2004年6月12日上程
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雑感

ジェンキンスさんに難民認定を

 先日小泉首相が朝鮮のピョンヤンを訪問し,その後,強制連行被害者(「拉致」という言葉は「ラチる」と言った下品な言葉を連想させるのでイヤだ。家族会の人が使う心情はわからなくはないが,周りの人まで使う必要はないと思う。)のうち先に帰国した5人の家族の一部が日本にやってきた。ただ,曽我ひとみさんの連れ合いのジェンキンスさんと娘さんたちは朝鮮にいる。

 ジェンキンスさんが日本に来ない理由として,日米間に犯罪人引き渡し協定がある結果,日本にくると脱走兵として米国に引き渡されるという理由が挙げられている。

 これに対し小泉首相は,ピョンヤンでジェンキンスさんに会った際,「I guarantee」と紙に書いて見せたが,ジェンキンスさんは来日を拒んだという。

 まあ,小泉首相のその後の行動を見てみると,米国に対してジェンキンスさんの引き渡しを拒むと言った強い態度でなく,あくまでブッシュ大統領に温情的措置をお願いして,断られてもやるだけやった,という格好をつけてすますという筋書きが見え見えのような気がする。要は単なる人気取りのパフォーマンスにすぎない。

 ところで,犯罪人引き渡し協定があっても,ジェンキンスさんを渡さなくて済む,というか渡してはいけない道がある。それは,ジェンキンスさんを難民として認定することだ。難民として認定すれば迫害が待ち受けている国に送還することは,当該迫害国家との間に犯罪人引渡条約を結んでいるかいないかにかかわらず難民条約上許されないこととなるので,迫害国=米国への引渡を拒絶できることになる。

 ジェンキンスさんは朝鮮に逃亡したというだけでなく,朝鮮で,反米をあおり立てるような内容の映画に出演している。このように反米活動に参加することまで行ったジェンキンスさんは,米国に行ったら脱走兵として,また国益を侵した者として罰せられることは必至である。事実,ブッシュ大統領もジェンキンスさんのことを「脱走兵」と言ったというし,イラクでの米国軍の紀律を維持するためにも,米国がジェンキンスさんに寛大な措置を取ることは考えにくい。そうであるならば,反米という思想を理由にして,迫害をうけるという十分なおそれを有する者ではないか。実質的に難民と言える。

 また,イラクやキューバにある捕虜収容所での米国軍の捕虜に対する処し方からすれば,ジェンキンスさんが米国に帰った際に迫害,虐待を受けることは十分にあるように思う。

 ジェンキンスさんの保護を本気で考えるならば,米国に気兼ねすることなく,ジェンキンスさんを難民として認定すべきだ。「救う会」には弁護士出身の国会議員もいるのだから,即刻ジェンキンスさんについて難民認定を申請という途も考えられることを曽我さんに伝え,彼女の希望があれば難民認定申請を進めた方が良いと思う。

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