2004年9月

日時 2004/9/29
銘柄 ヴォーヌロマネ2000
(ダニエル・ボックネ)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 尾張一ノ宮河野酒店
価格 失念
感想 私が登場させていただいた「ワイン村」のサイトのインタビューでオススメ銘柄として出したつくり手。このドメーヌのオハコはなんといっても「ニュイ・サンジュルジュ・オーサンジュリアン」だと思いますが、実家のセラーにヴォーヌロマネもあったので、久しぶりに飲んでみました。
う〜ん、固いですねえ。現時点ではかなりギゴチない感じです。カシスやプラムなどの果実、ミネラルに加えて、華やかでスパイシーなニュアンスもありますが、赤身肉を思わせる初期的な香りも残っています。味わいはまだ蕾という感じで、かなりタニック。それでいて果実味が前面に出てこないので、苦いというかカラいというか、そんな味覚ばかりが目立ちます。こりゃアカンと思いつつ、冷蔵庫にあった白カビチーズをつまみにしてみたら、驚くほど味わいの印象がよくなりました。言ってみれば、苦いエスプレッソにクリームを入れて飲むようなものでしょうか。とにかくこれは食事と一緒に飲みたいワインですね。それもできればフランス料理店などと‥。
とりあえず、明日もう一度確認しようと思います。
【87?】
翌日:う〜ん、どうしたことでしょう?フィニッシュにエグミとドロンとしたやや醤油っぽいフレーバーが出るようになってしまいました。
日時 2004/9/26
銘柄 ジュブレイシャンベルタンV.V90
(セラファン・ペール・エ・フィス)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 ワインビッド
価格 55ドル
感想 これも月初に飲んだシュヴィヨンと同じくワインビッドものです。昨年の10月から11月にかけて購入したものですが、このとき一緒に落札したボトルたちは状態も含めて「アタリ」の確率が高かったので、このボトルにも期待がかかります。キャップシールをはがしてみるとかなり盛大に噴いた跡があって、ちょっとどうかなと思いましたが、グラスに注ぐと健全な良い香りが出ていて安心しました。色調は濃いガーネットで全般にオレンジがかって年月を感じさせます。香りは火を通したような赤い果実やシナモン、なめした革、紅茶、鉄など。鬱蒼とした森の下土というよりは、赤茶けた秋の大地を思わせるような香りです。味わいは90年らしいリッチなボディがあって、タンニンもよく溶け込んでいますが、強めの酸がややダレたような印象があって手放しで賞賛というレベルではありません。 値段や状態も含めてUSのオークションものとしては悪くないボトルだとは思うのですが‥。この作り手の場合、90とはいかなくても93や95、96あたりのバックビンテージは比較的容易に入手できるので、そちらもいずれ試してみたいと思います。
【89】
日時 2004/9/25
この日も信濃屋の有料試飲。ミシェル・マニヤンの02ビンテージだったのですが、子供を寝かしつけてから行ったら夜の11時過ぎにになってしまいました。ということで、これらのボトルは抜栓後半日経過していたものです。02年ぐらいの新しいビンテージですと、通常翌日ぐらいなら問題ないばかりか、むjしろ当日より開いてきて美味しくなってる場合すらあるので、全然問題ないかと思ったのですが、このとき試飲したボトルたちは残念ながら、ややヘタリが見えたように思われました。
銘柄 モレ・サンドニ・モンリュイザン02(ミシェル・マニヤン)
感想 紫色のニュアンスが際立つ、若く健全なルビーの色調。香りはトップノーズに上質なロースト香とミントのニュアンスがあり、回すとカシスやダークチェリー、紅茶、中国系のスパイス、それにややイオウ臭がある。味わいは肉厚な印象で、甘くトロリとした果実味をしっかりした酸が支えるが、フィニッシュにはやや収斂性を感じる。ジューシーな果実味とモダンなオークを中心に綺麗にまとまっている印象だけれども、無難すぎて面白みに欠ける気も。【87】
銘柄 クロ・ド・ラ・ロッシュ02(ミシェル・マニヤン)
感想 前銘柄よりも密度感のある、黒いフルーツと質感のあるロースト香。それにリコリスなどのスパイス。アルコール感も感じる。味わいはスパイシーな要素はむしろ控えめで、ジューシーでクリーンな果実中心のしなやかな印象。ただ、グランクリュとしてはいかんせん、グリップが弱く、抑揚に欠ける気が‥。【88】
  なんだか今回の2本はソツなくまとまっているのだけれども、面白みに欠けて、わざわざ夜中に試飲に行くほどでもなかったと、正直落胆しました。しかし、個人的にはミシェルマニヤンは気になっているつくり手の一人ですし、本来の実力はもう少し高いところにあるのでは、という気がします。以前抜栓直後に飲んだ01年のマニヤンは、やや厚化粧なオークと、時に過度なSO2によると思われる不快なニュアンスがあったものの、全般に洗練された印象深いなピノでした。たぶん抜栓後時間が経過して、前述のように少しヘタってきていたのでしょう。(それはそれで問題という気もしますが‥)
日時 2004/9/24
銘柄 Ch.ローザンセグラ78
産地 仏>ボルドー>マルゴー
購入店 信濃屋有料試飲。
価格 800円
感想 シャネルが買収する前の派手派手ラベルのローザンセグラ。個人的にはこういう押し出しの強いラベルは好きです。色合いは相当に熟成を感じるオレンジガーネットで、中程度の濃さ。エッジはレンガ色が見えます。香りは赤い果実のドライフルーツ、乾燥イチジク、ドライフラワー、枯葉など、ドライ系のきれいな熟成香が主体で、土っぽさはあまり感じられません。飲んでみると、線は細いおですが染み入るような味わいがあって、酒質の透明感とたっぷりの熟成感が魅力です。といっても果実味はそろそろドライアウトし始めていて、フィニッシュには乾いたタンニンと酸が少しばかり優勢になりますが、このボトルの場合はコンディションのよさがそれを補ってあまりあるといえましょう。リコルクかどうかは確認できませんでしたが、ボトル12Kと言う価格はそれなりに納得感がありますね。パーカーさんは74点しかつけていませんが、なんのなんの、かなりイケテる78ローザンセグラでした。
【89】
日時 2004/9/21
銘柄 ブルゴーニュ・ルージュ02(ジョルジュ・ルーミエ)
産地 仏>ブルゴーニュ
価格 3360円
感想 某所で購入した「フィネス」もののルーミエ。 某所と書いたのは、お店より「他のお客様の手前、 店名を出さないで欲しい」との依頼があったからで、 ルーミエ人気もここまで来たかかという感じです。(決して裏ルートや闇ルート?で購入したわけではないので、念のため。) ところでACブルゴーニュというと、雑誌のテイステ ィングでいろいろな作り手のものを試飲しましたが、上位 銘柄と並べて飲むと、すぐにそれとわかるほど酒質が貧弱 なものが多いなか、ルーミエ(と両デュガ)のそれは決して「廉価版」に終わらない存在感がありました。 では、良作と言われる02年はどうでしょうか? 美しいルビーで色調は濃いめ。香りはかなり初期的な赤身肉 や乾いたスパイスが中心ですが、時間とともにフレッシュな カシスやラズベリー、オレンジの皮などの果実香やフローラルな香りが開いてき ます。 口に含めば、豊かな果実味とじんわりとした酸があり、ひとことで言うと「甘酸っぱい」味わいです。 それほど表情は豊かではありませんが、強烈な旨み感とミネラル感は、いかにもルーミエ、という感じですね。ACブルとは思えないほど濃厚な分、透明感やクリーンな感じが 一歩後退しているような気もしますし、余韻もあっさりめで、あまり過大評価すべきではないと思いますが、下位銘柄であっても手を抜いたようなところがなく、ルーミエ節がきっちりと感じられる点は好感が持てます。もっとも、ルーミエにそれほど思い入れのない人にとっては、3000円を超える価格帯なら、他にも選択肢はいろいろと挙がりそうですが‥。
とまあ、なんだか誉めているのかけなしているのかわからなくなってしまいましたが、個人的には「買い」銘柄なのは間違いありません。ルーミエのグランクリュやプリミエクリュとなると、なかなか気軽には開けられませんが、この位の価格であれば、日常の夕食の伴侶としてもまあ許せる範囲ですしね。
【88】
日時 2004/9/18
銘柄 Ch.ディケム93
Ch.ディケム96
産地 仏>ボルドー>ソーテルヌ
購入店 信濃屋有料試飲
価格 2500円
感想

3連休の初日。明日は墓参りの予定なんですが、夜になって上の子が発熱。耳が痛いといってるので、ひょっとしたら中耳炎?それとも口の中や鼻に発疹がある ところをみると、手足口病でしょうか‥。なんでこう、連休のときに限って具合 が悪くなるんですかねえ。まあ、病院には明日連れてゆくとして、この日は子供が二人とも早々と寝てくれたので、信濃屋の有料試飲に行ってみました。ディケムって結構飲んでいる気がしているんですが、飲んだ時の印象が強いから記憶に残るだけということらしく、調べてみると実際はそれほど飲んでないようです。前回飲んだのはいつかといえば、昨年の藤小西さんのパーティで86を飲ませていただいて以来です。
というか、考えてみれば、過去にも現在も、ディケムのボトルを自分で購入したり保有したことって一度もないんですなぁ。ちゃっかり飲ませていただいてばかりです。あはは。

ということで、今回の93年と96年。どちらのグラスも輝きのあるイエローで黄金色がかっています。それほど差はありませんが、96の方が全般に濃いめに感じられます。香りはかなり異なっていて、93が紅茶アメやフルールタルトのような甘く茶色い色をイメージする香りが全開なのに対して、96はまだひんやりとした印象の白いフルーツのコンポートやビニールのようなニュアンスがあります。味わいはどうでしょうか?93はソーテルヌにとっては不作の年と言われていますが、そこはさすがディケム、きっちりと作っています。濃縮された甘みとしっかりした酸とのバランスがよく、甘いのに後に残らずにサラリとしたテクスチャーが見事です。【92】
さて、単体で飲めば十分すばらしい93ですが、96と並べて飲んでしまうと、やはり96の方に断然惹かれます。 果実の厚みと凝縮感が一回り以上上を行く感じで、ピントがピタリとあったようなクリアな味わいがすばらしい。ただ、さすがに96についてはまだ早い、という印象は否めず、そういう意味では、(値段次第ですが)、今飲むなら、中程度なまとまりとそこそこ熟成感のある93の方が飲みやすいという判断もあるかもしれません。【95】

日時 2004/9/17
銘柄 モレ・サン・ドニ98(デュジャック)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 やまいち
価格 4800円
感想 週末にあけるのに手ごろなワインがなくて、実家のセラーからゴソゴソと探し出してきたこのボトルは、3年以上前にやまいちのセールの際に購入したものです。自分のサイトを検索してみると、2本同時に買ったうち、1本はかなり以前に飲んでましたが、このころは点数をかなり辛めにつけていたので、今の基準でいうと、87点ぐらいのイメージだったと思います。まあこのサイトの点数なんていい加減につけているので、参考にもなりませんが。
やや濃いルビーで、エッジはオレンジが見え始めてかなりやわらかな色調になってきています。香りは、ラズベリーやオレンジの皮、シナモンなどのスパイス、茶碗蒸し、それにややミルキーなニュアンスもあります。芳香力自体はさほど強いとはいえませんが、辛抱強く飲んでいるとだんだんと香りが開いてきます。味わいはアタックに力強い果実味が感じられて、広がりや旨み感も十分にありますが、中盤から後半にかけて苦味や木質的なニュアンスが強くなって、ちょっと雑然とした印象が残ります。近年のデュジャックって、どうも味わいの均整がとれていないというか、ギクシャクした印象を感じることが多いので、このボトルもそのクチなのかもしれません。加えてこのボトル、決して劣化とまでは言いませんが、このイガイガ感は、正直あまり丁寧に扱われなかったんじゃないかという気もします。いずれにしても、和風だしにも似た旨み感とミルキーな樽との繊細な調和がこの作り手の持ち味だなだけに、このボトルの後半の雑味感はかなり印象をスポイルしてしまいますね。ちょっと残念なデュジャックでした。
【87】
日時 2004/9/11
久しぶりのワイン会。不定期更新コラムにて。

日時 2004/9/8
銘柄 クレマン・ド・ブルゴーニュ
(ミシェル・コラン・ドレジェ)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 ファインワインクラブ
価格 1950円
感想 朝夕だいぶ涼しくなってきましたが、まだまだ日中は30度オーバーの日も多く、暑いですね。それにしても今年の夏は猛暑、地震、台風、噴火と天変地異のオンパレードでした。大地震とか来なければいいですが‥。さて、この日開けたのは著名なシャルドネの作り手によるクレマン・ド・ブルゴーニュ。共同購入で1950円と安かったので 2本購入してみました。やや薄めのゴールドの色調で気泡は細かく上品。香りはグレープフルーツ、柑橘類、白い花など さわやか系です。口に含むと、シャンパーニュのようなコクや深みはありませんが、果実味と酸のバランスがよく、 心地よくジューシーな味わいに仕上がっています。変に作りこんだところがなく、 食事の邪魔をしないし、スルスルと飲めるのがイイですね。 2000円以下のスパークリングとしてはかなり満足度は高いと言えましょう。【87】
日時 2004/9/5
銘柄 ニュイサンジュルジュ・レ・カイユ90
(ロベール・シュヴィヨン)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 ワインビッド
価格 60ドル
感想 さてさて、昨年末に落札した一連のワインビッドものも残り少なくなってきました。この日開けたのは個人的にもっとも 期待していたロベールシュヴィヨンの90年です。こういう銘柄のバックビンテージは値段がどうこうという以前に市場ではなかなかめぐり合う事が出来ませんから。 コルクがかなり下がってしまっているのが不安でしたが、抜栓してみると問題はなさそうなばかりか、コルクを抜いたとたんに すばらしいブーケが部屋に漂い、お、これは良さそうだと思わせてくれました。 色調は濃厚ですが、かなりエッジにオレンジが見えます。香りはカシスやブラックベリーなどのリキュールや黒蜜、湿った黒い土 などの非常に心地よいもの。過去に若いビンテージばかり飲んできたシュヴィヨンですが、10年以上寝かせればこんなにすばら しい香りになるのかと改めて実感させてくれました。 味わいは90年らしい豊満な果実感と酒肉の厚さがあり、熟したフルーツにミルキーなニュアンスが絡んで熟成した魅力たっぷりです。ただ、悪く言えば ややドロンとした印象で、構造の力強さに欠ける感もあります。フィニッシュにはやや酸が支配的になって(私は気になりませんでしたが)、カミサンは 酸っぱいと言ってました。 とはいうものの、全般には熟成したブルのよさを十分披露してくれた1本であり、ワインビッド仕入れであることと価格を思えばアタリといってよいボトルでしょう。
【91】
半分残したのですが、さすがに翌日はヘタッてしまってました。初日にムリしてでも飲んでおけばよかった。
日時 2004/9/3
銘柄 サヴニエール02
サヴニエール・ロッシュ・オー・モワンヌ・クロ・ド・ラ・ベルジュリー02
サヴニエール・クロ・ド・ラ・クーレ・ド・セラン
(以上ニコラ・ジョリー)
産地 仏>ロワール
購入店 信濃屋有料試飲
価格 900円
感想

子守り以外特に何も予定のない週末、近所の信濃屋の有料試飲は何をやっているのかと調べてみると、 ニコラ・ジョリーの水平試飲という、これまたマニアックな企画でした。 ニコラ・ジョリーといえば、今流行?のビオディナミの先駆者であり教祖的存在。彼の作るクーレ・ド・セランは特に有名ですが、中位クラスのロッシュ・オー・モワンヌ・クロ・ド・ラ・ベルジュリー はなかなかお目にかかることのない銘柄です。畑名なしのサヴニエールも含めて、上位銘柄とどれほどの差があるのかなど興味深くいただきました。
まず、 どのグラスも共通して感じるのは、黄色い花の蜜のような甘く濃縮感のある香りです。カリンや洋ナシなどの果実香はみずみずしいというよりは 火を通したコンポートのような印象で、それに強烈なミネラル感が加わります。味わいは3本とも共通項の多いものでした。下位のサヴニエールは さすがに上位銘柄と比べるとやや散漫で薄っぺらな感じがしますが、単体で見ればバランスよくまとまっていて十分な凝縮感もあり、コストパフォーマンスは良好と言えましょう。【88】
これがロッシュ・オー・モワンヌ・クロ・ド・ラ・ベルジュリーになると酸の鮮やかさや果実感が急にレベルアップする感じです。目鼻だちのクッキリした印象の力強い白で、1000円程度の差ならこちらを選んだ方がいいかなと思います。【90】
ロッシュ・オー・モワンヌがこんなにすばらしいならクーレ・ド・セランはどうなってしまうのだろうと思いましたが、こちらは明らかに まだ早いですね。テクスチャーがなめらかなため、逆にスルスルと飲めてしまい、閉じこもりがちな香りとあいまって、クロ・ド・ラ・ ベルジュリーほどの迫力を感じません。しかし、じっくり飲むと中盤からの味わいの表情の豊かさなど、もっと繊細で緻密なワインという印象です。 この銘柄はやはり熟成させたいところですね。今飲むなら下位銘柄の方が素直に美味しく飲めるかもしれません。【90】
ちなみに私も熟成させたニコラ・ジョリーを何度か飲みましたが、あたりはずれが大きいというか、傷んでいるものが結構多いように思います。コンディションのよいオールドビンテージは言葉を失うほどすばらしいのですが。こういう銘柄はリリース直後に買って、大事に自宅などで寝かせておくのが いいのかもしれません。