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阿久悠の歌

NHK歌謡コンサートの感想

2008.08.05. 掲載
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今夜のNHK歌謡コンサート「阿久悠 歌よ時代を語れ」を聴いた。そして、久しぶりに歌謡曲の楽しさを思い出していた。阿久悠さんは私より1歳若いが、早生まれなので同学年の方である。戦中、敗戦、戦後というわが国が始まって以来の大変化の時代を、感受性の鋭い年齢で体験した数少ない世代であり、もう、影が薄くなりはじめた世代でもある。

私の愛唱歌

歌謡曲・Jポップスの中での私の愛唱歌のトップ3が、彼の作詞であることを知った。そのトップは、 また逢う日まで で、現役時代はカニポーズをしてカラオケでよく唄った。尾崎紀世彦のレコード大賞を獲得したときの場面とカニポーズが今でも目に浮かぶ。今夜の尾崎紀世彦の歌も悪くはなかったが、1ヶ所くずして唄うところは残念だった。これは、作詞以上にハイカラな筒美京平の曲が良かったのだと私は思っている。

2番目は 青春時代 で、軽快なテンポの中に青春のほろにがさを秘めていて、分かるものには分かる、分からないものには軽薄な歌としか思えないのかもしれない。しかし、青春をそんなに深刻に、あるいは重大に考えなくても良いのではなかろうか?作曲の森田公一は 愛する人に歌わせないで のような心を打つしんみりした曲も書いている。ここではあえてそれを避けたのだろう。

3番目は 北の宿から で、都はるみは昔から好きな数少ない歌謡曲歌手であったが、この曲を聴いてから、彼女の天分の大きさを改めて知った。これも阿久悠の歌詞以上に、小林亜星の曲が良かったと思っている。

最後に、人前で唄ったのは、息子の10歳の誕生日に、プレゼントとして唄ったのが最初で最後の曲、 ヤマトより愛をこめて がある。これは沢田研二が唄ったが、心にしみる良い歌だ。作曲は大野克夫、もう世間からは忘れられているかも知れない。しかし、私にとっては、いつまでも心に残る歌だろうと思う。

その当時は、同じ阿久悠の作詞になる 宇宙戦艦ヤマト が大ヒットして、今でも人気がある。元ロカビリー歌手の佐々木功は堂々と歌い上げ、いつ聞いても見事だ。作曲は私の好きな宮川泰で、私も好きな曲だが、さすがに、これを唄うのは気恥ずかしい。

昔は好きでなかった歌手を見直した歌

今夜出演した歌手の中で一番心がこもって良かったのは八代亜紀の 舟唄 だったと思う。昔はダンプのの女王と仇名をつけるくらいで、好きではなかった。ところが、この舟歌を聴いてから、なんとうまいのだろうと感嘆してしまった。これも歌詞以上に浜圭介の曲が良いのだろうと私は思う。同じコンビの「雨の慕情」も良い曲だ。

世間ではあまり評価されていないが、実力のある歌手

今夜小林旭が出演したのを意外と思われた方も多いと思う。彼は石原裕次郎ほどのヒット曲はないが、歌唱力では裕次郎を上回ると思ってきた。ただ、この人はキーが高いので、原調では一般には歌いづらい。今夜歌った 熱き心に も舟歌に劣らぬほど良かった。番組の途中で、阿久悠が彼を大きく評価していたことを知り、やはり、よく分かっているのだなと嬉しくなった。

私のホームページで取り上げた歌

歌のデータベース1000とか歌と思い出に掲載した歌が多くあるので、ここにまとめておく。青色太字部分の曲名をクリックすれば、「歌と思い出」に載せた記事にジャンプする。

勝手にしやがれ
恋のダイヤル6700
サムライ
ジョニィへの伝言
せんせい
もしもピアノが弾けたなら
UFO

歌詞・曲・歌手

名曲といわれる歌は、歌詞・曲・歌手の3つがうまく合った時に生まれるのではなかろうか。いくら阿久悠の歌詞が良くても、歌手が良くても、曲が悪ければ名曲は誕生しないということを、今夜の放送から思った。今夜はビールも美味く杯を重ねたが、急に書きたくなって感想をまとめてみた。


<2008.8.5.>

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