泥棒のおむかえ
「たっだいまー!」
大きな紙袋を片手に抱えてドアを開けた。
「南ー?」
南がいるはずのそこは、真っ暗で人の気配がしない。
パチン
手探りで電気をつけて周りを見回す。
昼間はあんなに汚かった部屋がとてもキレイになっている。
そして、机の上に一枚の紙が置いてあった。
そこには
「うーんと、“ちょっと、出かけてくる。すぐ戻るからさき飯食ってろ”・・・か。」
声に出して読むとその紙をクシャっと丸めて捨てた。
「よし!じゃあ、南の分も作ってやろーっかな。」
そう言って、さっきの袋の中をあさりはじめた。
こんこんこん
リズム良くまな板を叩く音が聞こえる。
「よし、したごしらえ完了!次は・・・・・・っ」
次の作業に移ろうと、足を踏み出したその時。
「っぅ・・・」
千石は足を庇うように床に倒れた。
「くそっ・・・傷が・・・。」
昼間の激しい戦闘と行為で傷が開いてしまったのだろう。
千石のズボンには鮮血が染込んでいる。
「いって・・・。」
壁を伝い傷がない方の足で立ち上がった。
ずるずる、と足を引きずり歩く。
ぽすっ
千石は力が尽きたかのように、ベットへ倒れこんだ。
「最悪・・・、とりあえず、止血して。」
その辺にあったタオルで傷口を縛る。
「・・・・あー、痛い。・・・・・・もぉ、寝よ。」
ガチャ
暗闇に、窓を開く音が響いた。
そのすぐ後に、タトンと足音が続く。
「お、寝てる。」
と、男はぼそっと言った。
男は1歩1歩、千石の寝ているベットに近づいて行く。
そして、ベットの横に立った。
「・・・・・なんの用?夜這いなら、まだ、早すぎるんじゃない?」
寝ていたはずの千石が、目を瞑ったまま言った。
「起きてたんスか?」
「うん、君の足音が聞こえたからね。」
そう言って千石はゆっくりと目を開けて半身を起こした。
「狸寝入りっスか?」
「いや、寝てたよ。」
にっこり、笑っていった。
「それは、すいませんね。安眠の邪魔しちまって。」
「うん、ホンと迷惑。」
そう言って、枕の下から愛銃ブラストを出し構えた。
「さっさと帰って、やつに伝えな。用があるなら、てめぇで来いってな、」
言いながら、カチっと安全装置を外した。
「それは無理っスね。」
「頭に風穴開けてほしいの?」
「それも勘弁っスよ。」
男は降参ーっと言わんばかりに両手を上げて見せた。
「欲張りだね。」
「えぇ、性分でしてね。」
千石は引き金に指をかけた。
「あ、あと、玄関から入ってきた、君。隠れてないで出てきなよ。」
ブラストを男にむけながら、頭だけ寝室のドアの方を向いた。
「なーんだ、バレてたんだ。」
「うん、バレバレ。」
「あんた、俺たち二人相手でも勝てるともってんっスか?」
「うん、」
「甘いっスよ。足、血だらけのくせして。」
「あら、バレてた?」
「さっきの言葉そのまま返します。」
そう言って、二人いっせいに飛びかかった。
千石は、ベットのバネを使って飛んで、部屋の反対側に行った。
「越前!」
男がそう叫ぶと越前と呼ばれた男が、ポケットから、赤ん坊のグーくらいの球を取り出し
床に投げつけた。
パァン
球は音と共に割れ、煙を出し始めた。
「っ・・・やばっ・・・。」
律儀にも、男が入ってきた窓は、ちゃんと男の手により閉めらており
煙の逃げる穴がない。
そのため、煙は部屋に充満し視界を遮る。
「ゴホっ・・・ゴホっ・・・っ・・・。」
ガクっ
床にヒザをついた。
「どうっスか?ガスの味は。」
と、マスクを通したような声がした。
「最初・・から・・・・ゴホっ・・・このつもりで・・・。」
「当たり前じゃない。俺ら二人、殺し専門じゃないし、あんた強いし。」
「汚い。なんて言わないで下さいよ?」
「・・・この世界では・・・・当たり前・・・か・・・・・・っごほ」
「そろそろ、体動かないんじゃない?」
「う・・・・せ・・・・。」
「まだ、しゃべれるんだ。」
コツコツと二つの足音が近づいてくる。
(やば・・・頭・・・働かね・・・・)
千石は薄れる意識の中床に何かを落とした。
「く・・・・・そっ・・・・・・・・・・。」
バタンっ
その言葉を最後に千石は意識を手放した。
「オヤスミナサイ。千石さん。」
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アトガキ
いやんvやっとこさ、ここまで来ました。
桃&リョーマの登場です!
彼ら結構卑怯ですねぇー。
てか、まだ、彼らの武器考えてないんすよ(汗)
まぁ、ノーブランドの銃でいいかな?って感じです。
ではでは、これは次へ続きます!
こうご期待!
2002.9. ユウリ