2006年10月

日時 2006/10/29
銘柄 シャンボールミュジニー2000(ルーミエ)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 失念。
価格 5800円
感想

ご存知ルーミエ信奉者の私ですが、必ずしも手放しで礼賛というわけではありません。今まで飲んだ中では、イマイチだなあと思うボトルもありましたし、年々値段が上がっていることを思えば、こちらの要求水準も高くならざるをえません。 そんな中、2000年の村名はどうかというと‥。どこで購入したか、記録を紛失してしまったのですが、価格はボトルにプライスシールが張ってあったのでわかりました。ちなみにインポーターはフィネスなので、たぶん購入店はあそこかあそこだと思いますが。(^^;
色調は中程度からやや濃いルビーで、エッジは和らいできています。香りはダークベリーやカシス、ダージリン、ミネラル、スパイス類に加えて、スーボワ系の熟成香がかなり入り始めており、2000年ってもうこんなに熟成モードに入っているんだぁと認識を改たにさせられます。ところが味わいの方がどうも今ひとつ。リリース初期のころのコンセントレーションはどこへやら、全体的に弛緩したような味わいに終始しており、果実味に旨み感があまり乗ってこないのも拍子抜けです。ビンテージの限界なんでしょうか。まあこの作り手の場合、結構ボトル差もあるので、このボトルだけでは判断はできないのですが‥。【吉】
‥と思ったら、なんとこのボトル、3日目になって俄然味わいに旨みが乗ってきました。さすがに香りはかなり落ちてしまっていたので、評価を上方修正するほどではありませんでしたが、セラーにある他の2000年のボトルたちは、もう少し寝かせてもいいのかなと思ったりしました。

日時 2006/10/26
仕事の接待で、オザミ系列の和食の店『銀座大野』へ。
洋風テイストをそこかしこにとりいれた繊細な懐石で、ややポーションが少なめかな、とも思いましたが、食べ終わるころには満腹になっていました。ワインは自然派を中心に揃えてあるようで、私の知らない作り手も結構リストに載っていました。ボトルの値段は相場に比べると決して高いとは思いませんが、もう少しロープライス帯も置いておいて欲しいところです。オザミ系のお店は、スペース的にやや窮屈感があるのと、サービス料10%かかるため、結果的に結構な出費になってしまうところが難点ですね。スペースはともかく、お勘定がもう少し安ければ頻繁に利用しようという気にもなる店なのですが‥。

ソミュール・レクロ2002(ギバルトー)
かなり濃いめのイエローの色調。黄桃、洋ナシ、マロン、黄色いなどのコッテリした香り。味わいも果実の凝縮感と口中での豊かなふくらみがあり、健康な果実から作られたことがわかります。酸はエッジが丸く上品ですが、もう少しビビッドさが欲しいところ。そのせいか、味わいがやや平板に感じるのと、コッテリしすぎていてデリカシーに欠けるのがちょっと。みなのグラスもあまり進んでいませんでした。決して悪くはなかったんですけどね。【吉】

モンテリー2002(オスピス・ド・ボーヌ)
お店のお奨め。誰が落札したのかとかエルヴァージュはどこが担当したのかとか知りたかったのですが、サービスの人はワインにあまり詳しくないらしく、質問しても要領を得ないため、詳しく聞きませんでした。(ちなみに私は老眼のため、ラベルを判読できませんでした(笑))
色調は健康的なルビーで、濃すぎるでもなく薄すぎるでもなく、ピノらしい色合いです。香りはチェリー、フランボワーズ、スミレ、ハーブなど、アロマチックなもの。味わいもやわらかな果実味を中心に小さいながらもバランスがとれていて、心地よいものです。2〜3年寝かせるとまた違った表情を見せそうですが、それほど熟成のポテンシャルを感じるわけでもないので、今飲んでしまうのもまた正解と思います。【小吉】

日時 2006/10/25
銘柄 シャトーメルシャン・甲州シュールリー2005
産地 日本>山梨
購入店 近所のディスカウント店
感想 翌日は仕事系の飲み会。その次の日から週末にかけて青森出張と、平日のまさに狭間のような晩です。普通なら禁酒日にするのですが、大きな仕事が一区切りついたこともあり、なにも飲まずに寝るのもサビシイということで、会社帰りに、近所のディスカウント酒ショップでこのメルシャンのスタンダードクラスの甲州を購入してきました。上位グレードには評判の『きいろ香』も控えているのですが、とりあえずベーシックなものから試してみようということで。色調は甲州らしい、白っぽく淡いイエロー。香りはグレープフルーツや洋ナシに加えて、いわゆる『ねこの小便』的なニュアンスが強く感じられます。う〜ん、まだ若いワインなんですが、ディスカウントストアものということで、保存環境がイマイチだったのでしょうか。味わいもフレッシュさを欠いてややフラットだったように思われます。例によって、和食に気軽に合わせられるのはよかったのですが、ちょっと本来のものではないかな、というボトルでした。後日あらためて『きいろ香』など試してみようと思います。【末吉】
日時 2006/10/23
銘柄 ヴォーヌロマネ・レ・ショーム2002(R・アルヌー)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 いとう
感想 久しぶりにそこそこ上級のブルゴーニュを開けました。アルヌーのヴォーヌロマネのラインアップでは、スショが味わいもお値段もダントツかと思いますが、このレ・ショームは値段はその6〜7掛けぐらいで、味わいは(個人的に)8掛けぐらいという印象がありまして、したがってなかなかハイCPの一本だと思っています。
02のアルヌーは結構買い込んだので、成長具合を調べる意味もあって開けてみました。 色調は相変わらず濃厚なルビーで、エッジはピンク色です。香りはカシスやダークベリー、スパイスなどに加えて、熟成を感じさせる毛皮や獣的な香りがまざりはじめています。ただ、この熟成香のニュアンス、この先、妖艶さというよりも、単にヒネて「クサイ」香りに陥っててしまいそうな、ちょっと嫌な雰囲気も感じます。 味わいは厚みのある甘い果実味が心地よく、リリース当初に比べるとずいぶん落ち着いてきた感じです。良年にふさわしく、タンニンはよく熟してなめらかであり、酸もきちんとあって、立体的な味わいを形成しています。相変わらず、モダンでよくできた安定感のあるブルゴーニュ。香りにちょっとイヤなニュアンスが出始めていたのが気になりますが、まあこれは個体差だと思っておきましょう。【小吉】
日時 2006/10/18
銘柄 プイイ・フュッセ・レ・クレイ2002(ダニエル・バロー)
産地 仏>ブルゴーニュ
価格 3500円
感想 クリームシチューにあわせて、久しぶりにシャルドネなぞ開けてみました。安旨の代表格として一時ネットを騒がせたダニエルバロー。最近はすっかり高くなりましたね〜。 やや黄緑がかった、元気な色調のレモンイエロー。香りは強烈。メモン、白桃、白い花、石灰、それにオークなどがバンバンと香ってきます。味わいもメリハリが利いており、力強く充実した果実味を、これまた強靭な酸が支えています。フィニッシュには時としてやや苦味が感じられますが、それを過ぎれば柑橘系の果実の余韻が尾を引きます。とにかくフレーバーの豊かな、健康的なシャルドネ。いつも元気で屈託がなく、みなから慕われるクラスの人気者の女の子って感じ。オジサンとしては、もう少し陰があるタイプの子に惹かれるのですが。【吉】
↑↓それにしても、ダニエル・バローよりルバイヤートに高評価をつけるようになるとは、我ながらずいぶん嗜好が以前とは変わったものだと思います。(^^;
日時 2006/10/16
銘柄 ルバイヤート甲州シュールリー2005(丸藤葡萄酒)
産地 日本>山梨
購入店 ぶどうの丘
価格 1660円
感想 今日の夕食はさんまの開きと煮物その他。こういう食事になると、ワインは最近、甲州以外考えられない私です。 セラーから選んだのは、先だって樽貯蔵のものを飲んだばかりのルバイヤート。ベーシックなシュール・リーの方はどうでしょうか。 先日買ったばかりのリーデルOタイプのグラス(コップ?)に注ぐと、甲州特有のごくははかなげなイエローの色調が見てとれます。香りは柑橘類やミネラルなど。口に含むと、強くはありませんが、爽やかな果実味と優しくビビッドな酸とのハーモニーにより、すっきりとした喉越しを味わえます。繰り返しになりますが、この手のワインはテイスティングでは決して高得点は獲得しないと思いますが、和食のお供の普段飲みにはとてもよいと思います。近々何本か追加発注するつもりです。【小吉】
日時 2006/10/15
銘柄 ブルゴーニュ・レ・ボン・バトン2002
(フィリップ・ルクレール)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 TODA
感想 以前「やまや」でワインをごそごそと買い漁っていた頃は、この作り手のものをよく飲んでいましたが、最近はすっかりご無沙汰です。ショップに行ったついでに買ってくる気にはなるんですが、ネットで進んで買おう、という気にならないという、私にとってはビミョーな位置付けの生産者だったりします。とはいうものの、この「レ・ボン・バトン」のCPの高さに異論をはさむつもりはありません。数年前、都内のとある老舗のバー(ワインバーでなく)に行ったら、そこのグラスワインの赤がこの銘柄で、なるほどよく吟味されているなあ、と感心したこともありました。
今回は、良年の誉れ高い02年がセールで2千円チョイのプライスで出ていたので、久しぶりに購入してみたのですが、いきなり抜栓時に面食らったのがコルクの状態です。カラカラに乾いていて、全く抜けないのです。2アクション式のオープナーを使っても、コルクをさした部分だけがボロボロと崩れて抜けてしまい、コルクの本体は瓶に貼りついたまま。こんなこと、初めてです。悪戦苦闘の末、2度途中から折りながらも、なんとかこの悲惨なコルクを抜くことができました。 そんな按配でしたから、ボトルの状態も心配したのでえすが、こちらはとりあえず大丈夫だったようです。ACブルとは思えない濃厚な色調のルビー。グラスを近づけると、毛皮や獣などのワイルドなトップノーズの奥から、ダークベリーや、スパイス、出がらし紅茶などの香りが湧いてきます。味わいは充実した果実味があり、さすが02年と思わせますが、その分、タンニンも地域名とは思えないほど頑強で、フィニッシュには口の中が乾いたような後味を残します。残念なのは、まるで自主規制でもしたのではないかと思ってしまうほど、余韻がないこと。タンニンの渋みだけを残して、あまりにあっけなく喉元を過ぎてしまうのが物足りないですねえ。まあ、出自がACブルなのですから、仕方ないといえば仕方ないのですが‥。 ちなみにこの銘柄、ジュブレイ村からの寄せ集めや格落ち主体かと思っていましたが、ネットの情報によると、、ジュヴレ・シャンベルタン村の畑のブドウではなく、シャンボール・ミュジニー村の東側、ヴジョの北側、ジリ・レ・シトー村の一般畑のブドウを使用しているとか。買って損したとは思いませんが、得したとも思えない、やっぱりビミョーなフィリップ・ルクレールでした。【吉】
日時 2006/10/12
銘柄 ルバイヤート甲州・樽貯蔵2004(丸藤葡萄酒)
産地 日本>山梨
購入店 ぶどうの丘
価格 2200円
感想

この日開けたのは、勝沼の中堅ドメーヌのリーダー的存在である丸藤葡萄酒さんの白です。私自身も、先だって、「盆略ワイン倶楽部」の盆さんのはらからいで、ここのワイナリーを見学させていただき、収穫さなかのご多忙な時期にも関わらず、ご当主の大村さんからいろいろ率直なお話を伺うことができまして、すっかりファンになりました。
甲州といえば、今まで数回続けてフレッシュなシュール・リーものの甲州を飲んできましたが、今回のボトルはで熟成させたものです。甲州というブドウは、強烈なキャラクターに欠ける分、作り方次第で、いろいろな側面を見せてくれるように思いますが、この樽熟成させたボトルも全く異なる味わいを見せてくれました。薄めながらも、樽熟させていないものよりはやや濃いと感じさせるイエローの色調。香りは柑橘、白桃、それに吟醸香のようなニュアンスや樽からのミルキーな香り。味わいは樽が利いていて、ボディがあり、樽不使用のものに比べて、芳醇でリッチな感じに仕上がっています。口の中に広がる含み香からして、良質な樽を使っているんだろうなあ、と思わせますし、今までが飲んできた樽熟させていない甲州があくまで控えめに料理をひきたてていたのに対して、このボトルの味わいは、自ら存在感を毅然と主張しているかのように感じます。ただ、もともとの酒質が、海外のシャルドネなどのような厚みのあるものでないため、飲み手によっては「厚化粧」という印象を受けるかもしれません。刺身や焼き魚、てんぷらなどには樽不使用の甲州のほうが合いそうですが、こちらは温度を低めにしてやれば、バターやマヨネーズを使った料理などによく合いそうです。3日後まで変わらず美味しく飲めたのも評価すべきポイントですね。
【小吉】

日時 2006/10/10
銘柄 モレ・サンドニ・キュベ・グリヴ2002(ポンソ)demi
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 銀座屋酒店
価格 2880円
感想 私がここまで飲んできたポンソの一連のハーフボトルについて、整理しますと、
〜銀座屋さんのメルマガで購入。
〜6月18日に開けたところ、すばらしい味わいで【中吉】を進呈。
〜味をしめて、同じ銘柄を01×1本、02×2本買い増し。
〜7月21日に01年を開けてみましたが、残念ながら、02のようにはいかず、ビンテージのポテンシャル差が露呈された格好になった。ただし、状態面の問題は見られなかった。【吉】
〜続いて9月24日に開けた02のボトルは、なぜか香りが死んでいた。(【凶】)

ということで、最後のボトルを検証の意味も兼ねて、早々とあけることにしました。 色調は例によって、グラスの底が透けて見える、ほどほどの濃さのルビー。グラスを顔に近づけて、まずはひと安心。すばらしい香りです。カシス、ラズベリー、紅茶、アジアンスパイス、皮革。前回のトラウマがあるのかもしれませんが、ブルンブルンとスワリングするとたちまちバランスを崩してしまいそうな、デリケートな香りでもあります。味わいはこのドメーヌの良い面が出た格好で、色調からは想像できないような旨みが口の中で広がります。酸はしっかりしていますが、果実が充実しているため、01年のような酸っぱい感じにはならず、果実と酸の絶妙なバランスによる甘酸っぱい味わいが素敵です。いやあ、これは美味いですね〜。エメンタールの熟成モノをつまみにチビチビ飲みましたが、この味わいなら、6月に飲んだときと同様、ハーフで3000円近い価格も納得のひとことです。とはいえ、私の事例のように、全く同じ銘柄を同じ経路で購入しても3本に1本香りが死んでいるとなると、ちょっと追加で購入することは躊躇してしまうのですが‥。 【中吉】
日時 2006/10/7
銘柄 ジュブレイシャンベルタン2002(ラ・ジブリオット)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 パリ16区
価格 4本1万円
感想 クロード・デュガの息子たちが経営することで知られている新鋭ネゴシアン、ジブリオット。ファーストリリースの02年の村名シャンベルタンが4本1万円の格安のセールで出ていたので購入してみたのですが、どうもいけませんねぇ。
かなり濃いルビーの色調で、エッジはピンクがかっています。香りはベタッとした黒系果実のジャムやスパイス、鉄、プラムなど。透明感がなく、どこか濁ったような印象を受けてしまう香りです。味わいはひとことでいうとバラバラ。抽出が明らかに強く、かなり攻撃的なタンニンと後半に出てくる強めの酸、それにフィニッシュに出てくるエグミが味わいをスポイルしています。なんとかならんものかと、試しにボトル半分ほどデカンタージュしてみたら、一瞬甘い果実が前面に出てきましたが、時間とともに勢いを失い、最後の方はヘタッてしまってまるでタンニン水?のような悲しい味わいになってしまいました。う〜む、これがこの銘柄の実力なんでしょうか。これでは先々、ガサツなタンニンがこなれるよりは、果実味がドライアウトする方が明らかに先でしょうから、寝かせておいても意味なさそうだし、かといって今飲んでも美味しく飲めないし‥。最近はネットの情報がかってとは比べ物にならないくらい豊富になって、事前に十分なリサーチが出来るため、あまり大きく外すことはないのですが、今回は久々の大ハズシワインでございました。各所で売れ残っているのも判るわな‥。【凶】
日時 2006/10/6
銘柄 ハラモ・ヴィンテージ甲州シュールリー2005(原茂ワイナリー)
産地 日本>山梨>勝沼
購入店 ワインの丘
価格 1795円
感想 ブドウ狩りのひと月前、石和温泉への出張のときに、帰路「奥座敷葡萄園」という珍種栽培で有名なブドウ園でブドウを買って帰ったのですが、そのすぐ近くにあったのが、今日開けた原茂ワイナリーです。道に迷ってブドウ園への道を聞いた相手がまさにここのご当主だったようです(笑)。園内でBBQなども出来るようで、時間があればワイナリーの見学もしたかったのですが、すでに夕刻だったので素通りで帰ってきたのでした。そんなご縁?もあって、今回「ブドウの丘」のカーブで売られていたのを見つけて1本買ってみることにしました。 色調は白みがかった薄めのイエロー。香りは強くはありませんが、かんきつ類、白桃、青草、ミネラルなどのアロマチックなものです。口に含むと、ふくよかな果実を生き生きとした酸がよく支えており、意外にボリューム感がありますね。酸は豊かなのですが、たとえばソーヴィニヨンブランのようなシャープさはなく、生ブドウのようなフルーティな味わいが中盤に広がります。残念なのは、余韻があまりにストンと落ちてしまうところですが、前回のフジクレール同様、2Kを切る価格ですから、多くを望むのは酷というものでしょう。フジクレールのようなシャープな切れはない分、こちらにはふくよかなボリューム感があって、甲乙つけがたい印象。日本のワインのレベルが着実に向上していることを再認識させてくれる1本でした。
【小吉】
日時 2006/10/3
銘柄 フジクレール・甲州シュールリー2005(フジッコワイナリー)
産地 日本>山梨>勝沼
購入店 ワイナリー直販
価格 1575円
感想 名前からわかるとおり、佃煮などで知られるあの「フジッコ」のワイナリー部門による甲州白です。ワイナリー名からして軟弱な感じがしますが(失礼)、第4回国産ワインコンクール甲州辛口部門銀賞受賞の看板は伊達ではありません。 薄く淡い色調のイエロー。柑橘類やミネラルなどの穏やかながらも瑞々しい香り。味わいはフレッシュで、酸は角がとれて丸く、口中で健全な果実味が広がります。フィニッシュはアッサリとしていますが、1500円という価格を考えればまあ十分でしょう。なにより、このプライスレンジの国産ワインがこれだけしっかりしたものを造っているということが嬉しい驚きですし、グレイス甲州のときもそうでしたが、日常の食卓の邪魔をせず、よくマッチしてくれるのがいいですね。赤道を越えてきていない分、状態がどうこうという心配もしなくてよいし(ちなみにワイナリー直販)、結局のところ、平日の晩酌にはこれで十分じゃなかろうかと思ったりもします。仏ワインの高騰や給与所得の目減りにより、最近ワインに対して、めっきりドライになってきている自分を感じるのですが、そんな現在の私のツボにはまるワインでした。
【小吉】
日時 2006/10/1
銘柄 モレ・サンドニ2004(ジャッキー・トルショー・マルタン)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 森田屋酒店
価格 4550円
感想 夏季休暇最終日のこの日は、表題の作り手を開けてみました。遅らばせながら、私にとっては、初のジャッキー・トルショーです。 色調は中程度からやや濃いルビーで、まだ若いためか、全体に紫がかっています。香りはクリーンな赤い果実、ダージリン、枯葉、それに還元状態に由来すると思われる燻製肉やジビエ系の香りがあります。 味わいはどこまでもしなやか。透明で滋味豊かな果実味が、口の中で波が寄せるように広がります。タンニンは決してでしゃばることなく、節度のある酸が味わいを支えています。力強さや濃厚さとは異なったベクトルながら、どこにも過不足のないナチュラルな作りは、まさに非のうちどころのないクラシックなブルゴーニュといえましょう。12.8%というアルコール度も丁度よい感じで、飲み進むうちに、旨みと甘みが乗ってきて、気づくと酒量の少ない私には珍しく、ボトル半分以上空けていました。 いやあ、美味いですねぇ。最近ネットで評判の作り手ということで、私自身はかなり斜に構えて臨んだんですが、思いがけずノックアウトされてしまいした。04というまだまだ若いビンテージで、しかも村名でこれほど美味しくいただけるのであれば5k近い価格もまあ納得です。あんまり煽るのもよろしくないので、この辺にしておきますが、聞けばご当主は高齢のため05年を以って引退されたとのこと。これからはバックビンテージを探し回るしかないのが悲しいところです。 【中吉】