第1回世界鉄塔調査学会 報告・1
1999年11月7日。
本邦初、あるいは世界初かもしれない『世界鉄塔調査学会』の第1回実地調査が行われた。
場所は、中東京変電所、新所沢変電所、新坂戸変電所である。
参加した学会員は、荒畑氏、フルタニアン氏、Hisa氏、Jammit氏、そして私みそがいの5人。
以下、私の調査結果(主に形状及び銘板に関するモノ)について報告する。
なお、当日は曇天であったため、写真資料が不十分な出来であるが、これは私の撮影技術が未熟であることに起因するものである。
日本における最も有名な鉄塔

(日本における最も有名な鉄塔 『武蔵野線−1』)
東京電力中東京変電所(埼玉県日高市)内に存在する「日本における最も有名な鉄塔」である『武蔵野線−1』鉄塔である。
私にとっては、象徴的な鉄塔、という位置付けになるものである。(参考文献1、2)
中東京変電所を囲んでいるコンクリート壁から内側に数m入ったところに立っており、書店で本を手にとるが如く、手を伸ばせばその鋼材に触れることが出来そうなくらいである。
しかし、「電気設備技術基準 第23条 発電所等への取扱者以外の者の立入の防止」により、我々学会員であっても許可無く立ち入るというわけにはいかなかったのが残念である。コンクリート壁自体の高さは2m弱あり、私はバレーを踊るが如く爪先立ちになりながら観察したのは言うまでもない。このとき、同じバレーでも球技のほうを小さい頃からやっていれば、背が高くなり、壁から身を乗り出すぐらいにして観察が出来たであろうと考えたことを、ここに記しておく。
腰を抜かした鉄塔

(ドラキュラ鉄塔に出会い、腰を抜かしている鉄塔)
中東京変電所から100m程離れたところにあるJR東日本が管理している鉄塔を発見した。
(荒畑氏既報)
この写真には写っていないが、2基の鉄塔が渡している送電線の上部には、さらに送電線が存在している。したがって、この構成は「送電線の迂回」をしているということになる。
通常、このような送電線迂回を必要とする場合は、鳥居型、門型あるいはドラキュラ型同士などのパターンが存在するが、このような構成は珍しいと思われる。変電所のごく近い場所であるため、これら通常の構成を採ることが「送電線経路」「鉄塔立地条件」から困難であったためであろう。
一寸見方を変えてみよう。
手前側にある鉄塔は、いわゆる「腰」の部分までしか鋼材がない。
奥側にある鉄塔は、ドラキュラ型である。
『ドラキュラに出会い、腰を抜かしている鉄塔』の図と言えまいか?
たかが鉄塔ではあるが、そこにある種のドラマ性を垣間見ることができた瞬間である。
本項冒頭に記したように、JR東日本が管理する鉄塔であるため、鉄塔本体の構造が若干簡略化されているようである。特に、ドラキュラ型鉄塔の最上部に配置されている腕金が顕著である。
以下、次報に続く
19991128