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津野裕子INDEX



1.津野裕子さんについて

2.作品リスト
第1期(1986〜1988)〜初期作品とケン君シリーズ〜
第2期(1988〜1995)〜岩波君と白玉シリーズ〜……2002.5.7更新
第3期(1996〜現在)〜ミラースクライングシリーズ〜……2002.5.7更新
番外〜雑誌の特集記事、寄稿エッセイ等〜……2002.5.30更新

3.単行本リスト
「デリシャス」
「雨宮雪氷」
「鱗粉薬」
「森茉莉カタログ」(同人誌)……2002.6.1更新






1.津野裕子さんについて


略歴

津野裕子さんは1986年に「冷蔵庫」で漫画雑誌「ガロ」にデビューされて以来、主に同誌に作品を発表されている漫画家さんです。多少のブランクを挟みつつも作品を書き続け、現在までに「デリシャス」(1988)、「雨宮雪氷」(1994)、「鱗粉薬」(2000)と3冊の単行本を出しておられます。


作品

8p前後の短篇を主に、夢と現実との奇妙な交差を描いている点が津野さんの作品の特徴です。その透明感のある絵柄と相俟って少し不思議な、とても心地よい世界を作り出しています。

作品のカラーの変遷としては、大きく分けて三つに分類出来ると思います。
1.初期作品及びケン君シリーズ
デビュー作の「冷蔵庫」は姉の死に惹かれて、結局同じ死を迎える事になった妹の運命を幻想的に描いた作品でした。こうした一寸影のある作品と、「Merry Merry Christmas」に代表される明るい日常ファンタジーとも言うべきケン君シリーズとが、この時期には平行して発表されています。

2.岩波君と白玉シリーズ
「やってきた魚男 第4の倉庫」で始まった岩波君と白玉シリーズは、津野裕子さんの作品の中で一つの転換点となった作品です。これまで特に何処と設定される事の無かった作品の舞台として、作者の住んでいる富山が初めて描かれる様になりました。

「どこかの地方のかんじが出せたらいいなあ」という作劇の意図を津野さんは単行本「雨宮雪氷」の後書きで述べておられますが、自身の日常の風景によって与えられたリアリティが、ストーリーの幻想性をより一層強くした側面は見逃すことが出来ません。

特に、大雪の日、雪捨ての排水溝に落ちて亡くなった少女ゆきごおりと、彼女にほのかな恋心を抱いていた少年とおるがその死を受け入れるまでの過程を描いた「雨宮雪氷」や、富山湾の蜃気楼を作り出す辰虫の気を浴びて歳を取らなくなった姉弟の話「喜見城」等は、富山という舞台だからこそ生まれ得たファンタジーではないかと思います。

3.現在
現実と幻想との混交を経て、夢の不条理性と寓意性を前面に押し出した現在の津野さんの作風が確立されたのが「PALE BERYL」でないかと思います。父が亡くなって以来すれ違いぎみの母との関係が少女の見る夢によって修復されていくストーリーに、津野作品のある意味テーマといえる夢と現実との分離不可分性がはっきり示されています。

その他にも「スイングシェル」「turbidity」「ねこのゆくえ」等に見られる、夢とも現実の話とも受け取れるリアリティと幻想性の奇妙な同居は、まさに津野作品世界の真骨頂と言えるのではないかと思います。

最近では、一連の「ミラースクライング」シリーズに注目しています。邪眼の母の元に生まれ、4対の乳首と6本の足指を持つ少女ジェミニの物語が、津野裕子版ファンタジーとしてどの様に描かれるのかとても楽しみにしています。



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