2006年12月

日時 2006/12/31
銘柄 シェーファー・ヒルサイドセレクト96
産地 米>カリフォルニア
購入店 wassy's
感想 慌しく過ぎ去った06年ですが、ラストを飾るにふさわしい銘柄を、ということで、セラーから出してきたのが96年のシェーファー・ヒルサイドセレクト。
リリース直後、ワイナートのT中さんのお宅で飲ませていただいて、あまりの美味しさに感激して帰宅後すぐに探して購入したのがこのボトルです。例年パーカーさんはこの銘柄にコンスタントに98〜99点をつけており、02年ではついに100点をつけました。(ちなみにこの96年は98点だったかと…)
ただし、このヒルサイドセレクト、その後しばらくしてワイン会で飲んだときには、不思議とあまり心が動きませんでした。
今回、 リリース後10年経過してどんな具合になっているのかと開けてみましたが…う〜む、開け時が悪かったんでしょうか。 ウンともスンとも言わない、というほどではないんです。ちゃんと火を通した黒系果実の香りとかスパイス系の香りとかが出てますし、味わいもかなり強靭とはいえ、ぶ厚い果実と伸びやかな酸のおかげで渋くて飲めないということはありません。ただ、全体のトーンが、なんというか、単調なんですよねえ。色で表現すると『黒一色』とでもいいましょうか。微妙な色合いが複雑に絡み合っている姿が見えてこないのです。リリース直後の、ハーブのようなフレーバーに満たされた、磨き上げられたようなテクスチャーを今期待するのはお門違いにしても、もう少しポジティブな変化があっても、と思ったんですが…。以前『シャトー・モンテリーナ97』を家であけたときにも感じたのですが、カリフォルニアのビッグネーム系の銘柄は、一度眠り始めると開け時が難しいということなんでしょうか?いやいやでも、Andyさんに飲ませていただいたアラウホの97はすばらしかったしなぁ…。難しいものですね。 【吉】
日時 2006/12/26
銘柄 ソラリス 信州千曲川産メルロー2002
(マンズワイン小諸ワイナリー)  
産地 日本>長野
購入店 飛騨の酒屋いまい
価格 3682(円)
感想 国産ワインコンクールで金賞獲得の銘柄。「登美」とか「桔梗ヶ原メルロ」などの「価格度外視クラス(^^;」を別にすれば、事実上国産のトップランクの赤です。ブドウはすべて国産のメルロを使用、「レインカット」による垣根栽培だそうです。 色調はやや濃いめのルビーで、エッジはピンク色、ディスクは中程度です。香りはカシスやダークベリー系のみずみずしい果実香、スパイス、ライトな樽香、それにインキーなニュアンスもあります。味わいは最近のコッテリ系メルロを飲みなれた身にはスレンダーに感じられますが、個人的にはこれくらいのアルコール度(12度)がちょうど良いですし、青っぽさや茎っぽいフレーバーも皆無で、選果をきっちりやっているなと思わせます。なにより雑味のないクリアな酒質がとても好印象で、改めて国産ワインのレベルの向上を実感させられる1本です。品種は異なりますが、メドックのヒエラルキーの置き換えれば、上位のクリュブルジョワというところでしょうか。初日よりも二日目の方が厚みが出てきて印象がよかったです。もう 500円ぐらい安ければ、誰にでもオススメできるんですが、インターナショナルな尺度でみると、若干割高なのは、期待料を込めて、ということで納得するしかないでしょうね。【中吉】
日時 2006/12/30
銘柄 モレ・サンドニ2002(ジャッキー・トルショー・マルタン)
産地 仏>ブルゴーニュ
感想 このトルショーさんは昨日近隣の酒屋で見つけて購入してきたもの。飲んでみて問題なければ、お店の在庫を買い増そうと思い、本来ならばもうすこし休ませたいところを、年末に開けてみることにしました。キャップシールは回りますが、はがしてみると上部がややカビています。コルクを抜くとふた筋ほど液漏れした跡が…。う〜ん。 色調はやや濃いルビーでエッジはまだ紫色を残しています。ジョンブはゆっくりめですが、アルコール度は12.8%に留まっています。香りはイチゴやラズベリーなどの鮮やかな果実、シナモンなどのスパイス、ダージリン、燻香など、クラシックなピノらしいものです。 口に含むと、伸びやかな酸のアタックのあと、口の中で蜜のような甘くクリーンな果実味が広がります。タンニンはよく熟していて柔らかく、今すでに飲めますが、やや酸にピリピリ感があって、バランスが整いきれてないもどかしさがあります。もっともこれは前日に購入してぶらんぶらんと揺すって持ち帰ったというハンデもありますが…。 少し時間をかけてゆっくり飲んでいくと、香りにはクリーミーな要素が加わり、陶然とさせられる芳香になってきます。ん〜、いいですねぇ。味わいも酸のピリピリ感が落ち着いてバランスが向上してきました。酒質はどこまでもクリーンで、それでいてなんというか「腰がある」感じなのが実にイイです。ただ、やはり村名といえども、少しばかり飲むには早い感は否めません。先日飲んだ04年はもっとしなやかな感じで、今既に美味しくいただけましたが、02年は果実のパワーがワンランク上ということんでしょう。他の作り手で誰に似ているかといえば、そうですね、ブラインドで出されたら十中八、九、「ポンソ」と答えそうです。ところで、今回のボトルは前回の04とは輸入元が異なるのですが、液漏れの跡といい、ほんの少しばかり毛羽立ったようなテクスチャーといい、シビアな目線でみると、やや不満を感じないでもありません。決して市場で「劣化品」扱いされるレベルのものではないのですが(個人的には、埼玉方面の大手ショップの品と同程度かなと…)、こういう繊細な作り手のワインは、フィネスあたりにぜひ扱ってほしかったなあと、無いものねだりをしたくもなります。…ということで、店の在庫の数本、買い増そうか悩みます。(^^;
【小吉】
日時 2006/12/24
銘柄 ドゥラモット・ブリュットNV
産地 仏>シャンパーニュ
購入店 信濃屋
価格 3350円
感想 クリスマス・イヴには、かっては高価な銘柄を開けたりもしていましたが、今の主役はあくまで子供たち。といってもまったく普段どおりでは味気ないので、定番どおり、比較的リーズナブルな泡モノを開けることにしました。ドゥラモットは以前からよく飲んでいる銘柄。RM全盛の昨今ではありますが、手堅いところでとなると、個人的にはついこうした銘柄に目がいきます。色調は軽く麦わら色がかったイエロー。気泡は細かいのですが、もう少し勢いが欲しい気がします。香りはカリンや白い花、それにクロワッサン系のイースト。口に含むと、炭酸の刺激が豊かな果実味と溶け合って、伸びやかな酸とのバランスが良好です。フィニッシュに心なしか苦味が残るものの、クドさもなく、全般に過不足のない綺麗な酒質です。大きな感動はありませんが、キッチリと祝祭の場での役割を果たしてくれるシャンパーニュ。我が家のスタンダード(といってもたまにしか飲みませんが…)はやっぱりコレかポル・ロジェですね。
【小吉】
日時 2006/12/22
銘柄 ジュブレイシャンベルタン・ベレール02
(フィリップ・シャルロパン・パリゾ)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 ヴァンシュールヴァン
感想 02ビンテージを「固め買い」した生産者のひとり、シャルロパン・パリゾ。村名はリリース直後に一度飲みましたが、その後どんな按配かと思い、1級銘柄を開けてみました。
色調は透明感のあるルビーで、濃いめのいい色合いです。香りがすばらしい。イチゴのゼリーやラズベリーのコンポートなどの鮮烈な赤い果実、オレンジの皮、スパイス、金属的な香りに混じって、獣系のニュアンスもあります。口に含むと、透明感のある果実の第一印象。タンニンはやわらかく熟しており、酸は高めなものの、力のある果実のおかげで決して酸っぱくはならず、高い次元でバランスを保っています。今まで飲んできたパリゾの若い銘柄は、かなり樽のフレーバーを強く感じたものですが、この銘柄は凝縮された果実味がそれをもマスキングしている感じです。凝縮感といっても、底が見えないような力任せな濃さではなく、あくまで透明な中に尋常ならざる液体の粘度を感じるような、そんな濃さですね。いやあ、これはスバラシイ。ここまで良いとは思わなかったので、嬉しい誤算でした。余韻も長く、充分グランクリュに匹敵するレベルにあると思います。寺田倉庫に寝かせている特級銘柄たちを開けるのが今から楽しみです。
【大吉】
日時 2006/12/20
銘柄 甲斐ノワール2003(蒼龍葡萄酒)
産地 日本>甲州
購入店 勝沼ワイナリーマーケット
価格 2100円
感想 甲斐ノワールはブラック・クイーンとカベルネ・ソーヴィニヨンとの交配種ですが、この蒼龍さんの甲斐ノワールは、カベルネというよりも、なんだかメルロっぽい雰囲気を感じます。 色調はやや濃いめのガーネットで、エッジはオレンジぽくなっています。香りは火を通した黒系の果実、スパイス、木質的な香り、それに毛皮、醤油やヨードっぽいニュアンスもあります。口に含むと、やわらかな果実味がある一方で、乾いたタンニンがかなり前面に出てきており、フィニッシュは木屑っぽい含み香が口の中に残ります。正直あまり感心することもなく、3日間冷蔵庫に入れてチビチビと飲みましたが、不思議なことに3日目になったら、木屑っぽさがなくなり、味わいも厚みと甘みを増したように思います。初日はもっと積極的にエアレーションしてやったほうがよかったのかもしれません。 甲斐ノワールという品種、面白いですね。少し追っかけてみようかと思います。
【吉】
日時 2006/12/14
銘柄 キザンワイン・白2005
産地 日本>甲州
購入店 虎屋リカー
価格 1480円
感想 この銘柄と一緒に国産ばかり6本ほどまとめて購入したのですが、送られてきたダンボールを開封すると、このボトルだけ入っておらず、お店にメールして送りなおしてもらいました。 色調は淡いながらも輝きのあるグリーンイエローです。香りはボトルの裏ラベルに書かれているように、柑橘というよりはもっと落ち着いた「カリンやライチ」などのフルーツ、それにミネラルが感じられます。味わいはクリーンで、ほどよいコクもあり、酸がとても活き活きとしているのがいいです。価格を考えれば非常に高水準かつバランスよく仕上げられた味わいで、なるほど入手困難になるのもわかりますね。入手さえできれば、デイリー用に何本か常備しておきたい銘柄です。赤も同時に購入したので、遠からず飲んでみようと思います。
【中吉】
日時 2006/12/11
銘柄 甲州樽発酵2004(ダイヤモンド酒造)
産地 日本>山梨
購入店 虎屋リカー
価格 2200円
感想 初めて飲むワイナリーですが、かなり樽を利かせていますね。甲州としてはやや濃いめのイエローの色調。香りは樽からのバニラ香が支配的です。味わいも最初は樽っぽさが強く目立ちましたが、時間とともにまろやかな果実味が感じられるようになってきました。酸は角がとれていて、そこそこの果実の厚みもあり、フィニッシュにかけてやや苦みが前面に出てきます。樽を使っているといっても、温度を高めにキープするよりは、冷やして飲んだ方がバランスがよく感じられます。よく出来ていると思うのですが、個人的には、相変わらず、樽を使用するメリットがあまりピンと来ません。三日に分けて飲んだのですが、二日目以降はエグみが強くなり、残念ながらイマイチでした。もっとも、翌日以降の味わいにまで責任を持てというのもワイナリーには酷かもしれませんが。
【吉】
日時 2006/12/9
銘柄 ジュブレイ・シャンベルタン・レニャール2002
(アラン・ビュルゲ)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 森田屋
価格 4200円
感想 この銘柄、森田屋さんでかなり安くなっていた(といっても村名で4K超ですが…)ので購入してみたのですが、あまり人気ないのでしょうか、かくいう私もこの作り手を飲むのは初めてです。 濃厚なルビーで、エッジはまだ紫が主体です。香りは良年の凝縮した銘柄にありがちな揮発性塗料のようなトップノーズ、続いてブラックチェリーなどの黒系果実、ジュブレイらしい鉄サビやスパイス、それに木質的な香りや毛皮や獣的なワイルドなニュアンスも。口に含むと、なめらかで力のある果実を綺麗な酸が支えていますが、現時点ではかなりタニックで、ドライな味わいです。早くから飲みやすいモダンな作り手とは対極をなすような骨太で媚びるところのない作りですね。5年ぐらい先になるでしょうか、皮膜のようなタンニンが溶け込む頃合いにぜひ再会してみたいものです。【吉→小吉】
翌日:明らかに二日目のほうがいいですね。力強い酒躯はそのままに、果実に甘みが乗って近づきやすくなりました。評価も上方修正。
日時 2006/12/8
銘柄 アルガーノボシケ2004(勝沼醸造)demi
産地 日本>山梨
購入店 信濃屋
価格 920円
感想 前回「ぶどうの丘」のレストランで飲んだ時はそれほど良い印象を持たなかった勝沼醸造のアルガーノボシケですが、信濃屋の実店舗でハーフボトルが売られていたのを見つけて買ってみました。色調は淡めのイエローで、軽く黄緑がかっています。白桃や日本の梨などのフルーティな香りに加えて、どことなく吟醸香的なニュアンスもあります。口に含むと、健康的な果実感が心地よく、酸も上品で、後味にほのかな甘味を残します。前回レストランで飲んだときはこの甘みがどうも気に入らなかったのですが、この日あわせた揚げ物などのお惣菜にはこの位でちょうどよい感じです。なにより雑味のないクリーンなテクスチャーがいいですね。勝沼醸造の作る甲州のラインアップはいろいろあって今ひとつわかりにくいのですが、次は「アルガブランカ・クラレーザ」あたりを試してみようと思います。
【小吉】
日時 2006/12/7
銘柄 グレイス甲州シュールリー2005(中央葡萄酒)
産地 日本>山梨
購入店 信濃屋
価格 1690円
感想 昨日は下の子の3歳の誕生日でした。子供はカミサンはもとよりオジイチャンオバアチャン、お友達のお母さんなどから山ほどプレゼントをもらっているのはわかっているのに、ついつい銀座博品館の前を通ったついでにオモチャを買ってしまうあたり、親バカといわれても仕方ないですね。(^^;
ワインは、こういうときのために購入した03ビンテージを、と言いたいところですが、前日開けた甲州がボトル半分以上残っていたので、つつましくそれで通しました。 畑名つきやリザーブ銘柄まであるグレイス甲州ですが、このノーマルキュベでも十分です。薄めの色調ながら、香りは柑橘系やミネラルを思わせるアロマチックなもの。味わいは果実味がみずみずしく、溌剌とした酸がそれを支えて、小ぶりながらも心地よいものです。後半のかすかな苦味がアクセントを添えています。前回飲んだ蒼龍の甲州は、作り手の意図がどこにあるのか、なんだか考えこまさせれられる味わいでしたが、このグレイス甲州は素直に美味しいと言えるものです。この価格帯としてはおそらく世界中どこに出しても恥ずかしくない味わいだと思いますし、和食の伴侶と考えると、存在価値はますます高まると思います。【中吉】
日時 2006/12/4
銘柄 勝沼の甲州2005(蒼龍葡萄酒)
産地 日本>山梨
購入店 虎屋リカー
価格 1500円
感想 盆略さんのブログの情報によれば、この日開けた蒼龍葡萄酒は、最近メルシャンの甲州きいろ香の技術開示により、柑橘類の香り豊かな「シトラス・セント」シリーズをリリースしたそうですね。近々入手して飲んでみたいと思いますが、こちらは樽熟の「勝沼の甲州」ボトルです。 開けたて(=セラーから出したて)の印象は、【凶】。薄い果実味、酸は緩くのっぺり。それでいて苦味が後半に顔を出します。なんとなく全体的に雑味感があるのもいただけません。樽を使用しているそうですが、樽香はほとんど感じません。中甘口にでも仕立てていればまだよかったのでしょうけど、ドライに仕立てて「角を矯めて牛を殺す」になってしまったような味わいでした。 しかし、この銘柄、そのあと冷蔵庫でキリリと冷やしたら、味わいに締まりが出て、かなり印象がよくなりました。最初に飲んだときは食前だったこともあり、ネガティブな印象が際立ってしまったのかもしれません。あるいはかなり還元状態だったのかもしれません。気付いたらボトル半分空けていました。
翌日: この調子ならもっとよくなるかと期待しましたが、残念ながらアルコールが鼻につくようになってイマイチの味わいに終始しました。
【末吉】