2002年9月

日時 2002/9/29
銘柄 Ch. パプ・クレマン99
産地 仏>ボルドー>グラブ特級>ペサックレオニャン
購入店 エノテカ
コメント

パプ・クレマンにはあまり縁がないのか、だいぶ前に71年を飲んで以来、一度も口にしていない。85年以降力を取り戻してきたと聞くが、さて実力のほどは…。
濃いルビーで、エッジはまだ赤紫色。香りはブラックベリーやカシスのコンフィに、かすかなユーカリ、スパイス、それに土っぽい芳香。口に含むと、甘く豊満な果実味をしなやかな酸とベルベットのようなタンニンがよく支え、エッジの丸い、どこまでもなめらかな味わい。 フィニッシュも調和が取れており、余韻も長く、今の時点で実に美味しく飲めてしまうことに戸惑いすら覚える。時間が経過すると、ポムロールあたりを思わせる甘く官能的な味わいになる。よい意味でフローラルなフレーバーに満ちた、秀逸なボルドー。熟成すればまた違った表情を見せてくれるのだろうけど、それまで待たずに飲むのもまた一興。【92】

日時 2002/9/26
銘柄 モンタニィ・レ・ブルナン00
(キャリィ・ポテ) 
産地 仏>ブルゴーニュ>モンタニー1級
購入店 銀座屋酒店
価格 2180円
コメント 濃厚なイエローで輝きのある色調。熟したグレープフルーツやパイナップル、ミネラル、バニラなど、分厚く南方系をイメージする香り。口に含むと、芯に蜜のような甘味を持った濃厚な果実味の第一印象。開け初めは酸が緩く、構成が平板に感じられたが、時間の経過とともに、不思議とバランスがとれて豊かな印象になった。後半はやや苦味が加わって、味わいが単調になるのを防いでいる。どちらかというとコッテリ系のシャルドネだが、例えば新世界のよく出来たもののような目のつまった感じはない。宣伝文句の「コント・ラフォンと間違えられた」云々はというのはともかく、2000円前後の価格帯としては、たしかによくできていると思う。2000円台後半になれば、ライバルは数多くいそうな気もするが、このクラスで500円という価格差は大きなアドバンテージなんだろう。
【87】
追記: 2日後まで香りと味わいを保っていたのは立派。
日時 2002/9/25
銘柄 エシュゾー99
(ドメーヌ・ギュイヨン)
産地 仏>ブルゴーニュ
輸入元 やまいち
コメント 濃厚なガーネットの色調ながら、エッジはやや緩んだピンクになっている。香りは、ドライな黒い果実、ロースト香、腐葉土、なめした皮や血、枯れ葉など。口に含むと厚みのある濃厚な果実味に驚かされる。酸がタンニンがという以前に、まるでボルドーかローヌを飲んでいるような錯覚に陥ってしまうような酒質。ただ、その分透明感が欠如しているというか、なんとなくドヨンとした印象も免れない。話題のドメーヌなので、もっと現代的な作りをするところかと思ったら、思いのほか洗練されてないというか朴訥な作りだったのが意外。まあ、数あるブルゴーニュのドメーヌの中で、こういう生産者がいてもいいとは思うけど、巷で騒がれるほどのものだろか?【89】
日時 2002/9/22
銘柄 サンジョゼフ・ル・プリウレ2000
(J・L・コロンボ)
産地 仏>コート・デュ・ローヌ
購入店 銀座屋酒店
価格 1550円(特価)
コメント

前回のクルビスからの流れで、本家のコロンボのサンジョゼフを開けてみる。う〜ん、1550円という買値を考えると文句は言えないのだけど、コロンボの名前を冠するからには、もう一声頑張って欲しいと思ってしまう。色調は濃厚なんだけど、香りがいかんせん青っぽい。ピーマン、青野菜、生のカシスやブルーベリー、スパイス。味わいは柔らかくなめらかな果実味はあるのだけど、中盤の広がりや余韻に乏しく、比較的若くして飲むべきワインという印象。しかし、若くして飲むには、この青臭さがどうも…。というわけで今回はクルビスの勝ち。…って、ビンテージも全然違うのに勝ち負けもありませんが。
【84】


2002/9/21 Burgandy Night 17 今回はルーミエ垂直。

日時 2002/9/17
銘柄 サンジョゼフ・レ・ロワ98
(ドメーヌ・クルビス)
産地 仏>コート・デュ・ローヌ
購入店 信濃屋
価格 1980円
コメント クルビスはコルナスの作り手だが、生産量のほとんどを占めているのはサンジョゼフだそうだ。このドメーヌはまた、エノロジストとしてJ・L・コロンボを雇っていることでも知られている。濃いルビーでエッジは紫の色調。香りはシロップにつけた黒系果実、黒コショウ、甘草、オーク、ハーブ、やや青物っぽいニュアンス。味わいはやわらかな果実味の第一印象。凝縮感は強くないが、心地よいチャーミングな広がりがあって、オークもきれいに効いていいる。一方で、中盤以降酸がやや強めに出るのと、フィニッシュはスパイシーさを通り越してややイガイガした印象になるのが残念。それでも、コロンボ氏の影響もあるのか、予想していたよりずっと洗練された味わいだったし、機会があればぜひこの作り手の看板銘柄であるコルナスをぜひ試してみたいと思った。
【86】先日信濃屋で投売りしていたんだよな〜。買っておけばよかった。ブツブツ。。
日時 2002/9/16

1本目

ボーヌ・クロ・デ・ムーシュ(ルージュ)86
(J・ドルーアン)
感想 ワインビッド落札ボトル。
ひとこと。死んでました。
「ボーヌ・マル・デ・ショーユ」。(^^;
【--】
2本目 ニュイ・サンジュルジュ・オー・プリュリエ90
(ダニエル・リオン)
価格

11800円(優心美酒SHIMURA/INA)

感想 上のボトルが死んでたので、急遽開けたんだけど、う〜ん、これもイマイチでしたねえ。
エッジにオレンジがかった濃いめのガーネット。黒系果実のリキュール、スーボワ、粘土。味わいは、やや枯れた果実味の第一印象。酸が乏しく、コクもなく、全般に平板な構成。そしてフィニッシュには濁ったエグミというか苦味が口中を満たす。90年という良年、そしてダニエル・リオン、これが実力とは到底思えない。どこかで不幸な境遇にあったボトルなのだろう。(購入ショップ、インポーターともに評判のよいところなんだけど…)カミサンに飲ませたら、「これが1万円のワインとは信じられない!」と憤っていた。それにしても、こうして2本続けてハズれをひいてみると、ある程度年数を経たピノの難しさというものを実感しないわけにはいかない。【82】
 
日時 2002/9/13
うえはらさん主催「オージーワイン会」at 房’S銀座店。
銘柄

ペンフォールズ・ヤッタルナ96
kodairaさん差し入れ。バニラ、パイナップル、トロピカルフルーツなどのよく熟した香り。口に含むと甘く凝縮した果実味とともにショッパイぐらいのミネラル感が感じられる。厚みのあるワインだが、酸も豊かなため、コテコテにならずにきれいにバランスがとれている。以前飲んだときに比べると、ぐっと洗練された印象を受けたが、これも時間のなせるワザだろうか。

バタールモンラッシェ88(アントナン・ロデ)
K氏差し入れ。トップノーズから各種のキノコのような熟成香。時間とともに火を通した果実のコンポートやモカッぽいフレーバーが立ち上がる。酸は丸く、酒質はどこまでもなめらか。当初は88にしてはやや枯れているかな、と思ったが、時間とともに円熟した果実味が前面に出てきた。

ヌーン・シラーズ・リザーブ98
ヌーン・カベルネソーヴィニヨン・リザーブ98


この2本を並べて飲むことができたのは私自身貴重な経験になった。
シラーズは、とにかく濃厚。それでいて外向的。焼き栗、シナモン、シイタケなどに加えて、黒トリュフが妖艶に漂う香りの妖しさは本日ナンバー1。味わいは果実味の凝縮したアタック。厚みがありながら、決して険しくならない点はオーストラリアの一流シラーズに共通する美点だと思う。【92】
カベルネの方は、黒い果実のコンフィ、ユーカリ、スパイス。甘くトロリとした果実味と高密度感はさすがだが、 全般にまだ硬く閉じこもった感が強く、飲み頃は先の印象。シラーズのようなグラマーさはないが、代わりにピタリと焦点のあったような均整のとれたプロポーションがある。【91】

トルブレック・ラン・リグ97
うえはらさんが、なんと、当初予定していた「ステディング」と間違えて間違えて持参した、というもの。こんなめぐり合わせでトルベレックのフラッグシップを飲めるとは幸せです。そして、 こいつはウワサにたがわず、スゴかった。
シロップに漬けた黒い果実、ユーカリ、ドライハーブ、それに焦がしたオークやファンデーションのような甘い香り。口に含むと、フローラルで表情豊かな果実味が甘く広がる。タンニンはヴェルベットのようになめらかで、そのため濃厚でありながらテクスチャーはあくまでジューシー。前半のアタックだけでなく、後半にグイグイと豊かなフレーバーが広がるところが見事。余韻の長さもすばらしい。誰かが言ったように、まさに「フルーツ爆弾」。我が家のセラー用にも一本欲しくなった。【95】


トルブレック・ディシェンデント98

ヴィオニエの絞り粕の上で発酵させた100%シラーズを用いて作られる銘柄だとか。黒い果実や焼き栗、甘草、その奥からトリュフやじゃこうっぽい妖艶なニュアンスが。 口に含むとあふれんばかりの果実の豊かな、それでいて落ち着いたアタック。ぶ厚い果実味を張りのある酸となめらかに熟したタンニンが支え、濃厚で大きく、それでいて均整のとれた酒躯をみせる。ラン・リグより繊細さでは一歩譲るが、こちらの方が特に前半の厚みがあってグラマラス。5000円前後の価格差を考えると悩ましい選択となりそうだ。【94】


クラレンドンヒルズ・アストラリス98

以前はやまやでそこそこ安く買えたアストラリスだが、今やすっかり手の届かないワインになってしまった。
黒系果実に加えて、ジビエ、革、それに時間とともに焼き栗やバニラが立ち上る。 味わいはやわらかく、甘く、バニラのフレーバーに彩られた果実味。きれいに伸びる酸と豊かできめの細かいタンニンがそれを支え、濃厚なのに、ジューシーでどこか温かみのある酒質だ。力強さとエレガントさを高次元で両立させている秀逸なシラーズ。ただ、この安っぽいラベルは、なんとかならないものだろうか。。【94】

この辺から、本格的に酔いが回ってきたと思ったら…

マックスウエル・ライム・ケーブ・CS98
すみません、メモとり忘れてました。 (^^;

ノーブル・ワン93
濃いアンバーの色調。干しアンズやママレード、紅茶アメ、それにビニールのようなニュアンス。甘く濃厚な果実味は香りから想像するほどボッテリはしておらず、酸がしっかりとバックボーンにあるので、この手のワインとしてはむしろ軽快な部類に入るかもしれない。ただ、その分、フィニッシュや余韻もややあっさりしすぎているような気がしたけれども…。ちなみに品種はセミヨンとのこと。

感想 あまりHPに登場こそしないが、オーストラリアは私の贔屓の産地のひとつだ。今回のワイン会では、特にトルブレックの2本とアストラリスのすばらしさに感銘を受けた。おそらくどちらも世界最高峰のシラーズといってよいだろうし、グランジやヘンシュケだけが豪州を代表するワインじゃない、という事実を目の当たりにした思い。ヌーンはパーカーさんの高評価を思うと、やや実力を発揮し切れてないようだったが、それもトルブレックやアストラリスと比べてのこと。単体では十二分にすばらしいものだった。差し入れということで評点こそつけなかったが、白の2本もすばらしいものだった。うえはらさん、参加者のみなさん、どうもありがとうございました。

日時 2002/9/11
銘柄 ムルソー・ティエ 2000
(ヴェルジェ)
産地 仏>ブルゴーニュ>ムルソー村
輸入元 八田商店
コメント 濃いめのイエローながら、まだ全般に黄緑がかっている色調。香りは黄桃、トロピカルフルーツ、バター、ナッツ、バニラなど、かなりコッテリ系を予想させるもの。しかし口に含めば、きらびやかで豊かな酸があって、単調なシャルドネに陥っていないところがさすがヴェルジェだ。果実味はよく凝縮していて立体的な広がりがあり、表情豊かな酒躯。フィニッシュにもみずみずしい果実味が感じられ、余韻も村名とは思えない長さ。オークのフレーバーがやや過剰な気もするので、ほんとは数年待った方がよいのだろうけど。3日に亘って楽しめたのは、まだ若いからというだけでなく、インポーターやショップの品質管理もよかったからだろう。【90】

日時 2002/9/7
久しぶりに東急本店で有料試飲。
銘柄 ピュリニー・モンラッシェ・シャンカネ2000
(ルイ・カリヨン)
感想 グリーンがかった中程度のイエロー。柑橘系のよく熟した果実、洋ナシ、ミネラル、花の蜜。味わいは伸びやかな酸のアタックに続いて、甘く蜜のような凝縮感を持った果実が広がる。といっても酒質は全般に引き締まった印象で大きくはなく、やや硬さも感じるが、数年待てば花開きそう。もっとも私だったら辛抱できずに早々に飲んでしまうだろうけど。【89】
 
銘柄 エシュゾー2000(ロベール・アルヌー)
感想 私の贔屓のアルヌーだが、このエシュゾーはイマイチですねえ。シロップに漬けた赤系果実、スパイス、それに還元的なジビエ香。口に含むと赤い果実の甘くピュアな味わいが健在なんだけど、良年に比べるとやや厚みに乏しく、豊富で乾いたタンニンが、せっかくの繊細なテクスチャーを皮膜のように覆っているのが残念。寝かせばある程度解決するのだろうけれども、バランス的にタンニンがかなり勝っている印象があるので、はたしてどうだろうか。【88】
 
銘柄 クロ・ヴジョ2000(メオ・カミュゼ)
感想 2杯でやめるつもりが、アルヌーがやや消化不良だったこともあり、やっぱりメオも、と3杯目に突入。美しいルビーだが、例年ほど濃くない色調。香りはまだ閉じていてジビエや白コショウ、スパイスなどが感じられる程度。ところが口に含むと思いのほか今でも美味しく飲める。果実味が前面に出ており、甘くなめらかで厚みも充分。酸はしなやかでタンニンもキメ細かく、洗練された印象のクロヴジョ。この作り手は年や畑によるムラが大きいように思うが、クロヴジョには裏切られたことはほとんどない。【91】

日時 2002/9/6
銘柄 プイイフュッセ・ジュリエット・ラ・グランド98
(ドメーヌ・コーディエ)
産地 仏>ブルゴーニュ>マコネ
購入店 自然の仲間たち
価格 6600円
コメント ウワサに聞いてはいたが、これはスゴイワイン。ただ、手放しでスゴイというのではなくて、ある意味スゴイ、と言う表現の方が適切かもしれない。新世界のシャルドネを思わせる濃厚な色調。まだ若いのに澱というか沈殿物が多いのに驚かされる。香りはパイナップルやトロピカルフルーツ、バター、バニラなどに加えて、ビニール片でも落としたかのような甘くまとわりつく遅摘みのニュアンス。(貴腐ブドウを使っているらしい。)味わいは厚みのある果実味が口中でストレートに広がるが、オークのフレーバーは過度にならず、酸も豊か。重厚な酒質だが、新世界的なコッテリさではない。かといって、さすがに繊細なニュアンスまでは期待できない。(それがあったらモンラッシェだ)温度が上がると苦味が表面に出てくるが、それでもきちんとしたバランスを保っている。なにはともあれ、個性的ですばらしいシャルドネだとは思う。【91】
  やや古新聞になってしまったが、WA誌が98のブル白の中で最高点をつけたことで話題になり、一時ネットでも騒がれていた銘柄。
ワイナートの夏号によれば、生産量は600〜1200本。ヴィエイユ・ヴィーニュの選ばれたブドウから作られ、10%は貴腐ブドウが用いられる。98年のアルコール度は15度に達するとか。 ただし、6千円を超える価格を考えると、私なら、次回はマイブームのソゼやギイ・アミヨあたりの1級をチョイスしたくなるけれども…。
日時 2002/9/4
銘柄

青山7丁目の「クッチーナ・トキオネーゼCOZIMA」にて会食。もとアクア・パッツァのあったところで、アクア・パッツァの広尾移転後は、この店が系列の中で中位どころに位置付けられているらしい。(よりカジュアルなラインは「マンジャ・ペッシェ」になるとか。)
料理は、「トキオネーゼ」の名前にふさわしく、日本の素材をうまく活かしたもので、沖縄産の黒豚とか、サンマをあえたパスタとか、なかなかユニークで美味しかった。ただ、個人的には、久しぶりのイタリアンだったので、コテコテのイタリアテイストのパスタなぞも食べたかったという気もしたが。
ワインは、白はお店のオススメから、

ブライデ・アルテ99 (リヴォン)
フリウリ・ベネツィア・ジューリア州の作り手。この銘柄は、ソービニヨンブランとシャルドネ、ピコリット(!)、モスカート・ジャッロの混醸。アリエ産ノバリックで発酵、8ヶ月熟成、12ヶ月瓶熟。(出石万希子氏イタリアワインブックより)
香りはソーヴィヨンブランっぽい青草やハーブ、やさしい柑橘系の果実に加えて、時間とともにオークのニュアンス。口に含むとソービヨンブランの面影が吹き飛ぶような、厚みがある酒質。甘い果実味を豊かな酸がバランスよく受け止めていて、健康的な美味しさがある。各料理にも無難に合う、オールマイティな白、という感じ。【86】

赤は無難な線をチョイス。
ヴァルポリッチェラ・クラシコ・スペリオーレ95
(クインタレッリ)
クインタレッリのヴァルポリッチェラの製法は、アマローネの発酵に用いた陰干しブドウの果皮を入れて再発酵させる方式(リパッソ方式)。熟成期間に6年を費やすので、この95年あたりでようやく最新ビンテージなわけだ。濃厚な色調。エーテルやユーカリ、シロップに漬けた黒系果実やスパイス類。味わいは濃縮感があって骨格もがっちりしているが、各要素の質感が高く、どこまでもエレガントさを失わない飲み口はさすが。他の生産者の安ヴァルポリッチェラと同一視してはいけない。 スーパー・ヴァルポリッチェラと呼んでしまおう。まあ値段もそれなりだけど。【89】

久しぶりの外食。楽しゅうございました。