明日香亮のつぶやき日記

1998年10月
10月31日(土) オヤジたちへの手紙
前略
先日は、久々の邂逅を楽しく過ごさせていただきました。慌ただしい毎日の中で参加を逡巡していましたが、結果的には大正解だったことを喜んでいます。
道中のデジカメの成果をようやくお伝えできるようになりました。先日のOB会の模様を「七人のオヤジ 小豆島を行く」と題しましてインターネットの小生のホームページにアップロードいたしました。つまり皆さん方の顔写真がインターネットを媒介して既に世界を徘徊しているわけであります。(そんなアホな!) とはいうものの実態は、特定の限られた人しか見ていないということではあります。「勝手にそんなことスルナッ!」とのお叱りがあればいつでもネットから抹殺は可能です。
といっても各位の中にはインターネットにアクセスできる環境にない方もいらっしゃると認識いたしておりますので、ぶしつけながらホームページをプリントしたものを同封させていただきました。「この際、ホームページで本物の道中記を覗いてやろう」という奇特な方は下記のURL(アドレス)を入力の上、ご覧頂ければ幸いです。 http://www.asahi-net.or.jp/~lu1a-hdk
感想なりをメールでお寄せいただけるのでしたら下記のメールアドレスが用意されております。(唯、そうしたテクノロジーに関する各位の実力は承知いたしておりますので、それほど期待しているわけではありません。) lu1a-hdk@asahi-net.or.jp
次回の再会を楽しみに、ご健康とご活躍をお祈りいたします。
草々
10月15日(木) 崇高な愚行
10月15日 午後3時。私は、香川県小豆郡内海(うちのみ)町のとある神社の境内にいた。早い話が小豆島である。誰と何のためにそこにいたかはこの際やめておこう。七人のオヤジたちと群れていたなんぞ自慢できた話ではない。ともかく神社の境内なのだ。正確には「内海八幡神社」という。
30分前、私たちは島内最大企業?である「丸金醤油記念館」を見学する予定だった。(なぜか小豆島は醤油の産地なのだ。狭い島内に22社もの醤油メーカーがひしめいている。)ところが記念館入口には無情にも「本日臨時休館」の手書きポスター。そういえば周辺はやけに静かである。近所の佃煮の土産物店の気のいい店員さんの情報。『今日はここからバス停で二つ向こうの街で年に一度のお祭りだから・・・』
好奇心旺盛なオヤジ軍団の反応は早かった。そして30分後の祭り会場である。3町ある島内の全人口はわずか3万7500人とのこと。境内を埋め尽くす人の群れ。醤油記念館の臨時休館や周辺の静けさの正体である。
目の前で布団太鼓のダンジリが一瞬宙を舞う。ナント百人近くの男たちが必死で担いでいる何トンものダンジリが・・・である。町内会ごとに保存された10台ほどのダンジリが次々とこの境内に太鼓を響かせてやってくる。
年に一度の晴れ舞台。演技のクライマックスはダンジリの放り投げ。前棒と後棒の担ぎ手たちの呼吸が合わずバランスを崩すこともある。怒声が飛び交う。凄まじいエネルギーの発散。阿修羅の形相。男たちの全精力がダンジリを担ぎ放り投げるという一点に集約される。秋の収穫の神への感謝の儀式でもある。神事というフィルターを取っ払ってしまえば「狂気の愚行」という様相を帯びてしまう。男たちの願いは、年に一度のこの「狂気の愚行」に浸ることなのかもしれない。諏訪神社の「御柱」、岸和田の「ダンジリ祭り」の狂気がよぎる。
それにしてもダンジリの担ぎ手集めはさぞかし大変だろう。刺激のない島を脱出した若者たちを年に一度は帰省させる格好の口実になっているようだ。「息子もこの日だけは帰ってくるんヨ」「都会のどんな楽しみもこの祭りには代えられんみたい」 3人のオバサンたちの虚勢にあふれた会話が耳に入る。思わず声をかけてみた。「ところでこのお祭りは何というお祭りですか?」「ウ〜ン。何というお祭りといわれても・・・」虚を衝かれたかのようにオバサンたちは考え込んでしまった。突然ひとりが自信ありげに断定した。『秋祭りヤッ!!』 (ギャッ)
10月4日(日) H夫妻が林夫妻になった日
朝7時、テレビをつけると何やら騒がしい。「和歌山保険金ヒ素事件」の疑惑の渦中にあったH夫妻の逮捕の報道だった。かねて取り沙汰されていた「Xデー」は本日早朝6時に訪れた。
疑惑の「H夫妻」は、逮捕直後から晴れて「林夫妻」として登場した。同時にテレビ画面は、容疑者夫妻の素顔を容赦なくアップする。素顔を覆っていたモザイクはもはやない。逮捕によって「疑惑の人」は「容疑者」に変身した。「人権」という規制の下で自制を余儀なくされていたマスコミは、自制をかなぐり捨てる「大義」を手に入れた。鎖から解き放たれた猟犬がいっせいに獲物に襲いかかったかのようだ。万が一容疑が晴れた時、失われた人権はどうなるのだろう。マスコミが手に入れた「大義」とは、その責めの全てを警察に押し付けられる「大義」なのだろう。
9月末、子会社である和歌山市内のホテルの取締役会が開催された。マスコミ関係者の滞在で市内のホテルはかつてなく高い客室稼働率を維持しているという。

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