タイセツな人・・・過去
決着をつけてやる。
あいつとの忌々しい運命に・・・・
俺は、生まれた時から家族なんていなかった。
愛とか温もりを知らなかった。
1人で・・・孤独だった。
でも・・・あの日、あの時。
「どうしたんですか?」
俺が暗い路地で空を見ていると、
俺と同じくらいの少年が話しかけていた。
俺はその少年の顔をきょとんとしながら見ていた。
「・・・・。」
「僕といっしょに来ませんか?」
にこっと微笑み手を差し出す。
気付いた時には俺はその手をとっていた。
「千石・・・清純。」
名前はなぜか知っていた。
誰がつけたのか、誰に教えてもらったのかは分からないけど。
「清純・・・いい名前ですね。」
少年はにこっと笑って言った。
「僕は観月はじめです。」
「観月・・・。」
「えぇ。」
「でも・・・さっきFirstって。」
「あぁ、それは・・・呼び名なんですよ。あまり好きじゃないんですけどね。」
と苦笑いしていった。
「だから、あなたは“観月”と呼んでください。」
俺はコク、と頷いた。
俺は観月の望みはすべて叶えた。
観月が望むなら人を殺したし。
盗みもした。
カラダだって差し出した。
観月が望めば、この命だって惜しくなかった。
そうすれば、観月は微笑む。
「愛してる」と言ってくれる。
でも・・・あいつは・・・を・・・・・
は、観月が俺の仕事のパートナーに雇った殺し屋だった。
殺し屋と言っても、とても小さくて可愛かった。
ふんわり、と優しく微笑む。
そして、仕事以外では人を殺さない。
強くて優しい女だった。
ある時、俺の所為でが怪我を負ってしまった。
俺は怪我をしたを担いで、観月の屋敷へと戻った。
が、観月は帰って来た俺たちに銃を向けた。
いや、に銃を向けたのだった。
そして
ガゥンッ
「・・・っーーー!!!」
は冷たく動かなくなった。
観月は「新しいものを用意するから。」
と言って笑った。
俺にとって、は1人で、代わりなどいなかった。
愛するとは違う感情だったけど、とてもタイセツな存在だった。
は俺に色んなことを教えてくれた。
一言では言えないくらい色んなことを。
だから、俺は観月を許さない、
そして・・・
「もう、二度と失うもんか。」
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次回予告
ついに明かされた、観月と千石の過去。
観月の狂った愛。
そして、千石の南への愛。
勝つのはどちらか。
感動の結末!
(なんとなくやってみたかった。
次では終わりませんよー。)
2002.9.21 ゆうり