水道ビジョン Waterworks Vision
作成者  BON
更新日  2008/06/08

 水道に関連する政策目標等から水道ビジョン関連を抽出しました。英語ではなんて書けばいいのかわかんなかったのでぐぐったら,日立さんが「Waterworks Vivion」と訳してたので,ちょいと拝借。

地域水道ビジョン
 地域における水道整備の方向性について,水道ビジョンの考え方をとりいれた概念。
水道ビジョン 
 水道の今後10年間の施策目標。
水道行政全般
 計画年度のが迫っていたり,廃止された施策について。

【参考】


地域水道ビジョン

 平成17年7月に就任された厚労省の山村水道課長は,各水道事業がそれぞれ自ら水道事業体としての方向性等を整理提唱することが重要だとし,この概念について「地域水道ビジョン」という言葉を用いて解説されました。

 環境分野でのローカルアジェンダ21を好例として,いわゆる,「Think globally act locally」の水道版を実施すべきとのこと。課題を洗い出して数値を示し,目標を明確化する手法は特に今日求められる社会的要求でもありますので,企画経営計画に係わる場合はこの視点が重要でしょう。

 この流れを受けて,051017には「地域水道ビジョン作成手引き」とこれに関する事務連絡が公布され,地域水道ビジョンで策定すべき項目等が公開されました。

地域水道ビジョンについて【厚生労働省水道課】
 地域水道ビジョンの概要と実施状況。

 基本的に,地域水道ビジョンにて検討すべき内容は基本計画に近いので,基本計画のない事業体さんの場合は,あわせて検討するのが理想的です。

 ただ,大切なのは,自らの水道事業の中長期的な目標をもっておくこと。本格的な基本計画の策定には相応のコストがかかるのはしかたがないのですが,そのようなコストが捻出できない場合でも,せめて,事業体内部でそのような勉強会的な取り組みをやるべきです。それによって長期的な課題などについての認識を共有することが持続可能な事業経営の第一歩であり,地域水道ビジョンの趣旨でもあるのですから。余談ですが,仙台での2008年の研究発表会ではそのような取り組みの例(愛知県の丹羽広域事務組合)が発表され,個人的にはいたく感動した次第です。

 現在では多くの水道事業体が地域水道ビジョンの策定を行っています。中小規模事業体の例として早期に実施された例をひとつ紹介。

長泉町水道事業基本計画 概要版 2004【静岡県長泉町】
 地域水道ビジョンの実施状況のリストにはありませんが,このようにして計画を作るわけです。

【備考】


水道ビジョン

 「水道ビジョン」とは,水道の所掌官庁たる厚労省が,水道の目指すべき方向性について示したもので,平成16年6月付けで正式に公布されました。

 その目的は,「我が国の水道の現状と将来見通しを分析・評価し、水道のあるべき将来像について、すべての水道関係者が共通目標を持って、その実現のための具体的な施策や工程を包括的に示す」ものとのことです。(厚労省水道課HPより引用)

 水道ビジョンの長期的な政策目標は以下の5点で,この視点に基づいて様々な問題とその対応の方向性がまとめられています。

  1. 安心:全ての国民が安心して美味しく飲める水道水の供給
  2. 安定:いつでもどこでも安定的に生活用水を確保
  3. 持続:地域特性にあった運営基盤の強化,水道文化・技術の継承と発展,需要者ニーズを踏まえた給水サービスの充実
  4. 環境:環境保全への貢献
  5. 国際:我が国の経験の海外移転による国際貢献

 ちなみに,厚労省水道整備課のHPには,既に水道ビジョンの全文が掲載されています。水道関連情報を総括してあつかっているので非常に使いやすいです。

水道ビジョン【厚生労働省水道課】
 水道ビジョンの全文発表。
第七回水道ビジョンフォローアップ検討会【厚生労働省水道課】
 水道ビジョンな継続的な事後モニタリングをその最大の特徴としております。
水道ビジョン【日本水道協会】
 水道ビジョンに関する情報提供のページ。

 ちなみに,水道ビジョンの達成状況等については,水コン協から,水道ビジョン基礎データ集が公表され,及びフォローアップ調査等が実施されていますので,現状把握にはこれらの資料を参考されるとよいでしょう。

 なお,平成15年1月に「水道ビジョン」の骨格が業界新聞各紙を通じて公表された当時の新聞記事からの引用は以下のようになっていました。完成版との比較もおもしろいかも...

<今後の水道施策の目指すべき方向>

<長期的な政策目標>

  1. 需要者が安心して飲める水道水の供給
     大事な飲料水を責任をむって給水できるよう、水道水源から給水栓に至るまで、一貫して水質管理を実施
  2. いつでもどこでも安定的に生活用水を確保
     未普及地域を早期に解消するとともに、災害・テロ・事故による需要者への影響を最小化するための被害の未然防止策、事後対策の充実
  3. 地域特性にあった経営と技術基盤の強化
     広域化の概念を広げ、我が国にふさわしい官民パートナーシップのもと、持続可能な水道システムを支える基盤を強化
  4. 水道技術の継承と発展
     水道技術に携わる人材の確保と育成を行うとともに、水道を取り巻く情勢の変化に対応した技術革新と新技術の普及促進
  5. 需要者二-スを踏まえた顧客ザービスの充実
     相互理解のための情報交換・情報共有を推進
  6. 環境保全への貢献
     エネルギー消費産業としての責任をもってエネルギー対策にむ貫献するなど環境にやさしい水道の構築
  7. 我が国の経験の海外移転による国際貢献
    国際的な動きに調和し水道分野の国際化を進めるとともに、我が国の成功例をむとに途上国の給水環境改善に責献

<目標達成のための総合的な水道政策の推進>

  1. 水道の経営・運営への多様な形態の提示と普及
  2. 安心・快適な給水確保
  3. 災害対策等の充実  
  4. 環境・エネルギー対策の強化
  5. 国際協力を通じた水道分野の国際貢献

【備考】
 水道産業新聞1月19日号より。


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