明日香亮のつぶやき日記 1999年1月
1月26日(火)「サービスが伝説となる時」講演会
あのベッツイー・サンダース女史の講演を聞く機会に恵まれた。アメリカの高級デパート「ノードストローム」にパートタイマーの販売員として入社。その顧客サービスへの献身とリーダーシップが認められ、7年後に同社の副社長にのぼりつめたというあの伝説の人物である。その主著「サービスが伝説になる時」がそのまま講演テーマであった。同時通訳の2時間余りのぶっ通しの講演だった。
同時通訳の聴き難さを、専属通訳の瞬時の巧みな通訳がカバーする。 それ以上にサンダースさんの講演に対する顧客サービスに溢れた一生懸命さと真剣さがビンビン響く。民族性の違いはあるにしてもオーバーアクション気味の身振り、豊かな表情、感情のこもった口調など、全身で語りかけるその姿勢に、言葉の壁を越えた感動がある。少なくとも「サービスの第一歩は、提供する側の真剣さが顧客に伝わること」という実感が伝わってくる。プレゼンテーション・ソフトみよるビジュアルな講演スタイルも、講演自体の均質化と聴衆の理解のための優れたサービスというべきか。
顧客である聴衆を理解すること。サービスのスタートであるはずのその点のリサーチも怠りない。今回の彼女の顧客の半数以上が当社の社員であった。講演の中での社長の文献からの引用や、店舗の事前視察とお客様の観察報告。これらは顧客への追従というより少しでも顧客を理解し、その顧客により適切な講演を行うための彼女自身の努力の表れと理解すべきだろう。
今日の講演の意義を考えてみた。「当社の役員、店長、部長の殆どを対象に、我々の仕事にとって意味のある重要なテーマが確信を持った価値観のもとに提案された。」ということ。聴衆である我々自身の真剣な受止めをもって当社のカルチャーを再構築する端緒とすべきと考えたい。
他社、他店のことを気にしすぎたり、競合店との競争に勝つことよりももっと大切なものがある。我々自身の顧客をより深く理解すること。顧客の問題を解決すること。そうした対応ができていない我々自身の問題を理解し、一歩ずつでも着実にその解決をはかること。その積み重ねこそが結果として競争に勝つことなのだ。従来ブランドとは商品のブランドだった。その商品を並べさえすればよかった。今日、『ブランドとはトータルな買物の経験のことなのだ』。心に残る言葉だった。
講演から学ぶべき私自身の課題は何か。「仕えるリーダーとは。部下から我々だけで成し遂げた。その機会と方法をあなたが与えて呉れたといわれること。」肝に銘じたい言葉だ。
1月24日(日)グローバル経済の光と影(NHK番組アップ版)
長い「つぶやき日記」の正月休日だった。理由は2つ。ひとつはPCハードの初期化で復旧工事に手間取ったこと。リカバリーCDによる一からの復旧はかなりてこずった。
二つ目はNHKのスペシャル番組「資本主義はどこへ行くのか・マネー時代の選択」に嵌まってしまったこと。「これはスゴイ番組だ」と思ったとたん自分のホームページにアップしたくなる。幸いビデオを撮っていたので時間さえかければ可能だった。おかげで二週間にわたり休日のほとんどをビデオ再生とパソコン入力の繰り返しで過ごした。全ての作業を完了した時、今日の世界経済の潮流がわかってしまったかのような錯覚を覚えたものだ。
4部構成の大作である。第1部「マネーの暴走」 第2部「ウォール街の野望」 第3部「マハティールの挑戦」 第4部「ユーロの壮大な実験」と勝手に各部に分けて勝手なタイトルをつけてみた。
グローバル経済にまっしぐらに突き進んでいる世界経済の光と影。そのどちらかといえば影の部分をフォーカスしたドキュメントである。インタビューに応じた登場人物も超豪華版!サスガやせても枯れても経済大国「日本」の国営放送の取材である。「ジェームス・ベーカー」元アメリカ国務長官、「マハティール」マレーシア首相、フランスの女流作家「ビビアンヌ・フォレステル」さん、「レスター・サロー」マサチュセッツ工科大学教授といったそうそうたる面々である。

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