何という行き方! ★★☆
(What a Way to Go!)

1964 US
監督:J・リー・トンプソン
出演:シャーリー・マクレーン、ポール・ニューマン、ロバート・ミッチャム、ジーン・ケリー
左:シャーリー・マクレーン、右:ジーン・ケリー

「何という行き方!」は、ピンク映画です。といっても勿論ポルノ映画のことではなく、文字通りピンクピンクしたカラーがウリの映画ということです。監督は「ナバロンの要塞」(1961)や「恐怖の岬」(1961)、或いは1970年代に入ってからはチャールズ・ブロンソン主演のアクション映画で知られるJ・リー・トンプソンであり、彼にしては珍しくコメディです。シンプルライフを熱望する主人公(シャーリー・マクレーン)が迎える旦那が、なぜか次々と滑稽な死に方であの世に召される度に彼女がどんどん金持ちになるというケッタイなストーリーが展開されるブラックコメディです。そのようなわけで、「何という行き方!」というタイトルが付けられているのでしょう。にわか旦那として彼女の相手役を務めるのが、ディック・バン・ダイク、ポール・ニューマン、ロバート・ミッチャム、ジーン・ケリー、ディーン・マーティンであり、思わず「何というキャスト!」と叫びたくなります。個人的に最も気に入っているのはポール・ニューマンとのエピソードであり、何とポール・ニューマンのスラップスティックパフォーマンスが拝めます。彼が出演したコメディ作品は、他には「パリが恋するとき」(1963)くらいしかなく、その意味でも貴重です。また、ジーン・ケリーとのエピソードでは、冗談ではないかと疑いたくなるようなピンク尽くめのシーンが繰り広げられます。全く他愛ない作品であると言えばそれまでですが、そのような他愛ない作品を超豪華キャスト(他にもロバート・カミングスが出演しています)が演ずると、大掛かりで手の込んだジョークといった妙味が醸成され、ブラックジョークとして極めて有効であるように思われます。嘘と同様、ジョーク、それも殊にブラックジョークは、大掛かりであればあるほど効果的に機能する場合があるということです。いずれにしても、これだけの面子が次から次へと登場する作品が楽しくないはずはなく、エンターテインメント性の高い作品であることに大きな間違いはありません。この作品は長らくビデオでも手に入らない状態が続いていましたが、目出たく今年初めに海外でDVDバージョンが発売されました(※1)。どうやらDVDのパッケージに安手の香水のようなものが振りかけられているらしく、買ってから1年近く経った今でも10円ガムのような匂いが漂ってきます(※2)。アメリカ人は、あまりこの手の幼稚なことはしない人種であると思っていましたが、これも何かのブラックジョークでしょうか。

※1 国内でもDVD版が2006年より発売されています。(2008/10/25追記)
※2 恐ろしいことに4年ほど経過してもまだ匂うので、パッケージの芯まで浸透しているようです。(2008/10/25追記)


2005/10/30 by 雷小僧
(2008/10/25 revised by Hiroshi Iruma)
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