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 4月下旬、待ちに待った2003年初の山釣りがやってきた。特に今年は、未だ竿を担いで山に入ったことがなく、ストレスが溜まる一方で、爆発寸前?の状態だった。それだけに、山釣りへの思いは募るばかりだった。

 昨年は、いつになく春の訪れが早く、盛春といった感じだった。ところが、今年はご覧のとおり、谷を埋め尽くす分厚いSBが連続していた。谷を吹き抜ける冷たい風と身を切るほどの冷たい雪代に震え、ブナの冬枯れの風景が一層身に沁みる感じだった。初日は雨が降り続く最悪のコンディション。雪解けと雨で増水した渓を釣り上るには難渋した。
 早春の岩魚。雨と雪代で、いつになく増水した渓は、ポイントは少ないものの、岩魚の活性度はクライマックス状態だった。ただし、異常な増水は遡行に危険がつきまとい、絶壁を高巻くカモシカ上級コースを何度も歩かされた。それだけに帰宅した翌日は、いつになく、体のあちこちが痛い。普段の運動不足と暴飲暴食、不摂生・・・山では、その答えがはっきり出るだけに反省、反省。
序章・・・早春の白神・山野草2003
 4月上旬、山の空気を吸いたくて、竿を持たずに白神の沢沿いを歩いてみた。毎度のことだが、2003年に撮影したフキノトウやフクジュソウ、カタクリ、キクザキイチゲの草花たち・・・この4種の草花は、雪国に遅い春が訪れたことを実感させてくれるだけでなく、雪代に岩魚が踊る季節の到来をも告げる。それだけに、来る年も来る年も、この花を撮る楽しみは、色あせることがない。
 フクジュソウ・・・「青森県岩崎村の花はフクジュソウ」と言うだけあって、集落沿いの土手や雑木林、落葉広葉樹林内には、黄色に咲き乱れるフクジュソウの群落を至る所で見ることができる。沢沿いに上って行くと、カタクリの紅やイチゲの白に混ざって、一際目立つ黄色の群落は見事だ。
 カタクリ・・・岩崎村・入良川に架かる橋を二つ渡った左側の緩斜面は、カタクリ、キクザキイチゲ、ニリンソウの大群落を形成している。カタクリの澱粉は今では貴重なもので、薬用、製菓用にわずかに珍重されているにすぎない。途中、ギョウジャニンニクを探したが、まだ芽を出したばかりで忍びなく、採らずに終わった。
 キクザキイチゲ・・・白の群落の奥に沢が見える。前に出て斜面を眺めると、イチゲに混じって、カタクリ、フクジュソウが咲き乱れていた。日本海側沿いの沢は、もうすぐ春爛漫といった雰囲気が充満していた。
早春の白神2003
 4月下旬とは言え、今年は深山の雪が深く、所々に残る残雪を踏みしめながら源流を目指した。いつものことだが、初の山釣りは、体が山になじむのに時間がかかる。重い荷を背負い、きつい斜面を登る時は、心臓がパッコンパッコンと高鳴り、破裂するのではないか、と思うほどきつかった。情けない・・・。
 初日は大雨と雪代が重なり、対岸へ渡渉できる状態ではなかった。写真は、二日目の朝の写真だが、前日よりかなり減水しているものの、水量はいつもの比ではなかった。果たして岩魚に出会えるのだろうか・・・。
 テン場周辺の森は、まだ芽吹かず、遠くまで見通しが利く。斜面にはイワウチワの群落、沢沿いにはフキノトウ、イチゲ、ニリンソウ、カタクリ・・・山菜は、まだ土から顔を出したばかり。いつもの幕営地に、テント二つとブルーシートを張り、薪集めをして遅い昼食。雨は一向に止む気配がなく、残念だがカメラを出すことができなかった。
 雨と雪代で異常に増水、激しく渦巻く流れは、極端にポイントが少なかった。しかし、大淵に岩魚たちが大挙非難しており、お陰で天然釣堀状態だった。わすが1時間余りで、6人分の夕食用岩魚をキープ。上の写真は、8寸から9寸クラスの岩魚たち。早めにテン場に戻り、2003年初の岩魚と山菜料理を楽しむ。
 捕獲した岩魚の皮を剥ぎ、三枚におろして旬の岩魚の刺身を作る。右の写真は、剥ぎ取った皮を開き、空揚げ用にナタで二つに切る。
 刺身を作った残り・・・腹部の骨付き部分と皮は、空揚げ用に調理。
 テン場で男の料理。焚き火では、大鍋を沸騰させ、採取した山菜をゆでてアクを抜く。手前はシェフ柴ちゃんが岩魚の空揚げをしているところ。
 シェフ柴ちゃん自慢の空揚げ料理完成品。皮の空揚げは、食べるとパリパリ状態で、まさに岩魚センベイと呼ぶにふさわしい出来栄えだった。空揚げで一番美味しいのは、やっぱり岩魚の皮である。酒のツマミに最高だ。
 岩魚の刺身と薬味のヤマワサビ。さっきまで生きていただけに、身のシマリ、色艶がいいのがお分かりだろうか・・・。美味しい刺身を作るには、面倒くさがらず、テン場まで生かしたまま持ち帰るのがベスト。
 採取したアイコの若芽。この他に、アザミ、シドケ、ワサビ、ミズを採取。
 アクを抜くには、沸騰した湯に山菜を根元から入れるのがコツ。再度沸騰したら、素早く上げ、渓流水にさらしてから、アイコの皮をむく。
 外は、曇天で星一つ見えず、冷え込みも厳しい。沢の音が一際大きく響く中、暖かい焚き火を囲み、熱燗で乾杯。今年初の山菜と岩魚のフルコースは、酒がいくらあっても足りないくらいだった。酒が一段落すると、アザミの味噌汁と丸い飯盒で飯を炊く。ほどよく焼き上がった岩魚の塩焼きは絶品。最後の締めは、ご飯に納豆をかけ、アザミの味噌汁を美味しくいただく。シュラフに潜れば、超特急で深い眠りに落ちた。

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