映画界では遅咲きの彼女は、主要な出演作品がほとんど70年代に固まっています。50年代から既に活躍していたエリザベス・テイラーと同年生まれであるにも関わらず、そのテイラーよりも活躍の時期が20年も遅れたことになります。60年代の前半からエレン・マクレーの名前で「さよならチャーリー」(1964)などの作品に出演していたのは確かであるとはいえ、70年代の活躍からすれば無視しても差し支えない程度のものでした。60年代後半には5年程映画界から遠ざかりますが、どうやらこの期間、リー・ストラスバーグのアクターズ・スタジオで演技の勉強をしていたようであり、その甲斐があってか70年代の前半に演技派として開花します。要するに、40才になってからトップスターの地位を確保したということであり、これはエリザベス・テイラーが活躍していた50年代の、及びそれ以前の女優さんたちとは明らかに傾向が大きく異なります。チャールズ・ブロンソン、ジーン・ハックマンあるいはアンソニー・ホプキンスなどの例を考えてみれば分かるように、40才を越えてトップスターになるケースは男優ではそれほど珍しくありませんが、女優さんの中では70年代以降であろうが極めて異色であると言えるでしょう。のみならず、バースティンは、21世紀に入った現在でも現役であり、しかも単なるカメオ出演などではなく、2001年に「レクイエム・フォー・ドリーム」で20年ぶりにアカデミー主演女優賞にノミネートされるなど、かなり重要な役で出演しています。恐らくは現時点(2009年)においてローレン・バコールの次に古い(というかお年の)現役女優であり、しかも典型的な大器晩成型であると見なせるでしょう。「ラスト・ショー」(1971)でアカデミー助演女優賞に、かの「エクソシスト」(1973)でアカデミー主演女優賞にノミネートされ、ついに1975年の「アリスの恋」では主演女優賞に輝いています。その後も、「Same Time, Next Year」(1978)と「レザレクション」(1980)、及び先述の「レクイエム・フォー・ドリーム」でアカデミー主演女優賞にノミネートされています。ことに、彼女とアラン・アルダが主演した「Same
Time, Next Year」は、70年代の映画の中では個人的に最も好きな作品の一つです。 |
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1964
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さよならチャーリー
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1978
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Same Time, Next Year
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1971
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ラスト・ショー
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1980
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レザレクション
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1973
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エクソシスト
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1984
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ジェノサイド・ストーム
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1974
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ハリーとトント
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1985
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燃えてふたたび
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1975
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アリスの恋
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1993
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セメタリー・クラブ
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1977
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プロビデンス
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