盗みのプロ部隊 ★★★
(Grand Slam)

1967 IT
監督:ジュリアーノ・モンタルド
出演:ジャネット・リー、エドワード・G・ロビンソン、クラウス・キンスキー、ロベルト・ホフマン

左:ロベルト・ホフマン、右:ジャネット・リー

子供の頃テレビ放映で何度か見てそれ以来長らく見る機会がなかった作品ですが、今年(2002年)になってようやくあちらでDVDが販売されたのでさっそく取り寄せました。印象が残っていただけあって、やはり面白い作品です。今まで個人的に見た60年代の団体泥棒映画の中では「紳士同盟」(1960)及び「トプカピ」(1964)と並んで面白い作品であると言い切れます。何が評価できるかといえば、まず実際の泥棒シーンの緊迫感が素晴らしいことです。しかもテンポが良く、「トプカピ」の逆さ吊りシーンほどの派手さはないとはいえ、見ていて実にスリリングです。また、「盗みのプロ部隊」にはドンデン返しが二度あります。実は、最後の最後のドンデン返しは当時のモラル観に従って一度目のドンデン返しを覆す為に無理矢理付け加えられたように思われ、現在の目から見れば全く不要であると考えざるを得ません。しかし、その手前のドンデン返しはきっちり筋が通っており、また現在見ても驚かされ楽しめます。尚、ネタを暴露しないよう、どのようなドンデン返しであるかは見てのお楽しみということにしておきます。DVDのパッケージに「Before Ocean's Eleven, there was・・・」と記されていますが、オリジナルの「オーシャンと11人の仲間」(1960)は「盗みのプロ部隊」よりも遥か昔に公開された作品なので、ここに言う「Ocean's Eleven」とは勿論リメイクの方を指し、同じく泥棒映画であることとドンデン返しがウリであることを主張したいのでしょう。しかしながら、泥棒映画という点に関してにしろドンデン返しに関してにしろ、「盗みのプロ部隊」は遥かにソダーバーグの作品よりも優れているというのが個人的な見解です。それから何と言っても、この手の泥棒映画に必要なスピード感を煽るに相応しいエンニオ・モリコーネの軽快な音楽が実に素晴らしく、さすがはモリコーネと賞賛せざるを得ないでしょう。他にも、舞台がリオデジャネイロに置かれ風景がとにかくビューティフルであるなど(上掲画像参照)、あらゆる意味でエンターテイニングな作品であると評価できます。たとえば、リオのカーニバルが催されている真っ最中にロープを伝ってビルからビルに移動しても見物客が誰一人気付かないなどの多少の細部の矛盾に目を瞑れば、また前述した最後の最後の取ってつけたようなドンデン返しを除けば、この手の映画の見本になる作品であるとすら見なせます。尚、「盗みのプロ部隊」は英語作品であるとはいえ(もしかすると他言語版も存在するのかもしれません)、イタリア、スペイン、西ドイツの資本により製作された作品であり、監督のジュリアーノ・モンタルドを筆頭にスタッフの多くは名前が母音で終っているのでイタリア人メインで製作されたようです。またキャストもクラウス・キンスキー、ロベルト・ホフマンはドイツ系であり、アドルフォ・チェリらはイタリア系です。


2002/11/02 by 雷小僧
(2008/11/04 revised by Hiroshi Iruma)
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