2003年4月

日時 2003/4/29
世はGW、今日は友人宅にて自然発生的なミニワイン会。
いろいろ飲んだけれど、とりあえず感想は以下の3本のみ記します。
 
銘柄 ムルソー・ペリエール98(コシュ・デュリ)
コメント

98のムルソーについては、にしかたさんが面白い説を唱えているので、実際どうだろうかと興味を持って飲んでみた。このボトルは知人がフランスで買い付けたものとのことで、コンディション的にはおそらく国内で手に入る中でも極上の部類だと思う。
充実したイエローでグリーン系のニュアンスはほとんどない。香りは意外にもトップノーズにキノコや麝香のような熟成香がモワッと漂う。しかし回しているうちに青リンゴや柑橘類、バニラ、ミネラルなどの心地よい香りになる。味わいはパワフルとか凝縮感に満ちたというタイプではなくて、伸びやかな酸を中心に、整然とまとめられた、抑制された美しさを感じる。かなりの時間をかけて飲んだが、最後までダレることはなく、だんだんとナッティーなフレーバーやふくらみも出て、外向的な一面すら見せ始めた。さすがコシュデュリ、よく出来たすばらしいワインだと思う一方で、当初の熟成香や、あまりにもよく開いていて美味しく飲めてしまうことが逆に気になる。村名ならまだしも、ペリエールが現時点でこの味わいというのは確かにおや?と思わないでもない。1本だけでは判断できないが、氏のおっしゃるとおり、98のムルソーって、長熟タイプではないかもしれない。【92】

銘柄 コートロティ・ムーリンヌ81(ギガル)
コメント 私が持参したボトルだが、当日持込みのため、全般にどんよりと濁っていたのが残念。81年のコートロティは、84年や93年と並ぶ不作年とのことだが、さてどんなもんだろうかと。最初ボトルが冷えすぎていて、ギスギスと枯れかけた印象が強調されてしまったが、温度が上がるとともに、スーボワの中から香水のような華やかな香りが現れはじめて、味わいも丸みを持ち始めた。と言っても、さすがにピークを超えており、よく言えば熟成してやさしくなった、悪く言えば、ピンボケのような焦点の定まらない味わい。そんな中にもそこはかとなくミルキーなフレーバーが感じられたのが面白かった。【89】
銘柄 ブリュワークリフトン・メルヴィルヴィンヤード2000
コメント サンタバーバラの作り手で、今注目を浴びているのがここ、ブリュワー・クリフトン。まず感じたのは、とてもスパイシーだということ。白胡椒などのスパイス、ちょっと火を通したような赤い果実、ミネラル、赤身肉。時間と共に心地よいオークの香りがこれに加わる。口に含むと、高めの酸が構造を支配しているせいか、各要素が充実していながらも酒躯は重々しくならず、タンニンもよく熟して溶け込んでいる印象。果実味は甘く濃縮されており、しかも旨み感もたっぷりとある。これは実に印象的なピノ。今でもすばらしいが数年待つとさらに大きく化けそうだ。【92】
  みなさま、どうもご馳走さまでした。

日時 2003/4/25
銘柄 カレラ・リード97
産地 米>カリフォルニア
購入店 やまや赤坂店で購入後約3年セラー保管
価格 7984円(セールにて)
コメント 濃厚なルビーだが、エッジはオレンジの色調。 香りはシロップに漬けたイチゴやラズベリーなどの鮮烈な果実香、シナモン、 ミネラル、白胡椒、それにやや熟成を感じるジビエっぽいニュアンス。 口に含むと力強い味わいで、濃縮した果実味と伸びやかな酸と、まだまだ 手ごわいタンニンとが拮抗している。目鼻立ちのクッキリしたピノで、豊かな 果実味のため、今でも飲めるが、各要素がこなれていない印象が強く、 もっと熟成させたいとの想いを強くもたせる。 それと状態の問題か、フィニッシュに苦味をやや強めに感じるのが珠にキズ。カリフォルニアのDRCなどと呼ばれて久しいカレラだが、たしかにシナ モンのフレーバー豊かな腰の強い香りは、DRCを彷彿させるものがある。 しかし、味わいについては、良くも悪くも「彫りの深い」顔立ちのピノという印象で、ブルゴーニュでよく似た作り手はちょっと 思いつかない。 【89】

日時 2003/4/24
銘柄 シャトー・ヌフ・デュ・パプ95demi(E・ギガル)
産地 仏>コートデュローヌ
購入店 ウメムラ/ラック
価格 980円
コメント 2月に飲んだものと一緒に購入したボトル。感想も概ね一緒。ジャミーな熟した赤黒い果実、腐葉土、ドライハーブなどの熟成した香り。味わいもほどよくこなれているが、このボトルは果実味がかなりヘコんでいて、木質的なフレーバーと乾いたタンニンがフィニッシュに目立つ。ややコンディションに危うさを感じないでもないが、95年のハーフということを考えるとこんなものなのかもとも思う。なによりもこの位の価格のハーフというのは、思い立ったときに気軽に開けられてイイ。
【85】

日時 2003/4/22
銘柄 シャルムシャンベルタン2000
(アルマン・ルソー)
産地 仏>ブルゴーニュ
感想 決して濃厚とまではいかない落ち着いた色調のルビー。赤い果実や鉄、ミネラル、紅茶など、まだ複雑さは出ておらず、初期的な香り。口に含むとこの作り手の常で、色調からは想像できないような充実した果実味がクリーンな甘味と心地よい酸を伴って広がる。タンニンは穏やかで、今すでにバランスよく飲むことができる。ルソーのシャルムシャンベルタンはグランクリュとはいえ、彼のラインアップの中では、シャンベルタン、クロドベーズ、クロサンジャック、それにリュショットシャンベルタン次ぐ中堅どころの位置付け。いくつかのビンテージを飲んだが、正直、上位3アイテムに比べるとかなり落ちる印象は否めない。まあ値段も1.5〜2倍違うわけだから、適正といえば適正価格なのかもしれないが。10年20年というスパンで向上しつづけるとも思えないので、適度なタイミングをみはからって飲んでやるのがワインにとっても買った人にとっても幸せだろう。【88】

日時 2003/4/20
銘柄 プイイ・フュッセ・レ・クレイ・V.V2001
(ダニエル・バロー)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 銀座屋酒店
価格 2980円
コメント 2001年のブル白の評判はまだ耳にしていないが、まずはトップバッターにマコン地区のハイCP銘柄を飲んでみた。やや黄緑がかった濃い色調のイエロー。熟したグレープフルーツや黄桃、ミネラル、それに控えめなバニラ香。味わいはミネラリーで、厚みのあるよく熟した果実味をエッジの丸い、それでいて豊かな酸が支えている。豊満でかつ構造のしっかりした酒躯はさすがといえるもの。2000年のダニエル・バローはもっと酸が溌剌とした印象があったが、01年のこのボトルは全般に落ち着いていて、それでいて果実も十分凝縮しており、こちらはこちらで悪くない。それにしてもこれだけの銘柄が3千円未満で買えるというのは実にお買い得だ。 …って、去年も全く同じこと書いたような気が…。【90】

日時 2003/4/18
銘柄 モレ・サンドニ・クロ・ド・ラ・ビシェール90
(G・ルーミエ)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 ワインビッドUSA
価格 120ドル
コメント 今日は○度目の結婚記念日ということで、結婚した年のワインを飲もうと思って探したものの、家のセラーには在庫なし。ではここはひとつ、代打の切り札を、と以前ワインビッドで落札したルーミエを開けてみた。このときに一緒に落札したロットは、悉く状態が悪かったので、このボトルも正直あまり期待はしていなかった。キャップシールをとると案の定噴いた跡。グラスに注ぐと一瞬イヤな香りがして、ああこれもダメか、と思ったが、少しスワリングしていると、不快な香りは飛び、リキュール状の黒い果実、黒い土、スーボワなどの、熟成途上にあるピノの心地よい香り、そして時間と共にバラの香水のようなゴージャスな香りも立ち上ってきた。味わいは90年らしく、果実味が実に豊かで酸度が低めのグラマラスな仕上がり。ただ、やや全般に凝縮度に欠けるのと、酸がのっぺりしすぎているところがあって、「ルーミエ×90年」という期待値に対しては満額回答とまではいかない。(たぶんコンディションのせいだと思う。)まあそれでも、このところハズレ続きですっかり購入意欲を失っているワインビッドで、そこそこまともなボトルにあたっただけで今回はよしとしたい。【90】

日時 2003/4/16
銘柄 マッキオーレ・ロッソ99
産地 伊>トスカーナ
購入店 尾張一宮河野酒店
価格

3680円

コメント メッソリオやスクリオ、パレオ・ロッソで知られるマッキオーレ。「マッキオーレ・ロッソ」は普及版のラインで、品種はサンジョベーゼ主体。色調は中心が黒みがかった濃厚なルビー。香りはよく開いており、カシス、ブラックチェリー、土、スパイス、それにジビエなどが入り混じって、複雑さを醸し出している。香りのすばらしさから味わいにも期待したが、残念ながらこちらは今一歩で、豊かな果実味と高めの酸に対して、乾いたタンニンとワラのようなひなびたフレーバーが目立つ、やや野暮ったい味わい。決して悪くはないし、熟成したブリー・チーズにもよくマッチしたが、値段を考えるとやや中途半端な印象はぬぐえない。もう一本買うかと問われれば、私なら、次回はもう少し余分に払ってパレオロッソを購入するか、2千円台位のキャンティ・クラシコなどを探したいと思う。【86】
翌日:香りは失われたが、タンニン溶け込んで飲みやすくなった。

日時 2003/4/15
銘柄 モレ・サンドニ2000
(ユベール・リニエ)
産地 仏>ブルゴーニュ
購入店 東急/ラック
価格 4200円
コメント エッジにややピンクがかったルビーで、色調は濃いめ。赤と黒の中間位の果実、スミレ、黒土、オークなどが入り混じった香り。口に含むと、じんわりとやわらかい果実味のアタックの後、伸びのあるクリアな酸が広がる。旨み感に富んだ果実味は好ましいが、酸にややエッジがあって、よく言えば目鼻立ちのクッキリした、悪く言えばエレガントさに欠ける仕上がり。…と言っても、あくまでユベールリニエにしては、だけれども。タンニンはなめらかなので、今でもすでに飲めるが、価格なりの味わいを堪能するには、もう数年寝かせて、アタリがやわらかくなるのを待った方がよかったかもしれない。ユベール・リニエは好みの作り手だけど、小田急ハルクの閉店3割引きセールで買ったものを何本か飲みつづけてきた後だと、正価はちょっと高いなあ、と感じてしまう。【87】

日時 2003/4/5
銘柄 レ・クーポレ・トリノーロ2000
産地 伊>トスカーナ
購入店 5980円
価格 尾張一宮河野酒店
コメント テヌータ・ディ・トリノーロのセカンド的位置付けのワイン。 セカンドといっても、セパージュがかなり異なっており、例えば2000年のトリノーロがカベルネソーヴィニヨン主体なのに対して、こちらはカベルネ・フラン78%、メルロ11%、チェザーネ6%、トロイア5%。黒みがかった濃厚なルビー。非常に密度感のある、黒い果実のコンフィ、八角などのスパイス、ユーカリ、墨、コーヒーなどのめくるめくような香り。味わいは噛めるような凝縮感がありながらも、キリリとした美しい酸のバックボーンにより、単にファットで重たいワインに陥らずに、メリハリのある味わいに仕上がっている。これだけ濃縮されていながら、どこかまったりした雰囲気すらあって、今の時点ですでに美味しく飲めるのは、カベルネフランのなせる業か。時間と共に藁のようなフレーバーと乾いたタンニンがやや顔を出すとはいえ、そのレベルの高さは、これがセカンドとは信じられないほどだ。2万円を超えるファーストラベルはおいそれとは買えないが、こちらは6千円前後。ネットで見かけても買わないでください。私が買い占めますから。(^^;
【93】ちなみにこのワイン、ブラインドで出すと回答者を悩ませること請け合い(^^;

日時 2003/4/3
銘柄 シャトー・グィオー2001
産地 仏>ラングドック>コスティエール・ド・ニム
購入店 Wassy's
価格 1500円
コメント 1000円台ながら、R・パーカー氏が90点をつけたというバリュー銘柄。私は日ごろパーカーさんの評価については大いに気にしているし、信頼もしているのだけど、そこは人間の嗜好、たまに全然異なる印象を持つこともある。この銘柄などはその良い例で、私には青臭く、ジャミーでシンプルな、よくありがちな南仏のデイリーワインにしか思えないのだが…。まあ、とりわけ私がこの手のジャムっぽい味わいを苦手にしているということもあるのだろうけれども。
【84】