2000年10月6日(土)
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JOYワイン祭
今年の3月にも参加した「JOYワイン祭」。思えばこの時飲んだ「86グランジ」には猛烈に感動したものだ。今回も楽しみにしていたんだけど、前日仕事が忙しく深夜帰宅だったのに加えて、どうも風邪気味。行く気力が失せてしまう中、新宿まで行く別件があったので、通り道でもあるしということで、とりあえず覗いてみた。

さて、今回の私の目当ては「Ch.ペトリュス76&86」
この「ワイン祭」ではやまやや信濃屋など協力酒店がそれぞれのブースを構えていて、各ブースでショップが持ち寄ったいろいろなワインを試飲(有料)することができるんだけど、特にレアなものや高価なものは別のブースにて目玉ワインとして、希望者をつのって、一定数に達した時点で開けるというシステムになっている。
ところがこの目玉ワインたちが意外に不人気で、 目当てのペトリュスはなんと両方とも定員割れで開栓せず。まあ、76ペトリュスなど一杯7000円と聞くとちょっとキツイよねえ。そんなわけで、ギリギリ人数に達した以下の目玉銘柄をまず飲んでみたのだが…。
銘柄 サッシカイア86(テヌータ・サングイード)
感想

縁にオレンジの色調がはっきり見える濃いガーネットで、エッジへのグラデーションがとても美しい。香りは複雑で、ドライフルーツ、ブラックチェリーやカシスのジャム、丁子、八角、ビターチョコ。ジビエや腐葉土のニュアンスも。味わいはやや酸が強めのバランス。タンニンはよくとけこんでいて、後半にかけて果実の甘みが広がって、層をなすようなフレーバーが得られる。余韻は力強くはないものの、温かみのあるやさしい果実味が尾を引く。ちょっと味わいは閉じ気味だが、抜栓したてということで、これ一杯で判断するのは可哀想というものだろう。しばらく置くと果実の甘みがグッと出てくるのではないかな。ちなみに一杯2800円。
【86?】

銘柄 クロ・ヴージョ90(メオ・カミュゼ)
感想

一杯3500円は私の本日最高額のワイン。若干オレンジがかったやや濃いめのガーネット。麦わら、コーヒー、ドライフルーツ、アンズ、その奥から甘い赤系果実のリキュールのような香り。味わいの第一印象はなめらかでヌルリとしたような印象。果実味は甘く、フレッシュ感すら感じる。タンニンはしっかりしていて後半にやや収斂性。骨格がしっかりしたピノノワールだが、やや酸が平板な印象があって、味わいが単調に感じる。う〜ん、これが90年&メオカミュゼ&クロヴージョの実力とは思えないのだが。状態が悪かったのか、条件が悪かったのか…。
【84?】

銘柄 Ch.ラトゥール76(マグナムボトル)
感想

縁にオレンジのニュアンスは見えるがまだまだ若い色調の深いガーネット。スミレの濃縮した香り、カシスリキュール、甘草、それにややホコリっぽい香りも。味わいは第一印象から甘いリキュールのような果実味が感じられ、タンニンはすっかり溶け込んで、酸はやや引っ込んだ印象がある。フィニッシュにもピュアな果実味が感じられるが、ラトゥールにしては凝縮感に乏しく、やさしくコンパクトに熟成している印象。なんだかこれも期待はずれだなあ…。1200円。
【83】

「目玉ワイン」を立て続けに3杯飲んでみたが、どれも今一つ。メオ・カミュゼに続いてラトゥールまでも期待はずれに終わったのに及んで、よもや風邪のせいで自分の味覚が麻痺しているのでは?とさえ、疑いはじめる自分。
とりあえず 路線を変更して、各ブースのワインを飲んで回ることに。
銘柄 ロマネ・サンヴィヴァン94(J・J・コンフュロン)
感想

まずはやまやのブースでこれを発見。
紫がかった濃いルビーで、まだ若い色調。香りも同様に若く、カシス、ブルーベリー、 ハーブ、ユーカリ。それにチョコレートや、スミレを濃縮したようなフローラルな香りも。アタックは非常になめらかで静謐とすら言える印象で、ハーブっぽいフレーバーを伴う。果実は豊かで凝縮されているというタイプではないが、深みがあってじんわりと広がる。酸はしなやか、タンニンも木目細かく、フィニッシュにはチョコレートっぽいフレーバーがかすかに果実味にまざる。高度にバランスがとれていて、品格があるワイン。これはなかなかすばらしい。
【91】

銘柄 50&50
感想

信濃屋のブースにて。一杯900円。一度飲んでみたかった銘柄だ。
色は紫がかった非常に濃いルビーで中心部は黒々としている。香りはまずビターチョコやカカオなどのロースト香が支配的で、その奥にカシスやブラックチェリーのコンフィ、さらにブラックオリーブ、ユーカリなどが見出せる。口に含むと、アタックはやわらかく、熟した退廃的とでもいいたくなるような果実味が広がり、酸は角が取れていて豊か、上質だがしっかりとしたタンニンと相俟って、各要素がガッチリとした印象。それでいて全般にしなやかでやさしい感じがするのはサンジョベーゼを混醸しているためか?かなり好みの味わいだ。
ちなみにこの銘柄、てっきりサンジョベーゼとカベルネとばかり思って飲んでたけど、あとで聞いたらカベルネじゃなくてメルローだって。
【89】

銘柄 Ch.グイヨ・クローゼル
感想

ブースを回ってたら、知ってる顔が。「ワイン通ドットコム」のマッキーさんだ。ワイン通ドットコムは今評判のネット・オークションサイト。今回、こちらにブースを持ったとのことで、おすすめのこの銘柄を。ちなみに一杯500円。注いでもらうと、まずかなり強めの青ピーマンやハーブ香があたりに漂う。フレッシュなブルーベリー、カシス、樽からのチョコレート。味わいの第一印象はハーブのフレーバーと落ち着いたやわらかい果実。酸、タンニンとも極めて上質で、ビロードのように木目細かくしなやか。どこにもでしゃばったところがなく、丸い球体のようなバランスのとれた味わいで、スルスルと喉元を通りすぎて行き、フィニッシュにもみずみずしい果実味が残る。大柄なワインではないが、バランスが極めてよく、もう少し熟成させて青っぽさが消えたころが楽しみだ。
【85】

銘柄 Ch.レオヴィル・ラスカズ76
感想

やまやのブースで一杯1100円。縁にオレンジがはっきりと見える濃いめのガーネット。香りは最初麦わらやドライフルーツの香りだったが、すぐにカシスリキュールやバラ、ムスク、甘草などの甘くウエットな香りに。味わいもアタックから甘い、ピュアな果実味が味覚を支配する。酸はやわらかく、タンニンンはすっかり溶け込んでいて、フィニッシュにはコーヒーのようなフレーバーが感じられて、余韻は長い。とてもきれいに熟成たボルドーで、ラトゥールより明らかにこちらが上手。本日のbP。
【92】

銘柄 Ch.セント・ジーン・サンクセパージュ96
感想

次にベリンジャーのプライベートリザーブを注文するも、タッチの差で売りきれ。代わりにカレラのメランジェとこちらとどちらにするか悩んで、結局サンクセパージュを選択。色は紫の残る濃いルビーで中心は黒みがかっている。香りは若く濃縮感のある香り。ハーブ、コーヒー、ビターチョコ、八角などのスパイス、燻した香り。味わいはまずやわらかい果実味が感じられ、すぐにコーヒーや焦がしたようなフレーバーが口いっぱいに広がる。酸はしっかりしており、タンニンはやや粉っぽく、引き締まった構成には好感が持てる。余韻にはハーブのフレーバーも感じられる。個性的で面白いワインだけど、ちょっと樽の利かせ方がドギツすぎるような…。
【82】

銘柄 サンシニヤン98(VAL DONNADIEU)
感想

チケットが200円だけ余ったので、200円で飲める銘柄を、と探したら、ありました。サンシニヤンはラングドック地方のAOCで、赤ロゼが認められている。飲むのは初めてかも。
色は鮮やかな紫の色調がエッジに見えるとても濃いルビー。香りはピーマン、青野菜、フレッシュなブルーベリー。味わいも、強めのハーブのフレーバーを伴った果実味がアタックに感じられる。全体に凝縮感があって、収斂性のあるタンニンと中庸を得た酸によりストラクチャーのしっかり感は大したもの。フィニッシュにはややバニラっぽいフレーバー。他の錚々たる銘柄と一緒にするのは可哀想だが、なかなかよく出来ており、数年後にまた飲んでみたい銘柄だ。
【78】

ということで、帰ろうとしたときに、たまたま「ウイリアム・セリエム」のピノノワールを発見。猛烈に飲みたかったんだけど、チケットはないし、酔いも相当回ってたので、涙を飲んで断念。
いや、実のところ他にも「カレラ・メランジェ」とか「85オーパス1」とか「桔梗ヶ原メルロ」とか、まだまだ飲みたい銘柄はたくさんあった。私はJOYワインスクールの関係者ではないけど、このイベントはお奨めだ。今回も前回に引き続き一人で参加だったんだけど、次回はぜひどなたかご一緒しましょう!