ふたりだけの王国


 
 よく、県にいた頃の夢を見る。年の頃はまだ五つか六つ。弟たちも小さく、俺達はいつも二人一緒だった。棟は違ったが同じ敷地内に住んでいたので、夜はよく自分の部屋を抜け出して、元譲の布団に忍び込んだものだ。元譲は俺を見つけるといたずらっぽく笑って、こっそり布団の中に入れてくれた。そうして布団の中に潜り込んで、大人に見つからないように息を潜めてふざけあったりしたのだ。
 あの幸せな日々が、いつまでも続くと思っていた。
 誰か、あの痺れるような幸せを、どうか俺に、どうか、どうか、頼むから返してくれないか。



 まだ、心臓がドキドキしていた。
 夏侯惇の執務室で、曹操に何か言われたらしい夏侯惇がなまめかしく溜息なんてついていたので、思わずその頬に触れてしまったのだ。
 いつだって触れたいと思っていた頬が、あまりにも無防備に目の前にあった。ダメだと思ったのに、意思に反して夏侯淵の指はその頬に触れていた。
 主公に何か言われたから、元譲はこうまで悩むのだ。どれもこれも、全て主公のため……。
 夏侯惇の執務室を出た夏侯淵は、その足で司空府の中心に向かった。あまりの勢いに官吏達が驚いたように道を空けるが、夏侯淵の目にはまるで映っていなかった。
 曹操の執務室の前には、先ほどと同じ護衛兵が立っていた。今し方出ていった顔と同じ顔が戻ってきたので、一瞬ぎょっとしたように若い護衛兵が夏侯淵を見た。いや、同じ顔ではない。目の覆布をしていない。では、御一族の妙才将軍か……。
「閣下は今お一人か?」
 覆布をしていない顔が、先ほどと同じ台詞を言う。声は、少し高い。確かに違う人なのだ。
「はっ。先ほどまで夏侯将軍……あ、いや、えと……」
 夏侯淵は自分を見てオロオロしている護衛兵の顔をちらりと見た。見慣れない顔だ。まだ曹操の近辺に仕えて間がないのか。それでは自分たちの顔に戸惑っても仕方がないと、夏侯淵は小さく目で制した。
「元譲が来ていたのは知っている。それで、閣下は今お一人か?」
「は、はい…!」
「では、入室してもよろしいか?」
「は、はい、今、お取り次ぎを」
 いや、良いと、夏侯淵は扉の前で名乗りを上げた。
「夏侯淵です。お時間をいただいてもよろしいでしょうか」
「あぁ、入れ」
「はっ。失礼いたします」
 全く同じ会話。慌てて扉を開けながら、若い護衛兵は共に扉を開けている上官を見た。上官は新入りのこんな態度には馴れているのか、小さく首をすくめて見せた。



 曹操は夏侯淵が入って来るなり、竹巻から顔を上げずに声をかけた。
「何だ、もう元譲の所に行ってきたのか。話の早いことだ」
「閣下が人払いをして元譲と二人きりで話し込み、出てきた元譲の様子がただ事ではなかったと、皆が噂していますよ」
「む?そうなのか?」
 驚いたように聞き返す曹操に、夏侯淵の眉がくもる。
「主公は、自分の一挙手一投足に皆が息を潜めるように注目しているということが分かっておられないのですか?」
 いつになく険を含んだ夏侯淵の様子に、曹操は鼻を鳴らした。
「ふん。言いたいことは他にあるのだろう。直截に言え」
「……元譲にいらん事を言うのはやめて下さい」
 まるで自分の台詞を待っていたかのような切り返しに、曹操は内心舌を巻いた。同じ従兄弟同士だというのに、何だこの両極端は。確かにこいつの言う通り、この二人は、一つに足して丁度良い……。
 だが感心してばかりはいられない。曲がりなりにも自分は君主だし、この話は笑って済ませられる問題でもないのだ。
「いらん事とは何だ。元譲がお前に何か言うとは思えんが、一応聞こう。元譲から、何を聞いた?」
「元譲が主公からされた話を、某にだって言う筈無いでしょう?知ってて訊くの、やめて下さい」
 従兄弟同士の気安さなのか、自分に対して平気で噛みついてくる夏侯淵を、曹操も気に入っている。
 だが。
「……お前の事も呼び出してやろうと思っていたのだが、丁度良い。ここでまた人払いをして酒を飲ませたら、またどんな噂が広まるか知れたものではないな。妙才、お前、この後用事は?」
「ありません。あっても、主命を放り出すほどの物ではありません」
「ほう、儂の所に乗り込んできたのも、儂のせいにするつもりか?」
「どうせ某が用事があると言っても、伝家の宝刀を振りかざすのでしょう?」
「ずいぶんとケンカ腰だな」
「某は今日、主公とケンカするつもりで参りました。気持ちが萎えないよう、退路を断っているのです」
 意外と真剣な表情に、曹操は「お前らしい」と苦笑した。
「では、これから儂に付き合ってもらおう。ついて参れ」
 曹操は竹巻の山も、お茶の道具もそのままに、夏侯淵を従えて執務室を後にした。
 どこに行くのか、とは訊かなかった。曹操にケンカを売っているのだ。このまま獄に繋がれても文句は言えまい。
 曹操はそのまま宮城の西門に向かった。下城の時刻でもないのに、さっさと帰るつもりらしい。馬にも乗らずに徒歩で行く気のようなので、夏侯淵は元より、門の衛士も焦ったようだが、さすがに曹操に向かって誰も諫めるような真似はできなかった。
 宮城のすぐ裏に建つのが曹操の私邸である。そこは遠くから見ると、宮城と同じ建物であるように見えた。門に一歩足を踏み入れると、煌びやかな世界が広がっていた。豪奢ではない。だが美という物が集約された、天上の世界。曹操の私邸であるから家人も働いているはずだが、目に映るのは艶やかな美女や、同じ衣服を着た美しい侍女の山、それに下働きの、それでも尚美しい女達。曹操の子供達の姿も見える。夏侯淵は後宮という物を見た事はないが、皇帝の後宮であっても、ここまでの美しさは備えていないのではあるまいか。
「まぁ、閣下」
 突然の主の帰還に、女達がさざめくような声を立てた。後ろに夏侯淵の姿を見て、小さく恥じらいの声などを上げる。
「お帰りなされませ、我が君」
 すぐに侍女を従えた下氏が出迎え、夏侯淵に向かって美しい笑顔を見せる。
「まぁ、妙才様。妹は元気にしておりますか?」
「お陰様で、子供達と日々賑やかに過ごしております。妻からも、いつも姉上様にお会いしたいとつつかれております」
「あの子らしい事。どうぞ妙才様、妹やお子達を連れて、こちらにも顔をお出し下さいましね」
 夏侯淵の妻は下氏の妹である。眉に微愁を匂わせたたおやかな姉と、朗らかで笑顔を絶やさない妹は、仲睦まじい姉妹であった。歌妓であった姉同様、妹も歌や様々な楽器を嗜み、二人で楽を奏でる様は見事であった。
「これから妙才と込み入った話がある故、酒の支度が済んだら、儂の部屋には暫く誰も近づけないでくれ」
「かしこまりました」
 下氏は優雅に礼をすると、女達や家人に采配するためすぐにその場を離れた。曹操の家中を見事に仕切り、子供達を育て上げ、端から見れば全く非の打ち所のないこの女性が、曹操と一度も目を合わせなかった事に、夏侯淵は気付かない振りをした。
 曹操の部屋に入ると、こちらにも仕事の竹巻や帛が山積みになっている。
「適当にその辺を片して座ってくれ」
「こんなに麗しい場所に住んでいるのに、色気のない事ですね……」
「元譲にもいつもそれを言われるな……」
 その台詞に、即座に顔が反応する。さすがに曹操の顔も歪んだ。
「お前な、一応儂はお前の主なんだから、元譲の事を持ち出されて腹を立てるのは構わんが、もう少し顔色を隠すような気配りをしろ」
「主公がわざと某を煽るから、素直に反応するんですよ!」
「……全く……。元譲には先ほど、主君と武将でも、従兄弟同士でもなく、ただの孟徳と元譲に戻って話をしようと言ったら盛大に断られたばかりだというのに、お前ははなっからただの孟徳と妙才の気満々だな」
「一応『主公』と申し上げてますよ?」
「もう良い。それでは孟徳と呼んでみろ」
「俺は元譲じゃありませんから、遠慮無く孟徳と呼びますよ。なんならため口もきけますが?」
 ふてくされたような夏侯淵の台詞に、曹操はくっと喉の奥で笑った。
「面白い。では、この後は無礼講だ。子供の頃に戻って、ため口で話してもらおうか」



 酒が運び込まれ、山海の珍味が竹巻の山の脇に並べられる。侍女達は馴れているのか、眉一つ動かさずに、硯の脇に箸を置いた。侍女達が下がると、曹操は盃に酒をつぎ、「手酌でやれ」と言いながら、一気に酒を煽る。
「で、お前、単刀直入に訊くが、元譲をどうしたいのだ」
 夏侯淵も一気に酒を煽ると、口元を拭った。
「別に、どうもしたいと思いませんが?」
「今更嘘をつくな。元譲がこぼしておったぞ。最近の妙才がうざいとな。元譲が親しくする奴に片っ端から噛みついて、儂から見てもアレはないわ」
「片っ端からなど噛みついておりません。某も別に、元譲が子孝や子廉や公明殿達と仲良くしてようが、別に何とも思いません」
「……じゃあお前、相手を選んで噛みついてるというのか。しかし、例の儂の枕席に侍ってるとか何とか、あの話の後から急に噛みつくようになったじゃないか。どんな心境の変化があったというのだ。あの時は一瞬、あの話を信じたな?まさか今でも信じているのか?」
「……あれは、あまりのことで動揺して……。別に、信じちゃいないです。いや、ちょっと、一瞬だけ信じましたが……。後から思い出して、もう布団の上でもんどり打ちました。そんなことになったら、絶対分かる筈だと思っていたのに。あんまり長いこと別の戦に出されていると、もしその間のことだとしたらさすがに気がつないのかなって。この俺に巧いこと隠してたのかと思ったら、何か余計に腹が立って……。いや、反省しています」
 曹操は「お前らしい」と、声を立てて笑った。
「では何故急に周りの奴らに噛みつき始めたのだ」
 夏侯淵は酒を満たしながら、小さく唇を噛んだ。
「ん?」
 曹操がもう一度夏侯淵を促すと、夏侯淵は杯の酒に向かって、小さく呟いた。
「……俺、今まで、俺があんまり元譲を好きすぎて、元譲が綺麗に見えるのは俺だけだと思ってたんですよ。いくら何でももういい年したおっさんだし、俺の目が元譲仕様になってるから綺麗に見えるだけだって……。でもこないだ新入り達に言われて、あぁ、他の奴らにもやっぱり元譲って綺麗に見えるのかって思ったら、何か他の奴らのことにも目が行くようになって、元譲に気がありそうな奴とかも見えてきて……。それなのに元譲、あんまりにも無防備なんじゃないかなって思ったら、段々心配になってきて……」
 夏侯淵の台詞が自分の思っていた物と違ったので、曹操は展開の違いに戸惑った。
「……え……?ちょ、ちょっと待て?元譲のことが好きすぎて?それってどういう……」
「好きすぎては好きすぎでですよ。言葉通りの意味です」
 夏侯淵はまだ盃を睨んでいた。
「でもお前、いつも元譲と俺は同じ顔だとか、でも俺の方が良い男だとか言ってるよな?」
「それは言いますよ。だって、そう言って周りの奴らを牽制しておかないと」
「牽制?」
「元譲の事、本当は他の奴に見て欲しくないんです。それでなくても元譲は主公のお気に入りだし、まぁ、目がああなっちゃったから、いやでも目立つんだけど……」
 この時代は、親からもらった体に傷が付くだけでも見た目が悪いとされた。そして人格は顔に表れるとされていたので、顔に傷のある人間は忌まれたのである。隻眼である夏侯惇より、夏侯淵の方が良い男であるのは当たり前だ。だが、それが分かっていて、敢えて夏侯淵は自分の方が良い男だと言い続けていた。それを曹操は、子供じみた負けず嫌いだと思っていたのだが。
「……じゃあお前、他の奴らに元譲より俺の方が良い男だから、元譲じゃなくて俺にしときなさいくらいのつもりで言ってたのか?」
「まぁ、実際に俺のこと良い男だなぁとか言う奴はいないんですけどね。だって確かに似たような顔はしてるけど、元譲の方が、例え左目が無くたって遥に綺麗ですから」
「……いや、そんなことはないだろうが……」
 夏侯淵が元譲と俺は同じ顔だとか、元譲と俺は二人で一つとかそんな事を言っていたのは子供の頃からだ。曹操も夏侯惇も、それを子供の独占欲だと決めつけていた。まさか夏侯淵が他の奴を牽制するために言っていたとは夢にも思ってもいなかったのだ。
「ちょっ、ちょっと待て。そしたら、アレはなんだ?元譲と俺は二人で一つとか、互いの半分だとか……」
「だから、そう言ってたら、誰も割り込んでこれないでしょ?そんな事言う奴がすぐ隣にいて、誰が元譲に粉かけられます?」
「え?」
「っていうか……そう言ってないと、元譲自身が俺の事なんて忘れちゃうじゃないですか……」
 夏侯淵が曹操を睨む。曹操は少しだけ焦った。ちょっと待て……。妙才、それじゃあ……。
「それじゃあお前、昔から元譲に惚れてたのか……?」
「は?何言ってるんですか?そんなのとっくに気付いてたんじゃないんですか?」
「いや……儂も元譲も、お前を単にお兄ちゃんを取られたくない弟くらいの気持ちで見ていたんだが……。それが儂の枕席がどうのと言われて、急に他人に取られるくらいなら、その前に自分の物にしようと思ってるのかって……。違ったのか……?」
 曹操の台詞に、夏侯淵は思わず身を乗り出した。
「元譲はそう思っててくれないと困るんですよ!だから俺はわざと元譲がそう思うように振る舞ってきたんですから!」
「ちょ……ちょっと待て……。わざと?」
「当たり前でしょ?まさか俺が元譲に何したいか知ったら、元譲がどれだけ引くと思ってるんですか?どん引きですよ?元譲にとったら、俺は手のかかる弟でしかないんです。だから俺は、この気持ちを墓まで持っていかないといけないんです。元譲にだけは知られちゃいけないんです。バカな狂言回しみたいに思われても別に構いません。俺は元譲に、俺の事を見て欲しい。俺の事を気にかけて欲しい。主公より誰より、俺の事を考えて欲しい。でもこの気持ちを知られたら、元譲だってさすがに俺のことを避けるようになるでしょう?だったら、バカな道化でいるより他に無いじゃないですか!」
 曹操は呆気にとられた。
 自分は、人の感情の機微を見抜く事には長けていると思っていた。夏侯惇の心の奥底に隠している気持ちだって見抜いているし、夏侯淵の気持ちも分かっているつもりだった。だが、まさか……。
「待て…、待て妙才。いつからだ?」
「は?いつから?いつからって何がですか?」
「いつから元譲への気持ちが変わっていったのだ?」
「変わってなんか無いですよ。俺はにいた頃から元譲が好きだし、元譲を誰にも取られたくないし、元譲以外の人を好きになったことはありませんよ」
 子供の頃から?では、やはり子供の頃の“好き”を、はき違えているだけなのか?
「すまん、すごい事訊くようだが、お前、元譲に肉欲はあるのか……?」
 さすがに曹操もこれを訊くのは躊躇った。いくら何でもこんな事を訊くのはどうかと。だが、答える夏侯淵には何の躊躇いもなかった。
「俺は肉欲という物を意識したときから、その対象が元譲でなかった事はありません」
「い…いつから!?」
「だから、ガキの頃からですよ!まだ肉欲という物を意識してない頃から、元譲を抱くと痺れるような気持ちになりました。世の中にはそういう物があると分かったときは、当たり前みたいに元譲を抱きたいと思ったし、初めて自慰を覚えたときだって元譲を思ってしてましたよ?俺が昨日夢の中で元譲に何してたか、聞きたいですか?」
「うわ〜!具体的な事は言うな!ちょっと想像しちゃうから!」
「主公が聞いてきたんでしょう!?」
 曹操は混乱した頭を沈めるために、立て続けに酒を三倍飲んだ。こんなことは初めてだ。相手の事が何も読めない……。それが長い付き合いの従弟であるのだから、曹操の混乱は仕方ないといえよう。
 夏侯淵の顔を盗み見ると、憮然とした顔をしていた。こんな打ち明け話をしているからかと思ったが、それとも少し違う顔に見える。少し、冷静さが戻ってきた。そうだ。こいつの台詞の端々に、引っかかる物があるのだ。
「……妙才、お前さっき、元譲がお前を忘れないようにとか言ったか?どういう事だ。あんな事を言い続けなくても、元譲がお前を忘れる訳が無かろうに」
 はっとしたように、夏侯淵が口ごもった。
「いや、それは……」
「何だ、急に歯切れが悪くなったな」
「……いや」
 どうやら口を滑らせた、失言だったようだ。だが、今更失言だったからと口を閉ざさせはしない。何しろ夏侯淵は、この曹操を相手にケンカを売りに来たのだから。
「さっきまでの威勢はどうした。都合の悪いことは言わないつもりか?」
 夏侯淵はもう一度唇を噛むと、きっと顔を上げて、曹操を見た。
「主公、この話は、すぐに忘れて下さいますか?」
「忘れる。さすがにこんな話をいつまでも引きずっていられるほど、儂も暇ではない」
「……主公がご不快に思うかも知れません」
 急に大人しくなった夏侯淵に、曹操が眉を寄せる。
「儂にケンカを売りに来たのではなかったか?」
「……そうですね。俺は、本当はきっと、一度で良いから主公にケンカを売りたかったんでしょうね……。主公のことは、心から敬慕しています。主公こそ人生を懸け、命を捧げるに足る方と、某が心から思っていることは忘れないでください」
「……なんだ、急に」
 夏侯淵はもう一度下を向いた。まだ躊躇うように、盃を握りしめている。だがやっと、一度小さく息を吸い込み、深く吐き出すと顔を上げて、曹操を正面から見つめた。
「まだ、にいた頃の話です」
「ん?」
 沛国は、曹家、夏侯家の郷里である。中常侍・曹騰が養子を許された時、同郷の名門、夏侯家から貰い受けたのが、曹操の父曹崇であった。夏侯家は高祖劉邦の功臣夏侯嬰にまで遡る名門であるが、前漢の時代の不始末により家禄を失い、漢末にあって、高いのは家名ばかりであった。曹騰から養子をと言われた時、家の再興のために、一族が狂喜したことは想像に難くない。
 曹崇は幼い頃に洛陽にの曹騰の元に引き取られ、そこで子をもうけた。曹騰は孫に、自分の一族である曹家から、曹洪や曹仁といった族弟を遊び相手に選んだが、曹崇の気持ちは自分の出自である夏侯氏にあった。だから自分の甥の中でも年回りのあう夏侯惇と夏侯淵に、洛陽に来て曹操の遊び相手になって欲しいと頼んだのだ。
 で二人だけの楽園を築いていた夏侯惇と夏侯淵は、こうして家族と共に洛陽に来た。洛陽に来たその日、二人の子供時代は終わりを告げたのだ。
で、俺は元譲と二人きり、幸せでした。母上達でさえ俺達を間違えて、入れ違ってからかったりして……。ずっとこの幸福が続くのだと思っていました。それが急に、数えることしか会ったことのない従兄の遊び相手になるために、都へ行けと言われたのです。畏れながら、主公の父上は次男です。次男の命で、嫡男である大伯が郷里を払って都へ行くのかと思うと、俺は子供心に納得がいきませんでした」
「そう言われれば、お前は初めて洛陽に来た時に、儂を睨みつけていたな」
 幼い頃、たまに連れてこられてに戻ると、その度に曹操は驚いた。兄弟でもこれほどまでに似ることはないだろうに、従兄弟同士がこれほど似ていることがあるだろうか。いつも二人で仔犬のようにじゃれている従兄弟を見分けることは、曹操にも難しかった。二人だけの王国。同じ顔をした従兄弟達は、まるで二人だけの世界に生きているようだった。
 だが、から洛陽に来て二人と深く付き合うようになると、すぐに似ているのは顔だけだと分かった。夏侯淵は自分の感情を隠すことが無く、それが曹操には愉快だった。しかし夏侯惇は……。
「……俺だって、主公と付き合うようになって、すぐにこの従兄は面白い男だと思ったし、大好きになりましたよ。それは本当です。……でも、元譲が……」
 夏侯惇は、自分が何を期待されているのか、洛陽に来た当初から完全に理解していた。中常侍・曹騰の孫である曹操と、没落した夏侯家の嫡男である夏侯惇。夏侯惇は大人達が期待するとおりに、振る舞うべき完璧な振る舞いをして見せた。子供の頃は睦まじく、阿瞞阿瞞とじゃれ合い、長ずれば何くれと無く世話を焼き、札付きと言われた曹操の尻ぬぐいに奔走した。いつでも夏侯惇は曹操のそばにいて、彼の行動の全ては曹操の物だった。
「……いや、元譲は、別に義務や義理であなたと一緒にいたわけじゃない。それは本当です。元譲は一目であなたに惹かれたのでしょう」
「……気を使わなくても良い。儂が元譲に感じるほどの友情を、元譲が儂に持っていないことくらい、儂だってガキの頃から知っていた」
「違います!元譲は打算であなたと付き合ってきた訳じゃない!」
「そうだ。あいつは未だに儂とつるんでいたのは自分の意思だと信じている。あいつに打算はなかった。打算があれば、儂がその人間を信用することはない。元譲はただ自分のしたいように振る舞ってくれていた。そんなことは分かってる。だが、子供の柔らかな心は、大人の期待に応えようと、自分の気持ちを変えてしまうことができるのだ。儂は子供の頃から、そんな元譲が不憫だった。元譲が儂に友情を示せば示すだけ、儂は切なかった」
 そうだ。元譲は知らない。主公の孤独は、元譲の中にある。最も近くにいた友が、最も遠いところにいる。その気持ちを、俺は誰よりも知っている。
「だからこの話をしたくなかったんです。元譲は今でこそあなたの第一の臣下だが、昔からあなたの臣下だったわけではありませんよ」
「気を使わなくても良いと言っただろう」
「気を使ってるんじゃない!だって俺は、ずっとあなたに嫉妬していたんだから!」
「なに?」
 曹操から見れば、夏侯惇と夏侯淵には、余人を入り込ませぬ関係が築かれていた。夏侯惇はいつでも自分のそばにいたが、夏侯惇の帰る場所はいつだって夏侯淵なのだ。
「何を言っているのだ。嫉妬すると言うのなら儂の方だ!友情にも嫉妬というもがあるということを、儂はお前らから学んだようなものだぞ!」
「だって元譲はいつだって孟徳孟徳孟徳孟徳!孟徳のことしか見えてないし、孟徳のことしか頭にないんだ!あなたと一緒にいればあなたのことしか見ないし、あなたがいなければあなたの話しかしない!俺の事なんかこれっぽちも見ちゃくれないんだ!だから俺は元譲に忘れて欲しくなくて、俺がここにいるって見て欲しくて、少しでもあなたと元譲の間に割り込みたくて、お前と俺は同じ物だ、互いの半分だって、言い続けるしかなかったんだ!正直を言えば、俺は元譲が師匠を侮辱した男を斬って出奔した時、これで孟徳に元譲を取られずに済んだと思ったほどですよ!」
 頭の芯がクラクラした。叫びすぎたのか、肩が荒い呼吸に波打っている。いつでも心の奥に隠していたこと。今でも曹操が夏侯惇にだけ特別な礼を取らせる時、この秘め事はあふれ出しそうになる。
 本当は、これを曹操にぶちまけたかったのだ。きっと俺は、ずっとこれを言ってしまいたかったのだ……。
「……お前……」
 曹操が圧倒されたように身じろいた。
「……驚いたな……。お前がそんな気持ちでいようとは……」
「……すいません。不遜なことを言いました……」
「いや、儂が言わせたのだ……。そうか、それでお前は、よりにもよって元譲が儂の枕席に侍っていると言われるのが許せなかったのだな?」
「……そうです。……いや……、いや、本当に元譲と主公がそのような間柄であったとしても、某にそれをとやかく言う権利がない事くらい分かっているのですが……」
 言いたいことを言ったら急にしおらしくなってしまった夏侯淵に、曹操は「そんな間柄には絶対にならんから安心しろ」と溜息をつく。
「こんなに女を家の中に置いておいて、今更男にまで手が回るか!」
「でも、主公の本命は仲康殿とかいつも言ってるじゃないですか!」
「……いや、それはほら、まぁ、儂の豪傑好きが言わせているだけであって……」
「……本当にやるとしたら、主公は絶対仲康殿や髯の奴ではなくて、元譲とやりますよ」
「やらんわ!」
「やりますよ!」
「元譲はそういう対象じゃないんだ!例え世界に儂とあいつしかいなくなっても、儂はあいつだけには手は出さん!そんでこの世の終わりになったら、手ぐらいは重ねるかも知れないけど、良い友達だったなと思って死ぬから!」
「どんだけ主公は元譲が好きなんですか!」
 ひとしきりバカな話をすると、曹操はふっと遠くを見た。
「……でも、この世の終わりの時に、元譲が一緒にいるのはお前だ、妙才」
「……何言ってるんですか。この世の終わりまで、元譲は主公のお供をしますよ。決まってるじゃないですか」
 夏侯淵が頬を膨らませる。そう。夏侯惇はきっと、曹操の元を選ぶ。だが、その心は……?夏侯惇は果たして、どちらと共にいたいのかと問われれば、それは必ず夏侯淵だ。
「妙才、お前、元譲とはどうなるつもりもないと言ったな。その思いは墓まで持っていくと」
「言いました」
「……お前は今までに一度も、元譲の方がお前に惚れていると、思ったことはないのか?」
 いきなりの問いに、夏侯淵は一瞬真っ白な顔をした。まるで時間が止まったように、ぴくりとも動かない。
「……妙才?」
 微動だにしない夏侯淵に、曹操は少し不安になった。
「妙才、どうした?」
「……いや、大丈夫です……」
「まさか全く考えたことがないのか?」
「いや…」
 やっと声を出したと思ったら、その後はずっと瞬きをくり返している。動揺しているのか……。暫くそうして瞬きをしていたが、一度強く目を閉じると、ひどく寂しそうな顔をした。
「……ありますよ。でも、それは違うんです。結局、元譲が好きなのは、子供の頃の、何のしがらみもなかった頃の俺達なんです。……いや、元譲自身なのかも知れない。元譲が俺を好きだとするなら、多分、俺を飾り棚に置いて眺めておきたい感じなんでしょうね。いつまでも昔の頃のまま、屈託ない俺が、体の繋がりなど何も知らない顔をして、子供の頃と同じようにただ抱きしめてやれば、きっと元譲も満足するでしょう。……でも、それは俺の望んでいる形ではないんです。俺は、もう怖くて元譲を抱きしめたりはできないんですよ。きっと元譲に触れてしまったら、俺は歯止めがきかなくなる……」
「元譲は、そこまで幼くないぞ」
 含みのある言葉に、夏侯淵は曹操を睨んだ。
「知ってますよ。元譲が昔、色々あったって事は」
「……知ってたのか?」
「そんなの分かりますよ。俺がどれだけ元譲を見てると思ってるんですか。でもだからこそ、元譲は俺との交わりを恐れているんです。自分に色々あったから、同じ顔の俺にはいつまでも無邪気でいて欲しいんだ。元譲のその考えは、理解できます」
 こういう男だったのか。長い付き合いで、夏侯淵のことはただ無邪気な男だと思っていた。実際、常の夏侯淵は無邪気な男だ。学問よりも弓を好み、曹操の後をただついてきた。戦場では誰よりも速く動き、兵をうまく操る。ただ夏侯惇に遅れまいと、それだけのために血を吐くような努力を、全く厭わない男。それが夏侯淵だと思っていた。だが夏侯惇のこととなれば、この男はどこまでも深くなるのか。この曹操に、しっぽも踏ませないとは。
 しかし、やはりこの男は子供なのだ。
「……儂の意見は少し違うな」
「煽っておられるのですか」
「煽る?そうだな、少し、煽っておこうか。元譲が恐れているのは、お前との交わりではない。お前が子供過ぎることだ。少なくとも、元譲はそう信じている。この儂ですら騙されていた。まずはその誤解を解いてやれ」
「何のことですか」
 曹操は夏侯淵の前で、パンと手を打った。夏侯淵が思わず目を瞑る。
「ここから先は自分で考えろ。それから、最後にこれだけ言っておく。人生は一度きりだ。もしも元譲がお前に惚れていたとして、それでもお前は今のままで良いのか?」
「無責任なことを言うのは、例え主公でもやめていただきましょう。良いですか、俺は、元譲にいらんことを言うなと言いに来たのです!」
「子供だな。二人とも、まだ恋も知らぬ子供のようだ。良いか、もう一度言う。人生は一度きりだ。墓の中にその気持ちを持って行ったとしても、あの世でうまくできるとは限らんのだぞ」
 言い返そうとした時、扉が開いた。曹操が手を叩いたのを、話が終わった合図だと思ったのだろう。家宰を伴って、下氏が入ってきた。
「お話しは終わりましたか?」
「あぁ」
「少し、妙才様とお話しをしてもよろしいかしら」
「うむ」
 もう一度念を押そうと思ったのにと一瞬憮然としたが、まさかここでそれを言うわけにもいかない。下氏が曹操の隣に座ると、曹操は下氏にも盃を渡した。
「妙才様、庭の芙蓉が盛りですのよ。今度御一族の方々なども呼んで、宴など致しませんか?」
「あ、いや……」
「妹から聞いておりますわ。妙才様、最近琵琶を練習されているのですって?」
「何?そうなのか、妙才?」
 急に曹操が前に乗り出す。こんな所に食いつかなくても良いだろうに……!
「いや、戯れに妻の撥を取ったら、何か教えられることになって……。お、俺は、どうせなら笛とかの方が良いって言ったのですが、妻がどうしても琵琶だと譲らなくて……」
「笛なら儂も元譲も吹くから、お前は琵琶で丁度良い。よし、では芙蓉の宴で合奏しよう。子桓も箏が弾けたな?子建は瑟が得意だったか?」
「はい、我が君」
「お、なんだか楽しくなってきたぞ」
 曹操はウキウキしながら、家宰に手配を指示し始めた。俺は今日、そんな呑気な話をするためにここまで来たのではないのに……!
「俺はまだ習い始めたばかりで、そんな一緒に合奏できるほどではありません!!」
「こういうのは、全員が巧いと逆に白けるものだ。素人が趣味で弾いてるくらいがアジがあるのだぞ」
「そういうことは、巧いから言えることです!主公なら笛でも琵琶でも瑟でも巧いでしょうが、笑い物になる俺の身にもなって下さい!」
 事情を知らない下氏が、口元を覆って眉尻を下げた。この人は、本当に愁い顔がよく似合う。
「まぁ、それでは妹の教え方が至らないのですね」
「いや!奥方様、まさかその様な!!俺が真面目な生徒ではないのです!」
 曹操がニヤニヤと自分を見ているのがまた腹が立つ。あれだけ自分を煽っておいて、今度は琵琶を弾けだと?
「まぁ、今日はこの位で勘弁してやろう。妙才、琵琶の件は、儂にケンカを売った罰だと思って、真面目に練習することだ」
「寛容なご裁断に感謝いたします」
 額に血管を浮き立たせながら拱手の礼を取ると、家宰が夏侯淵を門まで送るために立ち上がった。部屋を出て行く背中に曹操の笑い声が被り、それは門までついてくるようだった。



 馬を繋いであるから、一度宮城に戻らねばならない。もう外はすっかり暗くなっているから門は閉ざされているかと思ったが、話が回っているのか、衛士がすぐに門を開けてくれた。
「遅くまでご苦労様です、将軍」
「いや……うん、ありがとう」
『心配させてやるのも仕事のうちだと思って、心配させてやれば良いんだって』
 昼間にそう言った自分の台詞を思い出す。
 これも仕事のうちか。人にはあんな無責任なことを言っておいて、自分がこのザマだ……。
 夏侯淵が溜息をついて厩に行くと、置いてけぼりを喰って不満そうな愛馬の飛雷に、マントを囓られた。



 翌朝、仕事を終えて帰ろうとすると、夏侯惇に声をかけられた。いつもは自分が夏侯惇の元に押しかけているのだが、昨日のことがあったので何となく顔を出しづらく、今日は先に帰ってしまおうと思っていたのに。こういう時に限って向こうからやって来るとは、夏侯惇は昨日頬に触れた自分の指を、何だと思っているのだろうか。
「おう、妙才。もう帰りか?」
「うん、元譲も上がり?」
「ああ」
 夏侯惇の頬。指先に、その感触が蘇る。夏侯淵は何となく見てはいけない物のような気がして、夏侯惇の頬から目を逸らした。それなのに、夏侯惇はえらく呑気な声をかけてくる。
「妙才、お前、琵琶を習ってるって?」
「!」
 思わず振り返った。夏侯惇がニヤニヤ笑っている。
「主公に聞いたの!?」
「他に誰から聞くんだ」
「他には!?何か主公に言われた!?」
「身内だけで宴を開いて、合奏するんだって話だろ?主公、ウキウキしてたぞ」
 一瞬安心しかけたが、いや、ここ安心する所じゃないからと汗が流れ出す。
「子孝や子廉にも楽器をやれとか言ってたぞ。子廉はともかく、子孝はどうするのかね」
 くっくっくっと喉の奥で笑っている。楽しそうなのは曹操だけではないようだ。
「元譲は、自分が笛とか吹けるからそんな風に楽しんでられるんだよ!」
「だからお前もガキの頃一緒に習っておけば良かったんだよ」
 ニヤニヤ笑う夏侯惇が憎たらしい。夏侯惇の母親は昔から笛の好きな人で、息子に笛を吹かせ、それを聞きながらよく庭などを眺めていた。夏侯淵も子供の頃はよく一緒に笛を吹かないかと誘われたものだ。
「元譲、確か瑟も弾けたよね?」
「ん?」
 夏侯惇が聞こえない振りをする。
「あれ?箏だった?」
「箏なんか弾けるか」
「あ、じゃあ瑟だ。元譲だって嫂上と二人で合奏とかして楽しんでんだろ?主公に言ってこようっと!」
「待て!」
 意外と真剣に止めに来る。何事も精進という言葉の好きなこの夫婦は、「あなたはそろそろ笛よりも他の楽器に挑戦してみては」と妻が勧めれば、夫は断れないらしい。夏侯淵が妻の弾く琵琶に興味を持ったのも、夏侯惇が馴れない瑟に苦労している話を聞いたからだ。
「主公が言ってたぞ。こういうのは素人が趣味程度に弾くから楽しいんだとさ」
「お前、子廉や子孝も弾くんだぞ?下手くそばかりが弾いてたら、収拾つかなくなるぞ!」
「笛なら吹けると思って偉そうな顔してるんだから、そのくらいいい気味だ!」
「妙才!」
 笑ってその場から走り出す。
「妙才待て!お前どこ行く気だ!」
「どこでも良いじゃん!俺が言わなくても、どうせ嫂上がうちのに言って、うちの経由で主公の耳に入るよ」
 夏侯惇よりも、自分の方が足は速い。後ろから「あの野郎!」と怒鳴り声が聞こえたが、夏侯淵は構わず走り続けた。
 厩まで辿り着くと飛雷に頭をもたげて、夏侯淵は荒い息を整えた。今日は一番乗りらしい。飛雷の機嫌も良かった。
「も……ダメだ、俺……」
 飛雷に抱きつくようにして、夏侯淵は目を閉じた。
「もう、元譲のそばにいるの、きついや……」
 飛雷は首を伸ばして、慰めるように夏侯淵の顔に鼻面を押しつてきた。ぺろぺろと顔を舐められたが、させるままにしておいた。
「……お前は優しいなぁ……」
 暫くそうして、夏侯淵は飛雷の腹に顔を埋めていた。今まで通りに接しなければ。今まで通りに、普通の顔をして付き合わなければ。でも、今までどうやって話をしていたのか、思い出せなくなってきた。
 だって、昨日の頬が。昨日思わず触れた頬が、指先にこびりついて離れない。
「……どうしよう……。もう……どうしたら……」
 夏侯淵の気持ちを知ってか知らずか、飛雷はいつまでも夏侯淵の顔を舐め続けていた。 




色々と言い訳を……。

夏侯淵の奥方は正史に「曹操の妻の妹」と残っていますが、誰の妹かは分かっていません。夏侯惇と夏侯淵の地位に対して、夏侯惇の息子達は字も分かってないのに夏侯淵の息子達は記述もたくさん残ってて出世してるのは何でかな〜と前から思ってて、これはお母さんが下氏の妹、つまり息子達が曹丕と従兄弟だからじゃねぇの?とか勝手に思ってその様な設定になっています。my設定ですのでご了承下さい。(あと夏侯淵の馬の名前も分からないので勝手に付けました。そちらもご了承下さい)

それと、夏侯父と曹操父の兄弟の順番ですが、これも記述が残っていないので、勝手にmy設定作りました。嫡男が養子に出されることはないはずなので、次男を曹操のパパに。曹操と夏侯惇の関係から、夏侯惇パパを長男に。夏侯惇と夏侯淵の年齢の近さから、夏侯淵パパを三男に。この後の話で、オリキャラと化した五男も出てきますが、当時は子だくさんなので、その位いても良いかと(´ω`;) 夏侯惇と夏侯淵、長男と三男の子供にしては同い年設定になっていますが、これはきっと、夏侯惇のうちは上にお姉さんが三人くらいいて、夏侯淵は最初の子、とか、そんな感じでお願いします。

夏侯淵、実際に将軍位を貰うのは212年なので、本当ならこの時期、役職で呼ぶとき「典軍校尉だよな〜」とか自分でも思うのですが、もうこんだけ軍を率いて戦ってるんだから、みんなは「将軍」って呼んでるんじゃねぇの?少なくとも小説とかマンガとか三国演義とかでは将軍って呼ばれてるから、将軍で良いよね?ということで、うちではみんな「将軍」で呼び合ってますが、そこら辺シビアな人がいたらすいません(-ω-;) あと、字+将軍は無いよな、と思っても、面倒なのでそう呼んでるときあるんで、それもすいません(=д=;) (夏侯惇は194年の段階でもう建武将軍なんだけどさ〜。意外と魏って、将軍位貰うの遅いよね……。やっぱ曹操が漢臣の間は呉や蜀みたく乱発できないのかな〜?)

あと年齢の設定に関して、「私計算しちゃうから!」という方だけ、以下ドラッグして読んで下さい。
うちの夏侯惇と夏侯淵は、曹操より3才年下の同い年で、半年違いの設定になっています。で、この小説は、ギョウ陥落直後辺り、つまり204年の当たりを想定して書いています。でもそれで計算されちゃうと、二人が「え?その年で……?」ということになっちゃうので、+10才若返らして書いています。良いんです。生年不詳ですから。それでも人によっては「え……、いや、その年は引くわ……」ということになってるかと思うのですが、私、夏侯惇と夏侯淵は相当長い間親友のまま戦場を駆け回っているというのが萌なので、「もっと若い頃からくっつけてやれば良いじゃん」というのがどうしても出来ないのです……。だって、曹操が反董卓の檄を挙げた時点で34才。夏侯惇達が31才です。そんな、従軍するときにはもうできあがっちゃってる二人はヤダよう(TωT) (ちなみに、夏侯惇が隻眼になった時点でもう36才。え〜?それはちょっと〜orz)ということで、あんまり年齢のことは突っ込まないでいただけるとありがたいです……(TωT)


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