2002年8月

日時 2002/8/31
銘柄 シャルドネ2001
(ヴィラ・アンジェラ) 
産地 伊>マルケ州
購入店 吉祥寺の居酒屋にて
価格 3500円(店内の価格)
コメント

気がつけばもう8月も終わり。早いものである。今月は中盤以降涼しくなってきたと思ったら、最近また暑さがぶり返してきた。9月はしのぎやすい気候になってくれると、ワイン消費も進むのだけど。
さて、今日のワインは、たまたま行った居酒屋で頼んだ、珍しいマルケ州のシャルドネ。色調は暗くてわからず。香りは華やかなグレープフルーツやパッションフルーツ、黄色い花、それにミネラル。口に含むと、生き生きとした酸が肉厚な果実味をよく支えていて、よく言えばフレッシュ&フルーティ、悪く言えば、あっけらかんとしたカジュアルなシャルドネ。キンキンに冷やされて出てきたが、そういう飲み方でよいと思うし、居酒屋で出てくる白ワインとしては充分上質な部類に入るとも思う。
【84】


日時 2002/8/29
銘柄 ジヴリー・ プリミエクリュ・プチ・マロール99
(フランソワ・ランプ) 
産地 仏>ブルゴーニュ>ジブリー村
購入店 銀座屋酒店
価格 2550円
コメント

銀座屋で薦められるままに購入した銘柄。フランソワ・ランプはコートシャロネーズにあるAOCジブリーの作り手で、赤ワインで5つ、白ワインで2つのプルミエクリュを持つ。「クラスマン」でも高く評価されているこの地域でトップクラスの生産者だそうな。 色は紫がかった濃いルビー。香りはシロップに漬けたカシスやチェリー、なめした革、ミルクキャンデー、ミネラル、それに枯葉。口に含むと、なめらかでピュアな果実味の第一印象。しょっぱいぐらいのミネラル感があり、タンニンは豊かで酸も心地よく、安定した構造を感じさせる。複雑さはそれほどでもないが、オークのフレーバーもあまりでしゃばらずに溶け込んで、フィニッシュまでクリーンな果実が続くのがすばらしい。よく熟したブドウを使ってどこまでも正攻法で作られたピノという印象で、価格を考えると驚くべき出来ではなかろうか。【88】


日時 2002/8/27
銘柄 コルナス・コトー(タルデュ・ローラン)
産地 仏>コートデュローヌ>コルナス
購入店 小田急ハルク
コメント 鰻にあわせて。このボトルは小田急ハルクの閉店3割引セールで購入したもので、まとめ買いだったため正確な価格を失念してしまったが、たしか5000円弱だったと記憶している。色は中心に黒みがかった濃いガーネットでエッジは赤紫の色調。香りはカシスやダークチェリーのジャム、甘草などのスパイス、コールタール、それに燻香。口に含むと、ネットリとした凝縮感のある果実味によく熟したタンニンが溶け込んだヘビー級の味わいながら、張りのある酸が味わいを引き締め、オークのフレーバーが絶妙に溶け込んでいる。都会的な洗練されたコルナスだが、他方で土っぽい雰囲気も残している。某所でテイスティングした同年のコートロティやエルミタージュと比較するのは可哀想だが、この銘柄単体だって、値段を考えれば掛け値ナシにすばらしいと思う。タルデュ・ローラン、やっぱり只者じゃないっす。

翌日:各要素がなめらかになって、トロリとした、さらにすばらしい味わいになった。 【91】

日時 2002/8/24
銘柄 ピュリニー・モンラッシェ・レ・コンベット2000
(エティエンヌ・ソゼ)
産地 仏>ブルゴーニュ>ピュリニー・モンラッシェ村1級
輸入元 ラック・コーポレーション
コメント

それにしても連日涼しいこと。このまま秋になってしまうのだろうかと、なんだか嬉しいような寂しいような気分。
さて、この日はいただきもののソゼを開けてみた。99が評判のよかったソゼだが、 2000年を飲むのは今回が初めて。色は黄緑がかった濃いめのイエロー。独特の白桃、洋ナシ、青リンゴ、白い花の蜜、ミネラルなどの上品な芳香。味わいはなめらかで厚みのある果実味のアタック。それを伸びのある酸がよく受け止めており全般に丸みを帯びた、それでいて確かな構造のある作り。 余韻も長く、力まかせにならない優雅な味わいがすばらしい。まさに上質なブルゴーニュというにふさわしいすばらしいシャルドネに仕上がっている。余談だが、ソゼと聞くと、私はいつも青リンゴ風味のガムを思い出す。(^^;【90】


日時 2002/8/22
銘柄

リースリング・エーレンヴェグ・ド・テュルクハイム2000
(ズィント・ウンブレヒト)  

産地

仏>アルザス

購入店 ウメムラワインセラー
価格 3200円
コメント

めっきり涼しくなって、久しぶりにビールよりも白ワインなぞを飲みたい気分。ということで、夏用にと購入したアルザスを開けみた。濃いめのイエローで、グラスに注いだ当初はかすかに気泡が見える。パイナップル、レモンのシャーベット、黄色い花の蜜、マロン菓子、塩ビ製の人形。ひとくち含むと、第一印象から厚みのあるジューシーな果実味が口中を満たす。酸は豊かだとはいえ、コッテリとした甘みを受け止めるにはもう少し力強さとか張りとかが欲しいとも思う。よく言えばおおらかでリッチ、悪くいえばやや鈍重な印象のリースリング。それにしても、これだけ甘いと、食事とあわせるのはちょっと悩みますね。【86】


日時 2002/8/20
銘柄 ムルソー・レ・ナルヴォー2000
(マルク・コラン)
コメント マルク・コランはシャサーニュ・モンラッシェやサン・トーバンなどで良質なシャルドネを産する作り手として名高いが、他にムルソーやコルトン・シャルルマーニュ、バタール・モンラッシェなども作っている。グリーンがかった中程度のイエローで、若く健全な色調。熟したグレープフルーツ、白桃の缶詰、白い花の蜜など、柑橘系の爽やかな香りと甘い香りが同居している。味わいはなめらかで甘い果実味が印象的で、濃縮感も充分で口中で転がしているとさまざまな表情を見せてくれる。酸はしっかりと果実を支えるが、エッジは丸く、よく熟成しそうなポテンシャルを持ちながらも今の時点ですでに近づきやすいところが次銘柄との違いだ。【88】
   
銘柄 バタール・モンラッシェ2000
(マルク・コラン)
感想 中程度のイエローで、ややグリーンがかった色調。グレープフルーツなどの柑橘系の果実、白い花、それにキリリとしたミネラル。口に含むとややあっけないアタックに一瞬戸惑うが、口中で大輪の花が花開くかのごとく、じわじわと果実味が広がりを見せるところはやはり只者でない風格がある。酸には張りがあって、全般に凛とした酒質が前銘柄と好対象。ただし、今の時点ではまだ酸が硬いため、冷やしすぎると魅力が半減してしまうかもしれない。もうしばらく寝かせておくか、大きめのグラスでたっぷり時間をかけて飲むといいだろう。【89】
日時 2002/8/18
銘柄 ブルゴーニュ・オー・コート・ド・ニュイ・ルイ・オーギュスト2000
(ダヴィッド・デュバン)
産地 仏>ブルゴーニュ>オー・コート・ド・ニュイ
購入店 銀座屋酒店
価格 2340円
コメント

ドメーヌ・ダヴィッド・デュバンはオート・コート・ド ・ニュイのシュヴァンヌという村を本拠とするドメーヌ。ジャイエ・ジルにも指導を受けたとかで、近年仏国内で高い評価を得ている作り手と聞く。
色はエッジの紫が印象的なやや濃いルビー。香りはまだ還元的な要素が支配的で、赤身肉やスパイス、その奥からシロップに漬け込んだラズベリーやカシス、カフェ。 味わいは甘い果実味をチャーミングな酸とミルキーな樽のフレーバーが受け止めており、タンニンは非常になめらかで軽く、今すでに心地よく飲むことができる。総じて決して力強い酒質ではないのだが、樽のフレーバーもそれに応じて過度にならず、触れれば壊れそうな、よい意味での繊細さをキープしている。値段を考えれば実によく出来ていると言えるんじゃないでしょうか。
【87】

日時 2002/8/17
銘柄 クロ・ド・タール76(モメサン)
産地 仏>ブルゴーニュ>モレサンドニ村特級
購入店 仏ショップ。
価格 失念(1万円程度)
コメント エッジはかなりはかなくなっているが、全般にまだ元気な色調のオレンジガーネット。香りはアンズや干しプルーン、梅、ヨード、ミネラル、カフェ、それにスーボワ。熟成した香りなんだけど、獣っぽさとか、干草や麦わらっぽいニュアンスがあまりなくて、非常にクリーンな香りだ。口に含むとすでに枯淡の味わいながらも、甘く濃縮されたリキュールのような果実味がしっかりと残っており、酸も綺麗で、コンディションのよさを実感する。2時間ほど経過しても落ちないどころか、果実味の甘味がより芳醇に口中に広がるようになった。ただ、フィニッシュにややタンニンが残るのはこのビンテージ共通の特徴だろうか。【91】
感想 先日松原に持参したルソーの76クロ・ド・ラ・ロッシュがすっかり枯れていたので、他のボトルはどうなんだろうとセラーの中の1本を開けてみた。このボトルは、フランスのショップで友人に購入してもらい、冬場に空輸で送ってもらった後、8ヶ月間、ピクリとも動かさなかったもの。さすがにコンディションは良好で甘く濃縮した立体的な果実味とミネラル風味がしっかり残っているのには感心した。実のところ、76年という年自体が(言われているほど)よくないというか、きれいに熟成しないのかな、と思い始めていた矢先だったので、嬉しい誤算ではあったが、これだけの味わいをキープしているのなら、持ち寄りワイン会にでも持参すればよかったと、なんでもない日にひとりで開けた自分を後悔したりもした。
日時 2002/8/15
カミサンが実家に帰省したのを機に、ここぞとばかり松原詣で。
着いて早々、ニチメンさん扱いのアルザスのリースリングとゲビュルツ、キャンティクラシコとランゲのネビオーロのサンプルを飲ませていただいた。 どれも品種の特徴がよく出た、オーソドックスな作りで、なかなか好印象だった。まだ値づけもしていないとのことだけど、 あとはプライス次第でしょうね。
その後に飲んだのが以下のボトルたち。
銘柄

コルトン・シャルルマーニュ2000
(フレデリック・マニヤン)

まーやんさんより。マニヤンのコルトンシャルルマーニュがあったとは知らなかった。健全なレモンイエローの色調。黄色い果実とナッツ、フローラルな香りもあり、味わいも豊満で力感がある。コテコテのコルトン・シャルルマーニュだが、素直に美味しいだけでなく、複雑さも兼ね備えていてよく熟成しそうだ。
【91】


サヴァニエール・クロ・ド・ラ・クーレ・ド・セラン87
(ニコラ・ジョリー)

私が持参したもの。う〜ん、これはどう評したらいいのだろうか。独特の燻した香りやキノコなどのヒネたニュアンスに戸惑う。味わいは果実味がまだ強くしっかりしているが、酸は丸く、ややヌルっとしたテクスチャー。中盤の広がりも乏しい。これが実力?それともコンディションの問題かなあ??【?】

 

ゲビュルツトラミネール・クロ・サン・テオバルSGN94
(ショフィット)

甘口といえば、Y君。飴のような濃厚なアンバーの色調。シロップにつけたパッションフルーツ、アンズや紅茶アメの香り。しかし口に含んでみると、思ったよりしつこくなく、爽やかな甘味がある。酸は目立たないがしっかり下支えしている。これは美味い。ボッテリしていないところがいい。それにしても、甘口になるとどうもボキャが不足してるなあ>自分。【93】

 

ボーヌ・クロ・デ・ムーシュ95
(J・ドルーアン)

まーやんより2本目。クロ・デ・ムーシュはドルーアンの看板畑で個人的にも好きな銘柄のひとつ。すでに黄金色がかった濃いイエローの色調。黄色い果実とナッツ、バター、蜜などのとろけるような香り。味わいは甘く滑らかな果実味のアタック。分厚い、トロみのある酒質だが、酸が豊かでバランスがよく、フィニッシュには蜜のような、それでいて節度のある甘味が残る。余韻にもナッツのようなフレーバーが長く続く。 これはすばらしいですね〜【92】


クロ・ド・ラ・ロッシュ76 (A・ルソー)

私が持参したもの。液面がかなり下がっていることもあって、果たしてまだ生きているか不安だったが…。 結論から言うと、死んではなかったけど、ほとんど枯れてました。赤系のドライフルーツ、オレンジの皮、 イチジク、枯葉などにやや醤油っぽいフレーバーがまざる。酸がややたちはじめており、フィニッシュにやや乾いたタンニン。ピークを超えて、なだらかに下降線を辿っている途中という感じのワイン。蔵出しだったらどうなんだろうとか、シャンベルタンやクロ・サンジャックあたりなら、とかいろいろ考えてしまうが、この位の年代になるとボトル差が大きくて難しいですね。
【87】

日時 2002/8/12
銘柄 エシュゾー99(フランソワ・フュイエ)
産地 仏>ブルゴーニュ特級
コメント このワイン、なんでも最近フランスで話題になっている(らしい) ダヴィッド・デュバンがメタヤージュで 造ったものだとか。 ダヴィッド・デュバンはオー・コート・ド・ニュイの作り手。ジャイエ・ジルの指導を受けたこともあり、 ミシェル・ベタン氏からも高く評価されていると聞く。
色は 濃いルビーでエッジにピンクのグラデーションが見られる。香りは心地よいロースト香のトップノーズ。いかにも良い樽を使っていると言わんばかりの樽香だ。その奥からブラックチェリーやカシスなどの果実やスパイス、それに土っぽいニュアンスなどが現れる。味わいはなめらかでやわらかい果実味のアタック。果実は過熟といいたくなるほどよく熟しており、それを支えるタンニンは驚くほどキメが細かく、まさに「羽毛のような」酒質。心憎いばかりのオークのフレーバーとあいまって、これだけシルキーなテクスチャーはブルゴーニュ中見回してもなかなかお目にかかれないと思う。ただ、これが本来のものなのかあるいはコンディション的な問題か、このボトルに関しては、フィニッシュにかけてやや苦味というかエグ味を感じたのが玉にキズ。遠からずまた飲んでみたいと思わせる生産者だ。
【88】
日時 2002/8/11
銘柄 ブルゴーニュ・レ・ボン・バトン90
(P・ルクレール)
産地

仏>ブルゴーニュ

購入店 ワインビッド
価格 20ドル
コメント ダニエル・リオンでいきなり大ハズレをひいた今回のワインビッドの落札ボトルだが、雪辱を期して(^^;、P・ルクレールの90ACブルゴーニュというこれまたリスキーな銘柄を選択してみた。キャップシールをはがしてみると、ベットリと噴いた跡があって、白カビがビッシリ。コルクは5mmほど陥没している。う〜む。これもまたヤバめの予感。
グラスに注ぐと、色はエッジにレンガの色調を感じるオレンジガーネットで、ACブルとは思えない濃さ。香りは、赤系のリキュール状の果実、鉄サビ、干草、なめした革、スーボワ。味わいはやや高めの酸と干草っぽいフレーバーをアタックに感じるが、中盤に甘いリキュールのような果実の広がりがあり、ほどよい熟成感を愉しめる。全般に酸が立ち気味なのと、乾いたタンニンがフィニッシュに残るのが残念だけれども、12年を経たACブルゴーニュにこれ以上を望むのは酷というものだろう。これで20ドルならよい買い物だったと自画自賛したりして。あ、でも前回の分があるから、これでトントンというところか…。(^^;
【87】
日時 2002/8/9
銘柄 トケイ・ピノ・グリ・ハインブルク96  
産地 仏>アルザス
購入店 ウメムラ
価格 5480円
コメント

ピノ・グリを家で飲むのはすごく久しぶりのような気がする。このHPを始めてからはたぶん初めてじゃなかろうか。
色は濃いめのイエローでやや黄金色がかっている。香りは黄桃、マロン、スイートポテト、それに時間とともにキノコやハチミツのような熟成したニュアンスが加わる。味わいは分厚くコクがあり、VTでも(もちろんSGNでも)ないのに、残糖からと思われる甘さをはっきりと感じる。酸が豊かで後半にやや苦味が加わったりもするので、味わいが単調になることはないのだけれども、個人的な印象としては、1本飲もうとすると、ちょっと飲み飽きてしまいそうだ。暑い日が続くので、白をチョイスしてみたが、もう少し爽やか系を選んでおけばよかったかな、と。
【86】


日時 2002/8/8
銘柄 ニュイ・サンジュルジュ・レ・プリュリエ86
(ダニエル・リオン)
産地 仏>ブルゴーニュ>NSG村1級
購入店 ワインビッド
価格 $30
コメント ワインビッドで落札したボトルをセラーで3ヶ月半休ませての抜栓。ところが、コルクを抜いた瞬間、ボトルの口の部分からプーンと、いわく形容しがたい臭いが…。
グラスに注ぐと、色からしてやや濁りがある不健全な色調のオレンジガーネット。改めて鼻を近づけると、工作用粘土、消し炭、醤油など、かな〜り不快な臭い。コルキーなんだけど、ただのブショネにしては、臭いが発散傾向なのが気になる。我慢して口にふくんでみると、味わいは枯れていて、グラスに注いだ当初こそやわらかく熟れた果実味の片鱗が感じられるものの、すぐに酸とフィニッシュのタンニンばかりが目立ち始め、醤油っぽいフレーバーが支配的になる。これは熱を浴びたボトルにありがちな味わいだ。香りはブショネで味は熱劣化。う〜ん、これほど酷いボトルも珍しい。察するに、もともとブショネだったのに加えて、相応の熱を浴びてこのようになってしまったのではあるまいか。時間の経過とともに、リーデルのブルゴーニュグラス内に上記のような臭い(←香りとは呼べない)が激しく充満するのには全くもって閉口した。格安で落札したとはいえ、私の贔屓のダニエル・リオンだし、楽しみにしていたボトルだったのに…。【--】

日時 2002/8/6
銘柄 ヴォーヌロマネ・マルコンソール99
(フランソワ・ラマルシュ)
産地 仏>ブルゴーニュ1級
  いただきもの。(インポーターはラック)
コメント

濃いガーネットでエッジはピンクがかっている。香りはブラックチェリーやカシスのリキュール状の果実、紅茶、枯葉、さまざまなスパイスなど、オーソドックスで華やかなもの。口に含むと、滑らかで厚みのある果実味をしなやかな酸とよく調律されたタンニンとが支えており、樽の要素もでしゃばらず、透明感があって秀逸なバランスを見せている。これぞブルゴーニュといいたくなるような、とてもオーソドックスなピノで、ワイン会などで開けるよりは、一人でしみじみ味わいの変化を感じながら飲むのにむいているかもしれない。
ラマルシュというと「グランド・リュ」の、(ロマネコンティの隣の畑のわりには大したことないという)ややネガティブな印象ばかりが強いが、なかなかどうして、こうした銘柄は実によく出来ていると思う。 【90】


2002/8/4 平野弥勉強会

フランス留学中の「ワインショップ平野弥」店主の平野さんが一時帰国されたのを機に、勉強会が開かれた。およそ1年ぶりの勉強会だったが、多くのメンバーが集まり、平野さんがフランスより持ち帰ったワインたちの品質もすばらしく、充実したひとときを過ごすことが出来た。
銘柄 1本目
感想 まずは、P・モレの畑違いを3種ブラインドで。
中程度のイエローでやや黄緑がかっている。熟したグレープフルーツや柑橘系果実、白い花、ミネラル、それにほのかな樽香。口に含むとなめらかで甘い果実のアタック。果実味には蜜のようなニュアンスがあって、それをきらびやかな酸が豊かに支える。広がりやボリューム感は中程度で、フィッシュまで伸びやかな果実味が続くところは評価できるが、後に続く銘柄に比べると、全般にややキメの緩さを感じる。【88】

→ ムルソー2000(P・モレ)
 
銘柄 2本目
感想 1本目よりやや濃いイエロー。香りは最初閉じていたが、徐々に開いて、熟したグレープフルーツや柑橘系果実、ミネラル、ほんのりバニラ、さらに時間とともにメロンや白桃のニュアンスが加わる。1本目より明らかに密度感のある香り。味わいは甘くなめらかなアタック。中盤から果実味が蜜のような健全な甘味をともなって広がり、伸びやかな酸とのバランスもよく、現時点で外向的な表情を見せている。1本目と比べると香りの密度感と果実の厚みが印象的だ。【89】

→ムルソー・ペリエール2000(P・モレ)
 
銘柄 3本目
感想 1本目よりやや濃く、2本目とほぼ同等の濃さのイエロー。最初閉じていた香りは時間とともに、柑橘系果実やグレープフルーツ、ミネラル、オークなどが豊かに湧き上がってくる。味わいは力強くキリリとした酸の第一印象。果実味は前2銘柄ほど前面に出て来ず、酒質はやや軽い印象もある。フィニッシュはキラキラした酸。現時点でまだ閉じていてバランスが整っていないのか、もともと酸がまさったバランスのワインなのか判断に迷う。前銘柄に比べると余韻はややあっけない。【88】

→ムルソー・レ・テソン2000(P・モレ) 畑名つきの村名。
 
銘柄 バタール・モンラッシェ2000(P・モレ)
感想 最後の1本はオープン&ブルゴーニュグラスで。
濃いめのイエローでやや黄金色がかっている。熟したグレープフルーツ、黄桃、 白い花、ミネラル、それに節度のある樽香がアクセントを添える。口に含むとみずみずしい果実味のアタックがあり、酸は角が取れていて丸く、前の3銘柄に比べると一段目の細かいヤスリで面取りしたかのよう。アルコール度が高く、構造もしっかり。口中でどこもでっぱったところのない丸い広がりがあって、それでいて柑橘系のみずみずしさを残しているところはさすが。このグラスを飲んでから、前の3銘柄に戻ると、どれも「酸っぱく」感じてしまうとの声も。【91】
P・モレは、ムルソーに本拠をおくドメーヌで、ドメーヌ・ルフレーブの醸造長を務めることでも知られている。
その特徴は?というのが話題になったが、私がこの4本から感じたのは以下のような点だ。
1.柑橘系の果実味が充実している一方で、ムルソーといえどもキッチリした酸が基調にあり、コッテリ、ドッシリ系にならない。
2.樽のフレーバーは抑えめで、節度があるが、しっかりとアクセントを添えている。
3.とりたてて、凝縮しているとか、密度感があるということはないのだけど、全般に中庸を得た、ある意味模範的な仕上がり。
4.ただ、見方によっては優等生的というか、やや主張に乏しいと言われそうな気も…。
5.「樽香を除いたルフレーブ」との指摘もあったが、たしかにルフレーブに通じるものを私も感じる。それが具体的にどういうところかは言葉でうまく表現できないのだけれども。

加えて今回感じたのは、各ボトルのコンディションのよさ。平野さんがドメーヌから直接仕入れて、航空便で送ったというだけあって、どの銘柄も、 果実味が立体的でみずみずしく、ミネラル感が心地よい 。都内の酒屋の白でしばしば出くわす、トップノーズに感じるモワッとしたキノコや動物的な香りとか、妙に落ち着いた平板な果実味とか、そういうものがなく、ビビッドな印象なのだ。
   
銘柄 これもブラインドで。
感想 色はかなりオレンジの入った濃いめのガーネット。香りはシロップに漬けた赤系果実や小梅、ダージリン、スパイス。口に含むと、鮮やかな果実味があって、酸も豊かで甘酸っぱい。タンニンはきれいに溶け込んで、あまり大きな酒質ではないが、今ちょうど飲み頃の印象。年代は90年代前半、AOCや作り手はちょっと見当がつかない…。【87】

→コート・ド・ニュイ・ヴィラージュ95(ジャイエ・ジル)
ジャイエ・ジルにしては、樽のフレーバーがほとんど目立たなかったのが意外。95年というビンテージ以上の熟成感を感じたが、コート・ド・ニュイ・ヴィラージュということで、熟成のペースもやや速いのだろう。ちなみに、一本では足りずに同一銘柄をもう一本開けたところ、2本目は、果実味がヘコンで、タンニンや酸が目立つイマイチの味わいだった。ボトルバリエーションが大きい作り手なのかも。
   
銘柄 アルザス・ゲビュルツトラミネール2000(ショフィット)
感想 平野さんからのお土産のボトル。現地では千円台で購入できるということだが、これは実にイケてるワインだ。グラスに鼻を近づけると、独特の、ライチやマスカット、白い花束やスパイスなどの芳香。味わいはみずみずしく立体的な果実味が口の中を満たし、飲み手を幸せな気分に導いてくれる。ゲビュルツって、酸が緩くてヌルリとしている印象があるのだけど、この銘柄は酸が大変豊かで、果実味とのバランスもよく、飲み飽きることがない。後半苦味やエグ味が出ることもなく、フィニッシュまで生の果実を絞ったような味わいが続くのもすばらしい。
ただし、このボトルも平野さんがドメーヌで購入してきたものだという注釈を付け加えないわけにはいかない。一般の市販ルートでどれだけこのデリケートな果実のみずみずしさを維持しているだろうか。近々試してみたいと思う。
【89】


日時 2002/8/1
銘柄 セインツベリー・ブラウンランチ・ピノノワール98
産地 米>カリフォルニア
購入店 信濃屋
価格 7400円
コメント 年産350ケースほどのセインツベリーの単一畑銘柄「ブラウン・ランチ」。 色は濃いルビーで、エッジはかなりピンクがかっている。香りはシロップに漬けたカシスやブラックチェリー、ダージリン、強烈だが品のよいバニラやロースト香。味わいはまず鼻にツンと抜けるアルコール度の高さに驚かされる。口の中で鮮やかな果実味が甘く広がり、それをよく熟したタンニンとやや太めの酸が受け止めて、力強さだけに偏らないしなやかで秀逸なバランスを見せる。後半やや苦味が強めに出るのと、全般にややキメの緩さを感じるのが欠点といえば欠点か。【90】