紳士同盟 ★★★
(The League of Gentlemen)

1960 UK
監督:ベージル・ディアデン
出演:ジャック・ホーキンス、ナイジェル・パトリック、ブライアン・フォーブス、リチャード・アテンボロ

左:ナイジェル・パトリック、中:ロジャー・リヴセイ、右:ジャック・ホーキンス

泥棒映画は掃いて捨てる程存在しますが、この作品はイギリス産でありジャック・ホーキンス以下出演俳優は全てイギリス出身の俳優さん達です。それにしても渋いですね。アメリカ産の泥棒映画というとド派手な展開になって、一味の一人にはなぜか必ず奇麗なおねーちゃんがいたりしますが、この作品は野郎ばかり(ナネット・ニューマンらの女優さん達は出演していますが、泥棒には参加しません)のストレート真っ向勝負です。泥棒メンバーを演ずるのは、ジャック・ホーキンス、ナイジェル・パトリック、ブライアン・フォーブス、リチャード・アテンボロ、ロジャー・リヴセイといういかにも筋金入りのイギリス俳優さんばかりで、派手さはないがいぶし銀の魅力を思う存分発揮しており、これぞイギリス映画という雰囲気が全体に浸透しています。ジャック・ホーキンスは「ベン・ハー」(1959)などのアメリカのド派手な史劇大作にも出演していますが、「紳士同盟」ではいかにも水を得た魚のようで、ああやはり彼は英国の俳優さんであったと思わせます。正直云えば、泥棒の実行シーン自体は、たとえば「トプカピ」(1964)のようにスリリングでもなければ、イタリア映画の「黄金の七人」シリーズのようにトリッキーな面白さがあるわけでもありません。しかしながら、この作品は、「紳士同盟」の邦題が示すように泥棒仲間のインタラクションに焦点が置かれており、泥棒の実行シーンはいわば付け足しのようなものなので、その点は大目に見るべきでしょう。また、全体の雰囲気は渋いながらも、いかにもイギリス的なユーモアも散見され、たとえば泥棒仲間達が、銀行強盗実行用の武器を調達する為に食料検査官を装って軍のキャンプに潜入するシーンで、ジャック・ホーキンスとナイジェル・パトリックが妙な野菜スープや目玉焼きを試食させられるはめになり、どのように反応していいかわからず当惑した顔をしている様子には笑えます。ところで、やはりこのイギリス産泥棒映画でも泥棒は成功しません。当時の泥棒映画で泥棒が最終的に成功する例は見たことがありませんが、やはりフィクションといえども泥棒がこの世の春を謳歌するには、モラルが許さなかったということでしょう。検閲の厳しさなどから考えても、そのような時代であったのは確かのようです。いずれにせよ、渋めの映画が好きな人には是非お薦めの泥棒映画です。尚、映画監督でもあるブライアン・フォーブスが奥さんのナネット・ニューマンともども出演しています。


2001/09/30 by 雷小僧
(2008/10/14 revised by Hiroshi Iruma)
ホーム:http://www.asahi-net.or.jp/~hj7h-tkhs/jap_actress.htm
メール::hj7h-tkhs@asahi-net.or.jp