2  絵本ビデオの音楽 その1

 いよいよこれから映像のための音楽を作り始めます。慣れないうちは、特に難しいと感じることがいくつかあります。

  その中でも

1)要求された秒数できちんと仕上げること

   (「途中で切れた・・・」ではなく音楽的にも自然な感じで秒数に収めること)

2)その画面で同時に流れるセリフ、ナレーションやSEを想定して作ること

   (「曲、ナレーション、SE、を全て合わせると、こんな感じになるだろう」
     ということを頭の中で想像しながら作曲すること)

 以上の2つは、これからじっくり慣れて行かなくてはなりません。

 しかし映像のための作曲で、最も大事なことは「その映像の雰囲気をきちんとつかみ、
  それにふさわしい音楽が作れるかどうか」です。

 そこで第1回目は1で挙げたことに、わずらわされずにイメージをふくらませることに
  専念できるよう、比較的単純な題材を取り上げます。

1)配布したVHSビデオテープの1番目の「猫の絵本ビデオ」から「ひっかくぞ」

2)そして3番目に入っている「メカジュラ」(恐竜たちの突進)

この2つのうち、どちらか1つを選び音楽を付けてみましょう。

 作曲自体は、2期で実践した手順(2期テキストP.14〜15など)で各人進めますが、
  その前に映像の音楽の場合、必ずやらなくてはならない事があります。

1)音楽をつける部分の秒数を出す。

a. タイムコードがある場合、それを利用する。

b. 無い場合、実際に観ながら計る→ストップウォッチ

c. 詳細な絵コンテがある場合、それも利用する。

非常に細かく場面が変化していく映像にきちんと音楽を合わせる場合、ここでミスをすると作業自体が台無しになることもあるので慎重に!

2)どういう音楽が良いかを感じとれるまで、何回もプレイバックして見る。 直感的にピンと来ても、さらにそのイメージをわざと変えたらどうなるか・・・

なども考えてみる。

 

  以上の2点が台本だけで音楽を作る場合と異なる作業になります。

 

6 では、作曲までの流れを考えてみましょう。  

  *作曲家 川崎H夫の場合*

1)1回目の打ち合わせでもらった台本(又は絵コンテ)と企画書をあらかじめ良く読む。  

  よくわからないことがあれば→自分で資料を集める。

               →監督、演出家や、そのアシスタントの人に問い合わせ、
                必要に応じて追加資料をもらう。  

  など「企画意図や内容について充分理解する」

2)2回目の打ち合わせでもらった、ラフ編集のビデオを繰り返し見る。

  その時点での必要な尺(秒数)を計る。

3)ビデオではなく、台本か絵コンテを譜面台に置いて、それを見ながら即興的に
  ピアノを弾く。(シーケンスソフトにリアルタイムレコーディングしておく)

4)その際シーケンスソフトで何小節あれば尺が足りるかチェックして、そこで録音が
  ストップするようにすることもある。

5)3回目の打ち合わせでもらった、編集上がりのビデオテープでもう1度尺を確認する。
長さをチェックしながら、スケッチをとっておいた曲を仕上げていく。

(例えば、ドラムとベースとコードだけ入っていたスケッチにメロをつける。
 音色を決めていく。 オカズを入れる。細かい秒数の調整する・・・など)

6)必要に応じてスコアを仕上げる場合

     →外部スタジオでオケ録りをする

  そのまま自宅で音を仕上げる場合

     →自宅でDATやレコーディングをして完パケを作る

  データのみしっかり作っておく場合

     →外部スタジオでシンセ録りをする時

  など、様々な録音の仕方があります。

<課題> 「猫の絵本ビデオ」又は「メカジュラ」を良く見て、秒数を出してから
実際にBGMを作ってみよう!セリフやナレーションは無いものとして、音楽だけ
で仕上げます。(P.13〜を参照して)

 

このページのトップへ

前のページへ      HomePageへ戻る    次のページへ    

 

-3-