空から赤いバラ ★☆☆
(Fathom)

1967 US
監督:レスリー・H・マーチンソン
出演:ラクエル・ウエルチ、アンソニー・フランシオサ、ロナルド・フレイザー、クライブ・レビル

左:クライブ・レビル、右:ラクエル・ウエルチ

「空から赤いバラ」とは何のことかというと、ラクエル・ウエルチが真っ赤なパラシュートでスカイダイビングしながら空から舞い下りてくる様子を指しています。ということで、この作品はラクエル・ウエルチが主演なのです。ラクエル・ウエルチといえばビッグネームなので、殊に現在のオーディエンスは彼女はさぞや多くの作品に主演していたのではないかと思われるかもしれません。が、一般の女優さんとは若干異なる点に強調点があった為、彼女が本当の意味で主演した作品はあまり多くはありません。「空から赤いバラ」は、そんな彼女の出演作の中にあって、本当に彼女が主演であると言い切れる作品なのです。その意味では、非常に貴重であるかもしれません。事情を知らない主人公(ラクエル・ウエルチ)がスパイに仕立てられて右往左往させられるというストーリーが繰り広げられ、コメディ要素を多分に含むスパイ物パロディ映画と見なせます。当時ドリス・デイが「マーメイド作戦」(1966)や「おしゃれスパイ危機連発」(1967)でこの手の役を無闇に得意としていましたが、庶民派のドリス・デイではなく、肉体派のラクエル・ウエルチが演じているところが大きなポイントでしょう。いずれにしても、「空から赤いバラ」が製作された60年代後半当時は、007シリーズの影響もあってか、この種のライトなスパイ物パロディ映画が流行っていた時期であり、ディーン・マーティン主演のマット・ヘルムシリーズやジェームズ・コバーン主演の電撃フリントシリーズなどをそのような作品として挙げることができます。「空から赤いバラ」では、何人かの登場人物の内、誰が一体本当の悪漢なのか最後まで分からず、単にコミカルなだけではなくスリリングな要素もあります。そんな登場人物の中で特筆すべきは、億万長者を演ずるクライブ・レビルでしょう。クライブ・レビルという役者さんは、必ずやケッタイな役で登場しますが、ここではエキセントリックというよりはほとんどキッカイな人物を演じています(上掲画像参照)。また、口のサイズがジュリア・ロバーツの10分の1くらいに見えるおちょぼ口のロナルド・フレイザーが実際は悪の首領であり(あ!ネタをバラしてしまいました)、これではさすがに迫力が全然ありません。おちょぼ口のボスキャラなど聞いたことがありません。とはいえ、ライトなスパイ物ということで、これは意図的なキャスティングなのでしょう。また、お約束のラクエル・ウエルチのビキニ姿を拝めるという特典も勿論あり、それだけで十分と思う人もいるかもしれませんね。


2003/01/18 by 雷小僧
(2008/11/04 revised by Hiroshi Iruma)
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