The Girl from Petrovka ★☆☆

1974 US
監督:ロバート・エリス・ミラー
出演:ゴールディ・ホーン、ハル・ホルブルック、アンソニー・ホプキンス

左:ゴールディ・ホーン、右:ハル・ホルブルック

ロバート・エリス・ミラーという監督さんは、「水曜日ならいいわ」(1966)であるとか「今宵かぎりの恋」(1968)のようななかなか洒落た映画を撮っているのですが、残念ながらこの映画は映画自体としてはイマイチパッとしないところがあります。その理由の1つはゴールディ・ホーンという華やかな女優さんを起用しておきながら、相手役のハル・ホルブルックがあまりにも地味で華がなさすぎる点にあるのですが、逆に言えばむしろ暗いロシアが舞台とあってはゴールディ・ホーンの方がミスキャストであったと言う方が正しいかもしれません。それでは何故この映画を取り上げたかというと、ヘンリー・マンシーニの音楽が実に素晴らしいからです。映画そのものは日本未公開であると思われますが、ヘンリー・マンシーニの音楽は恐らく誰でも聞いたことがあるのではないかと思われます。この前も、新宿のサブナードを歩いているとヘンリー・マンシーニのアンソロジーが流れていたのですが、その中にこの映画のテーマ音楽もしっかりと含まれていました。映画自体は正直言えば非常にだるいのですが、それでも彼の音楽はロシアを舞台としたこの映画の雰囲気にピタリとマッチしている(であるからマンシーニの音楽もだるいわけでは決してないのですね)のがすごいところで、或る意味で私目はヘンリー・マンシーニという人は映画音楽作家としてはその歴史の頂点にある人ではないかと思っているのですが、その彼の実力がこのような映画であるからこそ良く分かるのですね。他に敢えてこの映画の見所を挙げるとすると、どこからどう見てもアメリカンギャルのゴールディ・ホーン演ずるロシア娘(バレリーナを演じています)というのは一度は見ても損はないと思われますし、この頃から既に途切れ途切れの独特なしゃべり方をしていたアンソニー・ホプキンスも顔を見せています。ハル・ホルブルックはやはりというか相変わらずというかあまりにも地味ですね。それにしてもゴールディ・ホーンがソビエト歩兵部隊訓練マニュアルのようなケッタイな本を読んでいるのには、思わずこの映画はコメディなのかと思ってしまいました。それを見てハル・ホルブルックは信じられないと言うのですが、そう思わない人がこの世にいるとはとても思えないですね。ひょっとしてこの時点で既に彼女は「プライベート・ベンジャミン」(1980)に出演する予行演習をしていたのでしょうか。


2003/03/15 by 雷小僧
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