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ロッド・テイラー+ジェーン・フォンダのロマンティックコメディです。ロッド・テイラーはオーストラリア出身であり、いわばメル・ギブソンやラッセル・クロウの大先輩にあたる人ですが、当時のロッド・テイラーは、現在の後二者に負けず劣らぬ絶大な人気を博していました。最も有名な出演作はあのヒッチコックの「鳥」(1963)ですが、個人的には、「鳥」での彼はミスキャストであったと考えています。ロッド・テイラーが大根役者であったからというわけではなく、彼は見ている人に安心感を与えるタイプの役者であり、そのようなパーソナリティーが究極のスリラー作品の「鳥」には全くそぐわないからです。それに対して、情緒不安定な印象を与えるティッピー・ヘドレンは、「鳥」にピタリとマッチしていました。しかしながら、「ニューヨークの休日」のようなロマコメには、ロッド・テイラーの持つパーソナリティーは見事にフィットします。いかにも人当たりのよさそうな雰囲気を持つ彼が出演しているだけでも、作品全体の色合いが無理なくソフィスティケートされたものに見えてくるのであり、それはロマコメには一番重要な要素なのです。このようなパーソナリティーは、たとえばケーリー・グラントやジェームズ・スチュワートのような役者が持っていたパーソナリティーと同種のものであり、まさに60年代のケーリー・グラントという雰囲気を彼は持っていました。また、ジェーン・フォンダがういういしく、彼女にもこんなに可愛らしい時期があったのかと思わず見入ってしまうことでしょう。「ニューヨークの休日」もまた、60年代前半に頻繁に製作されていた屈託のないのどかなコメディ映画の中の一本です。