マンガン Manganese
作成者  BON
更新日  2004/10/31

 各物質に関する情報をとりまとめたコーナーです。片っ端から集めた情報を載せる予定です。

水道への影響
 基準,毒性や障害,汚染源,対処法,検出法について。水道としての視点からとりまとめました。
特記事項
 当該物質に関連した情報について集めたものを掲載。

【参考】


水道への影響

1)水質基準項目

【水道水が有すべき性状に関連する項目】 0.05mg/L以下
【快適水質項目】 0.01mg/L以下 

2)毒性や障害

 微量のマンガンは生理代謝に必要であすが,鉄と同様に水や洗濯物等に色をつけたり,黒色障害をおこします。極微量でも遊離炭酸で酸化され二酸化マンガン(MnO2やMnO2・MnO)となり,マンガン量の300〜400倍の色度を呈します。基準値は利用上の快適性(着色防止)から定められたものです。ちなみに,水道水の色度の原因は,鉄,マンガン,フミン質(紅茶の茶色のようなもの)がほとんどです。

 給水・配水管内壁,水槽などにマンガン酸化物が付着すると,それが触媒となり,消毒塩素の存在下で酸化が促進されて沈積(茶色−黒色の粘土状)が多くなります。このようにして長年にわたり付着したマンガン酸化物が,流速の変化などの原因で流出して大騒ぎになる場合があります。

 この現象は浄水場内でも発生するケースがあります。原水の栄養塩レベルが高いケースなどで前塩素を注入する場合など,ろ過より前時点で設備内にべったりと析出してしまう場合も散見されます。

 なお,これはなにも人為的な環境だけで発生するものではありません。水源調査をしていると,よく茶色の粘土状のマンガンがびっしりついた沢を見かけます。

3)汚染原因

 自然水中では鉄と共存し,その1/10程度が含まれます。水道水中では0.01〜0.05[mg/L]程度の含有量が多く,水源別では,地下水に多いとされています。

 水中では,イオン,水酸化物,けん濁質や有機物と結合した形で存在しますが,特に,湖沼などで嫌気状態が形成されると,還元的雰囲気のなかでマンガンの溶出が増加する傾向があるとされています。

4)処理方法

(1)酸化吸着法

除マンガン設備事例

 消毒塩素により酸化,必要に応じて凝集沈殿,マンガン砂にて接触ろ過する方法が一般的です。そのための専用のユニットも多数発売されています。写真は実機の事例ですが,基本的にモノは急速ろ過機と全く同じもので,中にはマンガン砂(はじめからマンガン砂の場合や,普通の砂にマンガン層が沈着するのを待つ場合がある)や特殊ろ材を入れてあります。

 写真は実機の事例ですが,基本的にモノは急速ろ過機と全く同じもので,中にはマンガン砂(はじめからマンガン砂の場合や,普通の砂にマンガン層が沈着するのを待つ場合がある)や特殊ろ材を入れてあります。

 酸化剤としては他にオゾン,過酸化マンガンが使用された例がありますが,オゾンでは消費量が大きく非効率ですし,過酸化マンガンでは制御が難しいうえ装置類が腐食する問題があります。なにより,これらの方法で過渡的に発生する過マンガン酸は,ピンク色の毒々しい色を呈しますので見た目がわるうございます。(^o^)

マンガン砂

 写真はマンガン砂の例です。写真提供は日本原料株式会社様,熊本水道展04で撮影いたしました。

日本原料株式会社
 ろ過砂供給の最大手。つーか,日本中のろ過砂はほとんどここから調達されております。

(2)生物処理

 生物処理によりマンガンが酸化され,生物処理槽の担体にて補足される効果があります。表流水性の水源などで,有機物除去などと同時の効果を求める場合に有効のようです。ただ,温度が下がるとマンガンを酸化する微生物は活性が下がるそうなので,補助的役割ということになるかと思われます。

5)検出方法

 ICP吸光光度計など。

【備考】
 水道水質ハンドブック上水試験法など。


特記事項

1)鉄バクテリア

 鉄バクテリアによる除去なんて方法があるらしいですが...よく知りません。ただ,生物処理については前述したとおりですので,とくに意識しなくても効果を発揮するんでしょうかねぇ...

【参考】


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