2006年11月

日時 2006/11/27
銘柄 ジュブレイシャンベルタンV・V98(ベルナール・デュガ・ピ)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 小田急ハルク
感想 う〜ん。いいところまで行ってるんですが、最後の最後で調味料をひとふり多く入れてしまって、すべて台無しにしてしまったという感じの香りです。黒い果実や土、アジアンスパイスなど、複雑な構成要素の中に、残念ながら厩系のニュアンスが入ってしまっています。香りを構成する成分の中には、希釈すると良い香りと感じられるけれども、濃縮すると糞尿系の臭いとなる、そんな物もあるようです。そうした極めて繊細な香りの世界のバランスに、どこかでわずかばかりの狂いが生じてしまったのでしょう。それを除けば、味わいは果実に力強さがあり、といって一本調子でもなく、豊かで熟したタンニンとあいまって、村名とは思えないほどスケールの大きな見事な味わいだったんですが。ちなみにこのボトルは、リリース直後に小田急ハルクのセールで購入して、その後ずっと寺田倉庫で寝かせておいたもので、インポーターはラックです。しかしこの時期のラックは宝酒造に買収される直前で、品質管理面であまり芳しい評判を聞かなかった時期でもありました。まあ、そのことと今回のボトルの状態とどの程度関連性があるのか、知る由もありませんが‥。
【末吉】
日時 2006/11/23
銘柄 コルトンシャルルマーニュ96(J・ドルーアン)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 ファインワインクラブ(当時)
価格 10K弱だったかと‥。
感想 パカレに続く「ヤバめのワイン検証シリーズ」(^^;。96年の白が急激に落ち始めているということは、もはや既成事実化しているようですが、我が家にも 96年の白が数本まだ残っています。先日開けたジャドのピュリニー・モンラッシェ・ルフィールは、かなり熟成が進んだ印象こそあったものの、それ自体は美味しくいただけました。今回開けるドルーアンのCCはどうでしょうか?
この ボトルは国内初のワイン通販専業サイトだったファインワインクラブ(当時)のセールで購入し、その後長く寺田倉庫に預けてあったものです。抜栓してみると、長く上質なコルクに中ぐらいまで染みてきており、グラスに注ぐと、思いのほか麦わら色がかった色調に驚かされます。やはり熟成が進んでしまっているのか。ところが香りを嗅いでみると実にすばらしいモカ、ヘーゼルナッツなどの熟成香が鼻腔を心地よく刺激します。口に含むとまさに熟成のピークにあるといってよく、酸と果実が渾然一体となったクリーミーな味わいです。
‥とまあ、ボトル単体では、文句のつけようのないほどすばらしいものでしたが、「熟成が進みすぎている」というのはたしかにそうかもしれません。10年経っているわけですから、ある程度熟成感が出るのは当然のことなんですけど、オフビンならともかく、長熟タイプのグレートビンテージのように言われていた96年がこれだけ古酒っぽくなっているというのは、やや想定外というべきでしょう。
作り手にもよりますが、下手をすれば、村名クラスの多くはおそらくすでにピークを越えているかもしれないし、モンラッシェ系の一握りのグランクリュや超一流のムルソー以外は、これ以上寝かせずに飲んでしまったほうがいいのではないかという気もしてきます。まあ作り手次第の部分はあると思いますが‥。
逆に言うと、96ビンテージのそこそこのランクの白は、今回のボトルのように、熟成の絶頂のすばらしい味わいを満喫できる可能性があるという、前向きな捕らえ方もできますがね。。
【大吉】←中吉にしようか迷いましたが、翌日もほとんど落ちずに美味しくいただけたので、大吉としました。(^-^)
日時 2006/11/21
銘柄 プティ グランポレール 山梨甲州辛口・穂坂収穫 2004
(サッポロワイン)   
産地 日本>山梨
購入店 飛騨の酒屋いまい
価格 1585円
感想 なんだかんだでこのところワイン飲んでるなあ、と思います。ほぼ二日に一本のペースですと、ひと月にすれば15本。せっかく飲むワインのプライスレンジを落としても、本数が増えたのでは元の木阿弥という話もありますが‥。(^^;
さて、この日開けたのは、 ジャパンワインチャレンジで銀賞獲得のサッポロ・プティ・グランポレール。結論から先に書くと、わたし的には、今まで飲んだ甲州種の中でも、丸藤さんのルバイヤート、フジッコワイナリーのフジクレールと並んでトップランクに列せられる出来でした。色調は薄めのイエロー。洋ナシやミネラルなどの控えめで上品な香り。口に含むと、爽やかな中にもコクがあり、この品種としてはしっかりしたグリップを感じるのがイイですね。幅広くいろいろな和食系の料理に合いそうな、実にバランスのよいワインだと思います。1585円というプライスを考えれば、評価はさらに高まるでしょう。ラベルも格好イイです。
【中吉】
日時 2006/11/19
銘柄 甲州きいろ香2005(メルシャン勝沼ワイナリー)
産地 日本>山梨
購入店 飛騨の酒屋いまい
価格 2415円
感想 香りに乏しいといわれてきた甲州種の中からソーヴィニヨンブランと同じ香味成分を発見し、ボルドー大学の協力を得て、収穫時期や酵母の選択などの調整により、柑橘系の豊かな香りを実現したのがこの「甲州きいろ香」だそうです。
具体的には、SBと同様の香味成分が最大になる時期に合わせるため、収穫時期を早め、SBの醸造で実績のある酵母を使用したとか。飲んでみると、香りの豊かさもさることながら、フレッシュでみずみずしい酸が印象的です。なお、私が飲んだボトルでは、柑橘系やハーブなどの若々しい香りよりは、いわゆる「ネコのおしっこ」的なやや熟成の入った香りが目立ちましたが、この酒屋さん、前回の「グリ・ド・グリ」のこともあり、保存がきちんとされているのか、若干不安を感じないでもありません。まあいずれにせよ、アルコール度も12度とほどほどで、中盤の空虚な感じもなく、よく仕立て上げられてるなあと感心します。今回は「きいろ香」の評判に敬意を表して、リーデルのOグラスでなく、エクストリームシリーズの仰々しいリースリンググラスで飲んでみましたが、腰砕けになることもなく、特に低めの温度ではシャープな酸とあいまってとてもよい感じになりました。やや毛色は異なりますが、間違いなく、日本の甲州種を代表する銘柄のひとつといってよいでしょうし、シュールリーのケースと同様、今後こうした作りが広がっていくのでしょうね。
【中吉】
日時 2006/11/18
銘柄 ポマール99(ブシャール・ペル・エ・フィス)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 TODA
感想 ブシャールのポマールといいますと、ふだん自ら探して買おうと思うほど食指の動く銘柄ではありませんが、別のボトルを購入した際、たまたまセールで安く出ていたので購入したものです。とはいえ、個人的には、近年のブシャールは総じてレベルが高いと思ってますので、きっと悪くないチョイスではなかろうかと。
色調は濃いめのルビーで、エッジはかすかにオレンジが入っています。香りはダークベリー系の果実やスパイス、ダージリン、それにお香や漆喰のようなニュアンスがあります。味わいは酒質に力があり、特にタンニンがまだ硬く感じますが、時間をかけて飲むと、だんだんバランスよく、飲みやすくなってきます。とはいえ、現時点では、ピノノワールらしい華やかさにやや乏しいのも事実で、同銘柄をお持ちの方は、もう1〜2年の辛抱が必要かと思われます。
【小吉】
翌日:香りは衰えましたが、味わいは初日よりこなれてより飲みやすくなりました。
日時 2006/11/17
銘柄 取引先の方に連れられて、渋谷のちょっと隠れ家的な場所にあるワインバー「Liar」へ。
オーナーソムリエのご夫妻がやっているお店で、ワイン会やワイン教室も定期的に開催しているようです。ワインの所蔵本数は3000本。半円形のカウンターの奥にはひと部屋分の立派なワインセラーがあります。この日はコースの料理とともにグラスでいろいろいただきました。
まずはボジョレー解禁翌日ということで‥

ボジョレー・ヌーボー2006(ドメーヌ・シャサーニュ)
ビオディナミの作り手によるヌーボー。店主曰く、「漬物臭が目立つかも‥」とのことでしたが、抜栓二日目ということもあってか、イヤな臭いは全くなく、ヌーボーとは思えないようなしっかりしたボディが印象的でした。

ボジョレー・プリムール2006(ルロワ)
ヌーボーといえども手抜きをしないところは、さすがルロワ。。ちゃんとルロワの味がします。赤い鮮烈な果実中心の味わいながら、酸も伸びやかで、ボディもそれなりにあり、食事もこれ1本で通せてしまいそうです。

この日は、このあともグラスで通しました。いただいたのは以下のような銘柄。

デグニャーノ・ディ・バルビロッソ・ウンブリアイル95
サンジョベーゼとモンテプルチアーノ主体のIGT。ビンテージほど熟成感は感じず、しっかりしたサンジョベの味でした。状態もよし。

レコンフィールド・カベルネソーヴィニヨン2003
見かけないオーストラリアはクナワラ地区のワイナリー。まさに典型的。面白いかといわれるとあまり面白くはありませんが、優等生的な、非のうちどころのないカベルネの味わいです。

 

ウッドワード・キャニオン・リースリング2004
ワシントン州の作り手のようですね。これは実にしっかりしたリースリング。アルコール度もかなり高いと思うのですが、しっかりと酸もあり、スズキのポワレによく合いました。

ペンカロウ・マーティンボロ ピノ・ノアール - パリサー・エステート
。アルコール度高めで、目鼻だちのくっきりしたピノノワール。ピュアな果実感がよいです。ただ、美味しく飲むには多少時間が必要かも。

なかなか個性的なボトルたちを開けていただきましたが、ご主人も奥様も、決して知識や経験をひけらかそうとしないところは好感が持てました。
ちなみにここから三軒茶屋の我が家へは、タクシーで1000円という近距離。これからも利用させていただこうと思います。

日時 2006/11/14
銘柄 甲州・グリ・ド・グリ2004(メルシャン勝沼ワイナリー)
産地 日本>山梨
購入店 飛騨の酒屋いまい
価格 2415円
感想 引き続き国産ワインブームの我が家ですが、前回のワイナリー訪問で買い込んだボトルたちがそろそろ底をついてきたので、表記のショップで、5本ほどまとめ買いしてみました。といってもすべて国産の2K内外のワインたちなので、総額はブルのグランクリュ1本分ぐらいで済みました。
さて、この銘柄、 果皮をつけこんで甲州の味わいをじっくり引き出したとのことで、グラスに注ぐと、確かに甲州にしては非常に濃い色調です。しかし、香りがしないのです。閉じている、とか言うのではなく、まったく香りが立ち上ってこない。口に含むと、水っぽく、果実味にフレッシュ感がない上に、苦味が相当に強く、やや酸化したかのような色合いといい、なんだか抜栓後1週間ぐらい経過した白ワインを飲んでいるような錯覚に陥ります。う〜ん、これはボトルのコンディションに問題があるよな気もしますが、どうなんでしょうか。いや、きっとそうなのでしょう。そうに違いない。でなければ、正直このワインが市場で流通していることも、このワインを褒める方がいることも理解できません。もう1本買って判断したいところですが、私にはもう1本買う勇気がありません。どなたかこの銘柄を飲んだ方がいらっしゃったら、感想をお知らせいただきたく。
【大凶】
日時 2006/11/12
銘柄 Ch.ラネッサン98
産地 仏>ボルドー
購入店 いただきもの
感想 会社の同僚がお中元でいただいたものを、「おれはワインは飲まないから‥」ということで、ちゃっかしいただいてしまいました。無粋を承知で値段を調べてみたのですが、この銘柄って、93、97、99あたりがずいぶん安く出てるんですね。97なんて2000円ぐらいです。 98年は楽天では見かけませんでしたが、2千円台半ばぐらいのプライスならば、お買い得感は強いと思いました。 濃いめのガーネットで、エッジはオレンジ。ややトーンが高めの香りはカシスやダークベリー、丁子、甘草、朽木、オガクズなど、ボルドーらしいものです。味わいは、アルコール度が12.6%ということもあってやや軽さがつきまといますが、伸びやかな酸と食欲をそそる適度な渋みは、ボルドーらしいものです。熟成具合もほどよく、今まさに飲み頃になっています。大きな感動はありませんが、着実な満足を得られるボトル。最近もっぱら国産ワイン贔屓になっている私ですが、こういう銘柄を飲んでしまうと、CP面でのフランスの優位は動かないと思ってしまいますね。
【小吉】
日時 2006/11/10
銘柄 勝沼甲州樽発酵2004(勝沼醸造)
産地 日本>山梨
購入店 ワインの丘
価格 3200円
感想 税込み3200円と、価格は甲州種のワインとしてはアッパーエンド級です。果汁を冷凍濃縮し、フレンチークで6ヶ月発酵熟成とのこと。色調は甲州としてはやや濃いめのイエロー。香りはかなりオークが目立ちますが、それとともに洋ナシや白桃などの果実香、吟醸香など。味わいもかなりオーキー。ただ、シャルドネのようにそれを受け止める果実味に厚みのない甲州種の場合、相対的に果実のフラット感と水っぽさが目立ってしまうような気がします。シュールリー製法によるフレッシュ志向の甲州には諸手を挙げて応援したくなる私ですが、樽熟ものに対しては、その目指すべき方向やあわせる食事など、若干の疑問を感じないでもありません。まあ、プライスが3K台ということで、目線もシビアになっているのかもしれませんが。【末吉】
<2日目&3日>冷蔵庫でキンキンに冷えたものを飲んだら、なかなかイケました。初日はちょっと供出温度が高すぎたんでしょうね。3K 台で樽熟といわれると、反射神経的に12〜4度の温度にしたくなってしまいますが、8〜10度ぐらいで飲んだ方が美味しくいただける感じです。ついでに翌日以降の方が樽の突出感もなくなって、総じて好印象でした。
日時 2006/11/8
銘柄 Ch.ラトゥール94
産地 仏>ボルドー
購入店 シンガポールにて。
価格 20K程度
感想 食通の方の接待を仰せつかって、白金の「ラシェットブランシュ」へ。接待費節約の意味もあって、手持ちのワインを持ち込みました。 このラトゥールは、ボルドー高かりし頃、シンガポールに旅行した際にオーチャード通り沿いのショップで購入してきたものです。日本より暑いシンガポールでワインを購入するというのは、どうみてもセオリーから外れますが、当時は94ラトゥールといえども国内では4万円ぐらいしたので、20Kほどの現地プライスに惹かれて土産に買ってきたのでした。 まあそういうことなので、ある程度、熱を浴びているのは覚悟していましたが、抜栓してみると、コルクは全然上のほうに染みてきておらず、思いのほか綺麗でした。そして何より安心したのは、グラスに注いだ瞬間、辺りにパァッと芳香が広がったことです。 色調は濃いガーネットで、エッジはかなりはっきりとオレンジが見て取れます。グラスに鼻を近づけると、シロップに漬けこんだブラックベリーやカシス、八角、甘草などのスパイス、黒土、皮革などのすばらしい香り。味わいは分厚い果実味をしっかりした酸と思いのほかこなれたタンニンが支える、堂々としたものです。94年の左岸ということで、まだまだタニックかなと想像していましたが、そのようなこともなく、エッジの丸い球体のような味わいはメインの鹿料理に実によくマッチしました。 こういうボトルを飲んでしまうと、やっぱり10年以上に亘って寝かせる記念の年のワインはボルドーがふさわしいのかなぁ、と思ってしまいますね。写真をとり損ねたのが唯一心残りではありますが、久々に大満足のワインでした。
【大吉】
日時 2006/11/5
銘柄 ジュブレイシャンベルタン2002(フィリップ・パカレ)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 湘南ワインセラー
感想 パカレの02年は、すでに落ち始めている、というレビューを ネット上で拝見して、こりゃマズイと思って寺田倉庫から引き取ってきたものです。 02年は3本購入しまして、リリース直後に飲んだポマールの印象は こんな感じでした。 この時点でもっと寝かせるリスク?を察知しておけばよかったのかもしれません。
‥ということで。
濃厚なワインばかり見慣れた目からすると、かなり淡いなあと思わせる ルビーの色調。エッジの部分などはかなりはかなげです。 香りはしんみりとした中から、ラズベリーやカシス、ダージリン、 かつおだし、 マツタケ などのニュアンス。 それ自体は良い香りなんですが、いかんせん、芳香力が弱すぎる。 閉じているわけではなく、下り坂に向かっているワインにありがちな、あまりに頼りなげな香りに戸惑いを覚えます。 口に含むと、 この作り手らしく雑味のない、ピュアな果実感があって、 それなりに美味しく飲めますが、 酒質にみなぎるような 力を見出すことはできず、 口中に旨みが広がるわけでもなく、寝かせすぎてしまった安ワインなどによく感じる、ややダルな構造にますます戸惑いを覚えます。 贔屓目に見ても、 これ以上熟成 して向上してゆく 要素は感じられませんし、 この分ですと、5年後にはすっかり古酒と化しているのではないかと思ってしまいます。 これはどう解釈したらいいんですかねぇ? リリース直後の時点ですでに美味しく飲めた パカレですが、結局そのときがピークだったと いうことなんでしょうか。 同じような作り手であっても、たとえばプリューレ・ロックなどは96、97あたりがそれなりに 綺麗に熟成した ボトルを何度も口にしているのですが。なお、当サイトでは、今後、高価な市場価格に敬意を表して(笑)、『フィリップ・ヘタレ』と命名させていただきます。
【凶に近い末吉】
翌日:香りはさらに弱まり、漬物臭がかなり目立ちますが、味わいは旨みが乗ってきて、初日より濃厚に感じました。もっとも、その理由は、時間が経過して向上したというよりは、ボトルの底の方だったから、というのが正解かもしれませんが。 いずれにしても、長く寝かせるワインでないことは確認できました。残り1本もとっとと飲むことにします。
日時 2006/11/3
銘柄 七俵地畑収穫カベルネソーヴィニヨン2004
(山梨ワイン醸造)
産地 日本>山梨
購入店 虎屋リカー
価格 3650円
感想 9月の2度にわたる「勝沼遠征」で、丸藤さんの「ドメーヌルバイヤート」とともに、個人的にもっとも気に入った赤がこれです。 色調は濃いめのルビーで、エッジはかなり和らいで綺麗なグラデーションを描いています。香りがいいですね。火を通したブラックベリーやカシス、インク、杉、スパイス、チョコレート。ピーマン系の青っぽい要素が感じられないあたり、さぞやきちんと選果をしているんだろうな、と想像されます。味わいは目の詰まった果実を繊細な酸とやや乾いた柔和なタンニンが支えて、今すでに飲みやすい状態になっています。構造に力強さがない分、若いカベルネにありがちな攻撃的なところがなく、少し熟成したボルドーを思わせるような柔らかいのみ口に、知らず知らずのうちに杯が進みます。 日本で作るカベルネって、こういうベクトルになるんでしょうかね〜?ボルドー左岸のような伸びやかな酸とか、最近の右岸のようなファットでよく肥えた感じとか、そうしたスケール感は求めるべくもありませんが、威圧的なところのない柔らかな飲み口は、それはそれでよろしいと思います。プライス的にもギリギリ許容できる範囲かなと。【小吉】
日時 2006/11/1
銘柄 サシカイア95(テヌータ・サングイード)
産地 イタリア>トスカーナ
購入店 信濃屋
価格 9980円(当時)
感想 下の子の幼稚園が無事上の子と同じところに決まったので、お祝いのワインを開けました。このサッシカイアは、98年に近所の『信濃屋』で購入したもの。輸入元はスマイル、9800円というプライスタグがラベルの裏側に残っています。同時期に購入したりいたいだりしたボトルはほとんど飲み干してしまったので、今となっては、我が家のストックの中で最も古いうちの1本です。秋口に常温環境下に置いたりしたこともあるので、若干心配しましたが、状態は大丈夫のようでした。 濃い目のガーネットの色調で、エッジはかなりはっきりとオレンジが見て取れます。カシス、ブラックベリー、杉の木、ビターチョコ、中国系スパイスに加えて、スーボワとまでいきませんが、黒土っぽい心地よい熟成香が出始めています。口に含むと、十分な果実の凝縮感もあり、明るい酸に裏打ちされた、角のとれたやわらかい味わいは、熟成したサンジュリアンを思わせるものがありますし、調和のとれたフィニッシュと長めの余韻は、さすが元祖スーパータスカンだけのことはありますね。(ちなみにサッシカイアは、94年にDOCに「昇格」。)90年代後半に良年が続いたこともあって、やや影の薄い95年のトスカーナですが、こうして10年経過したボトルを飲んでみると、今とても良い状態になっていることを再認識しました。それに相変わらずこのラベル、押し出しがあってこうしたお祝い用には最適ですね〜。
【中吉】