本来はあってはならないことですが)各都道府県の陸運支局によって審査の厳しさが・・・違うという指摘を耳にすることもありますので、現実的には微妙なところかも知れません。
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