その1 突然のはなしと旅の空

 いつのことだったでしょう? 夏だったと思うのですが、ワールドカップサッカーと、アメリカ東サイドの観光をしてきたばかりの金さんが、私に言うのです。

 「もう一度、アメリカに行きたいんだ」
 「をいっ、この間行って来たばかりヤロが・・」
 「そうなんだけどな、アレはアレでよかったんだけど、なにかが違うんだ、で、今度は西側を見に行きたいんだけど、来れないか? 正直の所、レンタカーなりで回るのに、是非、おまえのナビゲーションが欲しい、ただ、今回は急な話だし、そんなに無理は言わない、ムリだったらムリでいいぞ」
 「おお、すげぇ興味はあるんだよなぁ。ちっと考えさせてはくんねぇか?」
 「おお、いいよ、色好い返事待ってるよ」

 すべてはこんな会話から始まったのです。

 正直、当時、仲間内のお神輿のグループの連絡係とかをやっていて、ちょうど神輿のいいシーズンだったりもしました。そして、予算の問題・・・

 前年にカナダに行って結構使っちゃった事情から察するに、まずいよなぁ・・・というホンネもあったのですが、金さん、私が翌年に会社を辞めるのは知ってまして、私がコレを逃すと、二度とこんな派手な海外旅行はできないこともわかっておりました。

 そんな気遣いもありまして、彼にはすごく感謝してるのですが・・・

 まぁ、予算が○○まんえんだろお・・・ まぁ、何とかなるかぁ(;^_^A アセアセ・・・

 って感じで、あんがいあっさりOKの返事を出しました。

 それならば・・・と、今回は、自転車を持っていくワケじゃないので、写真関係をまじめにやろう・・・と、前回のカナダ旅行で、「35〜200mm」というズームレンズ1本勝負で行ったのですが、やっぱり、広角側(風景をイッパイ入れる側ですね)がきつい、ココというところで、必死こいてのけぞって撮ってみたり、あきらめてその部分を入らない状態で撮影したり、結構悔しい思いもしたのでした。

 そんなら・・と、広角OKなレンズを買っちゃおう、ついでに暗いところでもストロボなしで撮影できる「標準レンズ」ってやつも買っちゃおう。

 そして、カナダの時と同様、政府観光局と言うトコ(大体は大使館の中にあるみたい)で、地図や資料をあさったりして、あそこはこう回ろう・・・とかあっちはこうしてみない? とか大騒ぎしたのも実は私の方だったりして・・・

 ところが、前の日になって、お神輿の半纏が1着、行方不明になってしまって、ヒト様からの預かりモノだっただけに、大騒ぎになってしまいました。

 正直、コレが見つからなかったら、アメリカ旅行をあきらめるつもりでした。面倒見役としてあってはならない状況ですし・・・

 ところが、当日になって、その行き先がわかり、後日のお祭りまでに、受け渡すように指示して、その件は解決し、心おきなく旅に出ることができたのでした。

 今回の、旅のメンバーは、金さん、片チャン、私の他に、アメリカまでの飛行機をご一緒する、金さんのおばあさんもいます。

 話を伺うと、国際的な親戚の多い金さんのトコ、昔から結構海外に旅行する機会が多かったとかで、それでも、飛行機に乗るのは十数年ぶりだとか言われてました。

 それにしても、82歳という年齢を全く感じさせない元気さがあるおばあさんです。

 金さん達はJR、田浦駅から電車に乗車、私は逗子から乗車しました。荷物もあるし、おばあさんもいるし・・・ということで、今回はグリーン車で空港まで行きました。

 さて、片チャンは、東京は墨田区のヒトなので、JRに乗るより、京成で成田空港に出ちゃった方が楽・・・とのことで、彼とは空港で落ち合うことにしました。

 前回と違って、搭乗券をアメリカで手配してもらった関係での値段の安さ、いわゆる「格安航空券」とは少々事情が違うようで、その辺の手続きはスムーズに行きました。

 2人掛けの所を2カ所、金さんはおばあさんと、私は片チャンと座って、いざフライト・・・

 今回の飛行機の旅は、約12時間、はっきり言って相当退屈します。その辺も分かっていた話ですので、退屈対策用のゲームも支度してあります。コレは、汽車の旅でも退屈しそうなポイントが多く、それ対策にもなりますので、旅の必需品になりそうなアイテムでした。

 機内食もしっかり、夕食と朝食が出て、ぼちぼちおいしかったです。機内のテレビの数が前回乗ったカナディアンと比べると少ないような気がしました、テレビが遠いんです。

 まぁ、そんなつまんないことを比較して、デトロイト空港に到着しました。

 アメリカの入国審査は、カナダより面倒な感じなのですが、ツアーな連中は難なく通過した感じでした。

 さて、我々はと言うと・・・

 税関の近くで、イヌ連れの検査官らしきオヤジがいまして、「あぁ、麻薬犬なんだなぁ」って思っていたのですが、どうやら、コレが原因で税関に引っかかっちゃいました。

 金さんのおばあさん、今回おせわになるトコに、いろいろなたべものを持っていっていたのですが、コレがイヌのチェックに引っかかっちゃったようです。

 検査官のオヤジが、「チミらはこっち」みたいな感じで、別のルートに誘導され、チェックを喰らいました。

 「コレは食料じゃないのか?」って聞かれてもねぇ・・・たしかにそうなんですけど、ココで没収喰らっちゃったらおばあさん、かわいそうだし・・・とビビってると結局、ナカミ全部あけさせられ・・・

 「What's this?」
 「イッツ、ダンゴ」
 「What's kind〜〜?」
 「イッツ、ライス」
 「Oh it's no problem」
 って感じの会話で・・・
 ヒモノ〜fish  OK♪
 アナゴ(めし)〜fish  OK♪

 って感じで、結局、全部通っちゃったのですが、要は、肉類、果物類はダメらしく、他はOKみたいでした。

 そんときの検査官、「ニック〜 クダモ〜ノ!!」を連呼してました。

  まあ、旅行に、干物を持っていく強者は、なかなか居ないとは思いますが、申告(方法は知りませんが)するか、大騒ぎするかで結構なんでも(ニックーとクダモーノ以外は)持っていけそうでした。

 空港を出ると、金さんの親戚の方はすでにいらしていて、我々を暖かく迎えてくれました。

 奥さんが、金さんの叔母にあたる方で、ダンナさんの運転の「マーキュリービレジャー(日産クエストの兄弟車なのだ)」に、荷物を詰め込み、ギュウ詰めで80キロほど南下した、オハイオ州は「トレド」と言うところまで移動したのです。

 ちなみに、このご家族、ダンナさんのおしごとの都合で、アメリカに異動になってしまって、ご家族も1年ほどしてついていく・・・という感じになったそうです。

 なお、移動の間、私はヒトリ、ガタイがデカイので、助手席に乗せていただいたのですが、ダンナさんの商売のカラミで、自動車ネタの会話で、全く退屈しないでトレドまで行けました。

 到着後、私は片チャンとのんびりしていたのですが、金さんはすでにダンナさんと宿の手配、汽車の手配をしてくれてました。

 今回の旅は、アムトラックでの移動がメインになるのですが席そのものは自由席なれど、座席定員制の運行で、人気のある列車は一応予約しておいた方が・・・という感じのモノでした。

 実は、このころ、パワーブックの新型が出た頃で、もし、安いようだったら、アメリカで買っちゃいたいなぁ・・・なんて思っていて、そんなハナシをしたら、息子さんが「Macあるよ」ってハナシで・・・

 見せてもらったら、私が持っているMacのパフォーマで、金額を聞いたら、結構安くて、いいねぇ・・・って感じでした。

 プリントできなくて・・・っていうことで、プリンターを点検したら、インクヘッドの紙をはがしてなく、それをはがしてOK♪

 夕食は、我々を迎えるために、刺身を支度してくれました。アメリカのそれだとはいえ、とてもおいしいモノでした。

 やっぱり、入手はデトロイトまで行かないとダメらしいのですが、このデトロイト、すごく治安が悪く、うっかり街中で迷子になって地図なんかのんびり見てるだけでも、すごく危険だそうで、そんなことになっていたら、危ないから・・・と、外まで誘導してくれた親切な人もいたとか・・・

 ツマに大根もあったのですが、この大根がものすごく高いそうです。5ドル位したそうなのですが、日本円にして約500円、大体、物価に関して、日本のそれの半分くらいのモノでしょうから、いかに高級品かがわかります・・・というより、レアな商品なんだそうです。

 私どもが寝させていただいた部屋は、地下室なんですが、コレがまた広い♪

 普段は子供さんの遊び部屋に使っているようですが・・・フルサイズの卓球台なんか置いても全然ジャマじゃない・・・

 日本じゃ考えられないような空間でありました。