Die! Die! My Darling! ★☆☆

1965 UK
監督:シルビオ・ナリザーノ
出演:タルラ・バンクヘッド、ステファニー・パワーズ、ドナルド・サザーランド、ピーター・ボーン

左:ステファニー・パワーズ、右:タルラ・バンクヘッド

「Bye-Bye! My Darling!」の誤記ではなく、タイトルは実際に「Die! Die! My Darling!」であり、イギリスはハマープロダクションの作品です。とはいえ、いつものわざとらしいハマープロダクションのゴシックホラー作品とはやや趣きが異なるところがあるのも確かです。ストーリーは極めて単純で、サイコな老女(タルラ・バンクヘッド)が、自殺した自分の息子が結婚するはずであると思っていた若い娘(ステファニー・パワーズ)を自宅に監禁するというものです。作品の見所は、何と言っても当作品が実質的な最後の出演作品となるタルラ・バンクヘッドの鬼気迫るパフォーマンスです。因みに、「実質的な最後の作品」と述べたのは、タルラ・バンクヘッドは、当作品出演の後、「The Daydreamer」(1966)でボイスオーバーを担当し、声のみの出演を果たしているためです。「Die! Die! My Darling!」では、魔女のような独特の声でキレた老婆を演じ、実に迫力があります。考えてみると、60年代70年代といえば、内容うんぬんは別としてもとても一流であるとは言えないこの手のゴシックホラーに、かつての大女優が出演することの多くなった年代であり、その代表として挙げられるのは、勿論あのベティ・デイビスです。他にもジョーン・クロフォードや、或いはジョーン・フォンテーン、オリビア・デ・ハビランドの姉妹ですら、当時その手の作品に1つや2つは出演しています。それらの作品のほとんどは、レビューとして取上げるだけの内容を持つ作品であるとはとても言えないような代物ですが、その中でも最も特筆すべき作品として、タルラ・バンクヘッド主演のこの作品が挙げられます。いずれにせよ、当作品における彼女の妖怪的なド迫力はそれだけで一見の価値があります。監禁される被害者を演じているステファニー・パワーズは、いわゆるお嬢さんタイプではなく、個人的な印象では彼女の面影には若干女傑ジェーン・フォンダを思わせるところがあるとはいえ、タルラ・バンクヘッドの気迫のパフォーマンスを前にしては、その彼女ですら山の手のお嬢さんのように見えます。ということで、国内版DVDが販売される可能性は極めて低いかもしれませんが、タルラ・バンクヘッドのラストパフォーマンスである点を含め、それなりに見る価値のある作品であると評価できます。尚、ドナルド・サザーランドが出演しており、この時期の彼が常にそうであったように、知恵遅れの庭師というとてもまともであるとは言えない役を当作品でも演じています。


2004/08/21 by 雷小僧
(2009/03/08 revised by Hiroshi Iruma)
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