「はぁっ、はぁっ」


道が異様に長い。


足がもつれる。


早く


もっと、早く。





安心そして南の決意





バタンッ


千石は勢い良くアジトのドアを開けた。


「南っっ」


しかし、中は真っ暗で南の返事もない。


「南っ南っ!」


片っ端からドアを乱暴に開けていく。


「南っ!」


バタンッ


そして、最後のドア。


「南!!」


しかし、そこには南はいなかった。


「みなみぃ・・・・。」


千石は力なく床に座り込んだ。


と、その時。


ガチャっとドアが開く音がした。


千石はバッと顔を上げると、音のしたほうにとんで行った。


「南!?」


乱暴に脱衣所のドアを開ける。


そこには、シャワーを浴び終え腰にタオルお巻いた南が立っていた。


「なんだよ。千石。」


きょとん、とした顔で千石を見る南。


「〜〜〜ど、どこ行ってたのさ!!」


千石は南をキッと睨んでいった。


その目にはうっすらと涙が浮かんでいる。


「はぁ?どこ行ってた・・・ってお前なぁ。言っとくけど、それはこっちの台詞だぞ?今何時だと思ってるんだ。」


ガバっ


「夜中の3時だ・・うわっ」


それと同時に千石は南に抱きついた。


背中に手を回し、ぎゅぅっと抱く。


まるで、どこにも行くな。


と言うように。


そんな千石に南は何も言わず、頭を撫ぜた。


「なんか、あったのか?」


南は諭すように聞いた。


千石は南の胸に顔を埋めたまま、首を横振った。


「そうか。」


南はそれ以上聞かなかった。


これは、初めて会ったときと変わらない、南の優しさだった。


南は千石が自分から話さないことは決して無理に聞こうとしない。


ただ、優しく頭を撫ぜる。


「千石。なんかあったら、言えよ?1人で抱え込むな。」


「うん。」


「俺に出来ることならなんでもしてやるから。」


「うん、ありがとう。」


それを言い終わると、ぱっと顔上げた。


「もー、平気。俺もシャワー浴びんね。」


そう言って、服を脱ぎ始める。


「ちょっ・・・おい!」


「あ、南照れてる!」


指を差し、けらけらと笑う千石。


さっきまでの泣きそうな顔は消えていた。


「じゃ、タオル出しといてねー。」


ガチャン


と笑顔で言って、風呂へ入っていった。


「はいはい。・・・・・・・・・」













「ふぅー、いいお湯でした!南ー、出たよー。」


・・・・・・・・。


返事はない。


「あれ?南ー?」


千石は、さっきと同じように一部屋一部屋開けていく。


「みな・・・あ。」


リビングにはいると、南がソファの上で寝息をたてていた。


「寝てる。」


すぅ、すぅ、と規則的に吐かれる息が安心する。


「ふぁぁ。俺も寝よ。」


アクビをすると、寝室へと歩いて行った。


ガチャ


千石はフラフラとした足取りでベットの前まで来るとそのままボスっとベットに倒れた。


そして、数分後。


すぅ、すぅ、と寝息が漏れ始めた。




ガチャ


そこへ、さっき寝ていたはずの南が入ってきた。


窓からは月明かりが入ってきているので、電気をつけなくても結構明るい。


南はそれを頼りに千石の下へ近づいていった。


ベットにあわせ膝を折って座る。


「ごめんな。」


月明かりに照らされた千石の髪を撫ぜながら小さく呟く。


「行ってくるな。」


その南の表情は何かを決意したような、強い表情だった。


そして、立ち上がり、千石の唇に口づけると、部屋を出た。






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アトガキ


はい、二回じゃ無理です。ごめんなさい。

てか、ひっぱんなよっ!って感じですね。

ふふふ、続きものって大変vv



2002.9.17           ユウリ