彼女には本当にスター的な輝きが宿っていました。初期の頃はプレスリー映画に出演し、プレスリー映画なので映画としてはどうかなと思わざるを得ないところがありますが(但し彼女も出演する「闇に響く声」(1958)は、彼の主演する映画の中では最も良い作品であると評価できます)、彼女のスター的な素質をもっとも垣間見させてくれる作品は、個人的に大好きな「ボーイハント」(1960)です。彼女の目の輝きは、ことに素晴らしい。しかし映画ファンにとって残念なことに、彼女は映画界で素質をフルに開花させる前に尼さんになってしまいました。ひょっとするとマイケル・カーティスが監督した宗教劇「剣と十字架」(1961)に出演して、それに感化されたのでしょうか。実際、彼女が演じているシスター・クレアは、貴族のステータスを放棄して尼さんになりますが、これは彼女の経歴とダブらざるを得ません。現在に至るまで彼女は、信仰を捨てることがなかったばかりか、その世界でかなり高い地位に至ったようなので、余程固い決意を持っていたということでしょう。華やかな映画スターの座を棄てて、世俗的には最も光のあたらない世界に入ったわけであり、並みの決意では済まなかったはずです。真にタレントのある人とは、彼女のように別の世界に入ってもその才能を遺憾なく発揮することがしばしばあるということなのでしょうが、それを考えると映画ファンとしては余計に惜しい気がします。 |
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1957
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さまよう青春
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1960
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ボーイハント
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1957
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野生の息吹き
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1961
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剣と十字架
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1958
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闇に響く声
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1962
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Sail a Crooked Ship
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1959
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Lonelyhearts
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1962
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脱走
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1960
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掠奪者
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1963
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翼のリズム
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