2000年10月7日(日)
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新宿「ル・クープシュー」にてミニ・オフ
金曜日からカミサンが再び海外旅行に出てしまっていて、一人残されることになった私は手持ち無沙汰。なので3連休の真ん中にも関わらず、ミニオフを敢行することにした。名づけて、「自己都合ミニオフ」(^^;。こんな時期に来てくれる人がいるのかと不安だったけど、結局チコリータさん、世田谷太郎さんご夫妻、kodairaさん、それに遅れてNappeさんも合流していただき、計6名にてこじんまりと、しかし参加者のみなさまのご厚意ですばらしいワインを堪能させていただくことができた。

銘柄 サロン・ブラン・ド・ブラン88
仏>シャンパーニュ
感想

照明が暗めなので、色はよくわからないのだけど(以下すべて同様)、おおむね麦わ ら色がかった中程度の黄色。 気泡は勢いはあまりないが、繊細で細かい。 香りは洋ナシ、熟した青リンゴ、白い花、軽めのトースト。 味わいはアタックから豊かな果実味がほのかな酵母っぽいフレーバーを伴う。 酸は豊かでシャープとはいわないまでも、キリッとした雰囲気があり、全体のコクや広がりはそれほどでもなく、むしろ締 まった印象。それでいて、 非常にバランスがよく、飲み口はあくまでまろやかで繊細。余韻も長く、すばらしい。 私は実は泡モノはあんまり得意じゃなくて、とくにイースト香がしつこくまったりし たタイプは苦手なんだけど、これはとても私好みの味わいだ。 【87】

銘柄

ムルソー・レ・ナルヴォー94(ルロワ)
仏>ブルゴーニュ>ムルソー

感想 kodairaさん持参。なんと ルロワのドーヴネものだ!やや黄緑がかったイエローでひときわ輝きがある。 香りは黄桃、バター、ナッツ、ミネラル、ハチミツ、それにフローラルな香りもあり 、複雑さが出てきている。 味わいは驚嘆すべきもので、豊かで艶やかな果実味、まるで紙ヤスリを かけたかのように角がとれた酸、それらが絶妙のバランスでもって、口の中で丸く球体のように広がる。 それでいて、全般にダレたところはなく、やわらかくふくよかでありながら一本線が通ったようなストラクチャー。そして最後は長い長い余韻。これで村名というのだから驚き。私が今年飲んだ中で3本の指に入る白ワインだ。(って、ふだんあんまり良い白ワイン飲んでないんだけど…)
【92】
銘柄 ムルソー・シャルム82(R・アンポー)
仏>ブルゴーニュ>ムルソー 1級
感想

中程度のイエローで麦わら色がかっている。 香りはトップノーズにクリームチーズやバターのようなミルキーな香りをはっきりと感じ、 その奥から麝香やキノコのような熟成香。 アタックはなめらかで、甘みののった果実味が感じられ、酸はこちらもやわらかく、 フィニッシュには 果実の甘みが余韻となって尾を引く。R・アンポーは醸造したワインを飲みごろになるまでカーヴの中で熟成させてから出荷するブルゴーニュでも稀な生産者。このワインも20歳近い白ワインでビンテージ自体もあまりよくないのだけど、とてもきれいに熟成している。実はこれ、私が持参したもので、状態が心配だったが、思ったよりずっと良いコンディションで安心した。ただ、コクやボリュームは期待したほどではなく、ややミッドパレットに虚ろな部分を感じてしまうのは、ルロワの直後に飲んだという分の悪さが大いにあるかもしれない。
【85】

銘柄 ヴォーヌ・ロマネ・クロ・デ・レア90
(ジャン・グロ)
仏>ブルゴーニュ>ヴォーヌ・ロマネ村1級
感想 チコリータさん持参のジャン・グロ。「クロ・デ・レア」はグロ家の単独所有畑としてつとに有名。色はまだ紫が見える濃いルビーで、香りには熟成香はあまり感じられず、濃縮したチェリーやカシスのコンフィ、ヨード、血、 鉄、コーヒーなど。 味わいはやや閉じ気味で、アタックは力強く、凝縮した果実味を感じる。 酸はしっかりしており、タンニンもまだまだ豊富で、ガチガチとはいわないまでも、 各要素がまだあまりこなれていない印象。 フィニッシュにはコーヒーっぽいフレーバーも感じ、本来余韻も長いのだろうけれど 、ややタンニンの収斂性に邪魔されているようなところもある。とにかくこのワインのポテンシャルはすごい。まだ10年以上は楽に熟成しそうな雰囲気。 90にして今だこのしっかり感、おそるべしグロ一家。
【88】
銘柄 Ch.ムートンロトシルト90
仏>ボルドー>メドック1級>ポイヤック村
感想 まだまだ若い色調のガーネットで、縁にピンクの色調が見える。香りは熟成したリキ ュール香と比較的若い 果実香が同居しており、カシスリキュール、ブラックチェリーのコンフィ、墨汁、なめし革、チョコレートなど、複雑。 味わいは意外にやさしめで、アタックにはやわらかく純度の高い果実味が感じられ、 酸もしなやか。タンニンは豊富だけれどもよく溶け込んでおり、バランスは良好。フィニッシュには果実味とともにややローストされたようなフレーバーが感じられる。余韻は長めだが、とても長いというほどではない。 90年という偉大な年にしては、あまり大柄ではないという点においては R・パーカー氏の意見に賛成だが、タンニンが強くてアンバランスだという説には同意しかねる。むしろピュアな果実味を中心に各要素のバランスがよく仕上がった親しみやすいワインで、熟成が進みつつある、まさに途上の状態だと思った。
【91】
銘柄 ル・ドーム97
仏>ボルドー>サンテミリオン村
感想

エッジに紫がかった濃いルビーで、中心は黒みがかっている。 抜栓すると、トップノーズにはかなり強めのフレッシュハーブやピーマン香。 果実香はブルーベリーやカシスなどのフレッシュな香り、それにブラックオリーブやモカ、ミントのような香りも。 アタックはなめらかでハーブっぽいフレーバーを伴った果実味。タンニンはしっかり しており、かなり収斂制がある。一方で酸のしなやかさは特筆もので、フィニッシュにはココアっぽいフレーバーが広がる。 ギュッと凝縮したタイプではなく、各要素が緻密ながら全体の構成はあくまでしなやかで、なんというか緩慢な雰囲気が独特。 しばらくおくと、青っぽい香りはなくなって、代わりにミルクティーやドライなハーブのような香りが 出始める。味わいもより開いてきて、密度感はあるんだけど重量感がない、と言ったらいいんだろうか、フィニッシュがふわりと包み込まれるような感覚になる。とても個性的で面白いワインで、時間とともにどん どん特徴が変わって くる。これは一杯の試飲ではよくわからない類のワインだ。熟成させると、以前垂直 試飲で飲んだシュバルブランのような味わいになるんだろうか? ?
【90?】

いやいや、すばらしいワインをありがとうございました。ワイン会って大人数の場合は大人数なりの楽しさがあるけど、このぐらいの小人数でやるのも、1種類あたりたっぷり飲めてまたいいものだ。
それに何の計画性もなく持ち寄ったはずのワインが、白はムルソー対決、赤は90のブル&ボルドーのトップ銘柄、メインイベントにはル・ドームと、 結果的に実に面白かった。
それにしてもこうしてじっくり飲んでみると、ふだん試飲会などで飲む「50CC」といった試飲がいかにそのワインの一部の側面しか見せていないかということに改めて気づく。ル・ドームなんて、ほんとどんどん変わってきたからね。
また、そのうち企画したいと思いますのでみなさまよろしく。