作成者 | BON |
更新日 | 2004/05/23 |
流芥とは,流れ込むごみのことです。保安対策として設置するさまざまな対策の目標となるものです。ちなみに,水道用語辞典にはこの言葉掲ってませんので,通じないからといって責めないでくださいね。
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流芥 流芥物の傾向と対策について。 |
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保安プロセス 流芥物に対応するための浄水プロセスの部分です。 |
【参考】
再編により水源の項から移動。
取水施設の主たる役割は,「必要な原水を適切に取水し,また浄水処理設備の運営に支障をきたすような障害を持ち込まないこと」です。
1)流芥物の種類
異物のうち比較的サイズの大きいものは,「流芥」と呼ばれます。これは,名前のとおり,「流れてくる芥(あくた)」のことで,流木や枯れた植物,ビニル袋などのゴミ,生物の死体など様々です。
分類 | 絡む | 腐る | 硬い | 種類 | 特徴 |
ごみ | △ | △ | 油 | 流芥か?浄水処理困難,取水停止も | |
× | △ | 紙片 | 分解しやすいので多量でなければ問題少。 | ||
× | × | ビニル片 | 分解せず装置閉塞の原因に。 | ||
× | × | 小石 | 回転部やポンプ羽の破損の危険。 | ||
植物片 | × | △ | 枯葉 | 季節により大量に流入。 | |
× | △ | 葦片 | 降雨後などに多い。 | ||
△ | × | 流木 | 降雨後など。装置破損の危険も。 | ||
死がい | × | 魚 | 精神的ダメージ(ドキッとする)腐食の危険も。 | ||
× | × | 貝殻 | 稚貝で進入し内部で生育,厄介。 | ||
× | ??? | 時には警察を呼ぶような場合もあったとか。 |
塵もたまれば...
某浄水場で撮影した,処分を待つ流芥物の山。河川から取水していると,こういうのがどんどん入ってくるわけです。大変なことであります。
2)流芥物対策
通常,浄水処理において問題となる流芥物は,主として取水時に除去することになります。これは,流芥物が,浄水処理システムを構成する装置に引っかかったり,閉塞したりすることを避けるためで,どうせ除去するのであれば早いほうがよいからです。また,流芥物には衛生的に問題のあるもの(生物の死体など)があり,これが浄水プロセスに浸入することは,極力避けたいという意識も働きます。こういう意味でいうと,流芥物対策は,大きく分けて,以下の5段階に分類できると考えられます。
ここに挙げた対策は上から順に重要です。なによりも重要なのは,流芥物が進入しない水源や取水施設を設計することで,すぐれた取水施設ではこの思想がよくあらわれています。
たとえば,1.の「選ぶ」対策では,「取水塔の選択取水」などがありますし,4.の例として,稚魚が侵入しないよう,魚の生態を研究し,エアレーション設備を設けた例があります。
3)浄水場内での固液分離
取水施設で除去されなかった流芥物は,浄水処理プロセスに侵入します。
通常の浄水処理プロセスでは,比重が大きく沈降速度の早いものは沈殿池で,比重が大きいが沈降性の悪いものはろ過池で除去されます。また,沈降性のないものは,沈殿池やろ過池にずっと浮いているため,ろ過池の逆洗浄時や沈殿池の清掃時に除去されます。
ただし,膜処理や原水生物処理などを採用する場合,流芥物への対応が必要になる場合があります。たとえば,沈殿池よりも前に生物処理施設を設置する場合は,原水中の流芥物による装置の閉塞などへの対策が必要です。特にこのような場合において,流芥阻止装置は大きな役割を担っているといえるでしょう。