2005年10月

日時 2005/10/29
銘柄 ポマール2002(フィリップ・パカレ)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 湘南ワインセラー
感想

この日は今流行(←とあえて書きます)の自然派ワインの立役者のひとり、フィリップ・パカレの02年を開けてみました。 02のパカレはこのボトルを含めて3本(1級1本、村名2本)買いました。価格を控えておくのを忘れたため、いくらで購入したのかがわからないのですが、今市場に出回っている同銘柄のプライスは8000円を超えています。8 000円のポマール、果たしてその実力は如何に?

色調は濃すぎることのない、透明感のあるルビーです。香りはリリース直後に試飲したときに比べるとだいぶ寡黙になっている印象ですが、ラズベリーなどの赤い果実やオレンジピール、ダージリン、スパイスなどのクリーンな要素にまじって、漬物のようなちょっとすえたニュアンスがあります。
味わいは02年とは思えないほどこなれた印象があり、ピュアな果実味をクリーンな酸とよく熟したタンニンが支えています。香りはまだそれほど熟成感は出ていませんが、味わいだけですと90年代半ばから後半のワインを飲んでいるような錯覚に陥りそうです。 02年にしてこれだけこなれた味わいというのは、良くも悪くもビオらしいですねぇ。
初日だけではなんとも言えないので、半分翌日に回してみましたが、こちらの期待を見事に裏切って、香りはまったく勢いを失い、味わいもドロンとした感じで少し熟成した凡庸なピノのようになってしまいました。
悪いワインではありませんが、これが8000円台というのは、どうにも正当化できない気がします。それに、この手の典型的なビオワインって、真っ当に熟成するのか大いに疑問です。かなり贔屓目に飲んでみたのですが、私なりの評価はせいぜい5K級というところでしょうか。
【89】

日時 2005/10/28
銘柄 ピエトロ・ロッシ1999(ダラ・ヴァレ)
産地

米>カリフォルニア

購入店 いただきもの
感想 暖色系のワインです。香りは黒い果実、バラ、スミレ、スパイスなど華やかなもので、それに溶け込みはじめた樽からのバニリーなニュアンスが艶やかなアクセントを添えています。酒質は非常に凝縮感があるものの、エッジが丸く、バックボーンを支える明るい酸にこの品種らしさを感じます。タンニンはシルキーとまではいきませんが、十分にキメ細かく洗練されており、分厚い果実味がありながらも、ひっかかるところなく、フィニッシュまで滑らかさが持続します。カリフォルニア産とはいえ、味わいはどこからどうみてもモダンなサンジョベーゼのもので、5000円超の一流の作り手によるスーパータスカンと十二分に亘り合える品質だと思います。トスカーナのワインとの違いは、よくも悪くもややファットな酒躯というところでしょうか。ダラ・ヴァレが2000年を以ってこの銘柄の生産をやめてしまった理由を私は知りませんが、(カリフォルニアにおける)この品種の潜在能力を見限る理由は、私にはどこにも感じられませんでしたが‥。
【91】
なお、この銘柄はいつもお世話になっている方からのいただきもので、本来はその方もいる場で開けたかったのですが、某誌の次号の「番外編レビュー」に載せるタイミングとの兼ね合いで、この日CWGに持ち込んだものです。そういうわけで、お許しください>eさん
日時 2005/10/26
銘柄 シャブリ・モンマン2002(ウイリアム・フェーブル)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 パリ16区
価格 4本1万円のセールで購入。
感想 パリ16区の4本1万円セールで購入した1本。このセールで私はブルゴーニュとイタリアを1セットずつ買いましたが、総じてお買い得で、満足度が高いです。
またお願いしますね、パリ16区さん!

色調は淡めのイエローで、まだ黄緑がかっています。香りはグレープフルーツやシトラス、白い花、蜜、それに力強いミネラルが感じられます。初日の味わいはグリップが弱く、やや拍子抜けするものでしたが、2日目になって、ぐっと外向的な味わいになりました。とはいえ、まだまだ強靭な酸に対して、果実味はツボミ的な感じなので、待てるのならば2〜3年ぐらい置いておいた方がよいかと思います。フィニッシュには酸とオレンジの皮のような苦味が感じられますが、これらも時間の経過とともにもっと落ち着いてくるでしょう。それにしても、1級クラスでこれだけ蜜のような凝縮感を持っているところをみると、やはり02年のシャブリは総じて秀逸なんでしょうね。
【88】
日時 2005/10/23
銘柄 ボーヌ 90(ベルナール・ドラグランジュ) 
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 平野弥 
価格 2500円(共同購入)
感想 平野弥さんの共同購入で仕入れた90年モノの格安ブルゴーニュ。 ドラグランジュ家はムルソーに本拠地を構えるドメーヌで、ヴォルネイやボーヌ、ポマール23ヘクタールに及ぶ畑を所有しているそうです
この1990年のボーヌは蔵出し、ノンリコルクのようですが、正直 90ビンテージで2000円台というと、それだけでなにやらキワモノ的な印象を受けてしまいます。その実力はどんなもんでしょうか…。

色調はおそらくバッチリ清澄したと思われる透明感のある美しいガーネットで、全般にオレンジがかかり、エッジはやや退色が見られます。香りは赤系のドライフルーツやアンズ、梅、紅茶、それに獣というよりは土っぽいスーボワ香が加わります。口に含めば、上位クラスのような力強さはありませんが、その分年月を経て余分な贅肉をそぎ落としたかのような品良く繊細な味わいです。
抜栓当初はやや酸が勝っている感もありましたが、時間とともにグッと厚みを増し、ボトル中盤になると、これが2千円台半ばのワインかというような、熟成したすばらしい味わいを見せてくれました。なにより蔵出しによる状態のよさは出色というべきで、グランクリュのような大きさがない分、早めに熟成のピークを迎えたということなのでしょう、まさに文句のつけようのない熟成具合でした。こういうのを飲むと、熟成したワインのすばらしさというものを改めて教えられる思いですね。
いやそれにしても、15年熟成したこれだけ内容のワインが2千円台というのは、滅多にないんじゃないでしょうか。この位の年代に なれば、ボトルバリエーションもあるでしょうから、どのボトルでも必ず私が出会った見事な味わいが約束されているわけではないのかもしれませんが…。
【90+】

日時 2005/10/16
銘柄 ブルゴーニュ・パストゥグラン2001
(エマニュエル・ルジェ)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 平野弥
価格 2381円
感想 パストゥグランはガメイの混醸が三分の一まで許されるブルゴーニュのベーシックAOCのひとつです。自らチョイスすることはめったにないのですが、名門の作り手×平野弥さん輸入ということで、あえて共同購入で購入してみました。(ご協力いただいた方、どうもありがとうございました)2001年のブル赤は酸が綺麗な年という印象があり、実際グランクリュやトップドメーヌの出来はよいと思うのですが、下位グレードは02年あたりとは比較にならず、拍子抜けするほど薄いものが多々ありました。ではルジェのパストゥグランはどうかというと‥。

色調は中程度からやや濃いルビーで、エッジはかなり和らいでいます。香りはラズベリーやブラックチェリーなどの果実、ミカンの皮、それにセメントや揮発性塗料のような独特のニュアンスが加わります。味わいは心配したような薄さはなく、それなりに充実したボディがあります。ただ、バランス的には酸基調で、鋭角的な酸が味わいを引き締め、「スッパイ」印象が際立ちます。タンニンは豊かというわけではありませんが、あまりこなれておらず、フィニッシュは酸とタンニンとでかなり険しい印象です。単体で飲んで楽しいかというと、あまり楽しいとは思えませんが、食中酒としてはまずまずですし、併せる料理によっては、それなりに存在感を示すこともありそうです。
【84】
日時 2005/10/14
銘柄 ブルゴーニュ・ラ・ゴディワーヌ2003
(AetP ド・ヴィレーヌ)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 松坂屋
価格 3450円
感想 DRCの共同購入者が作るこの銘柄は、現在もっとも入手困難なACブルのひとつといってよいかもしれません。価格は3千円台半ばと、最近のブルゴーニュのインフレ傾向の中ではまだ穏当な方ですが、楽天などを見渡してもセット販売が幅を利かせているのが悩ましいところです。
以前飲んだ02のメルキュレイは、大きさや力強さはないものの、ブル好きのツボをうまく抑えた精妙な作りという印象でしたが、03年についてはどうでしょうか?

グラスに注いでみてビックリです。濃い!底が見えないほど濃厚なルビーの色調は、これがACブルかと疑うほど。さすが2003年は酷暑のビンテージだと納得させられます。グラスに鼻を近づけると、黒い果実やスパイス、焦臭などの香りが顕著です。味わいはまず豊かな果実味のアタックがありますが、ジャミーにならず、みずみずしさを保っているのはさすがです。その後から厚い果皮を連想する強靭な乾いたタンニンが押し寄せてきて、フィニッシュには口の中がショワショワになります。いやあ、ここまでタニックなACブルというものを初めて飲みました(^^;。酸はそれらに対して相対的に弱めな気もしますが、不足しているとか緩いというほどではありません。 いずれにせよ、今の段階では空気との接触が足りない感が否めないので、半分以上翌日に残してみることにしました。評価は翌日分を飲んでからとしましょう。
翌日:酸がくっきりと輪郭を増し、味わいがより立体的になりましたが、それでも果実のパワーとタンニン基調なのは相変わらずです。残念なのは、凝縮感が予想以上なのに対して、期待していたような 表情の豊かさや旨味感があまり感じられず、比較的単調な味わいに終始していたことです。 ACブルといえども何年か寝かせたほうがいいのかもしれません。
【87】
日時 2005/10/10
銘柄 キュヴェ・マルセル・ラピエールNV (Anno MDCCCCIC)
産地 仏>ブルゴーニュ(ボジョレー)
購入店 小田急ハルク
価格 3600円
コメント

これは非常に興味深いワインです。
かなり前に小田急ハルクのセールで購入したものなんですが、 ノンビンテージで、年号の代わりに「Anno MDCCCCIC」なる不可解な記号が記載されています。実はこれ、ラテン語の表記だそうで、1999年産という意味だそうです。AOC法上 ヴァン・ド・ターブルとなるため、年号が記載できず、このようなことになっているようですが、ヴァン・ド・ターブルといっても、あくまでAOC法の規定にそぐわないからということで、、モノ自体はラピエールの所有する「モルゴン」にある畑から出来る最高級キュベであるとのこと。実際、WA誌も1997年産に93点という高いポイントをつけているそうです。ボジョレーというと、どんなによいものでも2〜3年のうちに開けたくなるものですが、このクラスですと「10年の熟成にも耐える」そうです。というわけで、6年経過のこのボトル、どんな具合に熟成しているでしょうか。

キャップシールは、 最近では珍しくなった蝋封ですが、その効能なのか、抜栓してみるとコルクは非常に健全で、全くといってよいほど上に染みてきていません。(写真参照)

香りはイチゴやブラックチェリーなどの果実、バラ、スミレなどの清々とした中に、漬物っぽい熟成香も見られます。味わいは未だにフレッシュという言葉が通用するみずみずしい果実味がすばらしく、酒質はネットリと厚みがあります。酸は豊かですがエッジは丸く、タンニンは穏やかで、バランスも良好です。これはすばらしいですね。ボジョレーらしいジューシーさを失わない半面、口の中での表情の豊かさや含み香のすばらしさは、私がこれまで飲んできたボジョレーとは明らかに一線を画するものです。まさに芸術的なガメイと言えましょう。【91+】
翌日:さらに向上するかと期待しましたが、残念ながら香りが閉じ気味になってしまいました。でも味わいは初日と同等レベルをキープしていました。
4日目:一日開けて残りを飲んでみました。やや雑巾臭がまじりはじめてますが、まだまだイケます。

日時 2005/10/7
銘柄 ブランカイア・イル・ブルー99
産地 イタリア>トスカーナ
購入店 金沢マル源酒店
価格 3本セットで19000円
感想

このブランカイアは、98、99、2000の3ヴィンテージセットで購入したものですので、1本あたりの価格は6000円ちょっとというところです。ショップによって6000円程度〜8000円超とかなり単価にバラツキが見られる銘柄ですが、6000円台であればCPは悪くないと思っています。

色調は濃厚なルビーで、エッジがややほぐれてきています。香りはカシスやブラックチェリー、ビターチョコ、黒胡椒などのスパイス、それに土っぽさも出始めています。
初日の味わいは実のところかなりバランスを欠いている感じで微妙なものでした。というのも、なんだかショッパイような不思議なスパイシーさがあって、なにか特殊な品種でも使ってたんだっけ、と確認したくなるほどでしたから。ところが、この違和感は二日目にはすっかり消えて、 よく熟した果実味とやわらかなタンニン、それに開放的な酸による、なめらかで外向的な味わいへと変貌していました。
リリースしたてのこの銘柄は通常非常に端正な味わいで、磨き上げられたようなテクスチャーがあってオークもキツく、あまりサンジョベーゼらしさが感じられないように思うのですが(セパージュはカベルネ、メルロ、サンジョベーゼの混醸)、このボトルのように数年寝かせるとかなりサンジョベのファクターが前面に出てきますね。
それにしても初日の味わいは何だったんでしょうか?ボトルバリエーションの類でしょうか? レストランやワイン会に持ち込まなくてよかったです。
【90】

日時 2005/10/4
銘柄 Ch.カマンサック98
産地 仏>ボルドー
購入店 イーショッピングワイン
価格 2079円
コメント 今年の夏は、かってないほどワインへの興味が落ち込み、 もうワインを趣味にするのはやめてしまおうとさえ思った ぐらいなんですが、それでもやっぱりこの季節になると、 無性に赤ワインが恋しくなるから不思議です。
この日も平日ど真中だったんですけどが、どうしても赤ワ インを飲みたいという気持ちを抑えきれなくなって、デイ セラーにある安めのボルドーを開けることにしました。
このカマンサックは、セールで1本1980円(税別)というプライスに釣られて購入 したものです。2本買ったうちの1本は7月に既に飲んで いますが、こちらのボトルはどんな按配でしょうか。

色調は落ち着いたガーネットで、エッジはオレンジが見え 始めています。香りはいかにもボルドーらしいもので、ブラック ベリーやスパイス、エスプレッソなどに加えて、土や朽ちた木 など、熟成感も出始めています。味わいは小ぶりながらバランス がよく、タンニンもだいぶやわらいできています。ボトル 差なのか、それともセラーで落ち着かせたのがよかったのか、7月 に飲んだものより明らかにこちらの味わいの方が良好です。もちろ ん上位クラスのような重層的な味わいや豊かな余韻は期待できませんが、このプライスであれば十分な味わいでしょう。
子供二人を抱えて会社の業績もよくない昨今、 今後はこうした「旨安」系のワインを中心にいろいろと 探求していこうと思います。
【87+】
翌日:より甘くなめらかな味わいになりましたが、後半香りにちょっと馬小屋系のニュアンスが‥。
日時 2005/10/1
銘柄 ジュブレイシャンベルタンV.V2003
(ジャンテ・パンシオ)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 うきうきワインの玉手箱
価格 4980円
コメント はぁ。人生山あり谷あり、ということで、月初からいきなり疲れている私ですが、週末ぐらい少し良さげなワインを開けようと思ってチョイスしたのがこのジャンテ・パンシオです。良さげ、といっても値段dけならもっと高価なボトルはいくらもありますが、なんというかジャンテ・パンシオって、エレガントに癒してくれそうな、そんなイメージがあったもので‥。
ところが予想に反してこのボトル、パワフルです。濃厚なルビーの色調はエッジがまだ紫です。香りはブラックチェリーやスミレのほか、焦臭、赤身肉、乾いたスパイスなど、もっと時間を必要とするようなものです。味わいもやや独特で、分厚い果実の皮を連想するような、よく熟してはいるもののややドライで豊富なタンニン、濃縮されているんですがフレッシュというよりはややジャム系の果実味、そしてそれらに比してやや奥にこもったような酸‥。後半はかなり苦味をもたらし、現時点では、あまり心地よいフィニッシュというわけにはいきません。
これは意外ですね〜。ジャンテ・パンシオというよりは、昔リアルワインガイドの試飲でよく飲んだ、もっと別の濃厚系の作り手のリリースしたてのボトルのような味わいです。これが03年の特徴なんでしょうか。とりあえず半分残して翌日の表情を見てみます。
【88?】
二日目、三日目とちょびちょび飲みましたが、香りこそ開いたものの、味わいは結構タニックでバランスがイマイチなままでした。