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映画 日記 池田 博明
これまでの映画日記で扱った作品データベース | 映画日記 前回の分 |
見た日と場所 | 作 品 | 感 想 ・ 梗 概 (池田博明) | |
2020年11月7日 WOWOW |
半地下の家族 韓国 2019年 140分 |
ポン・ジュノ監督特集で放映。半地下で暮らす家族のうち、浪人中のギウはパク家の娘ダフの英語の家庭教師の口を得る。次いで、妹ギジュンも 多動児ダソンの絵の教師に、父ギテクはパク社長の運転手に、母チュンスクは家政婦に雇われる。ダソンの誕生日祝いでパク一家がそろって出かけたときに一家で集まって酒盛りしているところに、「忘れ物をした」と家政婦が訪ねてくる。家政婦のムングアンはあ隠れ地下の部屋に夫を隠していたのだ。家政婦夫婦に正体を知られてしまった家族はなんとか夫婦を地下に隠し続けるが翌日庭でのパーティに復讐の鬼と化した家政婦の夫が縛りを解いて包丁をふるう。 アカデミー作品賞に輝く傑作だが、後半はアクション映画になっていて不満の残る仕上がりだった。地下に放置された家政婦の死体はどうなるのか、モールス信号には誰かが気付いてしまうのではないかなどの疑問が残る。 |
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2020年6月28日 DVD |
ナッシュビル パラマウント 1975年 161分 |
ナッシュビルはカントリー・ウエスタン音楽の聖地。いろんな思惑で集まってくる人々を点描しつつ、アメリカの70年代の社会を描き出す。俳優たちが歌う歌は自作自演である。俳優たちは喜んで歌っていた、歌手になる夢がかなえられたようなものだからね。政治的な作品だから、暗殺が起きて当然ダ。バーバラ・ジーンを暗殺しようと提案。著名な美術監督が「最低」と評価して下りた。 |
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2020年6月26日 DVD |
ロング・グッドバイ MGM 1974年 111分 |
アルトマンの証言。・・・アイルランドで『イメ-ジズ』を撮っているとき、エリオット・カストナーとジェリー・ビックから脚本が送られてきた。最初はレイモンド・チャンドラーはやりたくないと言ったよ。フィリップ・マーロウの名を口にした途端、みんなハンフリー・ボガートを思い浮かべるんだからとね。あの企画にはロバート・ミッチャムの主演が望まれていた。私としてはとにかくフィリップ・マーロウ映画をまたもう一本やって結局、他の映画と変わり映えしないものを作ってしまうなんていやだったんだ。 マーロウの役にエリオット・グーiルドを提案したのは確かユナイテッド・アーティスツの製作主任だったデヴィッド・ピッカーだと思う。これで俄然、やる気になってさ。で、リー・ブラケットの脚本を読んだら、彼女のバージョンでは最後にマーロウが銃を取り出して親友のテリー・レノックスを殺すんだな。これは「もうマーロウらしさからかけ離れているんでね、よし、この映画やるよ、ただし、エンディングは絶対変えないでくれと、その一文を契約に入れてくれと要求した。これに全員が合意した。・・・あの結末。あそこで「たかが映画さ」といっているんだ。.. 親友が起こした事件と関わってしまったマーロウは関係者の人間関係をめぐるうちに次第に真実に近づいていく。。 朝の3時に猫の餌を買いに出たマーロウが帰宅すると、ちょうどテリーが車で着いたところだった。「男に追われている」とテリーはマーロウの車でメキシコのティファナまで送ってくれと依頼する。 ティファナでテリーをおろして自宅に戻ったマーロウを刑事が待ち受けていた。テリーの妻シルヴィアが撲殺されており、マーロウは容疑者テリーを逃がした従犯に相当するという。拘留3ケ目でテリーが自殺したことが分かって、マーロウは釈放された。 留守中、事務所に入った依頼のなかで作家ロジャー・ウェイドの妻の夫の捜索願を取り上げた。夫はアルコール依存症で一週間前に失踪したという。マーロウは精神分析医ヴェリンジャーの病院に探りを入れ、ロジャーが院内にいることを確信する。夜になって病院に入ったマーロウは医師と話すロジャーを発見、妻のもとへつれ返す。医師はロジャーに治療代5000ドルの未払い分4400ドルを請求する。 自宅に戻ったマーロウをオーガスティンが待ち伏せしていた。テリーが組の金35万5千ドルを持ち逃げしたという。マーロウを脅すのに恋人の顔をコーラのびんでつぶすオーガスティン。 マリブ・コロニーでウェイド夫妻に会うマーロウ。二人はマーロウを遠ざけて別れたいとの会話。作家ロジャーは書けなくなっている。ロジャーはマーロウに「5万ドル、マーティに借している」と言うが、実際には「マーティに1万ドル借りている。」のだそう。アイリーンは「ロジャーは自分の借金を認めようとしない」のだという。 郵便受けに「フィル 許してくれ テリー」の手紙と5000ドル紙幣が入っていた。マーロウはテリーの死亡診断書を書いた検死官と会って話を聴く。 ロジャーのパーティ。ヴェリンジャー医師に小切手を切るロジャー。パーティはお開きに。夜になってマーロウはまだ残っていた。ロジャーが海に入った。自殺である。 マーティのもとへ連れてこられるマーロウ。金のありかを問われるがマーロウは知らない。マーティの命令でみんな裸になる。金を隠す場所がなくなるというリクツだ。そこへ金が届き、マーロウは放免される。 車で出かけるアイリーンを走って追いかけるマーロウ。途中で車にぶつかり病院へ収容されるが、けがをしなかったので、病院を抜け出す。マリブ・コロニーは既に人手に渡っていた。一方、検死官にチップをはずんで聞き出したところ、テリーの自殺は偽装だった。 田舎の隠れ場所のテリーに会いに出かけたマーロウ。アイリーンとの不倫を疑ったシルビアを撲殺し、友情を利用したテリーを撃つのだった。 |
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2020年5月1日 WOWOW |
ジュラシック・ワールド ユニバーサル 2015年 135分 |
復活させた恐竜たちを展開したジュラシック・パークでは、新種の恐竜の研究も行われていた。新種インドミナス・レックスはテイラノサウルスのDNAをベースに様々な生物の遺伝子を組み替えたハイブリッド「恐竜。」 擬態能力はカエルの遺伝子から、ヴェロキラプトルとの交信能力はその遺伝子からと説明されるが、遺伝子を組み替えて導入したからといってすぐにその能力がつくものではない。発達に伴う条件があるはずだ。本作の山場のひとつがヴェロキラプトルを兵器として使えることのデモンストレーションにインドミナスに敵対しようとしたときに、インドミナスの遺伝子にヴェロキラプトルの遺伝子を組み込んでいたため、ヴェロキラプトルがインドミナスに「協力的な行動しか示さなくなったことだが、遺伝子が支配する行動をそこまで移し替えることは不可能だと思われる。 |
見た日と場所 | 作 品 | 感 想 ・ 梗 概 (池田博明) |
2020年11月3日 日本映画専門チャンネル |
獄門島 NHK 125分 2016年 |
金田一役は長谷川博己。了然和尚に奥田瑛二。喜安公平脚本、吉田照幸演出。NHK BSプレミアムで放映(2016年11月19日)。早苗(仲里依紗)、磯川警部(小市慢太郎)、荒木村長(菅原大吉)、幸庵(綾田俊樹)、清水巡査(山中崇)、竹蔵(谷田歩)、了沢(岡山天音)、月代(堀田真由)、雪枝(秋月成美)、花子(吉田まどか)、儀兵衛(古田新太)、お志保(山田真歩)、鵜飼(柳俊太郎)、嘉右衛門(瑳川哲朗)、代三松(山崎銀之丞)、お小夜(中西美帆)、千万太(石田法嗣)。 金田一の「逗留*日目」が描かれる。見立ての俳句が貼られた枕屏風はお寺に逗留している金田一の枕もとにあるが、金田一は気が付かない。事件の真相を金田一は了然和尚に明かすが、嘉右衛門の意図による殺人の無意味さをつきつける挑発的なものとなる。 |
2020年11月3日 日本映画専門チャンネル |
犬神家の一族 テレビ朝日・にっかつ 125分 1990年 |
横溝正史ミステリーシリーズ、金田一役が中井貴一、探偵助手に松本伊代、長坂秀佳脚本、松尾昭典監督。松子(岡田茉莉子)、竹子(三ツ矢歌子)、梅子(結城美栄子)、佐清(石黒賢)、珠代(財前直見)、犬神佐兵衛(若山富三郎)、佐武(四禮正明)、佐智(小沢仁志)、猿蔵(丹古母鬼馬二)、犬神小夜子(川津花)、宮川香琴(結城しのぶ)、古館弁護士(小林桂樹)、青沼菊乃(和泉ちぬ)、青沼静馬(渕野直幸)、若林弁護士(辰己琢郎)、徳島警部補(荒井注)、佐川刑事(柳沢慎吾)、神主の娘大山朝子(浅野ゆう子)、宿の女中お咲(石井富子) |
2020年6月16日 |
生きる 東宝 1952年 |
余命数か月とわかったとき、まずしたいことがバーやキャバレーでの放蕩だったという点が信じがたい。それが空しいものであることは体験しなくともわかるのではないか。では、自分だったら何だろうかと考えてみると、すぐには思い浮かばない。社会貢献にあたるようなものかもしれないし、ちがうかもしれない。生きるてごたえを感じることのできる何かは簡単に思いつくようなものではないかもしれない。 |
2020年6月15日 NHK BSP 13:00~ |
病院坂の首縊りの家 東宝 103分 1979年 |
弥生(佐久間良子)の娘・ゆかり(桜田淳子)と冬子の娘・小雪が瓜二つという点が非現実的な設定です。入れ替わったのに誰も気づかないのはありえません。性格もかなり異なって描かれていますのに。 山之内敏男(あおい輝彦)の復讐が娘との結婚写真だったり、吊るした生首だったりするのも理解できません。女の細腕で死体からの切断ができるとも思えません。返り血を浴びた着物をどう処分したのでしょうか。 本作では金田一耕助(石坂浩二)があまり活躍しないのも解決が遅れる原因かもしれません。 |
2020年3月31日 NHK |
エール NHK 2020年 各15分 |
NHKの朝の連続テレビ小説は古関裕而の半生を取り上げる。今回から月曜から金曜までの5回放送となり、土曜日はその週のまとめを放送。バナナマンの日村のコメント付きでその週のドラマをふりかえる。このくりかえしがくどい。だいいち解説してもらう必要がないほど物語はわかりやすい。日村のコメントはドラマを一方的に決めつけるものになっている。例えば裕一をもてあそぶバーの女を「なんなんだ、この女は!」と偉そうに断罪するが、そんな反応は作者が意図したことではない。作者はもっと冷静に見て欲しいと思っているはずだ。放送前にコメントする朝ドラ送りも、放送後にコメントする朝ドラ受けも基本的には不要である。自社の番組を仲間ぼめしあっても仕方なかろう。 さて、古関裕而を取り上げるなら古関作曲の「戦時下の歌謡曲」(軍歌という批判に対して主張された立場)を取りあげる必要があろう。「露営の歌」(勝ってくるぞと勇ましく)や「暁に祈る」(ああ、あの顔で、あの声で)、「予科練の歌」(若き血潮の予科練の)など親しまれた軍歌がたくさんあるからだ。 らららクラシックで古関が取り上げられたときには、片山杜秀がゲストだったにも関わらず、軍歌は取り上げなかった。片山は「戦時歌謡を軍国主義と決めつける者こそ平和の敵だ」『ゴジラと日の丸p92-93で、朝日新聞社主催の古関裕而作曲の戦時歌謡を特集するコンサートの解説を引き受け,こう書く。 "世間では、今年は戦後五十年だから平和が大切だとか言っています。・・・・が、最近の日本人は戦争の時代をほとんど忘れています。これではいけません。戦争が思い出されなくては、平和への祈りも過去の反省もヘチマもないのです。 そこで我々はまず、政治、経済、軍事にわたる、歴史的事実を知るべきです。そして更に、戦争の時代を生きた日本人の思いを知るべきです。事実の積み重ねと。それを支えた人間の情念ーーこの両方を押さえて、はじめて我々は戦争の時代を理解できましょう。 なら、当時の人々の情念を知るにはどうするか。それには、当時の文化、芸術の出来のいいもの、たとえば、古関の戦時歌謡に接するのが一番です。 試みに、古関が敗戦間際に作った『嗚呼神風特別攻撃隊』でも聴きましょう。この歌は実に悲痛です。捨て身の体当たり攻撃をやるまでに追い詰められた日本人の絶望感がlこの歌を聴くことでたちまち五十年の垣根を越え、現在生きる者の胸にひしひしと迫るのです。 まあ、こんな具合で、古関のたくさんの戦時歌謡には、その時代の人々の想いが凝縮されています。我々はそれらに接することで、緒戦の勝利に浮かれ、やがて空元気と悲壮さと死のムードに覆われてゆく、戦時の日本人の情念、その悲惨な歩みを追体験しうるでしょう。" 『エール』の音楽監修をしている瀬川英史は古関の作曲の特徴は強拍と詞先だと指摘していた。強拍とは四拍子の曲の場合、1泊めと3泊めが強拍である。 |
2020年2月15日 DVD |
TRICK 東宝 テレビ朝日 2003年 112分 |
トリック第3シリーズ。蒔田光治脚本、堤幸彦演出、第1話・第2話「言霊を操る男」。蛾眉村にリゾート開発を企画した会社の相沢(甲本雅裕)は、言葉を現実にできる男、芝川玄奘(森本レオ)に「自殺する」と予告されていた。開発に反対する団体のリーダー、鬼頭(矢島健一)は森を汚す者に天罰が下ると告げていた。 第3話・第4話「瞬間移動する女」。神内村にスリット美香子(高橋ひとみ)という瞬間移動する女が出現。蒔田脚本、木村ひさし演出。 第5話・第6話「絶対死なない老人ホーム」脚本/林誠司、演出/丸毛典子。京国屋書店の社長が母親を死なない老人ホームに入れたい、真偽のほどを調べてほしいと上田に依頼してきた。早速山田を勧誘し魯迅老人ホームを訪れる。ホームの老人たちは死なないどころか、いったん死んでも霊能士赤池洋司(高嶋政伸)の力によって生き返ることも可能なのだという、副理事長は猟銃でホームの利用者と自分の胸を打ち、実験台になる。洋司が祈りを唱えた男は蘇生したが、救急車で病院に搬送された副理事長は死亡。上田と山田は非難された。 第7話・第8話「死を呼ぶ駄洒落歌」蒔田光治脚本、堤幸彦演出。資産家・亀山家のあかずの扉を開くに際して。立ち会って欲しいと亀山家の顧問弁護士に依頼されて、上田と山田は亀山家の連続殺人に関係することになる。かけ言葉を複数個用いた歌に合わせて起こる殺人劇。 第9話・第10話「念で物を生み出す女/黒門島の謎Ⅱ」蒔田光治脚本、堤幸彦演出。25年前、霊能力をニセモノと決めつけられ、御獅舞村を追われた長谷千賀子(大谷直子)が村に戻って来た。彼女が住む森に入った討伐隊は行方不明になり、教師の北見(デビット伊東)は呪いをかけられた。北見の依頼を受けて、上田と山田は村に入る。 |
2020年2月14日 Amazon プレミア |
TRICK ラストステージ 東宝 2014年 118分 |
劇場版最終作。堤幸彦監督作。赤道直下の国にレアアースを求めて進出しようとする会社に雇われて現地人の呪術師の調査に入った上田教授(阿部寛)たちは予想もしないトラブルに巻き込まれる。洞窟の奥に座るシャーマンは毒虫に刺されたのか背中にできた上田教授の腫れ物を治し、現地人を撃ったスタッフを蛇毒を混ぜた水で殺し、医師に銃で撃たれても吹き矢で反撃・吸血コウモリで襲わせて死に至らしめる。山田奈緒子(仲間由紀恵)は村で爆発が起こる夢をしばしば見る。同じ夢をシャーマンも見ていた。その意味が最後に明らかになる。この作品の後、奈緒子の母役を演じていた野際陽子が亡くなっているので追悼のような不思議な気持ちで鑑賞した。地下から吹き上がる可燃性ガスに地下で点火する役割が呪術師に与えられていたという結末は残酷すぎる。 |
2020年2月11日 DVD |
カラーで見る第2次大戦 カールトンTV 1999年 45分×3 |
英国カールトンTV制作。NHK放送の3回シリーズ。Vol.1.混乱するヨーロッパ;ナチス行進、スペイン内戦、フランコ将軍、英国;ジョージ六世戴冠式(1937年)、ロイド・ジョージとヒトラー山荘会談 英国軍参戦、ワルシャワ陥落。フランス占領、ダンケルク、ロンドン空襲、」バルバロッサ作戦、ヒトラー「千年帝国」 Vol.2総力戦;パールハーバー、大西洋輸送船団、ドイツUボート、ユーゴスラビア占領、セルビアパルチザンドイツ人9名殺害事件、ワルシャワゲットー、スターリングラードの戦い、米英軍ドイツ都市爆撃、シュワーベン孤児院、サイパン攻略。 Vol.3.勝利と希望;ノルマンディー上陸作戦、パリ解放、ブッヘンヴァルト及びダッハウ強制収容所の惨劇、ソ連ベルリン制圧、沖縄上陸作戦、原子爆弾、勝利にわく市民。 |
2020年2月9日 DVD |
人間の條件 第1部~第6部 松竹 1959~1961年 |
五味川純平原作、小林正樹監督の巨編。1979年1月2日の日記より(1979年1月は27歳時)。 "東京12チャンネルにて12:00~0:00 何となく、つき合ってしまった。人間の條件」をそなえていない者たちのドラマではないかと思うほど、梶の味方は少ない。「戦時下だぞ」ということばを切り札として、まっとうな論理さえも通そうとしない。新兵をいたぶる兵隊、抗夫をいたぶる組長。「こんな人たちは、いまも生きているのかしら」(小百合)。そう、いまもぬくぬくと生きているにちがいない。戦争という状況の中で;しかたがなかったとしてはすまされないもの、人間の弱さといってすましておれないものがあるんだ、人間として生き抜く努力をすべきではないか、と五味川純平はいっているようだ。戦後にとって、この小説のうったえる意味はどんなところにあるのだろうか。昭和31年8月5日に第1部は出版されている。『ベストセラー物語(中)』にも同様の設問がある。人生論的感動があるが、どんな人生論的感動か、そして今日、どのような意味を持っているか。梶の「理屈っぽさ」これを学ぶべきではないか、と現在の僕は思う。「リクツをイウナ」の時代にあって、それは貴重であtった。むろん理屈の内容も吟味しなければならない。" 第1部純愛篇・第2部激怒篇は梶の南満州鉄鋼会社老虎嶺鉱山の労役係としての戦い、第3部望郷篇・第4部戦雲篇は軍隊での初年兵に対するしごきや制裁に対する戦いが描かれる。第5部死の脱出・第6部コウ野の彷徨は完結篇として公開、敗残兵として北支を彷徨し、日本人の開発部落でソ連部隊に投降、収容所へ送られ、脱走する話。第1部は昭和18年の設定、第5部は敗戦後である。 |
2020年2月6日 DVD |
戦争と人間 日活 1970-1973年 197分+179分+187分 |
五味川純平原作、山本薩夫監督の巨篇。新興財閥・伍代家の人々を中心に、満州中心に展開する日中戦争を描く。満州は日本の新たな領土だとして儲けを夢見た財閥は軍部と結託して戦争に深く関わっていく。第一部「運命の序曲」で描かれるのは、死の商人として勢力を伸ばそうと画策する伍代家、特に伍代喬佑介(芦田伸介)の活動。満州で目的のためには手段を選ばぬ手配師・シギ田(三国連太郎)が強烈な印象を残す。兵士に現地娘をレイプさせて、あとは殺せと言い放つ。 冒頭、紅匪賊が村を襲撃する際の残虐さ(武器を持たない農民の殺傷。女の強姦。穀物の略奪)が描かれる。貧農は襲わないということだが、襲撃された村は普通の村に見える。往診に来ていた日本人医師・不破(田村高廣)は納屋に隠れて無事だったが。 第2部「愛と悲しみの山河」の中心は俊介と温子(あつこ)の恋愛である。藤井温子(佐久間良子)は伍代英介(高橋)悦史)に婚約破棄された後、狩野市郎(西村晃)と望まぬ結婚をするが、伍代俊介(北大路欣也)に一途な想いを打ち明けられて悩む。一方、俊介の友人・標(しめぎ)耕平(山本圭)は大学での反戦活動に生きがいを見出していた。そんな耕平を伍代家の次女・順子(よりこ:吉永小百合)は慕っていた。治安維持法違反で検挙された耕平は激しい拷問を受ける。 第3部「完結編」にも二組の男女が描かれる。順子と耕平、俊介と苫(夏純子)である。兵隊間での制裁も苛烈を極める。中国の村を襲撃したとき、子供を撃てという命令にふくさなかった耕平は銃剣で殴られ瀕死の重傷を負う。八郎軍に助けられ協力者となる。内地には最初は戦死の公報が届くが、その後順子のセツルメントに憲兵隊の捜査が入ったことで生存していることが判明する。しかし、脱走兵だから軍法会議では死罪だろう。喜んでもいられない。俊介はノモンハン事件の戦闘を生き延びた。しかし、日本はきびしい戦争を続けてゆくのである。四部作として企画された作品だったが、日活に力がなくなったため、3部で完結させることになった。そのため3部には第1部第2部で暗躍していた人々の出る場がなくなってしまった。 「第3部」(1973年)だけ映画館で見た記憶がある。 |
2020年2月5日 日本映画専門チャンネル |
地方記者 東宝 1962年 90分 |
日本映画専門チャンネル:日本映画クラシック 日の当らない名作。丸山誠治監督、関沢新一・脚本。 中野(フランキー堺)は東朝新聞平尾支局担当の地方記者、自宅兼用の支局に妻(白川由美)と娘と暮らす。本局へ送る記事もさほどない田舎である。そんな支局に駆け出しの記者、 三浦(夏木陽介)が着任する。取材は自分の体で覚える方式で、あまり親切にしない中野の訓練が始まった。ある朝、豚小屋の火事のニュースが東朝新聞だけ落ちてしまった。ただサツ回りしているだけでは、警察は情報をくれないのだ。あわてて後取材にかけつける三浦は警察署前で電話交換手の岸部園子(星由里子)にぶつかって、彼女の弁当箱を壊してしまう。翌日、三浦は新しい弁当箱を彼女に贈った。それを契機に二人は好意を持ち始めた。新聞記事は他社に抜かれてばかりだったが。 町の祭りの余興の芝居に保夫(田辺靖雄)を忠治役に抜擢したが、本番でセリフを忘れた保夫に舞台の袖でセリフを教えた中野だったが、養豚事業で農協と争っている青年団の役員が中野に話しかけてくる言葉が混ざってしまい大笑い。 ある日、園子から三浦に電話がかかってきた。「女の子が用水路に落ちたの。まだ他社は事件のことを知らないわ」。三浦はとび出して行った。被害者の写真を貸してもらう段取りを中野が示した。以前から用水路のふたを訴えかけていたことを遺族に理解してもらったのだった。東朝の記事は各社を抜いた。 町の繁栄のために町会が誘致し創立した工場の汚水により、近海の魚が全滅し漁民に大打撃を与えた。工場側と漁民との公聴会が開かれ両者の意見が真向から対立し、議場は大乱闘、多数の負傷者が続出した。 翌朝保夫一家がオルグ団と応援団体幹部の入れ知恵でくも隠れした。保夫の父戸川源造(漁業組合長)は、この間の乱闘騒ぎで警察から逮捕状が出されていた。中野は源造のアジトを突き止めようと聞込みを始めた。この漁業問題は漁民側に立つ中野の援護もあり、無事解決した。地元に根をはった地方記者のプライドを理解した三浦は園子に求婚するのだった。 |
2020年2月4日 日本映画専門チャンネル |
警察日記 日活 1955年 111分 |
日本映画専門チャンネル:日本映画100年100選より「警察日記」、久松静児監督、伊藤永之介原作、井手俊郎脚本。会津の田舎・横宮町の警察署は今日も忙しい。酔って道に寝てしまった岩田(伊藤雄之助)が傍に自転車で落としていった品物で窃盗を疑われる話を皮切りに、捨て子(二木てるみ、二木まこと)の世話をする吉井巡査(森繁久弥)、人身売買の周旋をする杉田(杉村春子)に売られる娘(岩崎加根子)を家まで送る花川巡査(三国連太郎)・・・売春防止法は1956年、亭主が家を出たっきりで蓄えがなく万引きをしてしまう母親(千石規子)と従う小学生の息子(翌日無銭飲食で捕まる)。町出身の通産大臣・丸尾(稲葉義男)の接待に追われる警察幹部(署長=三島雅夫)、人身売買の周旋をしていた女の送検をめぐって町の警察署・・・赤沼主任(十朱久雄)と県の労働基準監督所の送検の取り合いもある。田舎町の警察署には庶民の生活に身近な事件があふれている。町の交通機関でバスが走っている。警察署にはジープがあり、消防署には消防車がある(なかなかエンジンがかからない)。 ユキ子とシゲルを捨てた母親(坪内美子)が子供を連れ戻しに来る。しかし生活の当てがないため、子供を引き取った後に無理心中を考えていたという。いま、子供たちは大きな店に引き取られて暮らしている。その様子を警察のジープからのぞき見ることで子供に合わずに去る。家の玄関先に出てきた子供たちを見た母は涙が止まらない。ユキ子(二木てるみ)はジープの奥にいる母親に気づいたようだった。藪田(宍戸錠)がジープの運転手。教え子を戦地に送った結果、気がふれてしまったもと校長(東野英治郎)。 |
2020年1月25日 衛星劇場 |
われに撃つ用意あり 松竹・若松プロ 106分 1990年 |
原田芳雄追悼企画。佐々木譲原作、若松孝二監督作品。新宿で学生運動崩れで店を開いていた克彦(原田芳雄)は今日で店を閉めようとしていた。たまたま暴力団に追われたタイ出身の若い女メイランが店に逃げ込んできたことから、女の関係する事件に関わることになってしまう。学生叛乱の高揚感がよみがえってきた。次第に女は兄を助けるため偽造パスポートを依頼、組長にレイプされかかって組長を撃ち殺し、逃げていたことが判明してくる。克彦に関わる知人が店の客として関りを持つ。みんな学生叛乱の季節に戦った者たちだった。最後は拳銃を持って暴力団の事務所に克彦と季津子(桃井かおり)が殴り込み。銃弾を受けるが上着の下につっこんだ雑誌で弾を防いだ。マル暴の刑事が蟹江敬三。 |
2020年1月22日 DVD |
元祖天才バカボン 東京ムービー 1977年 15分 |
1975年から1977年にかけて放映されたテレビ・アニメ206話から16話をセレクトした廉価版DVD。製作は東京ムービー。作画スタッフに近藤喜文の名前が見える話もある。第103話「お城とスイカをこうかんするのだ」の脚本は大和屋竺。バカボンのパパが庭から掘り出した冷蔵庫で保管していたスイカを美食に飽きた大富豪が欲しがり、お城と交換して手に入れるが、スイカのなかみはパパが食べたことを忘れていたので空っぽ。怒った富豪は爆弾をしかけてパパとバカボンに返す。一方、お城は広すぎておしっこに間に合わないほど。お城を返却するついでにスイカも富豪に返却する。あわてる富豪、爆弾がさく裂してお城も粉々。日本で物乞いをしている富豪。 「これでいいのだ」を合言葉に理不尽な展開が続くストーリー。 |
2020年1月21日 DVD |
熱海殺人事件 |
つかこうへいの人気劇作品をつか自身の脚色で映画化。高橋和男監督作。喜劇としての間合いやテンポがいかされていない。舞台ではコントになっていた場面も役者が怒鳴り合うだけの場面になっていた。主役の仲代達矢の重厚な演技がつかの劇とまったく合っていない。志穂美悦子の恋人演技も風間杜夫の田舎刑事の演技も浮いている。なによりちっとも面白くなかった。アマゾンのDVDのレビューは絶賛(五つ星)が多い。私は喜劇になっていないと思うのだけれども。 |
シェイクスピア作品の映画化やその関連の映画は除く。
それらは別ファイルになっている。→ 『シェイクスピアの劇と映画』
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