女と女と女たち ★☆☆
(Woman Times Seven/Sept Fois Femme)

1967 FR/US
監督:ビットリオ・デ・シーカ
出演:シャーリー・マクレーン、ピーター・セラーズ、マイケル・ケイン、アラン・アーキン
左:シャーリー・マクレーン、右:ピーター・セラーズ

10月の初めより、殊に雷小僧の芸名で書いていた頃の古い記事を中心として当ホームページに掲載されている全記事の文章の見直しをただいま継続して行っているところで、そちらに労力を割いていることもあり、ここ暫くあまり長いレビューは書かないようにしてきました。この作業はまだ1/3も終わっておらず、従って今回も簡単な記事で済ませるつもりです。ということで、取り上げたのが「女と女と女たち」です。実をいえば、不倫をテーマとした7つの独立したエピソードから成る「女と女と女たち」は、まさにシャーリー・マクレーンファンが泣いて喜ぶ作品であろうとはいえ、内容的には一部のエピソードを除きまったくイマイチです。なぜシャーリー・マクレーンファンが泣いて喜ぶかというと、彼女のコスプレ七変化が見られるからです。ほとんどスッピンから始まって、スッポンポン、喪服姿(上掲画像参照)、ウエディングドレスなどを経て、得体の知れないバニーちゃんのような格好まで、まさにシャーリー・マクレーンコスプレ劇場を鑑賞することができるのです。彼女は、「青い目の蝶々さん」(1962)では日本の芸者に化けたり、「泥棒貴族」(1966)では中国人に化けたりした実績もあり、意外にそのようなパフォーマンスを得意としていたところがあります。「女と女と女たち」では、全エピソードにシャーリー・マクレーンが出演している他、各エピソードに登場する共演俳優がとにかく豪華であり、第1話ではピーター・セラーズ、第2話ではロッサノ・ブラッツィ、第3話ではビットリオ・ガスマン、マーロン・ブランド、第4話ではレックス・バーカー、エリザ・マルティネリ、ロバート・モーレー、第5話ではパトリック・ワイマーク、第6話ではアラン・アーキン、第7話ではマイケル・ケイン、アニタ・エクバーク、フィリップ・ノワレがそれぞれ出演しています。但し、第1話はエピソードとすら言えないような1シーンに過ぎず、第3話のマーロン・ブランドは肖像写真としてのみ登場し(以下の第3話画像参照)、第7話のマイケル・ケインは終始無言で全くセリフなしというように、演技の機会がほとんどない場合すらあります。いずれにしても、長くて20分程度の短いエピソードの中で自らの特徴を活かすことはほとんど不可能に近く、第5話のパトリック・ワイマークと第6話のアラン・アーキンを除けば、ズラリと並ぶ豪華スターの個性がほとんど活かされていないのは仕方のないところかもしれません。監督は、ビットリア・デ・シーカであり、俳優としては主にコメディアンとして米英の映画にしばしば登場する彼であっても、英語作品の監督は、「女と女と女たち」以外には、「紳士泥棒」(1966)くらいしかないはずです。しかも、ヨーロッパアメリカ共同資本で製作された60年代の作品は、しばしば複数の言語で撮影されることがあったはずであり(吹き替えという意味ではなく、文字通り同一シーンを複数回異なる言語によって撮影します)、「Sept Fois Femme」というフランス語のタイトルを考慮すると、もしかするとこの作品にもフランス語バージョンがあるということかもしれません。尚、シャーリー・マクレーンは7つのエピソード全てにおいて妻を演じているのであり(但し第1話は未亡人)、邦題の「女と女と女たち」は適当ではないように思われ、フランス語のタイトル「Sept Fois Femme」の「Femme」は「女」であるというよりは、「妻」の方の意味で使用されているはずです。従って、「妻と妻と妻たち」、或いはそれでは格好がつかないというのであれば「七人の妻たち」くらいが本来であれば妥当であったと考えられます。因みに、英語の「woman」はどうやら「妻」の意味で使われることもあるようです。ということで予告通りコメントは、このくらいで切り上げますが、その代わりとして以下に第2話以降の画像を追加しておきましたので、シャーリー・マクレーンファンは存分にご鑑賞下さい。

第2話 with ロッサノ・ブラッツィ
第3話 with マーロン・ブランド
第4話 with レックス・バーカー&ロバート・モーレー
第5話 with パトリック・ワイマーク
第6話 with アラン・アーキン
第7話 with マイケル・ケイン&アニタ・エクバーク

2008/11/27 by Hiroshi Iruma
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