Vol.9  風呂に浮かぶパン生地

本屋に行くと、ついパンの本を探してしまう。どこの本屋に行っても、目新しい本はないかと探してしまう。食パンがうまく焼けないというこの状況を脱するヒントがあるかもしれないと思うと、日ごろから探してしまうのである。今日も買い物の帰りに立ち寄った本屋で、初めて見る本を手にとった。それは「おいしいパン 基礎の基礎」(ひかりのくに)。パラパラっとページをめくってみると、「パンのメカニズム」という項がある。他に「失敗例とその対策」なるものまである。単なるレシピ集ではないようだ。また、イギリスパンのレシピは、「パーフェクトパン」と同様に一次発酵、再発酵、二次発酵の手順を踏んでいる。うむむむ、これは何かヒントととなることがありそうだ。

<第一章に戻って、よく読んでみると、いきなり発見!! 二次発酵(この本で言うところのホイロ)について書かれている項に、一次発酵から38度で発酵させるとイーストが働きすぎて疲れてしまい、いい生地にならないと書かれている。38度? そういえば、「パーフェクトパン」のレシピには発酵温度は30度前後とかかれていたっけ。いつもオーブンの発酵機能を使っていて、温度なんて気にしたことがない。おぉぉぉぉっ、これか!!

早速、この本を購入し、家に帰る。押入れ中を引っかきまわし、オーブンの取扱説明書を探しだし、発酵機能のページを見た。なんと設定温度は40度で、変更はできないということ。ということは、今までイーストを働かせすぎて、膨らまなかったのね。気がつかなかった。発酵温度の違うパンなんて焼いたことがなかったし、オーブンの発酵機能を使えば、間違いないと思ってた。まさに盲点だ。

居てもたってもいられなくなり、すぐパン作りにとりかかった。しかし、ここで問題発生。この本では、発酵のあいだ温度を保つために、発泡スチロールにお湯をはり、そこにボールを浮かべている。我が家にはそんな発泡スチロールはない。コタツもなければ、生地をいれたボールを浮かべるさらに大きなボールすらない。これは難問だ。生地を30度に保つためには…。そうだっ! 風呂だっ! 今朝、風呂を洗ったばかりだ。ここに30度のお湯をすこし入れれば、同じ状況を作れるぞ。

いつものように生地をこね、ボールを抱えてお風呂場に。ぬるいお湯を入れ、30度に調節する。すこし浮き気味のボールはポワーンポワーンとゆっくり動いている。お風呂のふたをして、待つこと90分。すごい! 今まで見たことがないほど、膨らんでいる。まとめなおして、また風呂場で再発酵。これまた今までにないほど膨らんでいる。そして、成形して二次発酵。なんと生地が型からはみ出しそうだ。これをオーブンに入れて焼いたら、型から「山」が飛び出した山型食パンになりました。

へこぱん度 : ☆☆☆☆☆

教訓 : レシピはきちんと読みましょう