2004年10月

日時 2004/10/29
銘柄 キャンティクラシコ2000(ラ・ブランカイア)
産地 イタリア>トスカーナ
購入店 CantinaVinoVino
価格 3800円
感想 カルロ・フェリーニ氏がエノロゴをつとめるブランカイア。フラッグシップの「イル・ブリュ」はトレビッキオーリ常連のレアアイテムですが、他のラインアップも結構イケてるらしい、ということで、キャンティクラシコを飲んでみました。黒々としたガーネットで、エッジは赤紫色です。香りは、ブラックベリーやスパイス、スモーク、ビターチョコなどに加えて、木質的な香りが相当に強めです。口に含むと、当初は全然広がりがなくてどうしたものかと思いましたが、小一時間もすると、酒質に力強さがみなぎってきました。酸はかなり強めで、がっちりと構造を支え、タンニンは緻密ながら粉っぽくザラザラとした質感、モダンなようでいて、味わいの後半には麦わらっぽいフレーバーと明るく太目の酸が感じられます。モダンな中にも、氏素性がわかりやすく、キャンティらしさ、サンジョベーゼらしさをひた隠す?方向に行ってないのは評価すべき点だと思います。ただ、飲み頃にはまだ数年早い感じ。今飲むのなら、早めに抜栓すべきでしょうね。CPはどうでしょうか?品質のわりに高価とは思いませんが、同様に買い得とも言いずらい、微妙なラインです。
【88→89+】
‥と書きましたが、このボトル、3日目になっても全くヘタることなく、各要素がなじんで、よりバランスのよい味わいになったのには、少々驚かされました。点数も上方修正。
日時 2004/10/27
銘柄 02ルーミエ購入のため、超久しぶりに松原に立ち寄りました。 それほど長居はしませんでしたが、 いろいろなボトルをご馳走になりました。 ありがとうございました>U保さま

ムルソー・シャルム2000
(アラン・コシュ・ビズアール)
かなり高めの温度になっても腰砕けにならない、秀逸なバランス。豊かな酸とほどよく凝縮感のある果実味、時間とともにバタリーかつクリーミーになって厚みが出てきました。

ピュリニー・モンラッシェ2002
(エティエンヌ・ソゼ)
全般にやや目が緩く、水っぽい印象もあるのですが、柑橘系のフルーツとミネラル感が特徴的な、キラキラとした健全なシャルドネでした。

シャンボールミュジニー2002(G・ルーミエ)
クリーンで凝縮感があり、例年よりジャミーな果実味。ただ、酸がやや緩く、構造が弱い気もします。熟成させるとどうなんでしょうか。 ほとんどビン底の、余ったひと口ふた口をいただいただけなので、あまり 確かなことは言えませんが‥。

Gartelmann VintageBrut2000
シュナンブランとセミヨンという面白いセパージュだそうです。
ふくよかで厚みのある酒躯。力強い炭酸がよく支えて、ジューシー
な味わいです。

ジュブレイ・シャンベルタン02(クロード・デュガ)
フィネスもの。真っ黒でなく、赤系と中間ぐらいの、カシスやダーク系ベリーの果実、オリエンタルスパイス、ハーブ、オークなどの締まった香り。味わいは濃くて力強いのですが、濃縮間一本槍でなく、エレガントさもあって、立体感のある味わいは、なんだかんだ言ってもやはり見事なです。

日時 2004/10/23
信濃屋の有料試飲。
銘柄 ブルネロ・ディ・モンタルチーノ
リゼルヴァ・マドンナ・デル・ピアーノ98
ブルネロ・ディ・モンタルチーノ99
ロッソ・ディ・モンタルチーノ02
(以上テヌータ・ヴァルディカヴァ)
イタリア>トスカーナ
感想

近隣の皆さんには悲しいニュースです。夜中の1時までだった信濃屋代田店の営業時間が、11月から23時までになってしまいます。さらに悲しいのは、平日の有料試飲がなくなり、週末だけになってしまうことです。聞いてみるとやはり有料試飲は採算的に相当キビシかった様子。顧客サービスや社員の勉強といった名目ではすまなくなってきたのでしょう。まあ私は滅多に平日に行くことはなかったので実害は少ないのですが。

さて、この日の試飲はテヌータ・ヴァルディカヴァのブルネロです。 エノテカ・ピンキオーリ、アルノルフォ、ラ・キューサなど多くの一流レストランのワインリストに名を連ねるという作り手ですが、生産量が少ないためか、一般の知名度はあまり高くないようです。
ちなみにその生産量ですが、ロッソ・ディ・モンタルチーノ:20,000本、 ブルネロ:20,000本、リゼルバ10,000本というところだそうです。

天使のラベルが印象的ですが、右のロッソがかわいい天使で、成長すると(=ブルネロ)写真中央のような戦士の図柄になるというところがシャレてます。
それはともかく‥

ロッソ・ディ・モンタルチーノ02
他の格上銘柄と一緒に飲んだせいもありますが、正直印象の薄い銘柄でした。やや淡めで、グラスの底が見える程度のルビーの色調。ハーブ、ダークベリー、カシスなどに加えて、枯葉っぽい香りもします。味わいはやわらかい果実味があって、酸やタンニンは穏やかです。後半に青っぽさを少し感じますが、全体的には素直に作られたロッソという感じですね。下の2銘柄とは格の違いもありますが、ビンテージの違いというのも大きいかもいしれません。
【87】

ブルネロ・ディ・モンタルチーノ99

色調からしてぐっと濃厚な印象です。火を通したブラックベリーや焼き栗、スパイス類、それに漆喰のようなニュアンス。
肉厚な酒質で、ウエットで重いタンニンがあります。酸も豊かですが、各要素ががっちりとしているので突出することはありません。かなりの長熟タイプ。フィニッシュには唇の裏側がタンニンでしびれます。このボトルだけ抜栓したて、ということもあり、かなり手強い印象でした。
【90】

ブルネロ・ディ・モンタルチーノ
リゼルヴァ・マドンナ・デル・ピアーノ98

5.5haの単一畑からの葡萄のうち、最高のもののみを使用して作られるフラッグシップがこの銘柄。充実した色調ですが、エッジはオレンジです。香りは前銘柄と同系統ですが、より漆喰のようなニュアンスが強く感じられ、ピントがピタリとあったような素敵な香りです。味わいもまた、クリーミーで厚みがあって、凝縮された果実味にウエットで粒子の細かいタンニンがよく溶け込んでいます。本来はまだ早いのでしょうが、各要素の質感が高いために、今でも飲めてしまいますね。これはお見事。
【92】

  アリゴテ02(フィリップ・パカレ)
 

前日抜栓ですが、話題の作り手なので飲んでみました。1日経過したことを感じさせない豊かな香りがします。柑橘類、青リンゴ、それにミルキーなニュアンス。味わいはアリゴテらしい鋭敏な酸がありますが、クリーミーな酒躯がそれを包み込んでいます。よく出来た豊かなアリゴテですが、ミルキーなテクスチャーがアリゴテに求められるべき?爽やかさをスポイルしている気がしないでもありません。角を矯めて牛を殺しているというか‥。いや、もちろんレベルの高いアリゴテなのは間違いないですけど‥。値段はええと、どうなんでしたっけ?肝心なことを確認しませんでした。
【86?】

日時 2004/10/17
銘柄 モレサンドニ・クロ・ド・ラ・ビシェール02
(ルーミエ)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 ワインの店いとう
価格 失念(9000円台)
感想

何度か書いたように、私は02のブルについては、良作年だからというよりむしろ娘のビンテージであることからかなり買い込んでいるのですが、スタードメーヌのものやWA誌で高得点のついたものは軒並み品薄になっていて、入手に苦労しています。ルーミエは特に贔屓の生産者のひとりなんですが、夏場に各所に入荷したラック扱いのものについては、全くといってよいほど入手することができず、ようやく表記の店で2本ばかし余っていたモレサンドニ・クロ・ド・ラ・ビシェールを購入できました。余っていた理由は察するに2つ。1つ目は、他店と比較して、頭ひとつ以上抜きん出た価格(9000円台って‥)。2つ目は、02年のこの銘柄については、WA誌においてもIWCにおいても村名シャンボールミュジニーより低い点しかついていないことだと思います。私個人の印象としては、ことルーミエやデュジャックのような銘柄に関する限り、WA誌は言うに及ばず、タンザー氏の点数もあまり日本人のマニアの参考にならないと思っていますし、ここ何年か水平試飲している印象からすれば、この銘柄は、シャンボールミュジニー・レ・クラあたりの繊細さにはやや欠けるかもしれませんが、村名CMよりは明らかに1ランク上の印象があって期待を裏切られたことはないので、今回も購入するのに躊躇することはありませんでした。
ところが、その後、嬉しい誤算があって、別のところでも何本か購入することが出来たりとか、秋口に入ってくるフィネスものを予約することができたりとかで、結局この銘柄については当初の予定本数以上に買い込むことになってしまいました。
前置きがヒジョーに長くなりましたが、要はそういうことなので、試しに1本開けてみることにしたというわけです。(^^;
かなり濃い目の、美しいルビーの色調。香りは相当に初期的で、乾いたスパイスや赤身肉系に終始しています。口に含むと、なんとなく舌の中央に集まってくるようなところがあって広がりに乏しく、余韻もアッサリとしていて、果実味と旨みのいつものルーミエ節が炸裂しないことに戸惑いを覚えます。これはもう少し空気に触れさせないことにはどうしようもないかなと、一晩置いてみたところ、香りも開いて、味わいも初日のようなことはなく、豊かに広がるようになりましたが、それでもなんとなくグリップが不足している感は否めません。もう一日待ってみようかとも思いましたが、残りも少なかったので今回は断念しました。
ちょっと悩ましい結果です。先だって飲んだACブルの実力からすれば、もう少しインパクトがあってしかるべきかと思うのですが‥。各誌がつけているように、02年に限ってはクロドラビシェールがイマイチなんでしょうか。それともこのボトルがたまたまだったんでしょうか。あるいは私の味覚や体調がすぐれなかったのでしょうか。断言する自信がないので、結論は遠からず、フィネス扱いのものを飲んでみてからにしたいと思います。(その前にRWG誌で試飲する予定もあったりしますが‥)
【88?】

日時 2004/10/15
銘柄

キャンティクラシコ・ジョルジョ・プリモ99
(ラ・マッサ)

産地 伊>トスカーナ
購入店 東急百貨店
価格 6200円
感想 私のお気に入りのジョルジョ・プリモ。湘南ワインセラーで同銘柄の2000年を安く仕入れることができたのを機に、セラーに寝かせていた99年モノのボトルを開けてみました。5年経過しているといってもまだまだ若そうな、綺麗なルビーの色調。香りは非常に心地よいロースト香、八角などのスパイス、ブラックチェリー、スミレなどの整ったもの。味わいはやや厚化粧の感なきにしもあらずですが、とにかく精緻に磨き上げられたクリーミーなテクスチャーが素敵です。フィニッシュにかけて酸が伸びやかに顔を見せ、タンニンは粉っぽく、まだまだ豊かですが、飲みにくさはなくて、今すでに美味しくいただけます。非常に洗練された、モダンなキャンティクラシコですが、時間ととも乾燥イチジクや麦わらっぽいニュアンスが見え始め、味わいもサンジョベーゼらしさが出てきたあたりが、前回飲んだときとの違いですかね。【92】
日時 2004/10/11
銘柄 ピュリニーモンラッシェ・コンベット02
ピュリニーモンラッシェ02
(エティエンヌ・ソゼ)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 信濃屋有料試飲
価格 1100円
感想

よくやるねえ、と呆れられそうですが(^^;、この日もまたまた信濃屋の有料試飲に出かけました。この3連休皆勤賞だったわけですが、実のところ、金曜の夜から子供がお決まりのように熱を出して、どこにも出かけることができず、近所の信濃屋にワインのテイスティングに行くぐらいが精一杯だったというのが真相です。もっとも、この3連休の試飲アイテムはかなり力が入っていたので、わずかな時間で十分楽しませてもらうことができましたが。
この日は02年のソゼの1級と村名との比較。ただ、行ったのが夜の9時頃だったので、おそらく抜栓後9時間ぐらい経過していたと思います。
色調はどちらもかすかに黄緑がかったイエローです。まず村名から行きますと、香りは心地よい白桃やグレープフルーツ、ミネラル、白い花、それにバニラのニュアンスが感じられます。 口に含みますと、目はやや緩いのですが、果実味と酸とのバランスがよく、外向的、健康的な味わいです。【88】
次に1級のコンベット。こちらは香りからして全然違います。非常に密度感のある香りで、白桃、青リンゴ、ミネラル、オークなどが一体となった印象です。味わいは液体の粘度が村名より2ランクぐらい上を行く感じで、果実味はとても凝縮されています。酸はおそらく抜栓当初はかなり厳しかったのではと思いますが、この時点ではこなれて、果実味をしっかり支えています。これは相当イイですね。【92】
02年のブルゴーニュは村名や地域名のレベルが非常に高いと言われます。実際、今日飲んだソゼの村名も高レベルでしたが、それ以上にコンベットの迫力には参りました。信濃屋の価格は聞き忘れましたが、ネットで検索してみるとと、市場価格は12k前後。もうひと声安いといいのですが。

日時 2004/10/10
銘柄 シャンボールミュジニー70
ポマール76   
(ルモワスネ)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 信濃屋有料試飲
価格 1400円
感想 昨日に続いて信濃屋の有料試飲です。私のようなテイスティングジャンキー(造語)にとっては、歩いて15分の近隣にこのような店があるのは本当にありがたいことです。この日は前日に引き続いてルモワスネのバックビンテージ。しかも70年代の村名の赤という、なかなか興味深い試飲でした。
色調はどちらもエッジにレンガの色調が見えますが、なぜか、年代の若い76ポマールの方が退色が進んでいます。
まずは76ポマールです。 香りをかいでみると、赤系果実のリキュールやドライフルーツ、ダージリン、小梅、それに麦わらなど、ウエットな中にややドライな香りが感じられます。味わいは完全に古酒の領域で、透徹した果実の甘酸っぱい味わいが口の中に広がり、まるで梅酒のようです。力強さは最早なく、これから下り坂をくだってゆくような、そんなやや儚げな味わいでもあります。【89】
次に70シャンボールミュジニーです。いまや70年のブルゴーニュなんてなかなかお目にかかりませんが、これがまた良かったんですよ。ポマールよりさらに厚みのある香りは、赤い果実のリキュールやスパイス、紅茶、ミネラルなど。前銘柄で感じられたドライな雰囲気は全くなく、瑞々しく枯れた香りです。味わいはミネラリーで蜜のような甘い果実味があり、とても酸が綺麗です。エッジは丸く、引っかかるところが全くないまま、スルスルと口の中を通りすぎてゆきますが、その跡には豊かな戻り香の余韻を残します。76ポマールよりも明らかにこちらの方が若々しく、構造もあって、見事です。
【91】
ルモワスネの赤って、模範的であってもどこか面白みにかける気がしていましたが、今回の2本、ことにシャンボールはすばらしい熟成を遂げていて、わざわざ連休の合間に試飲に出かけただけのことはあると思いました。ちなみにこのシャンボール、1本買って帰ろうと思ったら、15kという値段を見て断念しました‥。ルモワスネも高くなりましたねえ。
日時 2004/10/9
銘柄 ピュリニーモンラッシェ・シャンガン93
シャサーニュ・モンラッシェ・クロ・サンジャン 94
(ルモワスネ)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 信濃屋有料試飲
価格 800円
感想 過去最大級の台風22号が東日本を直撃。いやあ、夕方の雨と風は確かにスゴかった。ところがこの台風、勢力は強いのだけど、暴風域が狭いとかで、夜の8時を回るころには雨も風も止んでしまいました。ちょうど少しばかり時間も出来たので、のこのこと信濃屋まで試飲に出かけることに。行ってみたら、なんと本館は雨漏りのため閉店ですと。こんなところにも台風の爪あとが‥。
ワイン館は無事営業していて、私と同じように「雨が止んだから‥」と言って試飲に来ていた女性もいました。
さて、この日のアイテムは古酒で有名なルモワスネ。赤も悪くないですが、私は白の方がいいと思います。今日の2本はあまり恵まれたビンテージのものではありませんが、その分熟成も早かろうという期待もあります。
色調はどちらも意外なほど若々しいイエロー。香りは93シャンガンは、カンキツ類や白桃、ミネラル、バニラ、それにナッティなニュアンスがあります。クロサンジャンの方はといいますと、白桃などのフルーツやナッツに加えて、もう少し熟成感があって、シャンピニオン系の香りがはっきりと感じられます。まず、93シャンガンから飲んでみますと、かなり酸が力強く、やや厳しくすらありますが、果実はそれほど凝縮されていないので、やや中間部が虚ろです。とはいえ、それなりのボディとバランスはあって、。含み香にキノコのような熟成香が感じられます。少し温度を上げて、時間をかけて飲んでやるといいかもしれません。【88】
クロサンジャンの方は、酸がシャンガンほど堅くなく、伸びやかで、果実のふくらみもこちらの方があって、近づきやすい感じです。こちらもほどよい熟成感がありますが、まだまだ果実味が若々しいところがルモワスネ・マジックですねえ。【88+】
両方飲み比べてみると、やはりビンテージの差で、94クロサンジャンの方に惹かれます。ただ、シャンガンの張り詰めた酒質はいかにもピュリニーらしく、良年同士で比較すれば、豊満だけれどもややあっけらかんとしたクロサンジャンより、シャンガンの方に良い印象を持つかもしれません。 ちなみに、クロサンジャンの価格は6Kを少し切る程度だとか。適度な熟成感を味わえることを思えば、なかなか高CPだと思いました。
日時 2004/10/1
銘柄 クロ・ヴージョ97(モンジャール・ミュニュレ)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 うきうきワインの玉手箱
価格 7800円(単体価格:実際はセットで購入)
感想 このボトル、「クロヴージョ飲み比べセット」と称して、ロベール・アルヌーの95年、フランソワ・ラマルシュの96年とのセットで販売されていたのを購入したものです。モンジャール・ミュニュレやラマルシュって、正直こういう機会でもないと、あまり触手の動かないつくり手だったんですが、それが「食わず嫌い」であることを再認識させてくれる1本でした。
色調は濃いルビーですが、エッジを中心に熟成のニュアンスが見えます。香りはカシスやラズベリー、オレンジの皮、甘草などのスパイス、それに心地よいスーボワ香がまざりはじめています。味わいはグランクリュらしい厚みがあり、じわじわと酸が迫ってきますが、豊かな果実がそれを覆っている印象です。タンニンはよく溶け込んでいて、酒質はやわらかくしなやか。 まだ成長しそうですが、今の時点でも十分に美味しく飲めます。あえて難をいえば、外向的な反面、やや陰影に乏しいというか、あっけらかんとしすぎている感じもしますが、それでもグランクリュにふさわしい味わいであることは確かでしょう。価格も穏当ですし。モンジャール・ミュニュレについて、私は以前、「よい作り手だが、無骨で垢抜けない」 というようなことを書いた記憶がありますが、こうして美しく熟成を遂げた姿を目の当たりにしてしまうと、ちょっと認識を変えなければならないな、と考えさせられました。
【91】