認可申請 Admission
作成者  BON
更新日  2006/07/16

 認可申請書作成業務を遂行するために気をつけるべき項目について。経験的に注意すべき事項や制度改変を中心に整理します。

認可申請とは
 どのようなケースで変更認可の対象となるかについて。
記載内容
 記載に関する規定の引用分です。

【参考】


認可申請とは

1)水道の認可申請とは

 認可申請は,水道事業を創設,またはその基礎的な条件を変更する際に,所管官庁である厚生労働省,小規模事業の場合は都道府県にその審査を受けるものです。認可申請書に記載される必記事項,審査内容等は水道法,施行令に記載されています。水道法第7条にその根拠規定があります。

2)認可の申請方法

 認可申請のためには認可申請書を作成して認可を受ける必要がありますが,その作成のうち必記事項は水道法,施行令に記載されています。特に,もっとも基本的な記載内容については水道法第7条に明記されていますのでまずは引用してみましょう。 認可申請書が4種類の書類で構成されることがわかります。

(認可の申請)水道法第7条

 水道事業経営の認可の申請をするには,申請書に,事業計画書工事設計書 その他厚生労働省令で定める書類(図面を含む)を添えて,これを厚生労働大臣に提出しなければならない。

 各々の書類についてはさらにその記載項目に関して決められています。水道法と施行令にまたがっているうえ,申請書に添付する書類に「その他厚生労働省令で定める書類」,事業計画書の第8項に「その他厚生労働省令で定める事項」,工事設計書の8項に「その他厚生労働省令で定める事項」,といちいち施行令で定める事項が指定されているので,ややっこしいのが難点です...

 このこともあって,一般に「認可の手引き」と呼ばれる書類がたとえば水道実務六法などに掲載されていまして,それぞれの細かい記載方法(モノによっては色まで)が規定されていますので,この資料とある程度の経験なしに水道事業の認可申請を行うことは難しいでしょう。

3)認可権者−国認可か県認可か

 水道事業(給水人口が5千人を超えるもの)の認可は,厚生省(当時)の所掌とし,機関委任事務として都道府県が行っていました。これが,平成10年4月施行の水道事業の認可事務の自治事務化により,水道事業の認可の所掌が,一部,厚生労働省から都道府県に移行しました。この対象となったのは,以下の条件に該当する事業です。

 詳細は以下のサイトを参考にしてください。また,大臣や首長は「行政」のページにあります。

平成10年全国厚生関係部局長会議資料【厚生労働省】
 13.水道法施行令の一部改正について,のところに掲載されています。
行政官庁
 厚生労働大臣,都道府県知事の一覧はこちらから。

 県認可となったものについては,今後,基本的には国の関与はないことになります。ただ,都道府県としては,従来どおりの連携は失わないでしょう。

 なお,一部の用水企業団では,企業団が国認可で一部自治体が県認可となるケースも,またその逆に,企業団は県認可で末端が国認可になるケースもあります。厚生省指導の傾向をみると,このようなケースでは,企業団認可と自治体水道事業の認可がセットで考えられているようです。

4)変更認可が必要なケースについて

 前出の水道法第7条には,変更認可に関して,申請書の記載事項に変更を生じた際に速やかに届け出ること求めています。

水道法7条
3 水道事業者は,前項に規定する申請書の記載事項に変更を生じたときは,速やかに,その旨を厚生労働大臣に届け出なければならない。

 具体的に,変更認可が必要となるケースは以下のように規定されています。

 なお,平成13年の水道法改正では,軽微な変更について,変更認可を要しないことになりました。

水道法
 水道法の改正についてはこちらを参照ください。

 ここで「軽微な変更」とは,具体的に(水道法施行規則第7条の2に規定する変更認可を要しない軽微な変更の要件)に示された条件に合致するものです。

 水道施設(送水施設(φ250mm以下の送水管やそのポンプ等付属施設に限る)並びに配水施設)の整備を伴わない変更のうち,給水区域の拡張または給水人口若しくは給水量の増加に係わる変更であって以下のいずれにも該当しないもの。

  • 変更後の給水区域が他の水道事業の給水区域と重複する。
  • 変更後の給水人口と認可給水人口との差が5,000人を超える。
  • 変更後の給水人口と認可給水人口の差が認可給水人口の1/100を超える。
  • 変更後の給水量と認可給水量との差が2,500m3を超える
  • 変更後の給水量と認可給水量との差が認可給水量の1/100を超える。

 なお,平成16年12月24日,このうち給水人口のみが増加する場合はについてはこれに加えて「軽微な変更」に加えることになりました。

 「水道施設(送水施設(内径が250ミリメートル以下の送水管及びその附属設備(ポンプを含む。)に限る。)並びに配水施設を除く。)の整備を伴わない変更のうち、給水人口のみが増加する場合においては、水道法施行規則(昭和32年厚生省令第45号)第7条の2第2号及び第3号の規定は適用せず、水道法(昭和32年法律第177号)第10条第1項第1号に規定する厚生労働省令で定める軽微な変更(届出)とする。」

【出典】
 市町村合併に伴う水道事業統合の手引き 平成16年1月 日本水道協会等。


認可申請書の記載内容

 認可申請書の記載内容は

1)申請書

2 前項の申請書には,次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 申請者の住所及び氏名(法人又は組合にあつては,主たる事務所の所在地及び名称並びに代表者の氏名)
二 水道事務所の所在地

 申請書は通常1枚のペラ紙です。掲載内容は都道府県や事業によって若干異なりますが,概ね上記の義務的記述に加えて,水道事業の変更認可申請を行う旨を記述する形になっています。

2)事業計画書

水道法第7条

4 第一項の事業計画書には,次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 給水区域,給水人口及び給水量
二 水道施設の概要
三 給水開始の予定年月日
四 工事費の予定総額及びその予定財源
五 給水人口及び給水量の算出根拠
六 経常収支の概算
七 料金,給水装置工事の費用の負担区分その他の供給条件
八 その他厚生労働省令で定める事項

 変更認可の場合は既認可との記載事項の変更内容がわかるように記載するので,様式もそのように作成すればいいでしょう。給水人口の計画値は算出根拠に基づいて算出経緯を添えて提出しますが,ここの算出の考え方が甘いと認可申請が通らないことがあり,詳しい事情はここでは書けませんが,特に近年はこの辺が厳しくなっています。懇意のコンサルにでもといあわせてください。

3)工事設計書

水道法第7条

5 第一項の工事設計書には,次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 一日最大給水量及び一日平均給水量
二 水源の種別及び取水地点
三 水源の水量の概算及び水質試験の結果
四 水道施設の位置(標高及び水位を含む。),規模及び構造
五 浄水方法
六 配水管における最大静水圧及び最小動水圧
七 工事の着手及び完了の予定年月日
八 その他厚生労働省令で定める事項

 工事設計書の主旨は事業計画書を補完することにあると思われますが,いまいち事業計画書との整理が十分ではないのではないかなと思われる部分もなきにしもあらずですが(^_^;)。

 ここで特に注意しなければならないのは浄水方法と水質試験の結果です。水処理方法をどのような技術的判断に基づいて決定したのか,最新の処理技術を踏まえたうえで適切に決定されているのか,かなり突っ込んだ審査が行われることがあります。特に,高度浄水処理に関する補助を想定している場合は,実験まで要求されることがあり,そのつもりが必要です。

4)その他厚生労働省令で定める書類(図面を含む)

【備考】
 水道実務六法よりの引用が中心です。


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