タイトル |
著者名 |
投票得点 |
『壺中の天国』 |
倉知淳著 |
+3点 |
推理の展開に少ーし無理がある感は否めませんでしたが、著者の持ち味とも言える、個性的で魅力溢れる登場人物達に楽しませていただきました。
『星降り山荘の殺人』ではコロっと騙されちゃったので、今回は読んでる間中何故かドキドキしておりました。
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『美濃牛』 |
殊能将之著 |
+4点 |
この作者の1作目がフォークボール(私的には)だったので、2作目どんな球がくるかと思って身構えていたら、ど真ん中のストレート!
どこを切っても本格印で、洞窟や謎歌等どことなく横溝作品を彷彿とさせる秀作。個人的には、句会のシーンが物語の枝葉にしてはスパイス効いてて、大いに楽しませていただきました。
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『火蛾』 |
古泉迦十著 |
+5点 |
舞台となるのは西暦12世紀のイスラム世界。行者アリーの周辺で起こる連続殺人事件。
数ページ読み進めて、まずその洗練された文章力に驚かされました。
更に、作中の殺人事件は、作品世界をミステリーへと近づけるための単なる添え物ではなく、構築された宗教世界に潜むミステリの要素を見事に現出させた形で表現されている事に、またまた驚かされました。
昨年最も耽読した作品です。
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『少年たちの密室』 |
古処誠二著 |
+3点 |
昨年、『火蛾』の古泉氏と共に気になっていたのが、実はこの方。
極限状態の密室でおこる不可能犯罪、というテーマも私好みだったせいでしょうか。
同じくメフィスト賞でデビューした殊能将之氏は3作目に「狙った暴投」を投げてきましたが、この方は果たしてどんな3作目を投げてくるのか・・・非常に気になります。
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『ネバーランド』 |
恩田陸著 |
+3点 |
昨年は本当に「恩田陸の年」だったといっても過言ではないくらい多作でしたが、一番好みに合ったのがこの作品。『月の裏側』や『麦の海に沈む果実』も好きなので迷いましたけど。
正直、最近多い少年犯罪小説には食傷気味だったので、本書の様なカラッとした、読後感も爽やかな青春小説を読めて幸せでした。
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『川の深さは』 |
福井晴敏著 |
+3点 |
『亡国のイージス』の凄さが自分の中でまだ色褪せていないせいか、本作には多少の物足りなさを感じてしまったりもしましたが、物語が進むにつれてスピード感とスケール感を増してゆく福井節は健在。しかし、特大の大風呂敷だった『亡国のイージス』よりも、本書の方が、より荒削りな印象を受けるのは意外。
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『フォー・ユア・プレジャー』 |
柴田よしき著 |
+3点 |
『象牙色の眠り』の方がミステリーとしての完成度は高いかもしれません。
しかし、敢えてこちらを選んだのは「ジェンダー」の問題を真っ向から取り入れていたから。そして、本作の主人公が大好きだから・・・。
1人で巨大組織に立ち向かうスーパーマンもいいけれど、時には、単純で、少し頼りない等身大のヒーローもいいもんだな〜、と思ってしまいました。多少解決編部分に不自然な要素は残るものの、読んでる内は気にならないほど入り込んでました。
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『雪月夜』 |
馳星周著 |
+3点 |
とにかく、2人の男の凄まじいほどの妄執には、読みながら背筋が寒くなってくるほど。その妄執は最後まで迷いなく貫かれ、私を圧倒させた。
まさにノワールの真髄。
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