2000年3月5日上程
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雑感

 雅子皇太子妃懐妊騒動を機に思う。

 雅子皇太子妃(名字がないってなんか不自然だよね。)が懐妊したとのニュースが昨年12月に流れた。朝日新聞が号外まで出して伝えたのがきっかけだったようだ(「ようだ」というのは、私は新聞を取らない方針なので、後にでた各マスメディアの報道により知ったものなので。)。

 ところがこの懐妊騒ぎ、年末に流産の発表が宮内庁から行われるという結末となった。

 この懐妊報道、公人とはいえ懐妊の有無というプライバシーに堂々と踏み込まれるのはいかがなものかなどという問題点はあった。ただ、私が疑問に思ったのは、「男子が生まれれば皇位継承順位第二位となる。」との報道である。確かに事実その通りだが、見出しにまでそのような言葉を目にしたときはいやな感じがした。これって、女子誕生は望まれていないということを暗に言っていないか?男女差別も甚だしい気がする。まあ、皇室制度自体が憲法の平等原則を逸脱した制度で、天皇や皇族には基本的人権の保障が及ばないというのが憲法学界の通説だから、男子の誕生がことに望まれたって、別にかまわないということかもしれない。

 でも、生まれてくるこどもにとっては、たまたま自分の親が皇族という変な出自であるがゆえに男子と女子でエラく扱いが異なるっていうのはたまらないのではないか。自分の子にはまっとうな生活を送らしてやりたい・・っていう気持ちは皇太子や皇太子妃にはないのかね。まあ、2人がそのように思っても、今の制度上は回りが「まっとうな生活」を許さないようになっているから無駄なことだろう。これは問題ではないか?それとも、2人はこれがまっとうな生活だと思っているのだろうか・・。

 あと、「皇位継承順位第二位」というが、それは、今の天皇が死んで、さらに皇太子も死んだ後の話である。今の天皇が昭和天皇くらい生きるとして、さらに皇太子も同様に長生きするとなると、今度生まれてくる予定の子供が天皇になるのは45年くらい先のことになる。うーん、そんなに長い間天皇制は続くのか?いやだなあ。今まで続いてきたものが打破されている世の中、天皇制とても例外ではないと思うのだが。

 今国会から、国会に憲法問題調査会が設けられることになった。環境権とか、内閣制度の強化とか言われているが、調査会を設けようとした勢力のねらいは憲法第9条の見直しや基本的人権制限の強化にあるのは明白である。こうした狙いについてはふざけるなと思う。今の憲法を守ろうとしてきたがだめでしたというのならとにかく、調査会を設けようとしてきた勢力は、憲法をいかに空洞化するかに心血を注いできた人々であり、そんな人たちに「憲法は現状に合わなくなった」って言われても、憲法に合わない現状を作ってきたのはおまえたちであり、そんな人たちに憲法が現状に合わないなんていわれる筋合いはない。

 むしろ、今行うべきなのは、憲法第1条から第8条までの規定の削除ではなかろうか。天皇制なんて戦後の妥協の産物であり、今の国民の中ではあってもなくてもいいものと感じている人が多数を占めているように思う。私の友人には左翼の人はほとんどいないが、天皇制はむだだと感じている人がほとんどである。そうであるなら、金がかかり、時の権力者に利用される危険のある天皇制なんてさっさとやめちまうべきだ。天皇制を廃止すれば、戦争責任者の子孫を象徴に据える愚行をやめたということで、相変わらず侵略戦争をした事実を正当化しようとするアホな人たちの愚挙で薄れた国際的信用を取り戻せて一石二鳥だと思うのだが。

 懐妊騒動から話が発展しすぎた嫌いがあるかもしれない。でも、災い転じて福となすというか(雅子さんには気の毒な結果となったが)、一人の女性の懐妊がこれほどまでに騒がれる不自然さが天皇制のおかしさから来ているということに気づくきっかけになればと思う(今のところそのような動きは表立ってはほとんどないが・・)。

 最後に。雅子さん、子供など無理して作らなくてもよいから、体には気をつけてくださいね。

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