超不定期更新コラム

2/26 飲み頃って難しい…

「やまいち」のセールで頼んでいた、ブルゴーニュの村名もの5本が到着しました。価格帯は3000円〜4000円クラスのものばかりで、デイリーというにはやや贅沢だけど、長年寝かせておくほどセラーにゆとりもない。ということで、まあ一年以内くらいに飲もうと思っています。

さて、なにから飲もうかと考えたときに、はたと迷いました。
ここで買ったワインを列記してみましょう。

・ジュブレイシャンベルタン・クロ・プリュール96(J・ロティ)
・モレ・サン・ドニ96(デュジャック) 
・シャンボール・ミュジニー97(A・F・グロ) 
・シャンボールミュジニー97(ジョルジュ・ルーミエ)
・コート・ド・ニュイ・ヴィラージュ97(ジャイエ・ジル)  

そう、96と97が入り交じってますが、これが問題です。96はブルゴーニュでは非常に良好な年と言われており、村名ものといえども、まだ早いかもしれない。一方97は酸度が低く、早くから飲める一方、長期熟成には向かないと言われているビンテージ。じゃあ、97から飲めばいいじゃないかと思いますが、97は、ボルドーものをいくつか飲んで、現時点では明らかにまだ早かったイメージがある…
ビンテージだけでなくおそらく作り手によっても長期熟成に向く作り手と早くから飲める作り手がいるはずで、こうなるともう経験による判断しかないのかな、と思います。

まあ、順当に行けば、
A・Fグロ→ジャイエ・ジル→デュジャック→ルーミエorJ・ロティ
というところでしょうか。

さて、今度は最近買ったりもらったりしたボルドー5本。
・Ch.バタイエ96
・Ch.ポンテカネ92
・Ch.ラ・クロワ・デュカス94
・Ch.ムーラン・サンジュルジュ96
・Ch.オーカルル97

こちらは比較的容易に推測できます。ポンテカネ92はきっとちょうど飲み頃となっているに違いない。クロワ・デュカス94も、もう少し寝かしてもいいけど、メルロー主体ということもあって、今飲んでもおいしく飲めるでしょう。問題は残りの3本ですが、オーカルルは夏くらいまで待って飲めばそろそろ美味しくいただけるのでは。96年の2本は長くとっておいてもいいし、秋以降に開けてもいいかもしれない。 …なんて読みなんですが、実際には来客があったりすると予定外で開けてしまうんですよね。

それにしても、飲み頃って難しいなあと最近よく思います。
今まで挙げたクラスならまあ飲み頃をはずしたと思っても「ちょっとハズしたなあ」ですみますが、一本ウン万円もするようなグランヴァンになるとそうはいかない。「きょうからちょっとワイン通」の著者の山田健氏もその著書の中で書いているように、熟成タイプのワインには、若い果実味が薄れてゆく一方で、熟成した香りや味わいはま形成されていない、いわゆる「閉じている時期」があります。
彼はそれを「さなぎの季節」と呼んでいますが、特に良いビンテージになると、その「さなぎ」の時期が長いこともあります。私が昨年経験した80年代ラトゥールの垂直試飲などはまさにそのよい例だったと思いますし、年末に飲んだDRCの94エシュゾーなどもそうだったのでしょう。我が家のワインでも「94リシュブール(DRC)」とか「90ムートン」とか、「86ラトゥール」のようないったいいつ開けようか悩ましいボトルがいくつかあります。
かと思うと、あまり評価の高くないオフビンテージのほうが飲み頃を早く迎えた結果、つい先日のラトゥール92とか、87ムートンのように、すばらしい味わいになっていることもありますし。

まあ、こうした飲み頃を推し量る楽しみとか、実際に開けたときにそれが正しかったかどうかが証明されるスリリングさも赤ワインのスノビッシュな楽しみだと言ってしまえばそれまでですけど、ね。